マウナチャリ山ケロ丸天文台の歴史 2014年
25p反射の鏡面をカビで荒らした結果購入した30p反射をメインとして使用するようになりました。2012年10月のことになります。このとき、載せ替えて使うことが少なくなっていた40p反射は、置き場所に困ったために、反射鏡と主鏡セルをしまい込み、大きな鏡筒を階下の車庫に格納しました。二度と使わないという気持ちではありませんが、30p反射が動くのに邪魔になる上に、斜鏡にカビが繁茂しかけていて、そのまま置いていると、30p反射購入の原因となった25p反射のカビ損害と同じような状態を招くことが予想されました。
死蔵するのは勿体ない、強力な集光力ですので、あらためて、カビ対策を取れるような、密封型の鏡筒か、反射鏡にアクセスしやすい開放型の鏡筒を作成し、撮影専用に使えるようにするのが今回の目的です。この口径であれば、カメラの影は少々大きめの斜鏡程度の大きさです。このため、斜鏡を使わず、光路内にカメラを置くようにします。裏像として写るのですが、画像を裏返しにすれば済むことです。フィルム時代でも、フィルムを裏返すだけのことです。
現状の鏡筒部を軽量化すると共に剛性を上げるために、紙管で作られた鏡筒を輪切りにしてパイプでつなぐことにします。抜いた重量は8kgで、パイプ材が4kgになっています。わずかではありますが減量しています。そして、旧鏡筒との決定的な違いは、主鏡に直接アクセスできることです。主鏡にカバーをかけることができます。また、カメラ側の被いは必要ないのですが、主鏡セル部分の重量に対してカメラ側の重量を軽くしても、重心位置が主鏡寄りに動くだけのことで、なるべく筒先を下げるためにも、折角ですから残して置きます。
格納していた旧鏡筒
輪切りして、使える部分を用意します。
補強材を入れた部分を抽出しました。
鏡筒部材
鏡筒部
カメラ取り付け部分の加工
カメラ取り付け部は、光軸調整が必要ですので、主鏡と同じような支持板を用意し、反射光の通り道の穴を開けました。材料のカットと穴開けは外注です。このところ、ウエイトシャフト棒やウエイトそのものなどの加工をお願いしているスチール・オフに依頼して、非常にキレイに仕上げていただきました。ネジ穴とバカ穴は自分で可能ですので、位置を定めてボール盤で穴を開けタップを立てました。
カメラ取り付け部分の材料
主鏡の光軸調整と同じ構造の調整装置を作ります。
カメラ搭載部
ここまで2日間の作業となりました。続きは来週になります。
残りの作業は1日手間です。
カメラ搭載部組み込み
赤道儀接続部分
主鏡セルを取り付ける前に赤道儀に搭載し、主鏡、ファインダー、サブスコープ等の付属物を取り付けバランスを確認しながら配線までを行いました。開放型鏡筒の利点は主鏡へのアクセスが簡単であることです。フタをするのが簡単です。光軸修正をしてカメラを載せるところまでが最終作業になります。
搭載状態
主鏡カバー
オートガイド用補助鏡筒及び配線
撮影直前の状態
組み上がってから試写の予定でしたが、残念ながらの曇天です。ドームから見える一番遠いテレビアンテナの撮影をして取りあえずの確認としました。
本来であれば、反射防止塗装や通常の塗装が必要ですが、気温が5℃以下です。家の中で油性塗料を使うと眠れない事態になりますので、塗装は春になってからになります。
ドームの中で壊した足台にしていた風呂用椅子の代わりを作るか、別に足台を作るかを悩んでいて、ドーム内部のサイズを測りに行きました。鏡筒を回して邪魔にならない位置を確認している最中に、赤道儀から聞いたことの無い音を聞きました。カタンという音で、どこかのネジが緩んでいるという変事を感じさせました。さすがにこの部分が動くということを考えてもいなかったので、赤緯体の上ばかり探して、発見するのにかなり時間がかかりました。
外側からは、この赤経体と基部を繋ぐネジが1つ見えるのですが、形からするともう一つあるはずです。それが緩んだと考えられますが、締めるのにはここまで分解しないとできません。
赤緯体を外した赤経体。
基部の片側を外しました。
赤径体を外した基部です。
赤経体とその基部
ネジを締めて組み上げました。
ドーム内のコタツの板で、モモの上部が当たるところの木がささくれて、ズボンに刺さってトゲのようになって来ました。何か処置をしようと考えたのですが、材木に引っ越し荷物の梱包用テープを貼ってしまえば大丈夫であることに気付きました。
40cm鏡筒の遮光布の取り付けが課題として残っていました。結局、取り付け用のヒモを縫い付けて鏡筒につけることにしました。状況は充分です。
カメラレンズの世界では超望遠に属しますが、望遠鏡の世界では短い方となる半メートルほどの焦点距離が欲しくなっていました。カメラレンズでは安物を買うと後悔するだけですので、後悔しないようなものを探すと、20万円以上は間違いなくします。ここで、アポクロマート以上の色消しと性能を求めると選択肢はそれ程多くありません。その中でも性能に期待できるものを探すと、既に購入済みで、性能の評価できるBLANCA-130EDTの最下位機種であるBLANCA-80EDTがあります。130EDTの性能は高く、対抗の製品は限られています。BLANCA-80EDTがそのような性能を持つかどうかは確かめなければならないのですが、それは到着後の話です。
左からBLANCA-130EDT、GINJI-300FN、BLANCA-80EDTで並んでいます。
2013年7月から工具等整理の為にスチールラックを2つ並べていました。この高さが部品整理用に入れたチェストより数p高く、ほとんど同じ高さになっています。チェストは木製の天板が付いていますが、更にドームの内壁に沿って天板を付けています。この上に乗ることができる強度があります。望遠鏡を西に向けたときに、ついスチールラックの上に足を乗せてしまいました。このスチールラックは安物で、それだけの強度がありません。足を載せた一番上の板がへこんでしまいました。
チェストを入れた時に、全てチェストにしてしまう案があったのですが、引き出しでは無く棚の方が工具棚としては便利でしたので、棲み分けをしたのです。今回の破損状況は深刻では無いにしろ、破壊状況次第では、怪我の危険もあったわけですから、全てチェストに入れ替えをします。ただ、工具は引き出しでは使いにくいので、引き出しの1つを棚にして使うことにします。
天板は5個分を全てをつないでしまうと、取り外したり持ち出しができなくなりますから、追加分についてはつながずに噛ませるだけにしています。
中身の整理がまだですが、良く考えながら、中身の表示をどのようにするかが課題となります。
台座
仮置き
天板設置
天板布張り
ドーム入口からの眺め
先月のことになりますが、足台として便利に使ってきたプラスチック製風呂椅子が乗った途端、突然、砕け散りました。直前にミシミシという音がしていたので、変だと思っていたところでした。この椅子、10センチと20センチの高さで、膝を着いたり乗ったりすることで、楽な体勢を取ることができます。無くなってみると、腰や足に結構な負担がかかります。どうしても足台は必要です。耐荷重100キロというもので安心していましたが、温度が駄目だったのでしょうか。同じモノでは同じことになりそうですので、結局、作ってしまうことにしました。2×4材では重くなってしまうので1×4材を使いました。サイズは前後にやや小さくなっています。
破損した椅子
作った足台がリプレイス元のプラスチック製品より意外に調子が良く、また、自由な大きさに作ることができます。更にドームの中の使用を考えてみたところ、もう一段、高くすると、更に使いやすくなると考えられました。そこで、再度作成しました。サイズ的には、破壊したプラスチック製椅子より、わずか、3センチほど前後が長くなっています今回の制作では部分的な接着では無く、全体を接着してから木ねじ止めを行いました。
部材カット
接着
木ねじ止め、新旧比較
使用状況
サブモニターのスピーカーの音量調節が満足にできなくなりました。可変抵抗の不具合です。中を開けて見ましたが、修理できるようなものではありませんでした。スピーカーを取り替えるしかありません。
不具合の出たスピーカー
代わりに安物のスピーカーを付けてみました。今度は音が籠もっていて満足に聞き取れません。値段通りの音?かも知れません。
そして、幾つかの事情があって新顔のスピーカーがやって来ました。取りあえず、マジックテープで取り付けました。音はそこそこ、まともです。
マジックテープでの取り付けは、安定が悪く、ボリュームをいじると動いてしまいます。
また、サブモニターは前のめりの形で傾いていますので、画面に付けた減光用のフィルター(スモークのアクリル板)を固定するのにクリップで止めていました。この為、最も手早いはずの調光、フィルターを外すという手が面倒になっていました。この点を含めて、改良の余地があり、工作に入りました。スピーカーの固定はネジ止めにします。フィルターは外れないように、下部にストッパーの枠を付けました。これで、スピーカーの固定と共に、フィルターの容易な変更ができるようになりました。
年頭近くに導入したBLANCA-80EDTの取り付けは、何に使うかという点が二転三転し、結局ガイド鏡としても写真鏡としても使用できるような位置にしました。また、カメラレンズでの撮影にも、カメラの取り付けに苦労したのですが、結局、広角から標準レンズはGINJIの筒先に付けるしかないし、望遠レンズは80EDTの近くに取り回しやすいように付けることにしました。カメラの向きを大きく変えたい場合は、雲台の二段重ねで対応することができます。
30センチによる撮影の際に、ライブビューでピントを合わせたはずなのに、かなりずれて写ることがありました。原因はたくさんあるはずです。ただし、今回については輝星で合わせようとしても、暗い星で誤差が出てしまうのではないかという推測があります。ライブビューでは蓄光はできませんので、ピントを合わせるためには輝星を使うしかありません。拡大して星像を最小にするという方法しか取れませんので、ピント合わせの方法を改良しないといけません。
その方法として、回折を利用したピント合わせをおこなうバーティノフ・マスクを使ってみることにしました。製作そのものは、それほど難しいものではありません。主鏡を分割して、それぞれに特定の方向の光条を作るために回折を起こすエッジを用意し、その位置の違いを使ってピントを合わせるというものです。
以前、40センチ反射用を作ったことがあるのですが、薄いソフトビニル板を使いました。出来上がりが柔らかくて、取り付けに苦労しましたので、もう少し固い物を使い、鏡筒蓋のように鏡筒に簡単に載せることができるようにするつもりでした。ホームセンターを物色すると、プラダンという、多分プラスチック・ダンボールの略であろう材料が目に入りました。カッターで簡単に切ることができて、軽量、結構丈夫という材料です。必要な大きさにカットしたものを2枚、方向を90度変えて接着して、強度を上げたものにパターンを製図した紙を貼って、穴を慎重にあけました。
鏡筒への取り付けは、内径に合う位置にストッパーとなる角材を取り付けて、使用中に回転もできるし、取り付け取り外しも簡単というようにしました。特段、色を付ける必要は無かったのですが、黒く塗っておきました。
使用してみると、ピントの山が掴みやすくなりました。特にシンチレーションが大きく、像が安定しないようなときは、特にピシッと会わせることができます。そして、ピント位置の微妙なこと、減速装置が付いていても、ホンのヒトさわりでピントがずれてしまいます。
赤道儀の配線は、基部から可動部分の遊びを見込んで、各ポイントに固定されています。その内、赤緯軸上のモーター部分のポイントにしていた金具を破損していました。曲がっただけでしたので、機能に大きな支障が出たわけでも無く、そのまま使用していましたが、やはり取り回しが良くありません。もともと、配線を固定するためにダブルクリップを使うという方法は、あまりおすすめできる方法ではありません。そこで、取り付け方法を変えることにしました。
要はL字金具を付けてそこにクリップ止めをしていたのです。ここをコの字の金具にして挟み込めるようにすれば着脱も簡単になります。
破損状況
部品加工、アリガタはカメラ雲台搭載用
部品取り付け、使用状況
7月にBLANCA-80EDTを取り付けたところ、GINJI300と130EDTとの鏡筒間の距離が離れていることが関係して、ドームスリットの幅が足りない状態になっていました。数センチというレベルでの問題ですが、簡単に動かせるものではなく、アリミゾに穴加工が必要です。それだけで無く、鏡筒間距離を最小限にしようとするとアリガタそのものの長さも短くしなければならないことが図面から判ります。そこで、一番の基本のアリガタを切断すること無く、取り回しを考えて配置を考えました。
更に軸バランスをかなり厳密に撮影状況に合わせて調整しました。撮影方法が変わる場合には専用のバランサー用ウエイトを用意しています。バランスが合っていると恒星時1200倍速でも楽々動きます。
前回の搭載変更で、使い勝手が良くなったのですが、すぐ問題点も出てきました。ガイド鏡を80EDTに変更しましたので、南天の低い天体を子午線越え後に狙おうとすると、撮影鏡より先にドームの地平線下になってしまいます。ガイド鏡を切り替えて使う方法が一番簡単ですが、子午線越え前にはあまり撮りませんから、常用ガイド鏡を変えるには、搭載位置を変える必要がありました。
最も単純に、3つの鏡筒を逆さに取り付ければ済むことですが、折角、同期させた鏡筒を崩すのですから、前回、カウンターウエイトが増えてしまった点を解消しようと計画しました。鏡筒重量を減らすことはできませんが、搭載状況を変えて、モーメント荷重は減らすことができます。軸からの距離を抑えるという方法です。
GINJI30センチは、大型アリミゾの上にロスマンディ規格のアリガタを乗せて搭載しています。ここで、30センチ反射の鏡筒バンドが乗るアリミゾを直接大型アリミゾに取り付けると2センチ下がります。使わなくなったアリミゾは0.57sで、極軸から24pありますから、13.68s・pになります。30センチ反射は20sですから40s・cmの稼ぎになります。130EDTには変更がありません。80EDTは本体が2sですが、ファインダーや光軸調整器、カメラ雲台を含めて6sほどです。これが9p下げました。この分が、54s・pです。合わせて約108s・pで、ウエイトシャフトに並んだ重りを2sほど減量することができます。
前回の変更で、ウエイトシャフトの先端に600グラムという僅差で、7sの重りを追加せざる追えなかったので、今回は追加した重りを降ろすことができます。
Numato Lab社のUSBリレーボードとデジタル一眼レフ専用の赤外線リモコンTwin1 R4N、Dephiを使って、D300やD800でのシャッターコントロールを可能にしました。リレーボードが接続されていれば、あとは仮想com番号を指定するだけで、動作します。リレーから、既出の改造を施したリモコン本体を制御し、撮影を行います。1台のカメラを制御するように考えていますが、これを同時に起動すれば、2台を別々に制御することも可能です。
当初、パソコンからの制御に苦労しましたが、原因はリレーボードのサンプル・プログラムが原因でした。2本サンプルがあったのですが、片方が不具合のあるもので、そちらを参考にしたところ、まともに動かず、散々な苦労をしました。
オートガイダーのルクバトに付属のソフトにカメラコントロールが付いていて、これを使っていたのですが、使い勝手が悪く、自分で何とかできないかをずっと考えていた結果の成果となります。リモコンとリレーで1万円くらいですので、これによる使用環境改善は値相応か、それ以上になるかと。
設定した時刻で動くように作ったコントロールソフトなのですが、どうしてか、それよりも長い時間の露出をする場合が度々あり、安定した動作をしていないようです。そこで、再度抜本的にプログラムの構造を変えると共に、露出設定を使いやすく変更しました。また、終了時刻の表示も入れました。そして、いざ実戦に出すと、2番以降でちゃんと動かなかったりしました。今一度、動作を見直し、リアルタイムに動作状況をファイルに出力して、間違いなく動くように、プログラムを変更しました。この関係で、撮影前に露出の必要時間を計算して表示させたり、途中でのキャンセルでもカメラを露出開始状態に戻したり、バルブ(タイム)動作で無くても使えるなどの改良を加えて、実戦配備しました。