惑星とその軌道

 太陽を巡る天体の代表が惑星です。
 惑星の公転軌道は円に近い楕円となっています。それを地球の軌道を基準として天文単位”という単位で表わします。1天文単位は地球の公転軌道の半長径で、約1。5億kmです。
 地球から他の惑星を見ると、その見かけの運動は非常に複雑になります。ある時は天球上を太陽と同じに西から東へと動きます。これを順行しているといいます。時には見かけ上、その反対に東から西に動くこともあります。これを逆行といいます。順行から逆行に移るとき、あるいは逆行から順行に移るときを留といいます。地球と他の惑星との相対位置が特別な関係になることを惑星現象といいます。
 地球軌道の内側の惑星を内惑星と呼びます。水星と金星がこれに当たります。この2つの星は観望するには、最大離角の頃が最も明るく、太陽からも離れているので適当な時期となります。内合や外合の場合は見かけ上太陽に近いので不適当です。
 地球軌道の外側の惑星を外惑星と呼びます。火星、木星、土星、天王星、海王星がこれに当たります。外惑星は内惑星と違い、太陽の反対側に見えることがあり、これを衝と言います。この時が観望に最も良い時期で、一晩中見ることが出来ます。
 惑星の軌道についてのケプラーの3つの法則は1609年および1619年に発表されました。これは理論的な運動の研究の結果でほなく、惑星(主として火星)に関する過去の観測資料をまとめて帰納した結果です。その為に原理の追求はされていません。この法則は、
 (1) 惑星は太陽を1つの焦点とする楕円上を動く。
 (2) 1個の惑星について、太陽と惑星とを結ぶ線分が同じ時間内に動く面積は常に一定である(面積速度一定の法則)。この法則の結果として、惑星の速さは近日点では速く、遠日点付近では遅い。
 (3) 太陽系のすべての惑星について、公転周期の2乗は軌道の楕円の半長径の3乗に比例する。
 惑星の楕円軌道を限定するためには6個の数字が必要となります。
  軌道の平面を限定するための2個(惑星軌道面と地球の軌道面とのなす角度、およびその交線の方向)
  楕円の形と大きさを限定するための2個(楕円の半長径と離心率)
  楕円の細長い方向がどこを向いているかを限定するために1個
  惑星がいつ太陽に最も近づくかの時期を限定するための1個
 この6個の数字を軌道要素といいます。惑星に限らず、小惑星や彗星や流星の軌道もそれぞれ6個の軌道要素によって表現されます。楕円軌道の6個の要素は、地球上から惑星の見かけの位置を3回観測すれば算出することができます。これを軌道決定法といいます。また逆に6個の要素を知れば、その惑星の過去および将来の位置を計算することができます。しかし実際問題としては、太陽以外に他の惑星の引力もはたらくので、ケプラーの法則は近似値となり、6個の軌道要素の変化となって現れてきます。
 では引力による太陽系内の天体の動きを法則化できれば良いのですが、3つ以上の質点の運動は解析的に解けないことがガウスによって証明されています。つまり、数式を用意して値を入れれば位置が出るという方法は、厳密に正確な位置を求めようとする場合は使えない事が判っているのです。