D望遠鏡の分類


(4)接眼鏡の形式と特徴


 古い物は24.5mm径の差し込みサイズ(ツィアス・サイズ)で作られ、今は31.5mm径(アメリカン・サイズ)が一般的になっています。より大型の接眼鏡のために以前は36mm径ねじ込みが使われ、現在では50.8mm(2インチ)径差し込みが用意されています。
 また、ツィアス・サイズではハイゲン、ミッテンゼー、ラムスデン、ケルナー、オルソコピックといった伝統ある形式のものがほとんどであり、アメリカン・サイズではより新しい設計のハイ・アイポイント接眼鏡が多くなっています。

@単レンズ 水晶球や凸レンズ、凹レンズ

 視界が狭くなるのは決定的な弱点ですが、単純な光学系で作りやすく性能が出やすい為に使われました。

Aハイゲン(ホイヘンス



 大小2つの平凸面レンズを使用する。対物側に凸面を向けて、対物側に大きいレンズ(視野レンズ)、眼側に小さなレンズ(目レンズ)を配置して倍率の色消しを行っています。

Bミッテンゼー

 ハイゲンの視野レンズをメニスクにしたもので歪みが少なくなっています。

Cラムスデン

 同じ平凸レンズの凸面を向き合わせて互いの焦点に置くと倍率の色消しになります。しかし、それではレンズ面のゴミが目立つので間隔を狭めて作られています。この為レンズ系外に焦点を持ち十字線を入れることが出来ます。

Dモノセントリック

 歪曲収差が少なく、空気面との接触が2面しかないためコントラストの低い惑星に有効です。

Eケルナー

 ラムスデンの目レンズを色消しにしたものです。その他の収差は残っていますが、色消しが優秀なため地上用にも使われています。

Fプレッスル(プローセル)

 ラムスデンの2つのレンズを色消しにしたものです。

Gオルソスコピック

 色収差、歪曲収差共に低く、瞳距離も長めに出来る利点がありますが、3枚合わせの部分の製作が難しく高価になります。

Hエルフレ



 カール・ツィアス社の技師だったエルフレによる広視界接眼鏡の一般名で、多くの型が存在し、またその変形もあります。広角接眼鏡の代名詞となっています。

Iハイ・アイ

 瞳距離を長くして見やすくした設計の接眼鏡で、眼鏡をかけても覗くことが出来ます。最も簡単なものは視野レンズに凹レンズを用いたもので、低倍率の接眼鏡の前にバローレンズを入れて倍率を稼ぐ形になっています。多くの設計と変形がありそれぞれの特徴があります。多くの接眼鏡はアイポイントを伸ばし、見かけ視界を広くして見やすくなっています。