マウナチャリ山ケロ丸天文台の歴史 2015年
実戦配備したシャッターコントロールは、大きく2系統の使い方をしていました。
大まかな露出の目安を付ける為と、撮像そのもので複数枚撮る為の2つです。そこで、それらの切替をサッとできるように、2つの改良を加えました。1つは、シャッター開放時間のプリ設定を4つ用意し、長短の露出に備えました。また、枚数設定を、露出と同じ方法で変更できるようにしました。これで、改良点は概ねクリアしたように思います。
極軸を合わせるために極軸望遠鏡を使っています。移動用の高さが低い極軸ではありませんから、覗きにくくて困るということはありません。しかし、決して覗きやすいというわけではありません。昔から、カメラ用のアングルファインダーを使って、覗きやすくするという付加装置がありました。特段、必要を感じていなかったのですが、部品箱の中にD300用のサードパーティー製のアングルファインダーが忘れ去られていたのを再発見しました。それと、U−150の極軸望遠鏡の取付けリングと、余っているファインダー用の取り付けリングが、頭の中でスパークしました。
アングルファインダーは、等倍だけで無く、ピント合わせの為に純正品では2倍、サードパーティでは2.5倍という倍率を使うことが出来ます。つまり、極軸を合わせるのに、それだけの倍率を使うことができるわけです。これが、今回の目的の機能です。
等倍
2.5倍
取付状況
機材調査の際に気が付いていましたが、原因が皆目見当も付かずにいたのが、片ボケです。撮影画像の一部で片ボケ様の症状が出ていて、連続撮影の途中でも出たり出なかったりと言う事になっていて、調査していたのですが、特に主鏡や接眼部に問題が無いまま、行き詰まっていました。
この2月の初日、晴れ間があって、たまたま太陽の撮影をしたときに、2倍のテレプラスとの接続がかなりガタ付いていることに気付きました。取り付けとしてはカチッとハマルので見もしていなかったのですが、0.2mmほどの隙間があり、その分、光軸から傾いています。手持ちのTリングを確かめてみると、かなりの弛みがあるものがあります。弛みは取り付け時のかみ合わせの平面に微小な隙間があって、光軸方向の傾きとなっています。この部分は、バネがあり、ある程度の力で平面同士を圧着するようになっています。つまり、力をかけると隙間があくことで、余裕を作り、マウントとアダプターの固着を避けています。しかし、力がかかっていなくても、隙間があいているのでは、明らかに傾いた状態になっています。
また、取り付け時のカチッ音の元である回転方向のストッパーと穴のガタによる回転方向の微妙なガタが存在しています。こちらは、カメラを触らなければ実害がありません。
つまり、カメラの取り付け、それもTリングとカメラの間に出た光軸の傾きが片ボケの原因であることは明らかです。これはTリングの加工精度の問題でもあります。Tリングによっては0.5mmの隙間となる逸品も存在しています。この症状は、安もののTリングに特有ですが、高い値段を出したものでも、微妙な点で弛みがあります。これをきっちり作るときつくて動かなくなったり、材質による熱膨張率の差による不具合もある得るでしょう。そして、カメラもD4ほどでは無いにしろ重量級ですから、多少の弛みも許せない範囲となっています。
そこで、対策を考えてみると、取り付けの平面に隙間が生じているのですから、これを埋めるために、ある程度の厚さのスペーサーを入れることにしました。スペーサーとしては、厚めのアルミ箔テーブを使いました。取り付け状況を確認しながら、弛みを最小限にするように貼り重ねました。
午後、天候が一変し、吹雪となりました。この為、予定を変更したので、時間が空きました。そこで、少々懸案となっていた、接眼系レンズとフィルターの清掃を行いました。対象品目はカゴ一杯になり、これを母家に持ち込み、温度を上げてから、クリーニングキットを駆使して清掃、磨き上げます。特に、カビが無いかのチェックを行います。今回は3カ所にカビコロニーのごく初期のものを発見し、拭き取りました。幸い、コートに食い込んだものはありません。結構、ホコリや汚れが付いています。ブロアーを駆使し、シルボン紙とクリーニング液(各種)を使って、息をかけて曇らせたときに一様に曇るようになるまで、徹底しました。
キャップを付けていた部分に、カビは発見できませんでしたので、密封も必要な要件となります。
モーターコントローラーTC−1Bを、サンレイテクノロジーのSR20に換装しました。交換理由は、操作性の改善が第一です。一例を挙げれば、恒星時運転の速度を変更して太陽や月に合わせるということが出来ません。オートガイドの機能を使ってメカトーフをすればできないことも無いのですが、ガイド鏡を交換したり、いろいろなところを設定し直さないといけませんので、大変に不便に思っていました。また、子午線越えに成功したことがありません。精度抜群のU−150としては、不本意なことでしょう。また、恒星時駆動のモーター音が当初からうるさくて、だんだんと我慢の限界に近づき、遂に超えてしまいました。ステッピングモーターですから、電流を流してモーターを停止させているのですが、それが単純なブレーキでは無く、静止時でもモーターがウニウニとうなっています。これが結構な騒音です。なにしろ、ドームの外から聞こえるくらいなのです。本来の回路設計であれば、停止時に確かに電流を流してはいますが、音がするはずもありません。それも2つのモーターからの不協和音となってくれます。これが、恒星時駆動ではモーターに耳を付けないと聞こえないくらいになっています。同じモーターとは思えない動作です。電源を入れて音が響いているので動作しているというのが判るというのに7年我慢していたわけです。
モーターはそのまま使用しますので、コントローラーのみの交換となります。しかし、TC−Bは電源に36ボルトを使ったり、本体の他にハンドセットがあるという形ですから、かなりの変更となります。今までのハンドセットを小型化したようなものが、本体込みの一式となります。電源も12ボルト一本です。
到着したSR20一式
取りあえず、使用状況を見るために、仮配線してみました。
要らなくなったものを外したら、すっきりとしてしまいました。
SR−20機器本体
押しボタンに照明が付きます
星図ソフトとの接続はBluetoothで、アッサリとつながり、拍子抜けするくらい簡単でした。オートガイドは、自分のシステムがST4互換にしていたと勘違いしていたので、コネクタを標準のST4でお願いした為に、自分でコネクターを作り直す必要がありました。作ってしまえば、こちらも問題なく接続です。
最高速度は遅くなりましたが300倍速程度あり、ゆっくりと加速減速するためにパルス抜けしないのが旧機種からのの改善点の1つです。そのゆっくりとした加速音が、結構気分の良い音です。前の恒星時駆動が耳についてどうしようも無かったのと大きく違います。
基幹コントロールユニットの更新に伴い、電装が一新、整理しました。電装20150207
集合電源部を廃止して、新しい電源部を作成しました。小さなポールにACアダプターなどを取り付けただけのもので、見目は良くありません。しかし、下に無造作に散らばっているよりはマシというもので、実用上は充分です。暗い中で使いますから、見てくれが気になるのは、昼間だけです。
変更の際に、USB機器を接続するのにハブを試して見たのですが、手持ちのハブでは認識できなかったので、ケーブルを減らすことはできませんでした。減らせると何かと便利だったのですが、特段不具合はありません。
箱に突っ込んでいるACアダプター類
ポールに取り付けて見ました
新電源部を試している内に、シャッターコントロールに異常が出ました。COMポートの変更ができません。試している内に使っているCOMポートが変わってしまいました。それで認識できないと、メッセージを出しますが、変更しようとしても設定変更ボタンを使えないようにしていました。この点を治す必要がありました。こんなときのために使用しているCOMポート番号を表示するようにしました。
ポールに取り付けたACアダプターなどを取り付けていたマジックテープを、結束バンドに交換しました。取り外し可能で再結束ができるものを使い、まとめたところ、多少の見目の改善もありました。
30p反射と13p屈折のダブル搭載から、40p反射に搭載変更をしました。昨年3月に製作してから、試験は一度行っていましたが、実戦配備するまでに1年かかってしまいました。それだけ30p反射と13p屈折のダブル仕様に有用性があったということでしょうか。それぞれアマチュア用としてはハイエンドの手前のラインナップです。まあ、それはともかく、40pの反射は、もう少し斜鏡を大きくしたら、そのままカメラを光路に入れてしまえる程度のものだということに気が付いて、接眼部を外に出さずに、カメラを付けてしまうように構造にしました。そして、試写して能力を確認しましたが、未だに原因がわかってはいないのですが、当時のモータードライブとガイド鏡筒の連携や動作が、あまりうまく行かず、取りあえず元に戻して、保管していたものです。
ドームの中に置かれた40cm鏡筒は、以前のものより長くなっています。斜鏡で折り返す分が無いのですから当然です。如何にも場所取りをしている物体を眺めながら、このまま使わないのであれば、片付けてしまうしかないと考えついて、とにかく載せてみました。載せるには、鏡筒部を取り付けてから、主鏡セルを付けます。この為、載せる手間が増えていますが、扱う重量が半分くらいに軽減されています。その分、楽ということです。
あとは晴れた日の実写が楽しみです。
骨組み
フード付け
外からの様子
40pの実用試験として月を撮影しました。30pよりも1.5倍の焦点距離ですので、丁度良いくらいの大きさになりFXサイズへ収まります。13pの倍の焦点距離ですので、2倍テレコンを挟んだ状態と同じになります。解像度は確かに上がっていますが、シンチレーションの方が遙かに影響しています。40pのアドバンテージは集光力ですので、シャッタースピードが早くなっていて、その分、シンチレーションの影響が減っています。
しかし、この集光力というアドバンテージは、フィルムの時代であれば決定的なものになったでしょうが、相反則不軌の無いデジタルの機器にとっては、大きいものではなく、その為に払う対価が問題となります。そして、結露等による鏡面の劣化も馬鹿にならない状態です。実際に使用する際の問題点は、先ず、ピント合わせです。対象を導入しての精密合わせの際に、鏡筒が上を向いている場合は、位置的にかなり高いところ、不動点位の高さになり、そこに登るのがかなり危険なことになります。また、ドーム内の物品は30pの搭載を前提に配置していて、特に2つのモニターとぶつかってしまいます。位置的に逃げることは出来るのですが、操作性は極端に下がります。
これらの点から、40pの配置はかなりの無理があると判断として、前の状態に戻すことにしました。ただし、完全に元通りということではなく、基本のアリガタの重さが、結構な重量になっていることから、先行き、これを改善する方向で、機器の入替を容易にするように組み上げます。8pガイド鏡の光軸調整装置が、13pを楽々載せる事が出来るようなオーバースペックであって、重量的にも負担となっています。これをシンプルなリング搭載式にする方向で用意します。
30p反射(ニュートン式)の改造を行いました。この鏡筒は笠井トレーディングのGINJIシリーズの300FNです。コストパフォーマンスは大変高く、税込み12万と少しで、30p反射が手に入ります。直焦点写真用として斜鏡を大きく、バックフォーカスを多めに取っていることがWebページに記載されています。ただし、自重約20kgですので、それなりの赤道儀が要求されます。例えば手軽なEM-200では搭載重量を遙かに超えています。もう一段上のクラスが必要となります。
300FNのバックフォーカスは90mm取るような設計となっています。接眼部を一番繰り込んだところで、最も飛び出している2インチスリーブの先端から9pの所に焦点があるのですから、67版のカメラでも合焦するでしょうし、双眼装置なども容易に取り付けられるでしょう。しかし、バックフォーカスを長くするためには、斜鏡をかなり大きくしなければならないのですが、それを満たしているかどうかは、光軸調整の時の斜鏡位置確認で、ギリギリだということを見ていました。この点を確認するために、各部を正確に計測し、図面を書いてみます。
斜鏡は偏芯取り付けをしていますが、取りあえず、中心位置で作図しました。やはり光軸上の焦点位置からは主鏡が全て見えますが、わずかな余裕だけで、光軸から外れると周辺減光がすぐ始まります。激しい減光ではありませんが、対象が淡く広がっている場合は問題となります。この周辺減光は、バックフォーカスが大きいことによる問題ですから、焦点位置を下げる努力をして見るのが有効です。
主鏡の光軸合わせの機構を使って主鏡位置を最も下げてみましたが、1p弱ほどしか下がりませんでした。
次の手は、主鏡位置を下げるために、鏡筒を継ぎ足すことです。この場合、闇雲に下げれば良いのではなく、カメラを付けて合焦する位置が何処になっているかが問題で、その余分な分、つまり、接眼部の繰り出しを最小限にするという位置を出さないといけません。これが、どれだけバックフォーカスを減らせるかという問題となります。NikonFマウントのフランジバックは、各社の35mm版マウントの中で最も長いものですから、少々不利です。
後は、接続リング等をどれだけ減らせるかがが鍵となります。うまいことにコマコレクターが3pほど、焦点位置を後ろにする効果があります。この結果、現状では、接眼部の繰り出し量50mmでは足りずに、コマコレクターを引き出して使用しています。この分が57mmあります。
接眼部はM77ねじが切られていて、ここからM74ネジに変換するリングを介して2インチスリーブとなっています。ここに、M77から2インチスリーブに直接変換する接続リングを、できるだけ薄く作ると15mmの短縮ができます。接眼部自体は、3インチの非常に良い造りで、使いやすいものです。これを手持ちの薄型2インチのものと交換しても、10mm程度しか短縮できませんので、こちらの方が良い手になります。
さらに、カメラマウントではM48ネジから変換リングを介してカメラマウントに行くリングが、2インチスリーブに入らないので、これを2インチスリーブの中に入るものに変え、カメラマウント自体も極薄のものにすると13mmの稼ぎが出ました。これで合計85mmとなりました。光軸調整部分で10mm程度は余裕を持たせることができますので、鏡筒の延長量を90mmとしました。この量は、コマコレクターを使わない場面は想定外として計算したものです。この改造で、周辺減光に対してどれだけ効果が予想させるかも作図してみました。
要は、斜鏡に反射されて主鏡が全て見える範囲が広がります。当初は2〜3mm程度の円でしたが、それが広がります。主鏡の口径比が4ですから、焦点位置が斜鏡に近づけば、近づいた長さの1/4だけ、蹴られの無い範囲が広がっていきます。この場合、23mm程度になります。35mm版サイズの縦方向をカバーする程度となります。かなりの改善となることが予想されます。
改造計画のカナメとして、改造はしますが、元に戻せるということを大前提としました。ですから、部品として製作し、取り外せば、そのまま購入したときの状態となるようにします。
延長筒の製作
トタン板を丸めて両端を折り曲げます。最も重要なのは、丸め径です。後端リングにちゃんと付くようにしながら、銀次の鏡筒にもはまるように微妙な調整を行います。この点が最も難しかった点です。ハンダでの溶着は今回はしませんでした。また、切り取った端は、丸形を作る為に曲げ処理をしませんでした。一応、サンドペーパーをかけ、触っただけで手が切れるようなことはありません。これに、取り付け用の穴、12カ所をボール盤で丁寧にあけました。
内面の塗装
内面での反射はコントラストの低減どころか、ゴーストさえ出るようでので黒つや消しの塗装をしました。黒塗料にシッカロールをぶち込むという手です。
鏡筒完成
搭載状況
搭載してから先ず光軸合わせを行いましたが、レーザーコリメーターを取り付けた時点で、既に指標の中にレーザーが戻ってきていました。斜鏡部をいじってはいませんので、鏡筒延長の作業が正確に行われていたら、当然といえば当然の出来事です。残りはピント位置の確認と三鏡筒の同期です。曇天でしたので、後日、太陽か星で合わせます。
ガイド鏡として使用しているBLANCA-80EDTは、ビクセンアリガタの下に自作光軸調整装置を付けています。この光軸調整装置は剛性重視の一品で、10kgあるBLANCA-130EDTを取り付けているものと同じです。10kgでも歪みタワミは全くありません。ただし、調整には六角レンチを使いながら動かすことが必要です。ほとんどの場合、これを動かす必要は無いはずですが、特に星の少ない辺りを撮影しようとする場合に、ガイド星に困ることがあります。
微動付きの固定装置は、剛性が足りないか、ありすぎるかと感じています。これは重量と価格に直接関係しています。ここで、昔ながらのリングからのネジ締め付けで搭載する方法が、最も重量・価格共にすぐれている方法では無いかと気が付き、ガイド鏡搭載用のリングを探しました。すぐ見つかりましたが、それらはファインダー用です。ガイド鏡80EDTは2kgあり、ファインダーよりは確実に大きく重くなっています。鏡筒径は90mmあり、ファインダー用では役に立ちません。そうこうする内に、海外で販売されている内径105mmのもがあり、輸入することにしました。後になってですが、きわめて良く似た製品を国内でも代理店が販売していて、価格も支払った価格とほとんど同じであったことに気が付きましたが、取り寄せで何ヶ月もかかるようなものでしたので、やはり、こちらにアドバンテージがあります。
リングの取り付けで、アリミゾアリガタを挟むと取り外しが簡単になると考えたのが、手間の始まりです。取り付けの際にアリガタにリングを付けたことから考えたのですが、リングを付ける為のネジ頭が出ていますから、その位置ではアリミゾに取り付けできません。ガイド鏡の重心は、鏡筒の後部端、接眼部との接続部分に来ます。そこにリングを付けることができませんから、重心を外したところにリングを付けなければならないのです。また、アリガタを接眼筒部分に伸ばしすぎると、接眼部が回転できなくなります。そこで、アリガタに取り付ける長さをおいて、リングの取り付け穴を開け、鏡筒部の一番前にもリングを取り付けるようにアリガタを加工しました。
剛性一番の光軸調整装置を外した分が軽くなったはずですが、主鏡により近付けようとして位置を変えたために、マウント自体はそれほど影響がありません。
光軸の同期の際に、調整ねじがプラスチックであるためか、ややぶれますが、ズレてくるということはありません。重心側の調整ねじは固定として、対物側のリングの調整ねじを使って同期させました。特段ファインダーの同期と同じ間隔で設定できました。これで、三つの鏡筒の同期が容易となり、かつ、ガイド鏡だけ動かしやすくなりました。
撮影している最中に、中止させたくなることがあります。すると、撮影が何処まで進んでいるのかを知る必要が出てきます。シャッターの状態と全体の終了時刻は表示していましたが、何枚目をやっているのか、この撮影の終了時刻は何時かということは示していませんでした。そこで、個別の撮影状況も含めて表示することにしました。
2012年1月から、イスの中にかなり邪魔なパソコン本体を入れています。場所的にはノートパソコンならば問題にもならないことですが、タワー型に拘るのは、処理能力と汎用性、そして価格の制限があるからです。特にリアルタイムでオートガイドや星図ソフトを動かすのですから、処理能力としてクロックとグラフィックの能力は犠牲に出来ません。また、オートガイダーを始めとしてUSB系列で機器を接続するためにIOの制限が出るのも困ります。そして、価格が違うのは一目瞭然です。
そのイスですが、パソコンを入れることだけを考慮したために、コネクタの分の余裕や、ケーブルの引き回しを考えに入れずに作ってしまいました。また、CDの出し入れなんて言うことも考えていませんでした。取りあえず、メディアの出し入れは必要ですので、側板に穴をあけました。また、ドームの壁面ギリギリに使いますので、基礎部分で干渉して寄せられなかったのを、単純に切り取って使っていました。作ったときが寒いときですので、作業を出来るだけサボったというのが本当のところです。そして、取りあえず使える、使えるようにしたので、そのまま使っていたというのが正直なところです。
今回は、それらの安直な手を取り除き、強度を出すために板材で囲って箱形にしたイスを、柱を補強するかたちに変更し、内部へのアクセスを容易にして、余り物を放り込めるようにしました。そして、最低限の切り欠けを用意し、土台との干渉を避け、ケーブルの引き回しに考慮しました。
<−
ドームパソコン机の照明を2013年10月に取り付けました。快調に使っていたのですが、コタツ掛けのメンテナンスをしている内に、6個のLEDの内、1個が点灯していないことに気が付きました。3個ずつの直列配線ですので、1個だけ点いていないというのは、大変危険な状態です。LEDがショートしていると、3個分の電圧が2個にかかり、残りの2個も破壊されることになります。絞った状態で使っているので、他の2個は破壊を免れたのです。
幸いにして、予備が1つありましたので、交換しました。交換の際に放熱板への取り付けネジが揺るんでいたことに気付きました。接触不良で放熱が足りずに熱破壊したのでは無いかと思われます。作成してから2年弱ですが、使用頻度は低く、これで製品寿命というのであれば、白熱電球の方が良いぞと考えていましたので、放熱の不具合であれば、自作、且つ、やっつけ仕事の結果ということで自己責任でしょう。他のネジもしっかりと締め直して、全体を組み立て、取り付けました。
もし、何らかの不具合が更に出るようであれば、再度、製品そのものの機能レベルから検討し作成することになります。観点としては、現状のものを作るときに妥協した部分を追求するか、昔の白熱電球に戻るかの選択になります。
LED化したのは、定電圧電源が部品箱にあって、これを電源にしてLEDを調光するという発想の延長で作った代物です。そのときにも考えていたことですが、100Wの白熱電球レフランプの他に、1Wや5Wの豆球を別に調光すれば、電源電圧の変動の影響は少なくなります。調光器は、手軽で部品も少ないものですから2台用意しても簡単で、すぐ仕上がります。今後の検討ということで。
GINJI300FNで、撮影中にピント移動が大きいことに気付き、原因を調査している内に、主たる原因ではないにしろ、温度変化による焦点距離変化が馬鹿にならないことに気付きました。そこで、元々取り付けられている電動ファンを使うようにしました。給電は赤道儀側の電源ラインではなく、別の12VACアダプター電源から取っていました。これは、赤緯体に載っている架台配電盤に余裕がなかったためです。架台配電盤にはソケットが4つ付いていて、埋まっています。更に別ラインが欲しいわけです。つまり、GINJI300FNの主鏡ファンに回す回線がないのです。そこで、架台配電盤の端子を追加することにしました。ソケットを1つ追加する加工です。この中で最も時間がかかったのは、何とソケットの穴開けをするリーマーを探すことでした。何処を探しても見つからず、最後の最後に、タップやダイスをしまってあるところを見たら、そこにありました。1時間のロスと、大汗でした。
GINJI300FNにファインダーを取り付けました。ファインダーを付けなかった理由は、ガイド鏡が邪魔で取り付けたファインダーを覗くことができない状態だったからです。そこで、3本の鏡筒の位置とバランス調整をして、ファインダーを覗けるような搭載方法にすることになります。
搭載部品の変更もあり、前回の搭載時に比べて、バランス状況が大変良くなっています。
拡大撮影では、2Xテレコンパーターを使ってきました。しかし、2倍では足りないことが多く、また、拡大しすぎている場合もあります。これ以上、以下の倍率の為に拡大撮影用アダプターを注文しました。拡大用のレンズが付いているタイプなのですが、ことによると、色収差が邪魔になる場合が出るのでは無いかと思い、同時にT2規格接続でアメリカンサイズ接眼鏡を使うタイプのアダプターが格安であったために注文しました。
拡大用には優秀というプローセル接眼レンズを使用しますが、色収差が出て、強拡大には向かないと判断しました。
強拡大用として、性能的に遙かに勝るツィアスサイズのオルソ接眼鏡を使うために、アダプターの改造を行いました。アダプターに付けられた接眼鏡固定ねじを低頭のものに交換。また、アメリカンサイズ変換アダプターの固定ねじも低頭のものに替えました。追加工としては、延長筒に穴を2つ。1つは接眼鏡固定ねじへのアクセスを確保し、もう1つは2インチ固定用のネジ穴追加です。T2アダプターの対物側に2インチ延長筒内面に固定できるようにテープを巻き、カメラ側では、2インチ延長筒の固定ねじで中心を出し、固定します。これで、ツィアスサイズ用の2インチサイズ用拡大アダプターができました。
左から2インチスリーブ35mm延長筒、T2マウント用拡大撮影チューブ、ツィアス−>アメリカンサイズ変換アダプター、ツィアスサイズ接眼レンズ
左上:組み上がったアダプタ 、 中上:T2延長アダプター
下段:ツィアスサイズ、Orアイピース
オートガイド鏡として、BLANCA-80EDT(笠井)を使用していましたが、当初のもくろみはBLANCA-130EDTと交換で使用することでした。ところが、480mmの焦点距離は、あまり出番が無く、オートガイド鏡専用として使われてしまいました。実は交換するのも外すのも結構面倒です。BLANCA-80EDTの当初の目的は、長焦点レンズとしても使えるというメリットがありました。赤道儀に固定では、その使い方ができません。そこで、重量的には不利ですが、前任のSE-102(ケンコー)を載せました。80EDTに比べ、像が甘いとは言え、口径が大きくF値が小さくなったので、その分、ガイド星の選択幅が広がっています。
長焦点レンズとしての使用法は、BORGでブレイクしたように、天体望遠鏡で、そこそこの焦点とFを持ち、先鋭な像を結ぶことの出来るEDやフルオライト、トリプレットアポのようなものの直焦点を使うと、意外なほど良い映像を撮れるということが、世間的に知れ渡ったからです。カメラメーカーというか、レンズメーカーとしては、少々残念な部分もあるかと思います。ただし、それらの高級品望遠鏡とはいえ、35ミリ版の大きさで先鋭な像を得ようとしても、なかなか難しいものがあります。軸上の収差を取り除いていても、軸外はたちまち崩れていくのが当たり前です。そこで、そこそこの範囲で焦点を結ばせるためにはフラットナーを噛ませるのが、望遠鏡の業界の常識です。そして、BLANCA-80EDTとBLANCA-130EDTは、別売のフラットナーが、ほとんど専用設計かと思うほど相性が良く、収差を抑えてくれます。ですから、カメラレンズでは常識の絞って像を良くするということはできないので、フラットナーは必要なアイテムとなります。ですから、それぞれに使えるようにフラットナーも2個用意しています。そして得られる像の良さは、点光源(天体)で確認済みですので、望遠鏡にカメラを付けただけのものより、数段上の性能があります。
BLANCA-80EDTは480mmという超望遠並の焦点距離とF6というそこそこの明るさで、ピントさえ合わせれば、文句なしの絵を撮れます。そして、2kgの重量は、カメラ本体を足して約3kgですが、この焦点距離を手持ちで振り回すのは、短時間であれば不可能ではありません。三脚に載せるのは当たり前の焦点距離ではあります。BLANCA-130EDTでも、焦点距離が900mmで、10kgあります。大砲並みですから、手持ちでできる方は、並の人間でありません。でもこの焦点と重さで手持ちで使うことはまず無いでしょう。
カメラレンズにAFがあるのが当たり前で、それに頼り切る方ばかりのようですが、最後の最後にピントを合わせるのは、人間の眼の役目です。人間の眼は自動焦点の極致ですので、焦点外のボケを充分に観察することはできません。ただ、望遠鏡は、それを超えて合焦できない範囲のピンボケを可能にしています。これに対して、通常、カメラレンズには被写界深度があり、絞りで調節するものです。ですから、望遠鏡にAFをつけることができるのは相手がカメラの場合か、光学系を変更できないものかになります。そして、カメラレンズは、望遠鏡と違い無限遠だけでなく、より近い物体の像を作り、ピントを合わせなければならないのです。光学上の条件もきつくなりますが、製造上の条件もきつくなります。ですから、補正用のレンズが何枚も必要となってくるのです。そうして作った超望遠レンズが、望遠鏡のトリプレットアポとフラットナーの組み合わせに負けてしまうこともあり得るでしょう。特に遠いところのものを撮るのは望遠鏡本来の役目ですから。だから差は絞りとAFです。これらを望遠鏡に付けようとしてもなかなかハードルは高いでしょう。
降ろして超望遠レンズとして使用したBLANCA−80EDTですが、やはり使いやすいものではなく、静物相手ではないとなかなか難しいもので、鳥などでは200mmのカメラ望遠レンズにテレコンバーター2倍のスペックに負けてしまいます。そこで、再び、望遠鏡に搭載しようと考えました。
搭載可能な場所は幾つかありますが、その中で、最も簡単なのが、オートガイド鏡としたSE102の上です。2本の鏡筒バンドの上にカメラネジが切られていて、片方には雲台搭載用のオスネジが入っています。これを外し、アリガタを取り付け、ガイドスコープリングを乗せました。搭載強度は充分なレベルです。重量的な問題は、3sほどの増分についても、左右バランスについても調整可能なレベルです。
これで、3本の撮影用鏡筒が全て随時使用可となりました。3台のカメラで同時撮影も可能であると考えられます。
搭載して調整中に、SE102の対物レンズにカビのような紋様を発見しました。よく観察すると、2枚玉の一番表面と、一番裏の面に丸い反射異常があります。表面の方はカビのようですが、裏側にあるものはかなり大きく、カビのようでもあるのですが、何か油が落ちているような具合でした。放っておく訳にもいきませんので、拭くためにレンズセルを外しました。
鏡筒に対してレンズセルはネジ止めになっているはずですから、ねじってみました。簡単に取れましたが、あまり簡単なので、先ほどの裏の汚れの原因に当たりが付きました。油をネジに塗っています。かなりタップリとです。内側のくもりは、この油がタレたものです。可動部分に油を使うのは当然として、このような動かさない部分に油を塗るというのは、組み立ての際の利便性でしょうか。いずれにしても放っておけませんので、洗浄剤を使って落とすことにしました。また、レンズ部分は母家でキレイにする事にしました。
分解してみると、リングの下にゴムを使っていました。これで押さえるようにしているのは、悪くは無いけれども、良いわけでは無いと思います。ゴムが劣化したら中でがたつくことになるでしょう。表のカビはまだ深くなくて、コーティングを浸食してはいませんでしたので、アルコールで拭き取れました。また、裏の油は、まず洗浄剤で吹き飛ばしてから、アルコールで拭き取りました。
組み上げて、これでしばらくは安心というわけです。
SE102対物レンズ
BLANCA−80EDTを使用してみると、カメラとGINJI300FNが近すぎて、カメラを自由に回転させることが出来ないことが判りました。この点は、SE102の上に載せていますから、SE102の鏡筒バンドへの取り付け位置を変えるか、SE102そのものの位置を動かすしかありません。鏡筒バンドへの加工は、取り付けの為に適当な加工では済みませんので、SE102の台座部分から動かすしかありません。これはアリガタに接続したアルミプレートへのネジ穴加工が必要です。とは言ってもネジ穴を2つですから、一日かかるような作業ではありません。さっさと済まして、間を空け、カメラの取り付けを確認しました。
同時並行で、フィルターワークのために購入したフィルターホイールを使用できるようにGINJI300FNの再調整を行いました。
GINJI300FNは筒外焦点位置を稼ぐために、斜鏡の必要な大きさが足りずに蹴られていました。この為、写真では周辺減光が顕著に出ていましたので、鏡筒を延長し、主鏡位置を下げて筒外焦点距離を減らしていました。今回、フィルターホイールの為に必要となる余裕分の筒外焦点位置が3〜4p分となるために、延長部分を減らして対応しました。オリジナルに戻しても良かったのですが、少しでも稼いでおいた方が良いとの判断で、オリジナルより4p強の延長となっています。
フィルターワークとしては、接眼筒の主鏡側に77mmφのネジ穴があり、こちらに取り付けるか、2インチスリーブ(48mm)に取り付けるかでした。77mmは鏡筒開口部からアクセスできます。鏡筒が天頂方向を向いていない限り、取り付けに苦労することはありません。が、48mmを取り付けるには一度カメラを外すことになります。慎重に取り付けたとしても、カメラは回転方向にいくらかはズレますし、時間もかかります。そこで、フィルターホイールの追加です。冷却CCD等をお使いの方々は、カラー映像を撮るために三原色のフィルターや、バンドパスフィルターを使うので、フィルターホイールは必需のアイテムとなりますが、電動化してパソコンでコントロールするという優れ物をお使いです。しかし、それは機械部分だけでも十万以上の高価格商品です。タマに使うだけの状態では過剰投資のそしりを受けます。国際光器で販売していた手動のフィルターホイールに眼を付けていたのですが、それが2としてリニューアル、それもクリスマス超特価で売り出されていたので、手に入れました。
手動という点が、何ではありますが、使いづらいわけではありません。干渉系の高性能フィルターの77mmは高価か、ラインナップに無いかですので、48mmで済みますし、ピントの確認だけで次々に撮影できるのは、大きなメリットです。