マウナチャリ山ケロ丸天文台の歴史 2019年
新鏡筒搭載 2019年 3月
ドーム内掃除 2019年 7月
ドーム脇階段の補修 2019年 8月
ドームメンテナンス 2019年 9月
カメラ同架機能追加訂正 2019年11月
2018年11月に、一旦断念した新鏡筒搭載計画が、年頭より再びよみがえりました。ドーム内の状況から受け入れ、搭載、運用までの検討を終え、2月初めの新月に発注をしました。納期2ヶ月のところ、2月最終日に入荷の連絡を受け、支払いを済まして無事到着しました。
某運送会社の社員氏は、ヒョイと担いできたそうです。まあ、25s程度でしょうか。30sは無いと思います。米俵2つはイケそうなお兄さんであれば何のこともありません。
玄関先では、「いつもの望遠鏡」とは思えない姿にカエルたちの騒ぎがあったとのこと。
早速出して見ると、カーボンのトラスが良い感じです。また、付いているのか気になって問い合わせた主鏡と副鏡のカバーも良い感じです。ただ、ドームへ持ち込むのは明るい昼間にしたいので、週末までお預けとしました。
で、週末までの時間を利用して、鏡筒の遮光幕と、輝星が十字を引くのを避けるアンチ・デフラクションマスクを用意することにします。どちらも実機が無いので、事前には作れなかった代物です。
ドームの内部にはパソコン・ディスプレイがあります。照度を落として、更に暗くするフィルターを付けてはいますが、真っ暗ではありません。開放型であるトラス構造の鏡筒ですから迷光を避ける為に、稼働中は、迷光除けを付ける積もりでした。そこで、過去に使っていた40p反射用の遮光布を使い、適切な大きさに切って、端をミシンでかがり、用意しました。
新機材も副鏡の支えが十字に付いています。これにより視野に輝星があれば十字に回折線が出ます。ちょっとくらい出るのは、見た目良しの場合がありますが、それを防ぐには、幾つかの方策があります。その1つがアンチ・デフラクションマスクです。本来は、重星などの観測に使うものですが、これを主鏡の前に付けることで、光路内を直線に走る回折光を、丸くぼやけた像として撮影が出来るようになります。ポリプロピレン製の厚めのシートを使って作りました。
早速搭載の用意です。形としてはGINJI-300のリプレイスですので、鏡筒長が短くなり、重量がやや増えるという計算で、そう問題は無いはずです。しかし、寄る年波もあり、一気にドームまで担いで上がるには、安全を考えないといけません。雪は解けてきたとはいえ、まだまだありますし、滑って落として無事で済むはずがありません。先ずはキャンプ用のシェラフでトラス構造の鏡筒を包み、嫁様に補助をお願いして、2人掛かりで、階段を上りドームに入れました。
次に赤道儀への搭載ですが、適切な高さの台の上に載せ、そのままアリガタをアリミゾに押し込み、仮締めしてから位置決めに取りかかりました。バランスを取るのが主な作業ですが、とにかく用意したもので、位置を決めておき、搭載物の状況でバランスを追加の重りで調整する方針です。何時でも変更できますが、出来れば大きな変更は明るい内にやっておくべきです。特に暗いとき、疲れているときは避けた方が良いでしょう。
GINJIの場合は、ニュートン反射式で、横に接眼筒が付きましたので、載せる機材により、バランスの調整に苦労することがありました。250グラム、500グラム、1sの3種の重りを幾つか用意し、適宜取り付ける方法で対処しましたが、かなり面倒な作業です。撮影途中での機材変更を避けたくなるほどの微妙なもので、クランプを締めて誤魔化したことも何度もあります。結果は・・・、不満足なことが度々。
新機材では、最初に合わせた後、搭載機材により、鏡筒先端に重りを引っかけるだけで済むことを確認しています。
また、GINJでは、主鏡と副鏡にフタをすることが出来ず、鏡筒のフタだけが頼りでした。この為、鏡筒を水平にした方がイロイロな点で良かったのですが、新機材では、その縛りが無く、極軸方向へ向けてそのままにすることができます。この為、ドームの中が広がったかのような錯覚に陥ることがあります。I
夜を迎える準備は一応出来ました。 搭載初日は天候が思わしくなく、諦めていたのですが、夕刻、霞がかかってはいますが、晴れ間が出た隙がありましたので機材試写を行いました。
同架したリッチー・クレティアン鏡の性能の様子は、地上の物体を撮ってみて、ある程度は判っていましたが、やはり天体を撮るのが一番の性能検査となります。ただ、このところの寝ぼけた空は、あまり改善せずに、春の空となっています。3月ですから不思議は無いのですが、ここは日本でも北の端の地で、春は遅いという場所です。しかし、雪はどんどん解け、隣町では積雪ゼロとなっていますし、冬の間、溜まりに溜まったホコリが春の風で舞っているというのであれば風情もあるということになります。でも、どこぞの大火事のせいという話もありますので、迷惑なことです。後に知ったことですが、中共とロシアの国境近くで大規模な火事が起こっているのが原因だったそうです。薄明るい空にシリウスが見えていると、まるで都会の空かと思います。
この霞のような影響で、月を撮ったそのままで、一番明るい恒星であるシリウスを30秒露出で撮影すると、月ぐらいの大きさの霞ボケが写りました。楕円形なのは、氷の結晶が入っているせいです。
残りは接眼部とピントの具合を調べてみることで、同口径ながらGINJIとの差を確かめてみました。ピントの山は、さすがF4に比べてF8あるいはF6の方が、滑らかで接眼部の精度も上がっているので、捉まえるのはたやすくなっています。これが、温度変化でどんどんズレてしまうというのが問題点でしたが、こちらもさすが溶解石英で、5度ほどの変化では違いが分かりませんでした。
一応、知るべきことは判りましたので、これ以上、試写しても大して良く写りませんので、M41を撮ってみてから、広げた部品を片付けて撤収しました。後は天気の良い日が欲しいものです。そして、光軸も少し外れているような感じがします。天気の良い日に、体調を万全にして昼間にやりたいものです。
月齢03.7
シリウス
M41
ドーム内掃除 2019年 7月
月も押し詰まった28日(日)は、久しぶりの晴天です。気温がぐんぐん上がっていて、10時前、部屋の中で26度を超えています。ドームの中は・・・、既に40度でした。これが、鋼板を使ったドームであれば、もっと上がっていると聞いています。夏の日差しに置かれた、クーラーのかかっていない車がどうなるかは、皆さん御存知でしょう。アルミは反射が良い上に、放熱も得意です。放熱というと銅を思い浮かべる方も多いのですが、銅の利点は熱伝導で、大気への放熱は、アルミより悪いのです。それはともかく、気温は、あと3℃か4℃程度は上がるでしょうから、中は四十度台中頃くらいになるかも知れません。でも、天気が良いのが判っていれば、ほんの少し、数ミリです。多くても1p、スリットを開けておくだけで、温度上昇を劇的に抑えることが出来ます。スリットを開けた分だけ、スリットの両脇も開きますから、それなりに熱い空気が抜けていきます。ドームの丸い回転する部分は、気密性が高く、籠もった空気が上ほど熱くなりますが、隙間があればどんどん逃げていきます。スリットを少し開けていても、ある程度のカバーが付いていますから、雨が降っても、風が強くなければ吹き込みません。地上から高さがありますので、虫もほとんど入ってきません。また、ドームの下にある回転部分は、外側がスカートのように内側を保護して、いくらかの隙間があります。従って、スリットを少しでも開ければ、高温になった上の空気がどんどん出ていきます。そして、スリットが風で動かないようにする為の固定ネジを締め、降りてきました。
いえ、スリットを開けてきただけではありません。夜に使っていますし、眠くなってフラフラになりながら帰ってきますので、後片付けが中途半端だったり、指定場所に戻さず、別の場所に格納したり、或いは別のモノのキャップを付けたりというようなことが、実に多々あります。ですから、部品箱の何時もの場所に指定の部品がちゃんと揃っていること、備品が正常に動作すること、それらをチェックし、準備完了、さあ来いっ、という状態にするのが目的です。それなりに時間がかかります。で、それだけの手間を掛けておけば、いきなり、アレだっ、と言って駆け上がっても、何とかなって撮影出来るというものです。
今日は、そのドームでも珍しい事件がありました。作業の最後に、電照のチェックをすると、ドーム内のパソコン前にある手元照明が点かなかったのです。手元照明は、5ワットと100ワットの白熱電球を、それぞれ別の調光器で明るさを変えるようにしたものです。トライアックの調光器ですから、白熱電球を使っています。最近では調光器対応のLEDランプが出ているのですが、トライアックで絞ると音を出したり、絞りきれなかったりするものばかりで、使い勝手が良くありません。まあ、それはともかく、その内の明るい方が点灯しません。電球が切れることはあります。6年前に切れたので新品にしています。ドームを設置したのは12年前ですから、そろそろと言う時期です。勿論、予備はストックしています。で、予備球を付けても点きません。そこで、接続を切り替えて、手元照明の暗い方へつなぐと、光ります。予備球から、切れた疑いの玉に交換してみると、付きます。寿命ではありませんでした。試しに明るい方のコントローラーからの出力を暗い電球につなげると、点きます。と言うことは、調光器の先、電球の手前、つまり電球スタンドで切れているのです。
仕方ありませんので、明るい方のスタンド、クリップ式でドームの水平リングに挟んで使っているもので、簡単に交換がききます。コレを外して母家に持ち込みました。断線を調べるのであればテスターが要ります。さすがにドームにテスターは配置していません。歳を取ってめっきり減った脳細胞を酷使して、母家にテスターを取りに行くより、母家に持ち込んで調べた方が、手間が減るだろうと思い付いたのです。
何処で切れているのかをテスターを使って追跡していくと、スタンドに付けられたスイッチに辿り着きました。そのスイッチは、手で動かすものでは無く、クリップで固定されていない状態では電気を流さないという安全装置です。勿論厚い本を挟んで試験をしていました。試しに、スイッチを手で何回か押して、クリップに今一度、本を挟むと、通電しました。つまり、このスイッチがダダをこねていたことが判明したのです。修理に手間がかかったり、出費することを面倒に思っていましたので、ホッとして、再びドームに上がり、取り外した配線を元通りにしました。今度はちゃんと動きます。もしかすると、スタンドの取り付け取り外しを何回かするか、スイッチをバシバシッと押してやれば復活したのかもしれません。重ねてダダをこねるようであれば、安全の為のスイッチではありますが、固定で使用ですので、ショートさせてしまえば良いというハラでいます。ここまでで、昼近く、気温は29度まで上がっています。取り付けには1〜2分です。全開していたスリットを、先に書いたとおり、少し開けて固定しました。帰り道と言っても、2分以内ですが、太陽光を浴びると、そのまま汗が流れてきます。
夕刻、陽が落ちてからスリットを閉めにいきました。温度計は29.0度、わたくしの部屋の足元にセンサーのある温度計が28.3度です。外の気温はもっと下がっているでしょう。それでも、何もしないでいるよりは、抜群の効果です。
ドーム入口の脇階段で、3段目の天板が傷んできました。冬用の滑り止めを載せたままにしていたところ、白木の部分が腐食したようです。赤身の部分はそのまま残っているのですが、白木の部分がクレバスのようなミゾ穴となっています。この穴は現状、深さが1p程度の状態で、徐々に進行していたようです。防腐剤をガッチリと塗っているので、この程度で済んでいたと思われます。板自体の厚さは36mmありますので、強度的に問題が出ているわけではありませんが、このまま放置しておけば、腐敗が進行していくであろうし、手直しが必要になるのが見えていますので、早めに補修をすることにしました。
先ずは状況の確認です。見た目には天板材の厚さ三分の一程度の腐食状況ですが、取り外してみます。すると、下の支えの材には何も問題がありません。木ねじもサビ気味ですが、スルッと外れます。これで、上の部分だけを交換すれば済むことが判りました。被害は軽微です。補修対象は3段目の天板として使用している2×4の材、一間半の長さで済みます。
しかし、ただ切ってきて取り付ければ済むというわけには行きません。作ったときは、ガッチリと防腐剤攻撃をしています。交換材にも同じように少なくとも3回は防腐剤を塗って染みこませたいと思いました。難点は、天気があまり良くありません。昨年のようにハイゴケが蔓延しそうな様子があります。雨のときに塗ると乾燥が遅くなります。とにかく晴れ間を縫って防腐剤の塗装を繰り返しました。ついでに、既存の部分にも防腐剤の塗布を行いました。これに四日をかけています。そして今日、朝に最終の塗布を行い、夕刻に取り付けして実戦配備となりました。
最初の常設階段は2008年、ドーム設置の次の年に作りましたが、次の年に長持ちさせようとして水性ペイントを塗ったのが敗因で、5年目には崩れる寸前の状態になっていました。そして、2013年の7月に階段を新しくしたのですが、色々と改良の余地が出てきて、8月に再作成しています。これが現行の脇階段です。何度も防腐剤を塗っているので黒色に近い色となっています。6年目の早期メンテナンスというところでしょうか。この様子であれば、まだまだ持ちそうです。
2019年11月15日
10月31日にRC鏡の赤緯軸延長上にあるアリガタにカメラ雲台を取り付け、それを使用しての星座写真を撮っていたのですが、どうも使いにくいところがあって、難儀していました。
一番の問題点は、カメラの位置がドーム中央に近く、広角側を使用すると、スリットに遮られるということです。11月1日と4日の写真は、ドームの位置をミリ単位で動かして蹴られないように撮ったものです。特に4日の画角は、もう少し広くしたかったものなのです。
最も簡単で素早い解決法は、カメラ位置を変えることです。RC鏡の筒先にカメラを持ってくると、バランスさえ合うようにしておけば、取り回しも楽ですし、一銭も掛かりません。スリットに近い位置ですから、かなりの広角が使えます。取付用に金具を見繕って、本体との間に保護用のポリプロビレンのシートを使い、望遠鏡本体に傷の付かない取り付け方にします。前回の上部アリガタに取り付けたのと同じような形で、筒端リングにしっかりと取り付けます。取付の作業が終わって、使い勝手の様子を見ようとしたのですが、残念ながら、雪が舞っていて、スリットを開けての確認は出来ませんでした。まあ、操作上の様子見からすれば、魚眼で無ければレンズの画角で問題になるようなことは無いでしょう。