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   ★★2020年06月01日(月)乙女座、牛飼座、冠座
   ★★2020年06月03日(水)サラサドウダンツツジ
   ★★2020年06月05日(金)ノダフジ
   ★★2020年06月07日(日)イワギキョウ続報、シャクナゲ、ボタン
   ★★2020年06月08日(月)切り花ボタン
   ★★2020年06月09日(火)スズ吉君達、ボタンの命は短くて、一番アヤメ
   ★★2020年06月13日(土)アヤメ、ツツジの仲間達
   ★★2020年06月17日(水)アヤメ達
   ★★2020年06月21日(日)エゾシロチョウ、金環日食


★★2020年06月01日(月)乙女座、牛飼座、冠座

乙女座
乙女座
 おとめ座は十二星座の一つとして星座の始まりの時代まで遡る歴史と伝統を持った星座です。そして、日本名「おとめ座」として、男女共に各種希望・期待・憶測・要望・野望・夢想・・等々の結果、若い女性憧れの星座となっています。是非はともかく、ここに描かれる星座図は大神ゼウスと月神テミスの間に生まれた女神アストラエアであって、翼を持つ正義の神として登場します。隣の天秤座には、正義を計る天秤が置かれています。また、異説の多いギリシャ神話では、農業神デメテル又はその娘である豊作の女神デメテルとも言われています。右手に麦の穂を持つ姿は農業関係のようでもあります。
 一等星スピカは穀物の穂を意味する名称であって、農業絡みの名称であることは間違いないでしょう。色と輝きは、シリウスのようなギラギラした青白い輝きではなく、真珠色と言われることもある純白、白銀の白色で、安定した輝きが特徴です。見た目は清楚な一等星ですが、距離は260光年あって、+1.0等級に見えるということは、もの凄く明るい星だということがすぐ判ります。恒星の表面温度が1万7千度程度あって、主系列星よりは上の準巨星か巨星の分類です。しかし、星座とその見やすさと言えば、広い星座の割りに4個の2等星があるだけで、ここに女神の姿を見いだすためには、よほどの想像力が求められます。星座絵ですら、星の位置をそれほど気にすること無く描かれている様に見えます。オリオンや北斗のような派手さは無く、地味で良く見えない星座とも言えるでしょう。
 明るい星の密度が低いのは、この付近に銀河極があって銀河に属する星々の厚さが薄いためです。その分、外宇宙への見通しが良くなっています。おとめ座から、かみのけ座付近に、小宇宙が数多く発見されています。カメラを向けると条件次第ですが、これでもか、これでもかと言うほど写り込んできます。ただ、晩春から初夏にかけての梅雨を挟む季節がありますので、こちらも熊狩りのように運次第です。

牛飼座
牛飼座
 おとめ座の北にあって、北の中緯度地帯では、天頂近くを通過していく星座です。うしかい座もおとめ座のように一等星が1つで、2等星は無いんですか、と言う星座です。しかし、3等星が辿りやすい配置をもっているので、おとめ座よりは形が捉えやすいと言えるでしょう。
 「牛飼い」と名付けられていますが、古代ギリシャの古い星座絵では北斗七星の表す熊を狩っている狩り人が描かれています。一等星アルクトゥルスの名は熊の番人の意で、いつの時代か星座名がボーテスとなり、牛の番人に変わっていったのでしょう。
 アルクトゥルスはK型で太陽よりも表面温度が低く、ややオレンジ掛かった色合いで0等級、スピカよりも2.5倍明るい星です。それでもギラつくような明るさは感じずに、温かみのある落ち着いた感じのある星です。しかし、実態は距離が37光年ですので、スピカよりも実際の光の量は50分の1しかありません。それでも太陽よりは80倍以上明るい恒星です。
 このうしかい座の隣に小さくまとまっているのが、かんむり座です。その反対の東側が、かみのけ座に続いています。

冠座
冠座
 うしかい座に抱えられているかのような位置ですが、牛飼の関係者ではありません。今、コロナというと誹謗讒言の渦中に巻き込まれますが、元々、環状のもの、輪っかのものを示す言葉で、王冠もその一つです。天文関係者であれば、コロナと言えば、皆既日食の際に太陽を取り巻くベールのようなものが見られる(写せる)ことから、関係者で知らぬ人は居ないでしょう。
 さて和名「かんむり座」はコロナ・ボレアリス、北の冠と言う名称が付いています。初めはコロナだけだったのが、「みなみのかんむり座」が出来てから、区別するために「北の」が付けられるようになりました。

 この冠の持ち主の女性については、少々不幸な経緯があります。
 クレテ島のミノス王は王宮の地下にミノタウルスが住む迷宮を持っていました。そこへ毎年、見目麗しい少年少女を人身御供として送り込んでいたのです。それを知った、テセウスというアテナイ王の息子が犠牲の若者の中に紛れてミノタウルスを討とうとしました。そのときにテセウスに一目惚れをしたのがミノスの娘、アリアドネです。アリアドネの手引きにより、テセウスは首尾よくミノタウルスを討伐して、アリアドネを連れてクレテを脱出しました。
 ところが、テセウスは帰路途中のナクソス島にアリアドネを置き去りにしたのです。ギリシャ神話ですので、異説各説が沢山あって決め手が無いのですが、神託や心変わり等の理由によって、置き去りにされたことだけは同じです。
 そのアリアドネを慰め、妃に迎えたのがナクソスの支配者、酒神ディオニュソスで、その証に7つの宝玉を持った冠を贈ったのです。アリアドネの亡き後に、ディオニュソスが天に上げたのが、この冠だったということです。
 まあ、王子に娶られて異郷で王妃になるよりは、神の妻となった方が良かったのではないかと思ったりもしますが、一番の幸運者は、さすが神のディオニュソス様でしょうか。やはり飲まして・・・。

 かんむり座α星はアルフェッカ、「欠けたものの明星」の意で星座が半円形であることからの命名のようです。また、ゲンマ(宝石の意)というラテン名も伝えられています。


★★2020年06月03日(水)サラサドウダンツツジ、月齢11.7

サラサドウダンツツジ
サラサドウダンツツジ

 こちらも今年は普通に花を開いています。やはり、昨年、一昨年は日照が足りなかったのだろうと思いました。咲かないと言う事は無いのですが、満開となるかショボくなるかはその年次第で、特定の原因は判明していません。ドウダンの葉に黒シミのようなものがしばしば現れるのですが、上にあるナツツバキからの影響だと言われています。ただ、どの様な影響で出ているのかはよく判りません。 天候にも影響しているはずですが、去年はそれ以前にナツツバキもドウダンも成長が悪かったのです。
 シバザクラとオダマキの盛りが過ぎて、サラサドウダンと時期を争うのがノダフジです。そちらは次報です。


月齢11.7
月齢11.7
 半月から4日、だいぶふくよかになって来た月です。明るさも半月の-10等級から、-11.5等級で、4倍近い明るさになっています。これが満月となると半月の12倍という明るさになります。満月というのは、それはそれは明るい代物なのです。その満月も太陽の45万分の1の明るさでしかありません。太陽が如何に明るい代物なのか、数値で示すと、このような桁違いの数値が出て来ます。先月末、乙女座を撮影しましたが、月があって、ギリギリの撮影でした。月がもう少し近ければ、満足に肉眼星も写らなかったでしょう。星野を撮影しようとするときに天候と共に月には要注意なのです。特に出かけていって撮影しようという場合、いざ車を降りたら・・・明るい月が今晩は・・・帰るしかありません。


★★2020年06月05日(金)ノダフジ

花芽が付きました
 5月26日、花芽が付いてきました。昨年に比べると非常に多い数です。少し期待しました。

遠景  中近景  近景
 6月2日満開にもう一日くらいですが、葉の芽が出て来ています。
 花が満開になるのと葉が出てくるのが重なりそうです。


裏側
 裏側から見ると、既に枝に葉が出てきてます。

下より
 下から見ても、なかなか良いものです。藤棚は一見、正常のように見えますが右手の棚部分から支えの横木が腐り折れています。しかし、そのまま落ちてしまう状態では無く、組み木されているため持ちこたえています。その為、逆に修理は簡単ではありません。一度、全てを外してから支え部分を更新しなければならないのですが、幹が太くなりほぼ自立している状態で、もう一段簡単な支えにするか思案中です。


★★2020年06月07日(日)イワギキョウ続報、シャクナゲ、ボタン

イワギキョウ続報
キキョウ
 先月5月19日に「君はキキョウ君?」で、絶滅したのでは無く、芽を出したことをお知らせしました。この芽は順調に成長しております。発見された当初は1つの芽のみの発見でしたが、この芽から1㎝ほどのところにも、更に小さな芽があって、そちらも順調に育っていました。
 あと二日で発見から三週間となりますので、調査隊が生育状況の精査を行うべく派遣されました。現地に赴いた調査隊が撮影したのは、成長している二つの芽だけでは無く、更に多数の芽が発見されたのであります。写真中の一番大きな赤円が、一とつ目と二つ目の株です。その近くに葉を出している芽があり、葉からキキョウであると推察できます。また、それとは離れて、写真の左側に2株が、桜草の繁茂する下に発見されました。こちらも昨年、正常に花を咲かしていた株なのです。
 これで、キキョウの存在が、昨年と同様、いや、昨年より増えていることが判明したのです。

シャクナゲ
全景
拡大
 こちらは、例年通りの姿です。眼福です

ボタン

 昨日昼くらいにつぼみが開き始めたのですが、開き方が足りずに夕方を迎えました。今朝、早くでは同じ状態でしたが9時過ぎにはこの状態になりました。


★★2020年06月08日(月)切り花ボタン

昨日7日に切り花となった最初のボタン

6月6日午前10時の三輪

2番手ボタン

3番手ボタン

三輪そろい踏み

 最もつぼみが大きく、昨日、開花した一番手を追うように、昨日夕刻には二番手と三番手もつぼみが綻んでいました。今朝、未だ遠慮がちに花が開いていましたが、2番手が昼には黄色い花粉を見せるまでに開きました。これで、三輪のボタンが並ぶ事になりました。大きさが大中小と順繰りになっているのが、何とも・・・。
 ボタンを含め例年通りというか、盛りぶりを見せてくれていますが、残念ながらシャクヤクにつぼみが見あたらず、この点が心残りとなっています。施肥が足りなかったか、何かしらの手入れがマズかったか・・・。ピンクの大輪は来年にお預けですね。


★★2020年06月09日(火)スズ吉君達、ボタンの命は短くて、一番アヤメ

スズ吉君達

 夏至が近いので、朝、明るくなるのがもの凄く早く、4時前にスズ吉君達は朝のお食事です。前日の残りは綺麗にカラになります。ですから、お寝坊さん達が7時に朝の食事を取ろうとすると餌台はカラになっています。試しに7時に補給すると、たちまち集まってきます。わたくしが主屋に戻る前に駆け付けてきます。お寝坊組です。このところ、あまりの消費に魂消て、供給量を減らしていますので、余計に競争になっているのでしょうか。しかし、餌になる虫たちもそこそこいますので、そいつらを減らしていただくと、余計な殺虫剤を撒かなくて済むのですが・・・。

ボタンの命は短くて

 昨日、配置したばかりですが、初咲きの方が既に退色してきているようです。花の広がりも2番手の方が大きくなっています。暖房はさすがにしていませんが、ペチカの上では暑いのかも知れません。それで、玄関の方へとまとめて退避させられていました。

一番アヤメ

 今年一番のアヤメです。大きなカエデの陰で、横に未だオダマキが居ます。この一輪しか咲いていませんが、つぼみはそこかしこに見あたります。


★★2020年06月13日(土)アヤメ、ツツジの仲間達

アヤメ

 例年、白のアヤメと前後して紫紺のアヤメが咲きます。天候状態や前年の様子などで咲かないこともあります。しか、今年は多くの品種で成り年となっているようで、こちらのアヤメも、花芽が他に6本はあります。

ツツジの仲間達

 ツツジの種類は大変に多く、高山性の変種もあり、色もそれぞれ多様な種類があって、楽しませてくれます。

ツツジの矮小種

 ツツジの中でも、葉・花共に小型で2~4㎝程度の矮小種が、小さめの鉢植えに丁度良いことから好まれているようです。


★★2020年06月17日(水)アヤメ達

青紫アヤメ
青紫アヤメ

 青紫色ベースのアヤメは、一株しかありませんが、年々大きさを増してきていて、これだけ咲いたのは初めてです。未だ、つぼみが2つ3つはあります。


白アヤメ
白アヤメ
白ベースのアヤメは、青紫色とは違って、かなり生息域が広がっていて、葉を出す数も多いのですが、花を付けるものが少なく、また散在しているので、群れて咲いているものは僅かです。3つ集まっていれば、事件です。


★★2020年06月21日(日)エゾシロチョウ、金環日食

エゾシロチョウ

 エゾシロチョウは、モンシロチョウやモンキチョウの仲間で、シロチョウ科に分類される蝶です。特徴は白い羽根の部分に黒いスジが入っていることです。エゾと付くのは北海道限定種という意味合いがあります。津軽海峡にはプラキストン線という生物種の境界線があって、南北の生物に違いがあることになっていますが、これは絶対の境界線では無く、気候の違いによって棲み分けたり、適応のため変異したりすることが、多数の生き物で起こるという意味合いの境界線です。ですから青函トンネルによって地続きとなったことから、北から南へキタキツネが侵入していると報告されています。逆はあまり聞かないのですが・・・。
 蝶は、飛ぶものとはいえ飛翔力は低く、渡りをする鳥と違って移動生活を基本としていないものがほとんどです。また、同じ「科」に分類されているとは言っても、幼虫の餌となる植物に違いがあります。モンシロチョウは、アブラナ科でキャベツが好物のようです。正に害虫の分類です。対してモンキチョウはマメ科でクローバなどですから、あまり作物には関わらないので、益虫とまでは行きませんが、害虫扱いではありません。エゾシロチョウはバラ科ですのでリンゴやサクラですから、害虫扱い、という違いがあるそうです。蝶は飛んでいる姿は、好ましいものですが、幼虫は毛虫であって、多くの場合、害虫の扱いになるので、微妙な立場です。
 エゾシロチョウの飛び方は、常に激しく羽ばたいて飛ぶのでは無く、羽根を開いてフワフワ飛ぶのが目に付きます。モンシロチョウやモンキチョウに比べて倍近く大きな羽根を持っている為に空気に乗って飛ぶことが出来るのでしょう。と言っても、飛んでいるところを撮影できるかといえば、かなりの困難があります。疲れて止まっているところを狙って撮るしかないし、連写速度の速い高級機を持ってしても、飛翔中の撮影は難しいでしょう。しかしながら、この仲間は、止まって動かないことがあります。交尾しているときです。二頭で飛んでいる場合に、気長に追っていくと、留まって動かなくなることがあります。このときは、カメラを持って静かにゆっくりと動けば、それなりに近づいても逃げてしまうことはありません。そこが狙い目です。
 実は、最初に止まっている姿を見つけて、近づいても逃げなかったので、お疲れで動きたくないのかと思い撮影しました。そのときに、羽根の形が変だなと思ったので、庭を一巡りしてから、もう一度近づいて良く見ると、一頭では無く、交尾中であったことに、やっと気が付いたという次第でした。
 ちなみに、蝶の数え方は「頭」が『正しい』やり方で、英語での数え方が輸入されたとのことです。慣用的には「匹」が普通でしょうし、飛ぶものということで鳥からの流用から「羽」をつかう場合もあると、ものの本には書かれています。まっ、幼虫やサナギは飛びませんからねぇ。


金環日食

 夏至の日に金環日食・・・ タイミング的に重なっているというのは、何かありそうな気がします。その気持ちを煽るのが報道機関の役目です。報道機関の担当者は、このような場合、天文台に電話して、前回はいつだった、この次はいつだ、何年周期だ、という質問をするそうで、名乗らなくても、その質問で報道関係者と判ってしまうそうです。それらの情報で、ある現象が判った気になる、判ったような気にさせることができると言うわけです。
 説明を理解し、判った人はそれで納得します。そして、更なる疑問を持つ人と、判って満足する人の2つに分かれます。後者が多数派です。つまり、大方の人は満足だけして実は判っていない・・・、でも、判った気になっていて、もう質問しなくなるという便利な情報です。
 これだけ科学が進み、色々なことが判ってきている世の中で、それも世界の中でも進んでいる国の1つである日本という中で、日食という現象についてちゃんと判って居るのは、半分どころか、はるかに少ないという調査結果があります。某自治体の高等学校入学選抜試験に、日食のときの月の位置を図中に書けという問題で、1つの学校の受検者全員が、欠けた太陽の図に月の丸い形を正しく書けなかったということは機密事項では無いはずです。勿論、自治体全体での正答率も信じられない数値であったとだけ書いておきましょう。つまり、実は何も判っていないで、暗記だけしてきているという実態が透けてきています。
 どちらかといえば、興味を維持し、疑問が湧いてきて、更に調べていこうという人より、当初の疑問の答えを得れば満足してしまう人の方が多数派を占めているでしょう。だから、判った気になるというのは、実は危険なことです。それ以上の注意喚起をしなくなるのですから。言い換えれば、それ以上の追求を防ぐ手が、この方法だとも言えるのでは無いでしょうか。

 つまり、報道機関が流す情報には、何も判っていないにも関わらず、単に判った気にさせるというものが含まれているのです。それには、役に立たないどころか、判っていると誤解させ、それ以上の追求を阻んでいるという部分があります。関係者は努力しているのでしょうが、そのような粗悪な情報が、よく目に付きます。それらは、耳障りの良い言葉で騙しているのと同じです。勿論、発信側は騙しているとは思ってもみないのでしょう。そして、その自覚の無さは、裏付けも無く自分が正しいと確信する行動を導くし、ことによると恣意的な情報操作という部分を持っていくことになります。関係者は否定するでしょうが、行き着くところは、自分が神だと主張する、ある意味トンデモ宗教世界があり得るのです。

 占星術的には、日食で太陽と月が重なることによって、持てる力が相乗するか、相克するかという状況。更に、夏至というのは、季節として北半球で太陽が最も高く上がるときです。気温の最高点は遅れるのですが、日差しの強さの最高点はここにあります。
 日食自体は、騒ぎの原因では無く、珍しい、面白い現象として衆目を集めるものとなっています。良く言われてきたのが、月が太陽を隠すのだから、月=女性が反乱を起こして一時的に有利、でも最後は太陽の勝ち・・・。だから男性有利(男の意見でしょうねぇ)。今時、世の終わりジャーと、騒ぐのは居ないと思いますが・・・。
 日食を観望できる地域は限られています。天球上、太陽と月は東方向へ移動していますが、月の方が速く移動しているので、太陽に追いつき追い越していきます。かけ始めから、皆既または最大食を過ぎて、食終了まで、約2時間の現象です。これを地球外、衛星軌道ぐらいから見ていれば、地球に落ちる月の影の中心が北部アフリカから中東、インド、東南アジアにかけて移動していきます。天候の良いところであれば、見えるわけです。
 つまり、これを持って日食現象は、少々広めではあるけれど地域的な現象であるといって良いのです。
 この地球に落ちる影ですが、地上で太陽光を遮って出来る影のようにハッキリとした境界を作りません。皆既蝕の場合は数㎞から数十㎞程度の真っ暗な影の芯があって、その周りに徐々に明るくなっていくという、かなりぼやけた影を作ります。今回は金環蝕ですから、真っ暗になる地域は無くて、太陽の光が全く無くなる地域はありません。一番暗くなってもも真っ暗にはならないのです。
 夏至ということでいえば、農耕民族にとっては、収穫を減らさないための作業に忙しい時期ですので、何らかの祭日が設けられていることは無いようです。しかし、狩猟採集を基本とする生活の場合は、子孫繁栄を図るチャンスとして、各種イベントが組まれているときでもあります。出会いを作る場でもあったようですね。
 金環蝕は、太陽の前に月がすっぽりと入ってしまうという代物ですから、天変であることは確かです。これを天の時として、とある独裁者が事件を引き起こしたって不思議は無いのです。月が太陽を隠そうとしたけれど太陽の力の方が強かったというのが、金環日食ですがね。


 ところで、タイトルは金環日食としていますが、日本ではその状態は見ることが出来ません。そして、北へ行けば行くほど、欠け具合が減っていきます。要は部分日食というのが正しい表現なのですが、一応、現象のピークである状態で表すことが普通ですので、金環と表現しています。
 太陽が欠ける時刻になって、空を見ると曇っています。取りあえず、一縷の望みを持って、ドームに上がり、待機体勢を取りました。
 30㎝のRC鏡はフタをしたままで、13㎝のアポ屈折機に太陽用のフィルターを取り付けての撮影です。太陽用としてはND10000ガラスフィルターを持っていたのですが、10㎝角で、口径を活かし切っていませんでした。そこで、ドイツ、バーダー社製のソーラフィルターを手に入れていて、初デビューということになります。
 雲の薄いときがありましたので、一応シャッターを切りました。しかし、青空は望むべくもなく、ドンヨリと雲は厚くなる一方でした。まあ、一応、欠けているのがチャンと判るのが何枚かありましたので、良さげなものを選んでいます。天文関係のイベントは天候次第で、歩留まりはかなり低いものです。仕方ありません。