ほうき星が天体であることが認められるようになって三百年ほどがたちました。それまでは、大気中の雲のような存在であると思われていたようです。歴史的に凶兆として捉えられていたようです。
ほうき星が発見されると暫定の軌道が計算されますが、その際に放物線軌道として計算されます。周期彗星は楕円軌道ですが、新しく出現した彗星は放物線軌道であることがほとんどです。周期彗星である場合も、天王星や海王星軌道に遠日点を持っているような細長い軌道となっています。有名なハレー彗星は1531年、1607年、1682年の3回観測されていましたが、同一の彗星であることがはっきりしたのは、18世紀に入ってからのことです。
彗星の多くは太陽に近づくと、恒星状の核の回りにコマと呼ばれるぼんやりとした取り巻きを持つようになります。大きな彗星となると更にコマの部分が太陽風によって太陽の反対側に流されて尾を作るようになります。
放出物がある為に彗星には寿命があります。ハレー彗星のような大彗星でも10万年と持ちません。放出物が無くなってしまえば、ただの岩塊としてアステロイドとなることが想像されます。しかし、長楕円軌道ですから、惑星の摂動を大きく受けて、最終的に安定軌道へ落ち込むか、太陽系外に放り出されることになります。ほとんどは太陽系内に留まることができません。
この事から、太陽系外縁部に彗星の巣があるはずだという説が出て、オールトの雲と呼ばれるようになりました。しかし、太陽系外縁部に太陽系成立時から安定した彗星の原材料が存在していると考えるよりは、銀河系の中を回転しながら、銀河面を横切っていく太陽の動きからすると、星間物質の集積した銀河面を通過する際に、ガスから微惑星レベルまでの星間物質を獲得すると考えた方が合理的であると思われます。