惑星の物理

 太陽系の惑星について大きさや表面の状態はかなりよく知られています。表面の物理的、化学的な状態に関する知識は、探査機によって飛躍的に進歩しています。しかし、内部に関する研究はこれからの課題となっています。
 惑星は地球型惑星と木星型惑星に分類されます。
 地球型惑星は水星、金星、地球、火星の4つがあり、固体部分が主体の星で、密度も岩石程度で惑星の中では小型です。金星は地球と同じ大きさの惑星ですが大量の二酸化炭素を主成分とする厚い大気を持ち、海はなく厚い雲の為に固体面を見ることは出来ません。火星の大気は大変薄く、また水星は大気を持っていません。地球と金星は鉄やニッケルを主成分とする核を持ち、その上に岩石が覆っています。水星と火星は核がないか大変に小さいと想像されています。
 木星、土星、天王星、海王星は木星型惑星として、水素やヘリウム、メタンを主成分とする気体を主体とし、惑星の中でも大型です。内部に固体層があると想像されていますが確かではありません。表面とされているところは外層の厚い大気圏の上部です。木星はあと10倍位重ければ、内部で核反応を起こし自分で輝いたと想像されています。
 このような違いは太陽が誕生した時、今よりも倍以上激しく輝いた為に、太陽に近いところが熱せられたことから起こり、太陽に近い惑星は水素やヘリウムが逃げ出して岩石主体の星となり、気体が木星に最も集中した結果、木星が最大の惑星になったと想像されています。

 水星は最も太陽に近く、地球の7倍ちかくの熱量を受ける。しかも水星は、自転周期が公転周期の2/3なので、日照面は猛烈に熟せられて高温になる一方、日に照らされない夜側は−100℃程度の低温となる。水星は質量が少ない為に表面重力が小さく、しかも表面の半分が高温度なので、大気があったとしても逃脱してしまい、月とよく似たような表面を持っています。
 金星は惑星のなかで反射能が最も大きい星です。その表面は、濃密な雲におおわれてほとんど一様に白く輝き、表面の模様らしいものは見つけにくい状態です。金星の大気は地球の大気の少なくとも250倍程度の二酸化炭素を含み、酸素や水蒸気の量はきわめて少ない事が判っています。大気の圧力は100気圧、温度は400℃ほど、自転周期はレーダー観測によって243日という結果を得ています。探査機はその温度の為に降下中に壊れてしまいますので満足な状況は判っていませんが、軌道上からレーダー観測を行い、地形図が作られています。
 火星は地球のすぐ外側をまわっている惑星で、衝の時には距離が1億kmから0.5億kmという近距離になるので、その表面の模様は昔から非常にくわしく観察されています。自転軸は軌道面法線に対して25度ほど傾いていて四季があり、極冠と呼ばれる白い部分が消長します。観測機械の不備と観測者の期待から、四季の変動が他の部分にも記録されて運河が存在し極冠の氷を利用する火星人が居るというように言われたこともあります。極冠の正体は大気中の二酸化炭素がドライアイスになったものだと判ってからは、火星人への期待が大分減りましたが、それでも過去には大量の水があることが確からしくなったので地球外生物の可能性を期待されています。
 木星は太陽系の中で最大の惑星です。約10時間という短時間で自転しているため遠心力で赤道方向に扁平になっているのがわかります。赤道に
平行な縞があり、大気層上部の擾乱を示しています。表面に見えるのは大気層上部で温度は大変低く、メタンやアンモニアは固体から液体相を持っていると想像されています。また、惑星中最強の電波を出していて、内部は高温で活発な活動をしているものとかんがえられます。木星中心部の温度と圧力では水素は金属水素となっていて電気を良く通し、短い自転周期によって強力な発電が行われているものと想像されます。
 土星は木星に次ぐ大惑星で、表面の化学組成、物理状態、反射能など、およそは木星に似ています。土星の最大の特徴は、その環にあります。環は平たい板のように見えますが、多数の氷片や岩石片の集りであ衛星の公転の影響によって多数の間隙があり、美しい縞模様を持つことが精密な観測や探査機の映像によって明らかにされています。
 天王星と海王星とは互いによく似ており、その表面は厚い雲層におおわれて反射能が大きくなっています。そのスペクトル分析に寄れば、アンモニア等は低温のためにすっかり固体になっていて見られず、そのかわりメタンの吸収線が非常に強くなっています。