マウナチャリ山ケロ丸天文台の歴史 天体観測ドーム設置


天体観測ドーム計画の発動 2007年 6月

ドーム基礎の計画と施工  2007年 7月

ドームの取り付け     2007年10月


天体観測ドーム計画の発動 2007年 6月

  計画の骨子
 便利さを求める人間の欲求には際限がありません。たとえクリック1つですら面倒になるのです。車庫の上にできた屋上望遠鏡台への不満は、屋上でなかった頃より大きくなったものが1つあります。20キロを超える望遠鏡を上に持って上がる。終わると持ち帰る。これは特に冬場では結構危険な作業でもあります。そして、それでも、より大きな望遠鏡が欲しい・・・。これ以上大きな望遠鏡は固定式だ。望遠鏡の収納は、ドームかスライディングルーフである。それを買う金があれば望遠鏡のランクアップを。家を買った時のローンがまだまだ残っている。ドームを建てる余裕があるのなら、それを返済に当てれば利子による損失が少なくてすむ。それでは定年後にドームが建つ。定年後に直ぐポックリ逝ったらどうするんじゃ。これを脅迫という。渦巻く考え。そして、要求主任のチャリ・ホツ・クーが背中に刺している団扇の付箋紙の台詞がかわりました。
 そして、遂に動き出す新計画です。(許可が出るなんて思ってもいなかったので・・・現実に作るとなると計画を練り直さなければならなかったのです)


 まず、天体観測ドームの設置位置です。車庫入り口側では、隣家が西側に立ちふさがるので、出来るだけ南、後方にします。すると、階段からのアクセスが難しくなります。直径を小さくしなければならなくなります。望遠鏡の口径として40センチが欲しいと思っていましたので、F4.5とすると1800mmになります。ニュートン式は筒の長さが、だいたい焦点距離程度になります。それを赤道儀に載せドーム内で動くようにするには最低限の大きさが決まってきます。計算すると最低直径2.7mとなります。規格は2.5m、2.8m、3mですから、2.8mとなります。この大きさで、ギリギリ手すりをすり抜けて屋上に出ることができます。
 次に、地上から3メートルでは南側の家の屋根でけられている部分が多くなります。この為に高さをもう少し上げる必要があります。かさ上げが必要であると言う事です。どの程度、上げることが出来るのかは予算の問題ですので、業者との折衝になります。
 そして、望遠鏡鏡筒とドーム直径が関連していることと共に、鏡筒を搭載する赤道儀についても十分な検討が必要になってきます。これらは既に量販店で売っているような代物では無く、また、専門業者に丸投げをすると、予算の十倍を超える請求書となる事もあり得ます。その上、それだけ出しても、性能や能力が足りないという話を聞くに付け、自分で気に入った物を選ばないといけないのです。ここで、ドーム、鏡筒、赤道儀の三位一体の計画が必要となったのです。


ドーム基礎の計画と施工  2007年 7月


 ドームは見積もりを出すまでもなく、ニッシンドームに決定していました。他社には無い特徴があるからです。それはスリット開閉のための支持金具が外部に露出していないという点です。支持金具露出式や上下開閉式は、降雪期になれば必ず問題を起こします。そして、支持金具露出式はその支持金具が例外なく貧弱です。台風の強風を受けて折れたらスリットが飛んでいってしまうでしょう。ニッシンドームのスリットの開閉はステンレスの太い棒を支持用に使っていて強度的にも安心できます。オプションとしてアルミ外装というものがありますので、こちらも選択しています。ドームの外装部分をアルミにすることは美観と耐久性のためになります。海岸がもう少し近ければオールステンレスを選択したと思います。
 基礎業者と打ち合わせしていく中で、ドームの基礎部分の立ち上げを45センチにしようが90センチにしようが、同じ価格だと言われて、そのまま90センチで発注しました。ドームの床が地上高3m90cmとなったのです。何も言わなければ壁の厚さは15センチが標準だそうです。そこで、床面の厚さを20センチにして貰いました。まともな天文台の作り方でしたら、望遠鏡のピラーのための基礎とドームの床面を別に作るのでしょうが、そこは個人天文台です。木造でしたら、不必要なほど強く作ったうえに、望遠鏡の下で、鉄板とコンクリで台座の慣性重量を上げないと使い物にならないでしょうが、この車庫は鉄筋コンクリート造りです。今まで使っている車庫の屋根で振動に悩んだことはありません。家の前の道路をトラックが走り抜けるほうが、よっぽど振動します。
 一番の問題は基礎の丸形の真円度です。直径2.8メートルの円の誤差がプラスゼロ、マイナス10ミリ程度に収まってくれないといけません。結果的にこの範囲に収まっていて、基礎を担当した向陽作建の技術力が又証明されました。


設置場所と枠組み


内枠


内枠と外枠


 基礎下への出入り口




コンクリート流し込み


ドーム基礎完成


ドーム基礎内部

 ドームの基礎完成からドームの取り付けまで、少々時間が空きました。この間に雨が、ドームの下に入る穴から入り、深さ5センチ近く溜まってしまいました。雨水をくみ出し、拭いてから、雨の侵入を防ぐフタを取り付けました。


鏡筒部品と天文台長ケロ丸、事務長チャリ記念撮影


ニッシンドームよりベースリング到着


ベースリングを合わせて見ると、ドーム基礎が水平から少し傾いていることが判りました。この結果、雨が全部ドーム地下に溜まってしまったのです。ベースリングの所だけ、コンクリートを乗せて完全な水平を取りました。
また、階段と側面を車庫と同じ色で塗装しました。


ドームの取り付け     2007年10月


ニッシンドーム到着 トラックごと荷物として船便で苫小牧港に送り、飛行機で来て苫小牧港で「荷物」を受け取り、到着しました。★秋津★は苫小牧まで迎えに行ってしまいました。判っていたら、千歳空港でキャッチしたのですが。


部材と機材を降ろし、アンカーリングを組みます。


水平出しをして柱とドアの取り付けです。


ドームのベースリングの取り付け

ドームはこの車に乗って回転します。


防風・防雪ブラシ取り付け、ドームリング取り付け




ホタテ部分取り付け


ドーム・パネル取り付け、スリット取り付け

完成、上からの撮影はこれっきりでしょう。


巨大クレーン到着 歩道を入れずに7m道路を塞ぎました。住宅地にこんな大きなものが来ることはありません。


クレーンのワイヤーに取り付けます。


軽々と持ち上げます。




30トン以上の荷物をミリメートル単位で操作できるクレーンです。操作するドライバーはニッシンドームの指示で、実に細かく動かします。トラックに付いているクレーンでは不可能な技です。


ドーム完成です。

早速、今までの機材を入れて、「片付けなくても良い」撮影が出来ました。


立派です。


チャリ要求主任ふんぞりカエル