マウナチャリ山ケロ丸天文台の歴史 2012年
昨年、2011年の12月も押し詰まって、ポルタの電動化を行った頃の事です。ドーム内の機器の動作確認を行っている最中に、1つ気になることが出ました。パソコンが動いていないのです。ドームの電源の大元を入れると、パソコンが立ち上がるようにしていました。BIOSの中の設定にある停電復旧後の動作で、電源を自動的に入れるようにしているのです。大元から切ってしまうので停電しているようなものです。パソコンは2台あります。片方はファンの音で動いているのが判りましたが、もう一台、新しい方のファンの音がしません。おかしいと思ってチェックです。電源のLEDは点灯しています。このマシンは今までトラブルをしばしば起こしていました。そして、映像出力が出ていない事を確認しました。リセットボタンが無いマシンですので、電源ケーブルを抜いてしばらく待ち、再び入れてみました。電源のLEDは点灯しますが、ファンもハードディスクも動きません。電源のファンすら動きません。これはかなり重症です。
マシンのケーブルを外して母家に持ち込みました。冷えているとはいえ結露しないほど家の中が乾燥しています。疑うは電源部です。暖めてから、再チェックしたところ電源からの12ボルトが数ボルトの出力です。5ボルトは出ていますが、回線によってはダメなのもあります。そして、このマシンはスリム型で、電源は汎用の規格品ではありません。購入は2006年で5年半前になりますから、いかれる部品であればそろそろという時期でもあります。まあ、隣に置いたマシンがその倍以上の期間、問題を起こさず使えているというのがイモを引きます。
これを修理に出すという選択肢と、新しくしてしまうという選択肢があります。修理では現状維持です。多分、新品よりは安く済むか、修理不能がどちらかでしょう。それに、汎用の電源を買ってきて外付けで使うという離れ業もあるでしょう。実はやろうとしてみました。ところが、持っている電源ユニットは古くて規格が合わずに断念したのです。もし、電源が格安で手に入ったら試してみても良いかと思います。ただし、CPUは3ギガあっても、やはり5年前の製品ですし、スリム型と言うことで、いろいろ無理をしているようです。同じCPUを積んでいるタワー型に比べて、何か動きがもっさりとしているという印象はぬぐえません。そして、選択肢として新マシンの中に中古マシンというのもあり得るでしょう。ところが、中古マシンとしてタワー型というのは、マイナーな存在です。スリムタイプの中古というのもメーカーものでもねぇ。
とすると、新マシンを入れて、ドームの作業を1台でやらせるという方向へのシフトが妥当のような気がしてきます。というのは、そもそもドームマシンが2台になったのは、CPUパワーもあり高性能なはずのこのマシンが、シリアルポートを使うTheSkyと、USBを使うルクバトが干渉して同時に使えないという、マシン固有のトラブルを抱えていたからです。ですからCPUスピードが半分でしか無いサブマシンにTheSkyを入れて自動導入を任せていたのです。
最近のマシンはシリアルポートが無くなっていますので、シリアルポートを拡張カードで補うことになります。昔、そのカードを検索したら数万円という大変に高い金額でびっくりしたことがあります。あらためて調べて見ると三千円を切って売られているものがありますから、それほどの負担にはならないでしょう。そして、幾つかBTOのショップを見て回ると、2店で競ることになりましたが、何と3万円で、ハードを用意できます。ハッキリ言って高性能なマシンは必要ありません。最低でも充分なのです。ただし、電源だけは大きなものにしました。どうせ気温が0℃以下なのは使用環境から外れますし、トラブルマシンではマイナス10℃を下回ったところでハードディスクがストライキを起こしていました。暖めなければならないのであればコタツがありますし、気温は何とかなりますが、マシンの余裕は大切です。
いろいろな事情で、マシンを調整できたのは、今年も10日を過ぎてからでした。このマシンの調整には、様々なトラブルが出ました。決して安物だからということだけではありません。最新の装置であることとともに、過去の遺産を切り捨てて安くしたものだからということになります。フロッピーすらつながらないのですから。
まず、9X系はメモリ量ではねられます。続いて、外部記憶装置との接続法が新しくなっているので、2000やXpでのインストールが止まります。インストール時にドライバーを入れられないのです。手はないわけではないようですが、手元の状況ではダメです。するとインストールできるOSはVISTA以降ということになります。それほどソフト的には厳しい使用状況ではありませんがVISTAでは心配なところがありますので、セブンを入れました。
そして、ウイルスソフトもちゃんと導入、各種ソフトをインストールしているところで、一太郎が入っていない事に気付きました。そういえば、インストールディスクが無い。あれっ。どこに行ったのだろう。置く場所は決まっているので他の所にしまうはずも無く、それでも家捜しとなってしまいました。でも、出てきません。さあ、一つ頓挫です。何しろ、マックロソフトのFEP、それもカナ漢でないのは、さんざん某所の借りたマシンで嫌気がさしています。最終の手は過去バージョンの導入ですが、購入したソフトは必ずバックアップを取って、別所に保存してあります。今回はそれを使う事にしました。
期日としては、予定外な出来事の連続で、遅れに遅れましたが、基本のセットアップは終了です。後は実戦ですが、これも搬入は天気の良い昼間にしたいので、休日待ちです。置き場所は椅子の下と決まっています。
イスは半日も悩んで、結局、四角四面で、中にミニタワーが納まる形にしました。仕様変更で要らなくなった場合でも、専用にしていたら他の所で使えなくなりそうだという判断です。
これが出来れば、パソコン頓死に始まったトラブルが終息です。昨年中にこれらの対応が済んでいるはずでしたが、諸般の事情で遅れに遅れることとなりました。結果的にできあがったものは、使ってみれば計画通りであって、満足できるものとなりました。
早速、日中から用意をして実戦配備を抜かりなく行いましたが、1つだけオートガイドのビデオ出力をキャプチャーユニットを経てUSBで取り込んでいるのですが、この点のチェックが漏れていて、キャプチャーユニットのドライバーを入れる作業が追加されました。そして、使用してみれば、今まで最も調子の良いときを超える操作性が実現できました。
コタツ前のパソコン内蔵椅子
背もたれも付きました
赤道儀に電動ポルタUを載せたことから、モーターへの配線が2本、コントローラ用のケーブルが1本増えています。その上、電源をわざわざ経緯軸から持ってきています。ここで必要なものは再配線でしょうか。再配線は何度もやっていますが、結構手間です。折角やるのでしたら、便利になるようにしたいと思います。つなぎ先を同一にして、必要な電圧だけを使うようにして見れば、間違いも無くなるでしょう。12Vと9Vのコネクタは同じものを使っていますが、オスメスを逆にしていますから間違えることはありません。しかし、間違う可能性を残しておけば間違えるというのがマーフィーの法則です。
電源ラインの部材にLANのケーブルを使うことにして計画を立てました。望遠鏡にLANの回線はありませんし、今後もLANでつながるとも思えません。ですから、流用することによる間違いは無いでしょう。LANではコネクタと装置のケーブルを自分でつなぐことができますし、LANのフラットケーブルが良さ気に見えます。
一番の直接的な再配線の動機は、直流12ボルトのコネクタの不具合です。これに関連して9ボルトの回線も頻度は低いのですが接触不良を起こすことがあります。この2つは直流電源のDCプラグとジャックを使っています。信頼性は低いと見ます。これに対して5ボルトは電話回線用のコネクタとケーブルを使用しています。こちらは接触不良の不具合を起こしたことがありません。DCコネクタより信頼性が高いと思います。そして、その電話と同じコネクト形式なのがLANです。次に、ケーブルの増加による錯綜です。ここで、直流電源の3本を1本に出来れば、配線のスリム化にもなります。操作性としても、電源として同じソケットを並べただけで、どこにつないでも使えるというのは、今後の変更や改良についても有利な点となると思われます。
赤道儀トップの配電盤が一番問題です。LANのハブを改造するという手が有効のようですので、全ての配線と共に改造の予定に入れます。節分の日一日で再配線を終える予定で開始しました。ところが、朝6時半から始めたのですが、日付が変わろうというときになっても終わりません。慣れないこともありますし、全配線のユニット化も作業の目的でもあります。意外と細かい配線が必要になっていることもあります。
先ず配置場所の下から始めました。電源部です。この電源部の変更はそれほど難しくないはずでした。幾つかの選択肢に悩んだ末、結局は12VのACアダプターと5ボルトの電源ユニットを廃止して、36Vから高効率のDC/DCコンバータから電圧を取るようにしました。カメラ電源はACアダプターを継続使用です。この変更で、電源ユニットの出力に12ボルトが増えましたので、モジュラージャックに出力を増やし、装置外でLANの回線に引き渡します。
続いて、赤道儀の最上部、鏡筒群に電源を持っていく端子に取りかかりました。LANを差し込むところが並んでいるハブですので格好も良いとの採用です。ハブの中身である基板の上に実装されていた部品はキレイさっぱり削り落として、LANのコネクターとRCAのコネクタだけになっています。
そして、ここからが最も時間のかかる部分となってきます。暗視野照明装置のユニットです。5Vは電話回線のジャックを使用していました。それをLEDまで変更すると大変なので、ユニットからはMJを使用し、ユニットから電源回線を中継できるようにするために入力と出力のLANジャックが付きます。この配線が大変です。8本をつながないといけないのですが、手作業です。基板にパターンを書いて専用回路にしてしまえば楽なのは間違いありません。しかし、ワンオフモデルでその手間をかけるのも如何でしょうか。
そして、第2日。残りは4つの内、2つ残っていた暗視野照明装置です。これらを片付け、いよいよ昼からドームへの持ち込みです。設置は上から、旧配線を外し新しい配線へと変更していきます。他の懸案事項だったことを片付けながらですから、少々時間がかかりましたが、何とか夕食前に終わることが出来ました。
動作確認をしている内に、おかしな事が出てきました。ポルタドライバーの動作確認を始めたところで、12ボルトの様子が変です。電圧が足りません。LANソケットには確認用のLEDを付けています。それが暗くなります。テスターで調べると9ボルトを下回っています。電源側ではちゃんと12ボルトあるのですが、出先ではありません。戸惑っている内に切れました。どこかで断線したようです。嫌な予感です。何か匂いまでします。配線はブロック化していたのですが、切れた場所が良く判りません。で、もしかしてと思ってブロックの接続に使っていた延長アダプタの中を見ると・・・焦げていました。再配線計画炎上です。
問題はポルタドライバーに必要な電力を考えに入れていなかったという一言に尽きます。他の部分は消費電力が低く、トラブルになるような事は無かったのです。しかし、ここで、損害が出たわけですから、この点だけを補完するという手もあります。他の12V機器はCCDです。電力として2ワットちょっと、0.18Aですから問題は無いと思いますが、不安は残ります。とにかく別回線でポルタドライバーに給電するという手が第一にあります。それでも、焼損した部品は手に入れなければ動きません。
延長アダプタで焼損が見つかったのですが、延長アダプタは全部で4つ使っていて、その内、2つが焦げていました。それは細いより線で作られています。しかし、それよりも細い配線材で、赤道儀トップの配電盤が作られています。こちらは何事も無いのが不思議といえば不思議です。勿論、途中のケーブルにも異常はありません。
対処療法で対応しても良いのですが、気分の悪いこと、不安の残ること、とは言っても、さんざん考えて取った手ですから、利点が沢山あります。それを元に戻すのも実は大変です。視野照明装置を元に戻すくらいなら作り直した方が良いのです。次の手を決定し、再度配線をするまで、U−150は視野照明装置が無い状態となります。
変更された主電源部
接続部材とケーブル
赤道儀トップの状況
配線状況
電源部基部
配線焼付を受けて、配線を太くする計画を作成します。コネクタが巨大化しても、高価格化してもダメです。色々と探し回ったところ、パソコンのP4電源に使われたコネクタがみつかりました。接続は確かだし、電線の太さにも問題が無いと考え、注文し、到着した部材を並べて、予行演習します、LANでつないだ部分のリプレイスです。また、この関係で視野照明装置はこのコネクタ部分だけが改修予定になります。
配線作業には、前回と同じ程度の時間がかかることになりました。そして、LANケーブルによる配線変更の容易さが損なわれること無く、新しい配線が完成しました。これ以上の配線となると、配線材にゴムを使用した低温でも固くならない物を使用するものとなります。
電源部組み上がり
電源部
電源ポール上部
赤経軸モーター
赤緯軸モーター
赤道儀トップ配電盤
主鏡・ガイド鏡・対象確認副鏡の3本搭載型にしていましたが、対象確認副鏡の稼働率はゼロに近く、主鏡とガイド鏡の2本体制に戻すことにしました。
配線を太くする計画で、再々配線を行いました。使ったコネクターは、このような使用を前提とするものでは無いのですが、問題はありませんでした。ところが、別のところで問題が発生したのです。太い配線材を使用して配線の抵抗を下げることで大電流に対応させたのですが、太いというところで問題が発生しました。特に今、ドーム内の気温は氷点下です。マイナス10℃や20℃の場合もあります。そうなると太い導線の被覆が固くなり、無理に動かしていたら被覆材が損傷することが確信できました。これでは、先の状況より悪くなってしまいました。
そこで、機器の搭載状況や配置を検討して、最適化を図り、その上で取り回しの良い配線を充分に考えました。そして、同時並行で材料探しをしました。最大の変更点は、ポルタドライバーのメインユニットの置き場所です。置き場所が無くてぶら下げていたのを解消するには、下に置いたユニットからモーターへの配線を伸ばすしかありません。このポルタドライバー、配線材にビニルでもかなり柔らかい物を使っています。ゴム系に比べれば、低温でやや固くなりますが、今使っている配線材のかたまり具合からすれば、良しとすべきでしょう。目標はソフトビニルです。
ポルタドライバーの本体を下に置くことにすれば、同じように上からぶら下げていたコントローラーも赤道儀のコントローラーと並べておくことができるようになります。そして、同じようにCCDのコントローラーも、もっとぶら下げやすいところに移動できるようにします。これで、配置計画は現状の設備に対して最適化できたことになります。コネクターは、調べたところminiDIN9よりもDINのほうが格段に安いし、大きさもそれほど違いありません。DINに決定です。
今までの方法を整理して、下から各配線を持ち上げ、赤道儀のマルチプレートで配線ボックス(赤道儀配線ボックス)を用意します。そこから2つの鏡筒のファインダー脚に配線ボックス(鏡筒配線ボックス)を用意して機器に配線します。
部材を発注、到着したら作業を少しずつ進めるつもりでしたが、なかなか時間が取れず、結局、前と同じように土日に一気に作業です。今回、最も手がかかったのは暗視野照明のコントロールボックスです。
配線計画
作成した部品
付属ユニットの状況
赤道儀配線状況
赤道儀配線ボックス
鏡筒配線ボックス
結果は上々、今度こそ計画通りの結果です。
ところで、鏡筒配線ボックスの取り付けが、ヒモで縛るという方法でしたので、箱にマジックテープをつけてファインダー脚に固定するようにしました。ついでにファインダーの暗視野照明でLEDを固定していた青のマジックテープが大分疲れてきていたので、黒の新品に交換しました。鏡筒の黒と見分けが付きにくくなって、これはこれでデザインも良くなりました。昔から色物と呼ばれる、アクセントに白黒以外の色を使った鏡筒は売れないという通説がありましたが、さもありなんということでしょう。黒の部分に他の色を使用すると、個性として強力な主張をするようになりますが、性能が付いていかなかったりすると、返って名前を落とすことになります。ウイリアムの金色やペンタックスのくすんだ緑はデザインとしてはすぐれています。
ディスプレイにスピーカーが付いているのですが、取りあえず付いているというもので、せいぜいOSのの出す音用です。音は出ているけれど、音楽にはなりません。それだけで無く、音量の調節がダイレクトに出来ません。ディスプレイの押しにくいスイッチを操作するのは、手袋をしていたら不可能と言っても良いでしょう。そこで、DVDからの音声は、ディスプレイの後ろに置いたパソコン用スピーカーから出していました。後ろに置いたのは置き場所が無かったからです。オーディオルームではありませんので、これで充分です。ところが、その場所で、何かあると倒れて落ちます。スピーカーの位置が問題です。そこで、何とかディスプレイの横に置けないかを考えました。
ディスプレイの裏にはアームを付けるための規格のネジ穴があいています。これを利用して、スピーカーの箱をディスプレイの左右に固定するという方法が良さ気でした。そこで、材料箱を見ると、ディスプレイの明るさを落とすアクリル板を付ける為に使った断面がコの字型のアルミアングルが、うまい具合にピッタリでした。配線もすっきりさせることが出来て、大変具合が良くなりました。
ところで、ディスプレイの明るさを落とすアクリル板なのですが、下は今回使ったアルミアングルをディスプレイの前面の枠に接着剤で付けています。上は支えを出してバインダークリップで止めているだけですから、特段問題は無く着脱は簡単にできるのですが、取り付けるときのアクリル板の衝撃、大した振動では無いのですが、繰り返していくと徐々に剥がれが出て来ることが判りました。しっかり付けるのであれば、ねじを使って止めなければならないでしょう。この解決にはアクリル板の取り付け方法を変えなければならないのです。いろいろと考えた結果、アクリル板の上の隅に穴を開け、ディスプレイの上からフックを出してぶら下げるという方法が、取り付け取り外しに変わらない操作性がある上に、本体に手をかける必要が無くなります。転用できるということになります。先ほどのスピーカー取り付けアームから支持棒を伸ばして、取り付け用の棒が出たアングルを作り、接続しました。
その他に、ディスプレイの設定スイッチの押しにくさの結果として、パソコンとDVDプレーヤーを切り替えるのが大変に困難でした。これを解決するには、別に何らかのチェンジャーが必要です。そこで調べると、PC出力のDVIと、DVDプレーヤーからのHDMIを切り替える装置というのが、無いわけではありませんが、目の前の場所に置けるようなものでは無い上に、財布に大変な負担となるような代物でした。そこで、どんなスイッチが売られているのかと、それらを見ていくとHDMIの切り替えスイッチは廉価でした。DVIとHDMIは単なるアダプターや変換ケーブルでつなぐことが出来ます。そこで、そのチェンジャーとケーブルを注文しました。DVIソケットに挿す変換アダプターは持っているのですが、背面にスペースが必要となります。PC本体は椅子の下に押し込んでいますので、余裕が少なく、やってみたところ2センチほど足らなかったのです。これで、パソコンからもDVDプレーヤーからの映像を切り替え機の押しやすいボタン1つで変える事ができるようになりました。
オートガイド用に8cm700mmの屈折を使用していました。取り付けたガイド用CCDは、高感度のものですが冷却では無いので、一応の限界があります。また、さすがに40センチ1800oのガイド鏡としては、少々力不足であり、もう少し焦点距離が欲しくなります。そこでバローレンズを挟んで使用しましたが、今度はFが暗くなって、対象を変えるごとにガイド星を探して、調整をする事になりました。40センチを使う場合の特例ということになるので、それはそれで良いのですが、今回、撮像装置が更新となります。画素数が3倍となりますので、より高精度のガイドが必要になります。つまり、40センチを使うときのレベルで、25センチや13センチを使う事になるのです。そこで、ガイド鏡の高性能化を図る必要が出ました。しかし、重量的に増えることは避けたい事です。当然ですが口径を大きくすれば自動的に重くなります。口径8cmを10cmにすれば1.5倍以上、12pにしたら2.5倍程度を覚悟しなければならないのです。2kgが3kg、5kgとなります。これを避けるためにカーボン鏡筒を選択すればその分、価格が上がりますし、重量が増えないわけではありません。良い手は無いかを悩んでいたら、反射式という手が使えることにやっと考えが至りました。VixenのVMC110と95の重さが2.3s、2.0sなのです。
それらの商品の評価は、それほど高いものではありません。評価する輩は、オモチャのような価格を無視して高級屈折と比較するのが良いと思っているようで、長焦点の惑星用望遠鏡という方向へ特化しているものであることも忘れています。その点はガイド鏡として適性があります。手元にある一番小さな反射はタカハシの10cmですが重さは4kgもありますし、焦点距離が600mmしかありませんので、ガイド鏡失格です。
VMC110Lをガイド鏡とすると、もう一つ利点があります。鏡筒の長さが現状より半分以下となります。狭いドームが広くなるほどではありませんが、頭をぶつけて痛い思いをすることも、ガイドが失敗する事も無くなるでしょう。到着したVMC110LはVドットファインダーが付いていましたが、これを箱から出すこと無く、ガイド鏡に付けていた正立ファインダーを付けてリプレイスしました。
搭載状況
旧ガイド鏡8センチと10センチ
湿潤な天気が続いて、ドームに入らない日々が続いていました。そして、屈折機の導入により稼働率の低くなった25p反射に問題が発見されました。ドーム内に立ててあった25p反射を使おうと、赤道儀に上げて光軸のチェックに入りました。光軸は調整しなくても大丈夫という状態でしたが、鏡を見ると無残な姿になっていました。見れば、斜鏡にもカビが付いています。
カビが繁茂しています。とにかく洗浄です。洗い上がってルーペで調べると、こそかしこにあるカビのコロニーの中心で、アルミメッキを通り越してガラス材まで食い入っています。太陽の光でスカしてみると、カビであいた穴が、星のように輝いています。レンズのコーティングがカビでやられたという程度のもので無く、星像に影響するであろう事が想像できます。これでは再メッキもやるだけ無駄となります。
簡易に取り付けて、恒星の焦点外像を撮影してみました。無残な像です。反射16センチにも劣る、屈折13センチにもはばかる状態となってしまいました。
光軸を合わせ、撮影をしてみましたが、いわゆるピンが出ない状態です。まして、撮像装置は高画素化していますから、いかんともし難い状態です。眼視にならごまかしも少しはききますが、蓄光したらもう駄目です。これを新品に戻す為の費用は、新品一式を買うよりは安いでしょうが幾らも変わらないというのが腹立ちの元にもなっています。
25センチと同じく、隣に立ててあった40センチは、主鏡を上にして逆さになった状態で格納していたので難を逃れたようです。その他の鏡筒は、全てフタをする形になっていますから、特に問題は出ていません。
取りあえず、駄目なものは仕方ありません。ドーム下の収納庫へお蔵入りです。ついでに、使わなくなった8、10センチのアクロマート屈折も元箱に入れて、足元に収納しました。10センチ反射も、稼働率0を誇っていましたので、床下収納です。赤道儀には、何とか無事だった40センチを載せると、ドームの足元が広々としています。広かったんですね。
書き込み用星図を幾つか作成していました。最も最初の自作星図をA3横で作成したところ、A3をめくって使う机の広さがありません。この為、見開きA3サイズで書き込み用星図を作りましたが、実際の運用では、使いにくくなりました。細かく分割されている為に、重複領域が多くなり、その部分では、最大4カ所に記入が必要になったのです。それを避けるために1枚の表示領域を広げると、内容を縮小することになります。これでは、ドームの中の暗い照明では、よく見えません。そもそも、これ以上は小さくできないという文字の大きさで作っているのです。
ドーム内での星図の役目は2点、撮影対象のNGC番号を知ることと、撮影したかどうかの確認にあります。ですから、星図から撮影対象を選び、撮影メモに記入、撮影を終了してから星図には丸印と日付を入れることになります。これらの作業は、デジタル化が可能であるとは思いますが、撮影内容が星図に寄らないものもありますし、最も確実なのが、メモ方式なのです。
そこで、A3の見開き、A2横の大きさを何とか机の上で広げ、撮影メモに転記できれば、役目が済みます。必要な大きさは、縦42センチ、横60センチです。大きさでは、標準星図より大きめですが、標準星図はB4サイズを縦に見開く形です。標準星図は縦が60センチ弱となってしまいます。ベクバルとスカイアトラスとは同じ大きさですが、これらは片面印刷でめくって使用するので、更に横に余裕または折り返してということになります。実際のところ、ドームの机で縦横42×60センチを確保するのは困難です。しかし、手はあります。手前側にはみ出して置いても良いのであれば、十分に対応可能です。
自作星図は、パソコンで星や撮影対象となる天体を記入しています。最初に作ったものは、重なり処理が無くて、重なって表示されました。それもプリンターにそのまま出していましたので、重なり処理ルーチンを作って対応しました。しかし、どんなに処理をしようとも、手作業で見えやすくしたものには、かないません。その上に、赤経赤緯の線は引いても値が出ませんでしたので、後で書き入れていました。そこで、今回、再作成するに当たって、画像ファイルとして出力し、修正に対応する形を取りました。また、星座の星をつなぐ線を入れると自分としては見やすくなることから、星座絵を見ながら星座線を用意して、表示するようにしました。印刷する紙も今回は両面印刷ができるように厚手の紙を用意しました。
一度作ってから、内容を確認していたところ、手作業での重なり処理の部分に足りないところが沢山見つかり、再作成をしました。特に、必要性を感じていなかった南天部分での表示のおかしなところがありました。これらの重なりは特に星雲星団が集中しているところで見られるので、日本から見える領域では、銀河に沿った領域と、乙女座付近が作業領域となります。ところが、南天では2カ所、独立して存在しています。何じゃと思ってスカイアトラスを見ると、大小マゼラン雲でした。ここて一生懸命に作っても、見られないんだよなぁとモチベーションは低かったのですが、一応、全天について作業を行いました。
できあがってから、その日のうちに実戦配備になるという慌ただしさで、古今珍しく実用性の高い星図となりました。
この星図については、ハーシェル番号というレアな部分が注目点ですので、天文資料館の方へダウンロード可能としておきます。
新しい星図を広げる為に、現状のディスプレイの台、つまりキーボード格納用の台の上に、星図の上を乗せました。キーボードの上に乗っかってパソコンが勝手に動くのを避けるためです。しかし、見ている内にキーボードの上に落ちます。これではいけません。そこで、台となる軽くて薄い合板を用意して、ディスプレイの台の手前側と共に、5ミリ角の角材を接着して引っかかるようにしました。物理の問題文で軽くて薄いと書いてあれば、重さと厚さをゼロとして無視しろという意味ですが、実際のところ700グラム、3mmです。これで安心して星図を広げることができます。
通常の状態、星図と台は横に立てかけておきます
台の装着状況
引っかかり具合
星図使用状態
今まで、何度もいろいろな同架体制を試してきましたが、一応シンプル・イズ・ベストの方針に舞い戻って、主鏡とガイド鏡の二本立てにしていました。その中で使っている鏡筒が、結局は40センチ反射、25p反射、13センチ屈折の3本に限られていました。16センチと10センチの反射、10センチと8センチの屈折は場所ふさぎとなっていたのです。その中でも主力級であった25センチ反射が戦列から離れた結果、40センチ反射と13センチ屈折の選択肢しか無くなっていました。同架状況は完全に入れ替えのパターンです。
今回、反射鏡筒の導入に当たって、使用形態を考慮すると40センチ反射を載せている状態と、新型機と13センチ屈折が同時に載っている状態の2つになれば、撮影中の搭載鏡筒の変更が少なくなることが予想できます。ただし、主鏡2本の搭載は、重量の問題をクリアした上で、2本の鏡筒の光軸が同期していないと、帰って使いにくくなってしまいます。実はこれは難題です。望遠鏡業界自体がミニマムですし、その中でもっとマイナーな方法です。そんな部品なんか、売っていません。売り出しても決して売れませんし、外注したら新鏡筒がもう一本買えるくらいかかるでしょう。結局、頼るは自分です。必要なものは13センチ屈折に同期装置の付いた搭載用アリガタシステムです。武器はボール盤、タップにカナノコくらいですが、何とか頑張ってみましょう。
先ずは、計画が肝心です。充分に考え、作ることの可能な構造で、求められる機能を実現し、耐久性と今後の変更にも対応しているものであれば理想です。
赤道儀には超大型のアリミゾを付けていて、長さが40センチのアリガタが2本あります。1本は40センチ反射鏡筒に直接固定しています。もう1本が、今まで使い回してきていたアリガタで、その上にいろいろな機材を載せるようにしています。今回は、このアリガタシステムを残して計画を進めます。重量的に厳しければ、このアリガタ・アリミゾシステムを外して搭載するつもりでしたが、概略の計算から大丈夫であることが判りました。
搭載重量には二つの要素があります。一つ目は実際の質量です。軸にかかる重量で、マウントも含んだものになります。市販の赤道儀では、二つめの要素と関わって明示されていません。基準も曖昧です。ドイツ式赤道儀の場合、赤経軸に取り付けられた赤緯軸にカウンターバランス用のマウントが付いています。原理的にはマウントを追加すればもっと重い機材でも自在に搭載できるはずですが、実際には強度の問題で振動したり動作不全を起こします。二つめは、マウントと機材の軸に対するモーメント荷重です。軸を回転させる力は、地球の引力ですが、軸からの重心距離にも比例しています。つまり、バランスウエイトをそのままにして、ウエイト軸を伸ばすと、より重い機材が載る。機材はそのままで、ウエイト軸を伸ばすとウエイトの質量を減せるわけです。しかし、細いウエイト軸ではタワミが出たり振動したりしますので、大抵の場合は使えない方法です。
市販されている赤道儀の場合、機材側の軸からの距離を変えることは、かなり難しいのですが、U−150の現在の使用状態である、アリガタに載せる形では、回転にかからないところまで機材の軸距離を短くすることができます。アリガタから支持棒を出して、より軸に近いところへ取り付け位置を変更すると、それだけで少なくともマウントのバランス位置が変わることになります。
計画
計画が決まれば、部材の注文です。個人相手に切り売りしてくれる材料屋さんがあって、何度か頼んでいます。
部材はジュラルミンA2017で12tの80×500が2本、15tの40×80が8個あります。
4カ所の切断が必要ですが、切る機械はありませんので、カナノコです。思えば高くなっても切ってもらった方が良かったと後悔しきり。A2017の硬さは鉄と同じくらいです。厚さ12ミリを8センチ切るのに約20分かかります。1時間半ほどの予定外の重労働となりました。作業の中で一番大変だったのがこの作業でした。多分大変だろうと判っていたので、厚さ15ミリの板材は8切ってもらっていたのです。
ボール盤で穴を開け、タップを立てるとネジで締めることができます。A2017はアルミですが硬いのでヘリサート無しでそのまま使えます。
水平微動側
垂直微動側
アリミゾを付けて部品完成
アリガタと接続
アリガタシステム完成
アリガタにポルタUを搭載
現行システムを新アリガタに搭載
搭載してから、強度や位置、取り回しについて検討した結果、ガイド鏡の取り付けに変更を加えて強度を上げ、取り付け位置を修正する事にしました。最小限の作業で済ますために、部品を一つ追加するだけにして、取り付け方を変えて、実現しました。
修正計画
再組み立てしたアリガタシステム
載せてみました。
同架用アリガタは新鏡筒を載せるために考え抜いた形式です。25p反射の鏡面をカビで駄目にしてしまい、修理費用を勘案している最中に、35mm版サイズでの写真撮影では斜鏡が小さいために更に改造が必要であることも判明しました。また、接眼部が新しいカメラの重さにたわんでいることもわかり、再メッキ料金と部品代で、買い替えた方が安い場合さえあり得るという事態が出てきました。そして、再メッキしてもガラスまで食い入ったカビの痕跡が消える事はありません。つまり、25pの修理はあきらめろということになります。2008年5月からよく働いてくれました。
買い換えとなると、今度は欲が出てきます。同じものは売っているのですが、撮影用に特化した新商品が追加されているのです。そして、一回り上のサイズのものの価格もそれほど高くなるわけではありません。その上、U−150には楽々載る重量ですし、やりようによっては撮影用鏡筒を2本載せる事も可能です。それを実現しようと考えたのが新型アリガタです。
注文先はKトレーディング、注文品はGINJI300FN、例の如く通販業者としては前世紀の遺物ですが、こちらで判っていれば扱い方はあります。なあに、いつ荷物を出すかの予想を立てておけば良いのです。送料はこちら持ちですので、用意しておけば良いのです。9999円を用意していました。そして、到着に合わせて新型アリガタを完成させようという計画だったのです。
到着しました
恒例記念撮影
計画通りの搭載状況
夕刻は雲間から月や星が見えていたのですが、19時頃に一雨来て、あがったところに荷物が届きました。玄関で開梱し、ドームへと持ち込みました。専用のアリミゾを取り付ける際に、締め付け用のノブが干渉してしまいましたので、キャップネジに取り替えて使いました。一雨の後、雲が薄くなることも無く、星像検査、撮像検査は後日となります。
30センチ反射の重量は20sあります。持てない重さではありませんが、持つところが限られます。片手で持ち上げ、片手で固定金具を操作しなければならないのですが、手がかりが無い状態では、困難です。アリミゾの固定用ネジは、6角のキャップボルトに変更していますから、なおさらです。持てるからといって無理にやれば、落としてしまうこともあり得ます。まして、これから歳を取り体力が落ちていったら、よいとまけ方式は不可能となります。
40センチ反射の場合は、赤道儀に上げること自体が困難でしたので、当初はドームの上に滑車を付けてぶら下げました。この方法も結構危険で大変です。そこで、高さを合わせた台に乗せてから、赤道儀への取り付けをおこない、そのまま台をどかせば、使用可能という方法を使いました。結局これが一番の方法です。
ここで、高さを合わせた台が必要ということになったのですが、新たに台を作るのは手間だし、邪魔です。40センチ用の台を縦に置いてみたら、10センチ位足りないという状況でしたので、この台の側面を10センチだけ張り出せば、事は済んでしまいます。台そのものは、椅子や足台として使っていますので、この加工で不具合が出ることはありません。材料も余っているものを使い、加工も簡単です。
この位置から、赤経軸を回すと離陸します。
横に少し張り出しただけですから、邪魔ではありません。
30p反射に結露結氷対策をしておくことにしました。40pも25pも対策を施していたのですが、電熱線による暖房のためにケチケチとしていたのが裏目に出て、25pは空しいこととなってしまいました。ドーム内に気密型では無い反射望遠鏡を置くのは禁じ手だったのです。そこで、40pと25pに付けていた電熱線を外し、改めて30p反射に取り付けるという計画です。
40pのセルに取り付けた電熱線を外すために、鏡筒から外して母家に持ち込みました。40p反射鏡は前回(7月)に調べたときは大丈夫だったのですが、既にドームの中で結露し、少なくとも洗浄が必要な状態となっていました。こちらは、洗浄後、保管体制を取ります。
30pのセルに電熱線を取り付け、遮光スカートを取り付けました。そして空気の流通を妨げるために先を絞ってみました。
使用した電熱線は、単なるニクロム線では無く、埋め込みで使う凍結対策用の賢い電熱線で、温度があがると電流が制限され、無茶な温度にはならないという機能を持っています。氷点下になると働き、常温では電気が流れません。そして、鏡筒の中には乾燥剤が入れてあります。この乾燥剤は、効果が切れると色で表示し、電源につないでやると回復するというものです。結露結氷する水蒸気が無ければ現象として起こらないという、二段構えの対策です。
対策を終えて、光軸調整をしている中で、降っている雨の音が変わり、みぞれから雪になったことが判りました。慌てて、滑り止めのゴムを階段に出しました。これが無くて一旦滑ってしまうと、下まで落ちます。そうなったらタダでは済みません。たちまち一面銀世界となります。18日が初雪というのは、かなり遅いほうです。
40p反射鏡の汚れと洗浄後
25pと40pに付けた電熱線
30p鏡筒内の乾燥剤
電熱線取り付け後の30p鏡筒セル側遮光スカート(ブルマの声あり)
初雪が降ってきました。これは積もります。
30p反射の主鏡セルは温度順応を素早くするために開放型になっています。スカートを付けて絞っても、空気は流通します。露点温度より反射鏡の温度が下がってしまえば、結露してしまいます。湿度をできるだけ下げて露点温度を低くし、更に空気の流通を押さえれば、結露しても曇る程度の最小限で済みます。反射面に蓋をするというのが一番の手なのですが、手も届かないし斜鏡のスパイダーで蓋は入りません。そこで、主鏡セルを外から密閉するという方法をとります。筒先は専用の蓋があり、内部には除湿剤を入れますから、気が付かないうちに結露でカビ繁茂なんてことは無くなるでしょう。
密閉するために、カバーを作りますが、重たくなってはいろいろと支障が出ますので、できるだけ軽く仕上げるために、段ボールと厚紙を使って成型し、ビニールを両面に貼りました。取り付けは、内側に隙間テープ(スポンジ)を貼って、そこそこのテンションをかけて付けます。400グラムほどですので、温度順応の問題が無ければ、そのまま取り付けていても使用できます。
遮光スカートは、ヒモで縛って使っていましたが、取り回しはそれなりに面倒です。そこで、マジック・テープを接着剤で付けてみました。40センチ用の遮光スカートは、接着剤では不安だったのでマジック・テープを縫い付けたのですが、充分な強度が出ています。取り付けも取り外しも、ほとんどワンタッチで楽になりました。
2インチのバーロレンズが1つ増えました。収納先に少々困っていたところで、ドームの中の滞貨の整理をしたところ、広大なスペースが生まれました。そこに新たに収納棚を入れて、備品の管理を行うことにしました。旧整理棚を備品付属品の専用とし、新しい棚は工具と部品・材料とします。また、作業中の一時物置として棚の上は大変に重要です。
ホーム・センターでスチール棚を物色したところ、希望する高さ1メートルのものがありませんでした。また、棚板の数も足りません。そこで、超格安の高さ75pのものを2つ買ってきて合成してしまいました。これで棚板も6枚あり、高さも自由度が上がります。これを組み立てた後に、旧スチール棚の棚板間隔を少し広げて、使いやすくしました。
新棚、工具、部品・材料
旧棚、備品専用
組み上げてから、品物を並べていると、旧スチール棚のA4縦収納棚が、かなり無駄となっていましたので、ここに部分棚を作りました。これで、部品の収納は余裕が出ました。
配置少し変更
部品棚に部分棚
カメラをバルブで動作させるのは通常は行わない操作です。しかし、シャッターにバルブが無い一眼カメラのには出会ったことがありません。しかし、ナイコン純正のリモートコントロールユニット、ルミコントロールセットML-3はバルブが出来ません。想定されていないようです。定価1万8千9百円に相応するか疑問を感じるところです。しかし、これを改造してバルブを可能にするには発光部と受光部に手を入れないと無理ですし、使える機能を潰すことになります。
バルブの出来ないML-3
2010年1月に導入したオートガイダーのルクバトでは、カメラをコントロールする機能が付いていますが、出力は超ミニピンジャックが用意されているだけです。つまりこのままでは某社の一部のカメラ限定の機能となります。そこで、何とかナイコンの10ピン・ターミナルに対応したコントロールをしたいと考え、バルブ機能を持つワイヤレス・リモコンを探したところ、ベルボンから販売されている韓国製のユニットが見つかりました。うまいことに、このリモコンはピンジャックでつないだ有線でも使えるものです。つまり、ボタンの出力は赤外線の回路とピンジャックに出されています。これをピンジャックからの信号を入力として、赤外線を出すようにしてしまえば良いわけです。そんなうまく行くかと思って、回路を調べると、ピンプラグを入れると電池からの電源を切ると同時に出力を切り替えています。そうなると話は簡単です。電源を切らないようにして、ジャックの信号を赤外線の回路につなげれば良いのです。発光部だけの改造で使えるようになります。
当時の改造は、要はジャック周りの配線を二系統、ショートさせるだけで、外部出力を受けるようになります。当然ですが、リモコンを有線(ケーブル)
接続で使うことはできなくなります。今回、コントロールするカメラが2台となるので、リモコン一台で同時にコントロールも出来るし、別々にも出来るようにします。その為に、もう一台のリモコンを改造しておきます。
R3−UT
分解には2カ所の+ネジを外します。シールは丁寧にピンセットなどを使って剥がせば、再びくっつきます。
部品同士は、はめ込み型ですから、無理をしないで慎重に動かして外していきます。
基板が外せたら、いよいよ改造です。
ショートさせる場所は2カ所です。
確実に導線とハンダを載せます。
細かい仕事ですから、拡大して。他の配線をショートさせないように。
これで、ナイコンの10ピン対応の受光部に向けて指令を発することが出来ます。つまり、某社のピンジャックと同じ出力形式で出て来る信号に対応するリモコンとなったのです。ちなみに、某社のカメラでも使えるリモコンとなります。R3−UTNは、受光部に改良を加えR4になっていますが、送信部は同じですので、同じ改造でミニジャックからの入力で動作させることができます。送信部は識別コードがどれだけ用意されているか判りませんが、それぞれ独自のコードで受信部と対応させているとのことです。受信部の方にコードの対応を変える操作があり、1つの送信部からの信号で2つに同時にシャッターを切らせることが出来ますし、別々の送信部からそれぞれ別の受信部をコントロールできます。今回はどのような形でも対応できるように、2つの送信部(発光ユニット)を改造しました。
反射鏡の結露結氷防止用に付けた電熱線への電源供給に使っている、決して安物では無い1mの延長コードがプラグのところでショートしました。原因は低温によるコードの被覆の硬化に伴う破壊です。低温用のコードを作成する予定です。ところで、棚に入れたプラ・ケースは百均で買ったもので、蓋と本体は、開け閉めにプラスチックの柔らかさに期待した耐用回数があるタイプであり、また冬場の低温では特に硬くなっています。こちらも先行き問題が出るのは当然です。判っていたのですが、そう年中使っているものでは無いし、どうするかの方針も立ちませんでした。ここに来て、一番古いプラ・ケーが、破断寸前になってきました。
当初はベニヤに布張りの箱を考えてホームセンターに部材を求めたところ、カラーボックスの中に品物を整理するインナーボックスが売られていました。これを使って、部品を整理してみました。小さな箱に分けて入れるのも良い方法なのですが、ごそっと入っているのも、使いやすいことがわかりました。普段、置いてあるだけに近いものは、そのままにして整理したところ、収納率も上がり、探し回るということが少なくなりそうです。
ただし、入れ物はボール紙を芯にした布製ですので、湿度については注意が必要です。
接眼鏡を何本か追加しました。なかなか良いものなのですが、焦点距離によって大きさとカラーリングの色が違っているシリーズものです。多分、全シリーズを購入したのであれば、違いがわかったのだと思いますが、カラーリングの色が、箱に印刷された色と全然違っているものがあります。スペクトル順に並んでいるのですが、緑から黄色までの色が黄色と区別が付かないくらいのものになっています。オレンジや赤、青はちゃんとした色です。カタログや商品の箱にはエメラルドグリーンになっているのが8mmなのですが、どう見ても黄色です。百歩譲っても薄い黄緑です。モニターによって色が違う場合がありますという程度では無く、全然違う色です。黄緑になっているはずの10mmと、どちらを選ぶかで、緑の8mmを選んだのですから、気に入りません。
販売店に問い合わせると、これで良いのだということで、暗に性能とは関わりの無いところで騒ぐなという返事です。改善するつもりはないようです。自分で色を塗ると返事をしておきました。
で、塗りました。緑です。蛍光緑が欲しかったのですが、蛍光緑は、本当に蛍光塗料でしたので、ただの緑です。リングは外れますので、外に出る部分だけに着色します。充分に乾かして、完成です。