マウナチャリ山ケロ丸天文台の歴史 2013年
昨年10月に搭載鏡筒を変更してから、カメラレンズによる撮影が困難となっていました。それまでは幾通りかの方法で、カメラを付けることが出来るようにしていたのです。しかし、新しい搭載方法は、この点について考慮していませんでした。この結果、星座レベルの撮影は三脚に乗せた固定撮影に限られることになっていました。
そこで、スリットからの見通しのきく高い位置、30センチの鏡筒バンドの上部にアリガタを付け、更に雲台を取り付けるようにしました。これで、広角レンズでも使用できるようになりました。横に張り出すようにしたのは、構図決めが容易になるようにと考えた結果です。脚立に乗らないと届かない高さですので、少しでも取り回しがしやすいようにしました。また、雲台だけでも、重量がありますので、使わないときは雲台を取り外しています。
搭載鏡筒のシステム変更の結果、パソコン机のフードが、鏡筒の向きによっては干渉する状態になりました。西南方向に向けると、望遠鏡のおしりが当たるのです。また、カメラ雲台の取り付けで、搭載重量が増えて、バランスウエイト棒を伸ばさざるおえなくなりました。この結果、東向きを狙うと、パソコンの画面前にウエイト棒が割り込むようになりました。この解決には、設置したパソコンの位置を変更すれば、良いわけです。そもそもパソコンの位置は、当初の40pを振り回す際に邪魔にならない位置と踏んで置いた場所です。しかし、フードを付けた時点で、鏡筒が当たるときがあり、死角が出てきました。それでも、机の位置を動かすことは、配線から動かすことになるので、大変な作業になるので、今まで渋ってきました。
机を動かすことは、パソコンが動きます。望遠鏡の配線は動きませんが、それ以外の配線が変更になります。この配線には電源の配線も含まれます。物品の移動だけであれば、すぐ済みますが、電源の配線はしっかりやらないと、重篤なトラブルの元になります。特にコタツのような大電力機器があります。昨年末に、太めの電源のプラグの根元が低温でちぎれてショートしたという事件がありましたので、電源配線をやり直すつもりでした。
新配置 旧配置
ドームまでの100V配線は、屋内配線用の1.6mm×2芯を使い、コンセントまで来ています。ここから、0.9mmのより線を使った配線が、ドーム入口にある主電源スイッチを通って、再びドーム内に流れています。ドーム内の配線の太さは、使用電力に対して細めだと思っていました。特に、大電力であるコタツのスイッチが入ると、電圧が下がるのが判ります。そこで、1.6mm×2芯をそのまま伸ばして、タコ足結節点までひくことにしました。
この為、仮にフード位置を定めて、鏡筒とウエイト棒に干渉しないように机の位置を決めました。これで、100Vの配線ができます。パソコン関係の配線は、結線だけですので、結局、全行程を3時間ほどで済ますことができました。
ガイド鏡には、8センチf.l.=700mmを使用していましたが、たまに巻き起こるガイドエラーや、ガイド星探しのために、ビクセン社のVMC110L、口径11センチf.l.=1050mmに変更して使用していました。新アリガタシステムでは、ポルタUのアリミゾにつえかえて、バランスさえ取れば問題なく使用できます。ところが、VMC110Lでは、ピント合わせの時にミラーシフトが起こります。これを小さくすることはできますが、防ぐことはできません。ガイドの際にこれが原因でガイドエラーが出ることから、ガイド鏡を交換することにして、手持ちで口径の大きな屈折機SE102、10センチf.l.~500mmを使い出しました。ところが、これをガイド鏡として採用してから、ガイド・エラーが返って増えてしまいました。晴れ間を縫ってやっと撮った星が、線になっているというのでは、モチベーションが下がります。原因を追及すると、ボルタUの搭載限界が5s程度であり、斜めに傾けて使うことから、ファインダー込みで4.5sになるSE102では、クランプを締めても微妙なレベルで滑ってしまうことが判りました。ポルタUを電動化してまで使いやすさを追求したのですが、ここに来て、重量化がネックとなってしまいました。
方法としては、経緯台による方向調整をあきらめて、直付けあるいは、ガイドマウントの採用が考えられます。どちらにしても、昨年採用した新アリガタシステムの再検討が必要になります。ガイドマウントによる調整が可能という方向では、ポルタUによる搭載位置と大幅にに変化が出ます。少なくとも、電動ポルタUの5sはかなり大きな数字です。そして、鏡筒位置も、赤経軸により近づきますので、マウントへの負担が減ることは間違いありません。
先ずはアリガタにガイドマウントを付ける方法の検討です。続いて、部材の検討、加工、組み立てとなります。計画の中には、ポルタUを元に戻すことも可能なように考えるべきです。その筋で、考えました。
計画を充分に練って、搭載する状態を想定していました。その上で、アリガタに付く部品を計画し、必要最小限の加工でシステム変更を行いました。簡単に言えば、ポルタUを載せていたアルミ板(ジュラルミン)を横に張り出すのでは無く、主鏡後部方向へ張り出すようにして、ガイドマウントを取り付けました。そこへ標準ビクセン規格のアリミゾを取り付け、ガイド鏡を取り付けるようにしました。
ここでの問題は、ガイドマウントは強度維持の為に微動が無いことです。主鏡とガイド鏡は同期しなければならないわけではありませんが、ガイドマウントの固定を緩めて、少し動かすというのは、かなり困難な作業となります。そこで、この点を何とかする為に、イメージシフト装置を付けることにしました。ただし、このイメージシフト装置は、かなり古いモノで、取り付け側がタカハシの43φmmであり、接眼側には36.4φmmネジ、そこへ24.5φmmスリーブの接眼アダプターです。手元には、タカハシ製品用の接眼アダプターとして、この24.5mmツィアス規格のものしかありません。31.5φmmのアメリカンサイズを付けるアダプターを買っていませんでした。タカハシ純正では八千円近くする代物です。さて、資金不足とはいえ、その位は出せますが、それでも、その部品一つに出すわけにはいきません。つまり、2インチスリーブから43φmmメスのアダプターも必要です。そこで、ビクセン社の部品を注文しました。タカハシの43φmmとビクセンの43φmmは、ピッチか違いますが、なあに、固定できれば良いのです。ねじ込めるところまで、ねじ込んでしまえば、OKです。その他、タカハシの16センチ反射を復活させる際に必要となるアダプターも入れて、八千円ちょっとの投資となります。タカハシ純正接眼アダプターの値段に毛が生えたくらいで、イメージシフトがつながり、その他の用意までできてしまいました。
イメージシフト装置を付けたガイド用CCD。天頂プリズムで取り付けていたのが、直線で付きます。
撮影鏡として使えるものは、GINJI300と130EDTの2本の他には、MT160があります。使えなくは無いのがMT100ですが、さすがに35mmサイズでの周辺光量不足に、メッキ面の劣化による光量とコントラスト低下が目に付いてきました。この他は屈折アクロマート機ですので、青ハローや紫ハローを出したい場合以外には使えません。低倍率観望とガイド鏡程度の役割です。
さて、残されたMT160(鏡筒バンド、正立ファインダー込み10kg)を使おうとすると、新たに取り付けたガイド鏡用のガイドマウントには、さすがに重すぎます。載せても、クランプをペンチを使って締めないと動いてしまいます。もともと、10p屈折(4〜5kg)程度を載せる為のものですから、無理があります。そこで、MT160を載せるには、130EDTとのリプレイスということになります。折角、専用に同期させているのが、交換すると無駄になってしまうのも面倒だし、交換作業自体も面倒であることに変わりはありません。また、MT160の同架の為に、新しくガイドマウントを購入するという方法もありますが、10kg程度の搭載重量となると、それなりの重量と価格が発生します。
そんなことで思考ループに陥っていました。そして、浮かび上がってきたのは、昔のやり方です。複数鏡筒を散々どうやって載せるかを模索し、確かめたことがあります。特にGINJI250を購入したときに、MT160とMT100を3本並べて搭載したことがあります。その時は、それぞれの鏡筒が直付けでしたので、鏡筒の同期を取ることができませんでした。自動導入のメリットは全くなく、ファインダーで見えない天体はいかんともし難いものがあります。目盛り環による導入も、焦点距離が長く視野に入りにくいのです。当時は、同期を取る為に、経緯台を載せる方向へと動きます。そして、抱え込んだ鏡筒群のシステム化へと進んでいきました。
ここで、新たなガイドマウントを購入して散財した上に、搭載重量を増やすという事態を避ける為に、昨年作った同期装置をもう1つ作って載せると言う手が出てきます。同期装置は1.5kgという軽さで、取り付けアームの部分を入れても2.0kgで済んでいます。載せている130EDTは12kgありますが、搭載状況に全く問題は無く、同期の際もスムーズに調整できます。そして、前回の作成の為に注文した部材の余りで、同期装置を作成することができます。性能及び財布に優れたものが可能であるということなのです。
問題があるとすれば、工作の作業そのものにあります。間違いの無い加工は、確かめながらゆっくりとやれば良いのですが、気温が最大の敵です。やっとマイナスというようなヤワな気温ではありません。コップに水を入れて置いておくと、すぐ凍っているのです。穴を開けられるアルミ板にとドリル刃には良いでしょう。なんたって温度が上がらないのですから。とにかく先ずは、計画と図面です。
残っていた厚さ12mmの超ジュラルミンの板は幅80mmで長さが360mmありました。以前の同期装置は150mmの長さに切ったものを2枚重ねて使いましたので、同じものにしようとすると2回、切らないといけません。手元のカナノコを見ながら、余り部材を真ん中で切ってしまいました。3p伸びてその分、重くなりたわむのですが、一回切るのに30分くらいかかります。それが嫌でサボってしまいました。図面を板に貼って加工する予定でしたので、図面も3p伸ばして作り直して張りました。
後はボール盤の出番です。ねじを切る穴の下穴か、バカ穴なのかを間違いなくやる為に、図面上でのチェックの上に、加工中に組み立て状況を検討しながら、前機種を参考に、先ずはネジの下穴を開けました。ネジは、タップを立てます。こちらは既に手慣れたものですから、作業は進みます。
仮組みをして追加工が無いことを確認し、母家に持ち込みました。とにかく、温度を上げてから組み立てに入ります。使ったネジはM8とM6のキャップボルトです。組み上がって重量を計ると1.8kgでした。
取り付けの為に、ドーム下の倉庫からMT160を出してきました。やはり軽く感じます。数値的には130EDTが一式12.0kg、MT160は10.0kgです。ここで、重いものの方を新しくて大きな同期装置に付けたほうが良いように思えましたので、130EDも外しました。130EDTは、ビクセンのSXホルダーを挟んでアリガタで接続していました。このアリガタを同期装置へ直付けに変更しました。また、取り外した旧同期装置に、鏡筒バンドをこちらも直付けします。余計な物を挟まないという考えです。
取り付けは、バランスを取りながらカメラがGINJI300にあるのと同じ重りを付けて始めました。バランスが悪いと、向けた方向でバランスが崩れてしまいます。冬場のグリスが硬くなる時期は、ちょっとしたバランスの狂いが原因で、自動導入中にモータークラッチが働いてしまいます。エンコーダー式ではありませんので、そうなったら、位置決めからやり直しになってしまいます。その後、配線です。赤緯軸以上は、1本で全てをまかなっていますので、たるまない、引っかからないことを優先して回します。ですから、そう難しい話ではありません。
オートガイダーにどの鏡筒を使うかですが、先ずは130EDTに付けておきました。制御ソフトが更新になって、赤経赤緯の方向を考えなくても良いようになったとのことなので、付け替えが簡単になったはずです。かなり贅沢なガイド鏡です。後は、星で、3本の鏡筒の同期を取り、実戦配置となります。
鏡筒を3本同架したことにより、同時使用の部品が出てきました。それらの部品の整理がかなりの困難となってきました。例えば、キャップ1つについても、何のキャップかを明らかにしたり、どれから外した部品なのか等を判るようにしておかないと、オリジナルが二度と判らなくなってしまいます。また、入れ物も満杯となってきて、適当に突っ込むと、再び探すのに暗い中では大変なことになります。そこで、光学部品や付属品を、しっかりと分類整理する入れ物が欲しくなりました。散々、考え、悩み、探した結果、押し入れ収納の整理箱を改造して使うことにしました。
背の高いものを置くと、望遠鏡の動きを制限したり、操作中の邪魔になったりするので、背が低く、ものも一時置けるし、イス代わりに腰を下ろせるという観点で、入れ物を置きました。引き出しになっていますので、中にハーティションを入れて、各種部品を整理して入れました。収納力はかなりありますので、暗い中でも、部品を取り出すのに迷わずにできるようになりました。
ところで、あまりに具合が良いので、試しに3段に戻してみました。特に望遠鏡の動きに支障が出るわけでも無く、中のわたくしの移動に問題もありません。南側で計測していた限界高さは、他の方向では、高くなるのでしょう。これであれば、南側にスチールラックがあるのですが、これを廃止して、同じような収納を置くのも良い手かも知れません。
部品の中でも、小さいものの代表である変換リングは、接眼鏡のような収納はできません。接眼鏡は装着サイズは1つまたはデュアルタイプですが、変換リングは2つのものを接続する役目です。それもオスとメスがありますから、分類の際は、あるサイズに注目して、そこから仕分けするしかありません。使い勝手重視の作戦です。それをレターケースで収納しました。
収納ケース用に間仕切りを数種類買ってきていたのですが、中でも、小分け用の間仕切りが光学部品用に使いやすく、追加で購入してきました。キャップに部品名を入れたのが、更に功を奏して、出し入れに迷うようなことが無くなりました。
背の高いスチールラックの中身のほとんどが収納ケースに入ってしまいました。空いたところに、更に収納ケースを入れても良かったのですが、その隣に工具収納用として組んだ背の低いスチールラックがあります(2012年12月棚の追加、棚の整理5)。これは2つのスチールラックを1つにまとめたものですが、それを2つに戻し、下の部分を収納用として空け、2つ並べて置きました。収納力は充分な余裕を持ち、どんな作業でも余裕でこなす体制ができました。
また、映像ではほとんど判らないのですが、パソコンのフードに手を入れました。支えの梁にアクリルの天板を乗せていましたが、これを降ろして、梁にアルミの定規を渡して、ヒモで縛るだけにすると、重量も軽くなり、また、占有する空間も減りました。フードは、この結果、望遠鏡をどの位置にしても、接触することは無くなりました。
太陽を撮影する場合、13センチ屈折の主鏡前に67mmのND400フィルターを取り付け、カメラアダプター側にND400またはND16を使い撮影していました。ND400フィルターは、減光手段としては足りない点と、カメラレンズでの使用を前提とした造りであって、長焦点である望遠鏡での使用を考えたものではない点が問題となります。この為、解像度の点で、どうしても数ランク下の映像しか撮れませんでした。この点を解消するには、専用のフィルターを使うしかありません。そこで、光学ガラスの研磨品を使用した100mm角の専用品を購入しました。
フィルターの取り付けは、67mmのフィルターを取り付けるようにしていた撮影用のフタに、100mm角のマルチホルダーを接着しました。安心して使用するにはこれが一番です。
フィルターと取り付け用フタ
取り付け状況
塗装
パソコンのフードを廃止しても良い条件が揃っていたので、パソコンを元の位置に戻すことを考えました。また、押し入れ収納のチェストを使った整理が大変に具合が良かったことから、更に1セットを追加して、ドーム内の更なる整理を進めるための配置変更計画を練りました。計画には、掃除も入ります。前回、パソコン位置を移動させたときに、ドーム内のゴミやホコリが目に付いていたこともあり、大掃除も行うことにしました。
ドーム内の物品を全て外に出します。出す為に車庫屋上の一部除雪(氷割り)をして用意をしました。
ドームの中が床とカーペットになったところで、掃除機で念入りにホコリから落ちているゴミまで取ります。1カ所、カーペットの下にワラジの死体がコロニーになっているところがありました。1番、目に付いたゴミは、ダウンの羽根です。風で舞います。これで、カーペットの表も裏も徹底的に掃除機をかけ、雑巾がけもおこないました。新品とはいえませんが、久しぶりの綺麗な状態です。
コタツ布団だけはスリットにかけました。
計画した配置計画です。整理箱3が追加されました。また、整理箱の間の3角スペースを塞いで、平らな状態にする棚も用意しました。
先ず、電源系統の再配置を最初におこないました。今回は前回のように配線材料から攻めなくても、余裕があるように作っていたので、配線を置き直すだけで済みます。
コタツ周りの設置
2番目の手順としてコタツの設置をしました。3番目がコタツの上のパソコン関係の設置です。続いて、整理棚の搬入、工具・部品棚の搬入で、ほぼ、ドームの中が決まりました。
コタツから収納箱
収納箱から工具棚
照明の配線をして、作業は終了です。照明は更に1灯を追加しています。ただし、いざ使うとなって、動かないでは笑いものですから、パソコンと赤道儀の動作確認をしておきました。
収納ケース3台を3段で運用していましたが、右端のケースの上に部品収納用のレターケースを2つ置いたのがやや邪魔になることがありました。もともと2段の高さで考えていたものですから、高さがそれだけ上がっていますので、当然の結果です。収納力も余っていますので、ここだけ2段にしてレターケース分の高さを稼ぐ事にしました。余った1段分のケースは、隣の工具棚の一番下で使うことにします。
同架搭載用同期装置を2012年10月と2013年2月に作成しましたが、水平方向の調整と固定に使用したキャップボルトのネジ長が調整範囲に対して短い状態でした。この為、調整範囲が大変に狭くなっていました。このねじ山のある部分の長さは、ボルト長にかかわらず一定の長さしか無いために、長いものを購入しても調整範囲を広げることが出来ません。そこで、ねじ山を入れてしまえば良いのですから、ダイスを使って長いキャップボルトを加工しました。また、加工後のさび止めは難しいのでステンレスのキャップボルトを使用しました。
この他に、キャップボルトを押しネジとしているところの、ネジ先端が平らでは無かったので、平面にして調整の際により滑らかに動くようにしました。
旧状態
新キャップボルトによる調整装置
部品整理箱として収納用ケースを用意しました。衣装用のケースですが、サイズがいろいろで用途に合わせて使えるメリットがあります。この点、木製や鉄製のタンスでは、当然のことですが良い高さのものがありません。しかし、プラスチック製ですから、強度はギリギリ、または足りない状態です。これは床にちゃんと置いて使っている状態で、計算された強度です。そして、ドームでは、床に観測室の壁を支えているリングが鎮座しています。この上に載せると、床面から3センチあがります。それをツーバイの材木、厚さ39mmを敷いて載せています。すると丁度、ケースの後ろ側の支え部分、ドームのリングの上が浮いている状態になっています。平らな床面では、ゆっくりと力をかけると、70〜80kgでも、まだまだ大丈夫のようですが、この状態では、支えが曲がってしまうのでは無いかと思います。
第1に、置き位置として平らな面の確保です。これは、床面のリングの上に、ツーバイの材木をコの字状に用意する事でできます。
第2に、乗ったり座ったりする上面に、板を敷いて加重が一点集中しないようにすることです。これも、それなりの厚いコンパネやベニヤの板を用意します。板材のままでは光学部品を置くのにためらわれますから適当な布を張ることにします。
そして、第3の点が判明しました。入れ物自体の強度不足です。衣装入れですから、それほど重いものは想定されていません。しかし、アイピースやその他の望遠鏡の部品たちが集まれば結構な重さになります。2〜3kg程度を想定した入れ物に10キロ近い荷物を入れると、入れ物の底が、目立ってたわんできます。まだ、開け閉めに差し障ったり、下と接触したりするようなことはありませんが、気分がよろしくありません。同じ系列の丈夫な品物では、対荷重45kgというような数字を出していますので、潰れたら、今度は高い方にしましょう。取りあえず箱の底に板を敷いてしまえば何とかなりそうです。
カーペットの上に材を置いただけの台を外し、カーペットを退けて、壁に沿ってケース3つ分を固定した台を入れ、位置決めをして、ケースを載せました。
それぞれのケースの底に板を敷きました。
隣の工具箱には、新しい小物入れや部品入れを用意して、収納力と利便性をアップしました。
ドーム登り口の補助階段で、手前側右足の材木が腐食しているのを発見しました。外側から見る限りは丈夫そうに見えるのですが、ここが腐ってきているとなれば、他の部分も怪しい状態のはずです。作ってから5年経っています。最初は、白木で野ざらし、塗装したのは1年後です。塗った塗料も単なる屋内用の水性塗料でした。よく持った方だと思います。折角、作り直すのですから、同じ物を作るのでは無く、改良してみます。ただ、使える材料が出れば、それはそれでOKと思い、分解してみました。しかし、部材の接触面や内部での腐敗菌等の活動は侮りがたく、使える材料はありませんでした。それどころか、気が付かないでいたら、踏み抜いて怪我をする事態もあり得たはずです。
今回は、この状態を鑑み、部材と共に防腐剤を使用することにして用意しました。
惨状
部材カット
防腐剤塗布1回目
組み立て
仕上がり状態、組み立て前に2回防腐剤を塗り、組み上がってから、仕上げ塗りとして3回目の塗布をしました。
登り口から
赤道儀のバランスウエイトは、オリジナルのウエイト1個8kgに、ビクセンのアトクラス用2個7s×2、バーベル用の重りを流用した5kg2個の32sを使っています。これにウエイトシャフトの延長棒を使うと流用物を使わないで済むのですが、長くて邪魔な上に振動が出ます。そして流用物は、さすがに流用物ですからウエイトとして必需であるはずのストッパーがありません。10kgとしては安価で良いのですが、径が大きく邪魔でもあります。そこで、ウエイトを何とかしたくなりますが、問題は予算です。当初はこの重量挙げの重りにストッパーを加工しようかと思ったのですが、手持ちの道具では無理難題でした。そこで、取りあえずの方法として、ビクセンの重りにネジ穴を作り、バーベルの重りを固定しました。見た目が良くないだけでなく、直径が23センチほどあって、かなり邪魔です。
既成製品を買うという選択肢は、既に無く、後は我慢して使うしか無いと思ったところで、以前、ウエイトシャフトの延長棒をお願いしたところで、丁度良さそうな鋼材を売っていることに気付きました。そこは、加工もやります。メールで問い合わせてください、というところでした。こちらでできない加工は、ウエイトシャフトが通る穴、25mm径です。我が家には機械としてはボール盤しかありません。12mm径の穴が精一杯でしょう。頼むのであれば、ストッパー用のネジ穴も頼んでしまえば、手間が省けます。純正ウエイトの画像と共に加工の見積もりをお願いしたところ、更に角の丸めと側面の一面加工を含めて、こちらの予算とピッタリに近い金額でした。
こちらでの作業は、ストッパー用のネジと塗装です。塗装は良い塗料があればOKです。ネジの方が問題です。キャップネジを入れてしまうのが最も簡単な手ですが、その場で緩めたり締めたりが、すぐできるようになっていないといけません。いちいちヘックスキーを取り付けてなんかいられません。純正品のこの部分も凝った作りになっています。当然、ボール盤でできるようなものではありません。ボール盤だけでできるというと、キャップネジのキャップの部分に横から穴を開けることはできます。そこに、タップを使いネジを切ります。そして取っ手となるネジにカバーを付けてねじ込めば完成です。
材料屋さんから、加工済みの部材が届きました。鉄の生地が美しいですが、うかうかしていると、たちまち錆びてきます。
板の上で塗装を始めましたが、あまりうまくいきません。そこで、シャフトに通して、回しながら塗料を乗せました。天候不順で気温もそれほどでなく、湿度が高かったので、下にアルミホイルで覆った電球を熱源として、脚立を覆うカバーを付けて温度を保ちながら、3度、塗り重ねました。
ウエイト、全員集合。
一番上が純正品ですが、ちょっと見たら区別が付きません。
使い始めた新しい階段ですが、1つ意見が出されました。それは、上り下りする際の動線の問題で、ドームから出て、階段の一番上から次の段に降りたところで扉を閉めようとすると、まだ、自分が邪魔になり、もう一段降りることになるというもので、つまり下から2段目まで下がると戸を閉めるのが楽だろうという意見です。これはコンクリートの階段をそのまま下りたとすれば、もっともな意見です。しかし、補助階段を付けた意味は、入口に対して真っ直ぐ降りるのでは無く、横に降りてしまうためのものです。ところがです。そう言い返しはしましたが、実は、少々狭いなと思っていたのが補助階段の一番上、つまり。下から3段目です。以前の階段は、この部分はコンクリート造りの階段に依存していたので存在しませんが、新しくした階段は、この部分があります。ショートカットできるはずなのですが、そのものズバリ、この場所に立って戸を閉めるのに、ほんの少し戸に近いのです。もう半歩分くらい欲しいところです。手としては、この部分、下から3段目を広げるか、あるいは、カットした下から2段目の部分を付けるかということになります。
他にも、少々使いづらいと感じた点があります。補助階段はコンクリートの階段に合わせて付けています。しかし、上り下りは、丸いドームを回り込んで出口へ向かいます。すると階段を斜めに上り下りすることになります。図面から見ると進行方向60度から30度くらいの角度で上がることになります。これが意外と違和感があります。
これを少しでも改善するために、当初作成していた新階段案の中にあった螺旋階段との折衷でもある、元の階段に対して斜めに付ける補助階段を作ってみようと考えつきました。要は、階段の向きを変え、最上段を広げるという改造です。こうすれば、追加部材が極小で済みます。先ずは、作図で確かめてみました
<−<− 当初
材料のカットを図から決め、正確に切断します。
追加の部材に防腐剤の塗布
上から仕上がり状態
登り口からの様子
1段目が、車庫の屋上の先に進むときの邪魔になったので、ツーバイ1本分だけ、右側部分を引っ込まして階段を付けました。前回の突貫工事出てきたものに比べ、かなりリファインされて使いやすくなりました。
最新 前バージョン 初期バージョン
工具箱用のスチールラックは、部品の落下を避けるために、棚板を上下逆に取り付けていました。載せていた部品箱を新たに棚に合わせて作ったことから、そのまま引き出す方が使いやすくなりましたので、棚板を普通の状態に戻すことにしました。一番上の段は、一時物置に使いますので、暗闇中の落下防止のためにそのままにします。
棚板を逆にしていました。
整理が行き届きました。
納品以来一度も触ったことのない13センチのEDトリプレットの表面や、16センチ反射の鏡面に汚れ、接眼鏡、各種光学系、フィルター等の全てを清掃しました。道具はナイコンの「ニコンクリーニングキットプロ」です。イメージセンサクリーニングを含めて各種クリーニングの為の用品がセットになっています。使い方の動画の入ったCD−ROMが素人さんには嬉しいかも知れません。とにかくシルボン紙を大量に使いました。
夜間作業のために、電灯を付けていますが、調光機能はありません。手持ちの常用ライトを使っていますが、片手で済む作業ばかりではありません。調光器を付けるか別のライトを用意するかすると、撮影時の作業が楽になります。部品箱には、以前、手元照明に使っていた調光式LEDランプが2個、余っています。 これを付けてみました。
取り付け状況
机からの照明は届きませんし、撮影中は届かせようと明るくすることは御法度です。
引き出しの中も見ることができます。
モニターは机の上に置いてあります。しかし、狭い机ですから、キーボードを下に納めるようにした台を作ってその上に載せたDVDプレーヤーのそのまた上に載っています。通常はこのような状態で問題ありませんが、安定はそれほど良くなく、地震の時には、被害地震の揺れにならなくても簡単に倒れることが予想できます。この場合、モニターだけの被害でも、財布には優しくないのですが、他のものを巻き込むこともあり得ます。事件を避けるためにも、モニターアームを使用して固定することが有効です。更に、モニターを上下2段にして使う事も場所的には可能になっています。そこで、壁面からの取り付けで、上下2段のモニター設置を行いました。
取り付け前状況、上に充分な余裕があります。
アーム取り付け用ポールの設置
取り付け状況
雨が続くとドームの中も湿気が入り込みます。光学部品は密閉したり湿気取りを用意したりすることで対策ができますが、コタツの布団、座布団等、湿気を吸ってしまいます。乾かす方法は晴れの日待ちで、その間はカビないようにお祈りをすることぐらいでしょうか。実際はそれほど心配はありません。締め切ってあれば、よほどの悪天候で無ければ、それほど空気は出入りしないのです。問題となるほどの湿気の原因は自分です。自分から出た汗や呼気の水蒸気は温度の低いところへ結露します。そして、運悪くレンズや鏡が対象になると、ひどい目を見ることになります。
天候が悪いときにドーム内のメンテナンスをすると、その湿気の多さに驚くことがあります。そして、雨であれば開口部を開けておくことが出来ません。つまり換気の方法がありません。100%近い湿度でも、換気さえしていればいつかは乾きます。ここで潤沢な資金があれば、エアコンをつけて常時運転ということになりますが、そんなものはありませんので、換気の手段を考えました。
通常のドームと違って、ここは床下に収納にも使えるスペースがあり、外部との換気口を別に持っています。ここから外気を取り込むことができます。下層とのフタに換気用ファンを付けてみました。負圧にも大変に強いブロアーファンで、昔ボイラーで使用していたものです。音はうるさいのですが、大型の扇風機程度の風量があります。
フタに付けたファン
強力なシロッコファンです。一応のゴミよけとして網を付けています。
フタを閉めた状態。正方形の小さな穴が吹き出し口です。吹き出し口にも網を付けています。
カーペットを敷き詰めていましたが、開口部を残してカーペットを敷きました。
モニターを机の上に固定することを前提として、ドーム内で動く鏡筒の動きを勘案するとモニターサイズは、ギリギリ21インチでした。それも少し斜めにしてのことです。これを基準にして設置していました。今回モニターアームを導入したことにより、上下2段のモニターを可能にしたのですが、移動が簡単になった事から、21インチで無くとも良くなりました。そこで、メインマシンと同じ24インチを入れることにしました。21と24の差は3インチですが、これが大変な違いがあります。
しかし、ドームでの使用は、減光用のフィルターを付けないと使用できません。そのままでは明るすぎるのです。目一杯暗くしても、まぶしいほどの明るさです。減光フィルターとして、グレースモークのアクリル板が手軽です。必要となる減光量を、アクリル板を重ねることによって調節できることも良い点です。ただ、モニターの大きさに合わせて作ってきたので、モニターが大きくなれば大きなアクリル板が必要になります。2ミリ厚のものを3枚重ねて使いましたが、今回は3ミリ厚を2枚にしてみました。
アクリル板の取り付けは、同じ形式を採用して、VISA規格の取り付け穴からアームを出して、モニタ上部に取り付け用のフックを用意する形です。
フィルター無し 旧小モニター
フィルター取り付け金具
フィルター取り付け後
使用状態
背面
下モニター、24インチフィルター取り付け部
上モニター、フィルター取り付け部
階段の2段目の端に乗ると、階段自体が転倒する危険がありました。これは支えの柱が端から9センチ内側にあること起こっています。ですから柱を端に付ければ良いわけです。ただし、柱を移動することは面倒な工作になりますから、追加で柱を入れました。これで、端に乗っても大丈夫です。
スピーカーは、当初、机の上に置いていましたが、床に落ちるほど場所が無かったために、減光フィルターの取り付けステーを延長してモニターに取り付けていました。今回、モニターを上下二段にしたことにより、取り付けたスピーカーがドームに当たるようになりました。そこで、ネジ止めした位置から外して、内側にあるステーにマジックテープで止めました。
手元の照明は100Wのレフランプに調光器を付けています。これが最大光量と調光のやりやすさから最も便利です。ところが、大電力のコタツを導入したところで、電圧変動の影響が出てきました。電圧降下としては1〜2ボルト程度なのですが、明るさとしては結構ギリギリの暗さにしますので、そこで電圧が下がると消灯してしまいます。そこで調光して明かりを取り戻すと、今度は電圧が元に戻って、明るくなりすぎます。
100ボルトを安定化する事も考えたのですが、手軽にできそうも無かったので、ACアダプターによる定電圧でLEDライトを調光することにしました。材料を漁っている内にUSBの調光ライトを使っていることを思い出し、現品を最も暗いモードにして使って見たところ使えそうです。同じものを注文して取り付けました。また、調光機能の無いUSBのLEDランプを時計やタイマーの照明専用に点灯しました。100Wのレフランプも現役ですが、暗いモードはLEDに任せての運用になります。ちなみに上画面はバクマンのオープニングでヒロインが写っています。
ドーム内外の移動のために、懐中電灯が必要になります。門灯を消し、玄関を出て、車庫の上に上がりドームに入るまでにある程度の照明が必要です。ドーム内でも機材を見るために、ドーム内の照明を付けるわけにはいきません。その為に調光機能のある懐中電灯が必要です。最初、単3電池2本のケースに3ボルト以下でも使えるLEDを付けた簡易な明かりを造りました。色も赤や緑、黄も試しましたが、結局、減光が充分であれば白色が一番使いやすいことも判りました。また、マンガン電池では、LEDといえども、使う電池の量と価格はバカになりません。そこで充電池を使うようになったのですが、ニッケル水素では1.2Vが公称で1.5Vに比べて電圧が下がります。明るさも下がります。そこで、電圧降下分を見込んで単3電池を3本入れる電池ケースを使って手元用の照明を作りました。LEDの選択も楽になり、高輝度の白LED10個を使い、スイッチによって輝度を変えていました。これが1台目の手元照明ということになります。それまでの経緯から赤の照明もできるようになっていましたが、実際のところ赤色灯の出番は少なく、必要がありませんでした。それまでの作品は、枕元用の夜間照明として、電灯を付けずにトイレに行くようなときに活躍しています。
ところが、充電器は2本セットで充電する機器がほとんどです。1個でもできるというのは珍しいくらいです。電池を4つ使ってしまった方が、途中の抵抗による損失を考えに入れても使い勝手が上がることになります。そんなことから、2台目のLED懐中電灯が計画され、作成しました。高輝度のLED20個を使用して、スイッチで輝度を変えるのは同じです。2台目の1個のLEDの配線が切れて付いたり消えたりするようになった事と、使い勝手が1台目よりも面倒になった点がありましたので、ドームの照明に抜本的な手を入れるための部品を注文するときついでに必要な部品を一緒に頼んだのです。
1台目、2台目、3台目
3台目回路図
3台目は、2台目の電源のスイッチが、電池ケースのスイッチを使用していたところを、1台目と同じように、明るさ切り替えスイッチをON−OFF−ONの3段に戻して、ケースの電源は使わないようにしました。このケースのスイッチは、大電流の使用には向かずに接触不良を起こすものがあります。また、1台目は使いにくいけれど小さな切り替えスイッチが幾つか付けていて、赤色LEDを付けたり、細かい明るさ調整ができました。1台目と2台目の経験で、必要な明るさはよく判っています。目が明順応しているときと、暗順応した状態での明るさに合わせて2台目を明暗の2段階に調整しましたが、それぞれで、若干の明るさ調整が欲しかったのです。そこで、輝度の切り替えにロッカースイッチを1つ付けて、輝度調節をもう一段できるようにしました。輝度調整は4段あって、目が明順応しているドームからの出入りと、ドーム内での暗順応した状態で、それぞれ明暗をつけることにしました。
LEDの取り付けは、高輝度のものを使うときは、製品のばらつきによる差を出さないためと、断線や破壊による影響を最小限にするために、最も強い明るさ用の電流制限抵抗を個々につけることにしています。
1台目、2台目共に、エキボシの接着剤で配線や部品を埋めてフードを付けていましたので、修理ができなくなっていました。今回は接着剤は部品の固定だけに用いて、フードは取り外し式にしました。フードを付けないと、裏側でもかなり明るくまぶしくなります。LED1個で60〜75カンデラの強力な明るさですので、直視するとレーザー並みに危険な明るさとなります。
先月末、机まわりの照明のうち、照度の低い部分について、LEDを使用したものに切り替えました。しかし、やはり便利なのは、白熱電球、100Wレフランプを調光するものでした。併用していたのですが、要はLED側は、あまり役に立たずにいました。LED側にも調光機能が付いているのですが、如何せん調光範囲が狭いのです。
これは製品の不備ではありません。通常の使用には考えられないような暗さと同時に、通常使用の明るさも持ち合わせる照明器具なんか、例え、ローエンドのオモチャのようなものでもないでしょう。さんざん悩んだ末に最終手段を取ることに決めました。LEDを用いて充分な光量とゼロからの調光を実現するというものです。LEDの調光は電流量が少ないが故に、可変抵抗(ボリューム抵抗)を使って行われていました。しかし、明るくするためには、幾ら効率が良いとはいえ、電流量が増えます。電流量が多くなれば、ボリュームも容量の大きなものが必要になりますし、そこで失われるエネルギーが熱として無視できないものとなってきます。そこで、定電圧の電源を使用するのでは無く、可変できる電源、電源の電圧を変えてしまうという方法で、調光の問題を乗り越えることにします。
この手の部品屋を調べると、可変電源のキットが僅かながら用意されています。DC−DCのレギュレーターが目に付きますが、スイッチング方式を用いて高効率で変換してくれます。その中に、電圧を変える機能を持っているものがあります。そして、その電源としてDC電源が必要ですが、手元には、以前、赤道儀のモーター用に用意したところ出力不足でお蔵入りした36Vスイッチング電源があります。この出力を使えば、充分な電源容量があります。選んだパワーLEDは3Wのものを6個使い、18Wの消費電力です。大まか白熱電球の5倍の効率ですから、白熱電球100W相当の明るさを期待できます。
白熱電球用の調光器のコントローラーはボリューム抵抗を使用していました。しかし、冬季の低温下では動きが硬くなってしまい、力一杯回さないと動きません。この点はロータリースイッチに抵抗を配置して、快適に調光できるようにしていました。これと同じように、DC−DCコンパーターの電圧制御にもローターリースイッチを使用しました。冬場もこれで安心です。
電源部に調光用ローターリースイッチを付けたものと、発光部を別々に造り、別々に取り付けるようにしました。この為、取り付け位置の自由度が上がり、使用性も良くなりました。
LEDの色として電球色を選択したのも正解でした。LEDの白色光はかなり青が強く、明るくするとまぶしい感じがありましたが、電球色では、明るさの割りに刺激の少ない色になりました。暗所の照明用に赤色を使う方が多いのですが、かえって見にくくなりますので、黄色に片寄った色がお勧めです。ただし、LEDの黄色は、オレンジに近いのでナトリウムランプのようになってしまいます。
白熱電球100Wとリプレイスしてみたところ、LEDの最大出力の半分程度を出している状態で、ほぼ互角の明るさを実現しています。最大規格いっぱいを使うと寿命に響くと思いましたので、この程度で使うことにします。
ほぼ100Wレフランプのレベルです。
電源部 隠れて見えませんが、ローターリースイッチのために半固定抵抗を10個、基板に並べて調光しています。
発光部 放熱板を更に放熱板に付けています。
カメラレンズによる撮影の為に何回も取り付け場所を工夫してきました。2008年8月には基本のアリガタに雲台を取り付けています。2013年1月には30センチ反射の鏡筒バンドに雲台を乗せるアリガタを付けています。この間にも、何とかカメラそのものを乗せる工夫をしていますが、一向に決定打が出せませんでした。これは、カメラレンズの画角とスリットの開口距離によって、カメラを取り付ける位置が制限されていることの結果です。カメラレンズを使うのは、標準や広角レンズを使うためです。望遠鏡を使っての撮影は、超望遠の撮影ですから、画角とスリットの幅に問題は出ません。しかし、標準レンズでは写し込む範囲が対角45度くらいはあります。広角では更に広がります。ということは、カメラの位置がスリットに近いところへ制限されるということになります。今までの取り付け方法は、赤道儀からそれほど離すことができない為に、結局、視野を遮られてしまうことから、変更を余儀なくされていました。
今回は原点に戻って、2009年3月に作成した広角専用搭載アームからヒントを得て、主鏡30センチ反射の筒先にカメラを取り付けることを計画しました。通常であれば、鏡筒バンドを一本用意して、そこに雲台を取り付けるのですが、それだと位置の変更が、鏡筒バンドを緩めて動かし、再度、締めるということになります。鏡筒先にクランプで止めるのであれば、移動は簡単で、カメラ位置をスリットに寄せた上に、ピント確認や撮影範囲の設定が楽にできるようになります。この点が、鍵となります。また、カメラとレンズは、合わせて2s程度ですから、それほど強力な支持部分にならなくても良いと踏みました。
クランプを追加工作して雲台を乗せ、筒先に固定できるようにしました。使って見ると、30p反射鏡筒の筒先にカメラを載せる作戦は、大きな成功となりました。30センチ反射の筒先をスリットに寄せて、カメラを良い位置に取り付け、露出します。それに、フィルムの時代のように30分も露出していることはありません。せいぜい数分です。カメラのレンズもデジタル対応となって良い出来です。D800の能力も発揮できます。
今回の作業には、もう1つ隠れた目的がありました。改造D300によるカメラレンズ撮影です。改造はカラーバランス・フィルターの取り外しのみで済ましましたので、AFが効かないだけで無く、レンズによってはピントが合わないものがほとんどとなっています。これは取り外したフィルターによって、その分の光路長が減算され、無限大位置がカメラ本体側によってしまった結果です。AF用のレンズでは、ピントが無限大位置よりも内側まで動きますから、ピントが合う場合がありますが、標準レンズでは、その余裕を超える場合がほとんどでしょう。
望遠鏡の直焦点では、ピント合わせはライブ・ビューによりますから問題にはならないのですが、カメラレンズで、ピントが正しい位置まで動かなければ、ピンボケになります。当初の計画では、カメラレンズによるHα領域の撮影は考慮されていなかったので、それはそれで良しでした。ここで、それをやってみようと考えついたことから、始まった計画です。搭載はうまく出来るようになりましたが、ピントの問題が残りました。
思い付いた手が失敗したら、D300の改造元に、クリア・フィルターの追加を出すことに腹を決めて、1枚のフィルターを注文しました。思い付いた最も単純な手というのは、カメラレンズの後ろ側で、外したカラーバランス・フィルター分の光路長をレンズ保護フィルターを付けて稼げば良いと言うことです。
星野写真を撮るためのレンズは、性能重視です。DXフォーマットで2つありますが、片方は12-24mmという広角ズームです。もう1本は18-50mmという比較的使いやすい焦点距離です。この2本のレンズの一番後ろを見ると、前者は後玉がかなり出っ張っていてフィルターを付けるのは難しそうです。後者には少し余裕があって、フィルターのガラス部分だけなら付けることができます。そこで、適当な大きさ、31mmφのレンズ保護フィルターを用意して取り付けてしまいました。この結果、ほぼ距離目盛りどおりの動作となって、撮影が可能となりました。
これで、心置きなくカメラレンズでの撮影ができます。どうしても他のレンズで撮りたいということであるのならば、D70の出番がやって来ます。こちらはAFが効く状態での改造ですから。いままで、星野写真の撮影は、三脚に載せた固定撮影に限られていましたから、選択肢が増えたことになります。こちらについても、ドームの開口部に別のクランプを取り付けてカメラ雲台を用意し撮影できるようにしました。