マウナチャリ山ケロ丸天文台の歴史 2016年
ドーム内で使用しているコタツは、寒い中ではこれが無いとどうしようも無いほど必需の品物になっていますが、背が高いこともあり、上の方が暖かくなるだけの暖房器具となっていました。この点をどう解決するかを考えた結果、ヒーター・ユニットに付けられている小さなファンにヒントを得て、外部ファンにより、内部の暖気をかき回すことにしました。先ずコタツの構造を整理して、コタツの内部の木組みを作り直しました。次にファンを付けた足台の作成を行いました。
内部の天板を新しくして、ヒーターユニットを取り付けしやすくしました。右側の足台は、ファン取り付けのため作り直します。
断熱のために側板としてプラダンを取り付けました。
試しに、ファンを付けて内部へ送風してみました。ファンの高さ程度以上が、概ね均一な暖かさになりましたので、ファンをもう少し下の方に取り付けることにしました。
足台にファンを取り付けるために、穴を用意しました。上にはフェルトを貼っています。
ファンへの配線の接続部分には熱収縮チューブで絶縁しました。ビニルテープではネチネチになります。
足台完成寸前。足台には高さが半分のチョイ置きようの段を付けています。足を休めるには便利です。後はファンを取り付けるだけ。12センチ角のファンを使用します。
実際の状況。ファンは邪魔になりません。
ガイド時の不具合からパソコンのメンテナンスを行って、正常動作にまで持ち込んだ後でのチェックで、ガイド用CCDである、ワテックのWAT-120N+の出力映像を確かめたところ、フタをした状態で、白点が増殖していることが判明しました。タマにガイドエラーで、星が流れることがあった理由の1つにこれがあったのでは無いかと疑っています。星の少ない、銀河から離れたところでは、この白点と呼ばれるCCDの素子エラーをガイド星として選ぶと、何の調整も無く無事ガイドが成功したように思えるのですが、素子上の動かない点ですから、ガイドが失敗していることになります。そのような点が初めの頃に1つあるのは認識していたのですが、いつの間にか、画面内に20数個は増殖していることが判りました。この原因は宇宙線被爆によって素子が破壊されて発生するといわれています。高感度な素子ほど起こりやすく、目立つようになるとされていて、セオリー通りに増えているようです。結構感度ギリギリで使っていることが多く、この白点と恒星の区別が付きにくくなっています。
今では高感度CCDがかなり安くなってきていて、制御用のガイド端子まで用意されているものすら販売されています。そうなると、CCDだけリプレイスする方法と共に、ルクバトを使わずに済ます方法までが視野に入ってきます。それらを考慮しながら、システムをどうするかを考慮すべき時期がやって来たと判断しています。ルクバトはかなりCPUパワーを必要としていますし、最近の小型CMOSは、1ピクセル以下の補完の必要が無くなってきています。予算と性能を考慮して選択することになります。
目立つものでも20個近くの白点があります。
ガイド用CCDについては、白点問題が表面化する前から、より高感度化する必要と共に、オートガイド・ソフトウェアのCPU占有率の大きさや、物理的、電気的接続等についても改善の要求が出てきていました。ここで、ガイド用CCDの更新だけで無く、オートガイドシステム自体の改良を念頭においてCCDの検討に入りました。
先ず、定番のサンタ・バーバラ・インスティテュート・グループによるST4、その改良型であるSG4、名称には惹かれるのですが、価格が一桁上です。STiという製品もあります。それよりは安い価格でセレストンからプラネタリーカメラが出ています。そして、3万円台でQHY5L-IIというST4互換ガイドポートが付いたものもあります。ほとんどそれに決めかけていたのですが、ふと、メーカーのページを見に行くと、USB3.0対応の上位機種が既に出ています。複数ある正規代理店ではまだ入荷していないようで、在庫の処分にかかっているのかも知れません。単なるUSB3.0対応だけで無く、放熱フィンを取り付けて、性能を上げているようですので、投げ売りとなれば美味しい品物かも知れません。そうこうしている内に、スターベースでセレストンの製品と共に今まで見たことが無かったようなZWOpticsというメーカー名の製品が出ていました。で、見たことが無かったというのは間違いで、代理店のページは見ていたのですが、CCDなんていうものは見逃していたのです。星見屋という名称でページがあり、現物はスターベースで見られると書いてあります。扱いの中で、売りはグローバルシャッターの製品で、冷却ものも価格的には大変なアドバンテージがあります。つまり安いということです。製品ラインナップの一番初めにある最も廉価な商品がASI034MCであり、これが今回の主役です。先ほど見ると在庫があと一つというようになっていました。製品の形はおおよそ同じで、ATIKの丸形に似たフォルム、冷却型は円筒が長くなっています。Tシステムのネジが切ってあり、2インチに入る太さとなっていて、1.25inhでの差し込み用の部品も付いています。
早速、BLANCA-80EDTに取り付けて、WAT120の代わりにつなぎ感度のテストを行いました。ピクセルサイズは半分、面積は4分の1なのですが、感度は高いように思いました。気をよくして、製品に付いているST4互換ガイドポートを使うことにして、WAT120、デジ蔵、α-SGRを外し、赤道儀の配線に必要な追加と配置換えを行いました。ピラーに沿わした機器の3分の1ほどが取り外されたので、そこそこすっきりとしています。
また、制御ソフトをアンインストールして、新しくPHD2を導入しました。テストの結果は良好です。問題点ではありませんが、ガイド鏡として使っているSE102が短焦点アクロマートで、1/4"CMOSを使うと、像のアラが丸わかりというおまけが付いています。ことによると、アクロマートでももっと軽くて暗い、良像のものが使えそうです。それらの検証はまた後ほど。
ドームのマシンのスペックは、かなり低めで、動作させるプログラムによっては、やっと動いているような状態でした。特にプラネタリウムソフトでリアルタイム駆動すると、CPUパワーの7割方を消費している状況で、オートガイド装置のプログラムと喧嘩をしていました。言ってみれば、だましだまし使っている状態でした。これは仕方ありません。BTOメーカーの最低限のスペックなのですから。(つまり安いという事です)
そこで、てこ入れを図りたいと考えました。
1.方法としては、潤沢な資金を背景にして、高性能のマシンを購入するという手があります。
2.そして、昔取った杵柄である、パーツ入れ替えによる能力強化を、チープな資金で実現するという手が次善の手段です。
ということで、メモリ、グラフィックボード、そしてCPUを注文しました。特にCPUはセレロン2.4Gからi3の4コア3.4Gへの変更ですので、使用しているプログラムがストレス無く動く予定です。
届いた部品を取り付けて起動しようとすると、動きません。動作はファンが一瞬回り、切れます。数秒後にその繰り返しとなります。CPUやメモリが不良品であるならば、ビープ音が鳴るはずです。不良品で無いのであれば、マザーボードのBIOSが対応していないということになります。母家に戻ってマザーボードのメーカーを調べると、マザー自体は、セレロンだけで無く、ペンティウムやi3、i5、i7対応となっています。それもインテル第三世代のCPUが動くはずです。しかし、初期ロットでは第三世代のCPUは発売前で、要はBIOS更新が必要になっていました。
BIOS更新というのは、素人さんはやっちゃいけないもので、失敗するとメーカー送りしかなく、買い直した方が安いということになります。わたくしがやっていた時代はフロッピーディスクでDOSを立ち上げ、更新するというもので、失敗したことはありませんが、今のマシンは、フロッピーディスクなんて付いていませんし、そもそもマザーボードにコネクタすら付いていません。
ちょっと悩みましたが、USBメモリで起動するという手があって、コレでやるようです。メーカーのページには更新用のデータとツールがありますので、それをダウンロードしてきます。説明も何も無いというのは凄いです。出来る人だけやれということでしょう。
古いCPUで、BIOS更新を多少の試行錯誤をしながら、無事終了させ、新しいCPUに交換しようとして、ミスをしました。新しいCPUをソケットに落としたのです。それだけならば、何とかなったかも知れません。慌てて取り出そうと焦ったのが敗因です。下のピンが出ている面に、斜めに落ちたCPUを取り出すために、取っ掛かりの無いCPUを持とうとして、力を入れてしまったのです。その結果、ソケットのピンを曲げてしまった・・・。
昔のCPUはピンがCPUから生えていたのですが、今のCPUは接点が並んでいるだけで、バネ式のピンがマザーに用意されているというのに、始めて気付きました。何しろ箱を開けても、精々ハードディスクを追加する程度のことしかしませんでしたので・・・。
ボードを取り外し、復旧させようとしましたが、如何せん、実に細かい代物で、手が出せません。諦め、しばらく考えました。
1.潤沢な資金を背景にして、高性能のマシンを購入する。(再出)
2.マザーボードを買う。しかし、新品は無い。中古だ。
で、探した結果、見つけて大急ぎで注文しました。
到着したマザーボードに部品を取り付け、先ずはBIOS更新を行い、より慎重にCPU交換を行いました。そして、実戦配備まで、それほど時間はかかりませんでした。予定より、時間的には数日、金額的には5千円ほど多い出費となりましたが、何とか、アップグレートが済みました。これで、並のマシンの処理能力を得て、快適な作業が出来るようになります。
ガイド用CCDの価格対性能比は素晴らしいのですが、画素サイズが小さいことから、SE102(10cmF5)短焦点アクロマートの甘い像ではガイド精度が落ちることが判りました。手持ちの8cmF8.75のアクロマートで試して見たところ、良好な結果が出せたのでガイド鏡を交換しました。また、このCCDの性能に期待して、同社の冷却CCDを撮影用として導入しました。
そして、同架状況と赤道儀の配線に変更が出ました。ガイド鏡(SE102)に80EDTを載せていたのですが、これが出来なくなりましたので、光軸調整装置の両面にアリミゾを取り付け2本の鏡筒を取り付けました。80EDTはアリガタに6点調整支持脚を取り付けて、光軸調整可能としました。配線図
ドーム内照明のコタツ机の照明に再度、不具合が出ました。2015年 8月にLEDが破壊、交換したところが、再び異常を起こしたのです。単純なショート状態では無く、ある電圧以上になると電流を流すという破壊の状態です。今回は放熱についての問題も見あたらず、素子の寿命と判断しても良いと考えます。ここで、LEDを再度購入して取り付けるという対応もあり得るのですが、ロット差も考えれば、LED全交換が適切な修理のはずです。3WのパワーLED6個ですから、金額的には大したことはありません。しかし、こうしばしば切れるのであれば、白熱電球に戻すのが良いとも言えます。他の照明の電球は、1個として切れたことが無いのです。
今回は工事用のソケットにアルミホイルを巻いていた先々代のややチープな体裁を、多少の投資によって見目を変えようと考え、スポット用のスタンドを探し、注文しました。100Wレフ球用と25W用を選び、25W用には7.5Wのレフ球を付けます。調光装置は、調光用の部品キットを使用し、1つの箱に2つを取り付けて、別々に調光するようにしました。前回の修理の際に考えていた案でした。
ネックとなっていたコタツへの電力投入による電圧降下ですが、影響はあります。しかし、小さい方のランプが消灯してしまうということは無くなりましたので、使用に耐える状態になっています。計画通りとなっています。
取り付け状況
100W発光
7.5W発光