マウナチャリ山ケロ丸天文台の歴史 2009年
赤道儀に鏡筒を搭載する形式として、40センチは単独、それ以外は、反射の25、16、10センチを主鏡とし、8センチ屈折を副鏡として同架する形に加
え、カメラも載せる事が出来るようにしました。こう聞くと便利なようですが、搭載鏡筒を変更する場合、取りかかってから再度撮影まで、手際よくやっても
30分が必要です。そして、早くやる為には結構体力を使います。ダラダラとやっていたらもっと掛かってしまいますし、冬場は着込んで着ぶくれていますか
ら、もっと操作性は落ちます。気温にもよりますが、冬場にマイナス10度位となると、寒さに耐えて連続撮影出来る限界が2〜4時間程度になりますから、無
駄な時間は使いたくなくなります。そこで、昼間の内に撮影対象を見極めて使う鏡筒を選んで付けておくと言う手を使うようになりました。複数の焦点距離で取
りたい場合は、諦めるか、他の撮影分を使って載せ替えるかという事になります。不便ですが、それはそれで仕方のない事と諦めていました。
事態が変わったのは、副鏡として使っていた8センチ屈折を、能力アップする為に10センチにした事から始まります。単なる副鏡のはずが、安物であるにも関わらず、試してみたら撮影に使える代物だったのです。
1.副鏡を主鏡に同期する為に使っていた経緯台が、カメラを付けた10センチ屈折に耐えられなかった。
2.カメラの取り付け位置が同架の鏡筒2本と、カメラ単独の3つとなって、バランスの調整がかなり難しくなった。
3.同架によるドーム内空間の占有が大きくなり、着ぶくれした身体には狭くなっていた。張り出しが大きくて頭をぶつける。
何とかしないと、怪我をしそうですし、どうすればよいのかを悩んでいました。
不具合の解決法
架台に余裕があれば、たくさんの鏡筒を同時に載せたかもしれません。ところが、それは使いやすくする方法ではありません。赤道儀は天の北極と南極を結ぶ
軸を中心にして回転します。望遠鏡の同架の状態は、望遠鏡の向きに従って変わってしまいます。載せ方を工夫しても使いやすい方向、使いにくい方向が出てし
まいます。
解決法は原点に帰れです。1つの架台に1つの望遠鏡が、1番扱いやすいのです。望遠鏡に副鏡を付けるのは、赤道儀が貧弱でガイド用に別に焦点が必要な場
合、主鏡が大きすぎて小さなファインダーでは足りない場合というような、何かしら主鏡側の必要に対応してのことです。わたくしの場合は、25センチ反射の
ファインダー台座の固定に問題がある事と、撮影視野をもっとよく見る為に副鏡を用意したのです。その結果、25センチに交換した時に副鏡の同期が大変に面
倒でした。その面倒さ故に、25センチを付けたままで、外したくなくなるのです。そこで、25センチのファインダー台座を強化して、主鏡と同期したファイ
ンダーにすることが必要です。
これによって、載せる鏡筒は1本という形を作る事が出来ます。そして、鏡筒の入れ替えは、素早くできるようにする事です。口で言うと簡単ですが、先行きの同架のバリエイションにも対応出来るようにした上で、本当に使いやすくするように考えます。基本方針は
1.主鏡はアリガタ・アリミゾ式で交換時間2〜5分とする。
2.ファインダーは共通台座を用意して正立ファインダーを常用できるようにする。(お金があれば全部にそれぞれ付けるのですがね)
3.カメラレンズでの超広角使用を可能にする。
まず、現状の大型アリミゾ・アリガタ・システムの上に、ビクセン規格アリミゾ・アリガタ・システムを載せます。これは、大型アリガタの売値が高価であ
り、鏡筒分の数を注文したら、立派な屈折鏡筒を買える価格になる為です。それを買う位でしたらフライス盤のミニ版を購入し、自分で加工します。フライス盤
は欲しいような気もしますが、アリガタを作るだけでは無駄です。とにかく汎用型といえばビクセン規格です。独自規格の好きな国内有名製作所もこれには勝て
ませんでした。その位普及しましたから、価格も大変にこなれています。喜ばしい事です。ただし、25センチ反射にもこのアリガタが付いていますが、さすが
に強度不足で、タワミが無視出来ません。こちらは大型アリガタに搭載です。
赤道儀━大型アリミゾ━┳━大型アリガタ大━━━40センチ反射own making
┣━大型アリガタ小━━━25センチ反射GINJI
┗━大型アリガタ大━Vアリミゾ━┳━16センチ反射MT-160
┃ ┣━10センチ反射MT-100
┃ ┣━10センチ屈折SE-102
┃ ┣━━8センチ屈折
┃ ┗━━カメラ雲台
┗━KDS経緯台マウント━Vアリミゾ━┳━カメラ雲台
┗━8センチ屈折
ここまででは3.の超広角使用は出来ていません。しかし。Vアリミゾからアームを伸ばして、スリットに近い位置まで持ってくるような金具を付けることで解決です。これは出来たシステムに載せるだけですから、他を変更しなくて済みます。
続いて、ファインダーですが、10センチ屈折SE-102だけがビクセン規格の台座接続です。GINJI-250も同じ規格のはずですが、ほんの少し小
さなサイズで、支持部の足が入りません。従って、8センチとSE-102以外の4本のファインダー台座を交換又は別途取り付けすると、共通規格となりま
す。ファインダー本体は8x50mm正立と逆さまの8x50mm、9x50mmの計3本が共通台座に入ります。常用として正立を使い、取り替えても主鏡と
の光軸同期に1〜2分で、不用意に触って動いてしまう事はありません。台座の取り付けに注意すれば、そのまま使えるようにする事も可能です。ただし、正立
ファインダーの取り付けはオリジナルなので、これをビクセン/SYNTA社規格にするブラケットが必要であり、それも発売されています。
ここで、部品として必要な物がピックアップされてきましたので、注文です。ビクセン規格のアリガタとアリミゾ、それからファインダー台座、正立ファイン
ダーブラケットが、それぞれの数だけ必要になります。特殊な部品ではないので金額的にはそれ程の出費とはなりません。勿論、全ての鏡筒に正立ファインダー
を付けようなどという事を考えると、これまた、とんでもない出費となります。望遠鏡が買えます。
システム部品化
注文した部品を使える形にするには、取り付け側に幾つかの加工が必要です。まず、個別にファインダー台座とアリガタをそれぞれの鏡筒に取り付けます。
次は、大型アリガタにビクセン規格のアリミゾを取り付けた、10〜16センチ用の中核部品を用意します。こちらは、大型アリガタの良い場所にねじが切ら
れていませんので、適切な位置に穴を開け、ねじを切らないといけません。また、この大型アリガタには、カメラを載せる事が出来るようにします。その為にケ
ンコーの経緯台を取り付けます。この経緯台はビクセン規格のアリミゾが付いていますので、ここにも鏡筒を取り付ける事が出来ます。このケンコーの経緯台に
は、8センチ短焦点とSE-102を載せる事が出来ますが、更にカメラを付けると搭載限界を超えます。ですから、副鏡としての使用に限られます。主たる目
的はカメラ単体での搭載ですので、アリガタにカメラ雲台を取り付けます。
注文部品
自宅にある望遠鏡で、最も重要なのはドームに入ってから撮影なり観望なりの対象導入までの機動性です。良い空を求めて移動する時間を惜しみ、一瞬の晴れ 間でも無駄にしないという方向に特化するものです。そうでなければ、条件の良いところ、大抵は遠くなりますが、そのようなところに機材を持っていく、又は 観測所を用意するということになります。
40センチ反射以外用の基本形
単独搭載
広角用アーム
棚の高さを変えて、物品の収納状態を変えました。百均で買ってきたプラスチックの箱が部品入れとして並び出しました。
収納の改善
気をつけて歩いても滑る危険は減りません。手すりに掴まりながらの上り下りです。そこで、滑り止めのゴムを足のつく場所に張り巡らせました。何しろ階段で滑ったら一直線に落ちます。怪我で済めば御の字です。
40pを赤道儀に載せるために、最も最初は、先ず主鏡セルを外した状態で鏡筒を赤道儀に載せ、続いて主鏡セルを鏡筒に取り付けていました。必要時間は1時間半程度です。
それがだんだんと面倒になり、40p反射を赤道儀に載せるために、ドームの開閉口の上に梁を渡して滑車を付け、ロープでつり下げました。この作業に40分ほどが必要でした。それでも腕力と体重の必要な作業で、なかなか定位置へ持っていくのに苦労します。何しろ35キロあります。当然のことですが、40pに&から換装しようという気力が萎えます。
次に考えたのが、赤道儀のバランスウエイトを外してアリミゾを横に向け、台の上に乗せた40p鏡筒のアリガタをはめ込み、バランスウエイトを取り付けて、そのまま持ち上げるという方法です。時間はバランスを調整込みで15分以上はかかりません。また、鏡筒を高さ60pの台の上に乗せるだけですから、鏡筒に手がかりがあればそれほど苦労しません。で、高さをビシッと合わせた台を作成しました。この台、ドームの中でイスや足台、もの置きとしても便利に使っています。
机は組み立て式のもので、下にパソコンを入れたりストーブを入れたりすることが難しくなっています。そこで、ドームの形に合わせた机を作ることにしました。ドームの壁に合わせて円形の縁を持つ天板に足を付けました。更に、ブラウン管モニターは場所を取るので、液晶の19インチスクエアと交換しました。机が広くなり、A3で作った星図を置いて使う事が出来ます。
机と星図の製作/ブラウン管モニターから液晶ディスプレイへ