マウナチャリ山ケロ丸天文台の歴史 2007年


10p反射鏡筒    1983年04月

16p反射鏡筒    1984年04月

40p反射鏡筒計画  2007年04月

天体観測ドーム設置  2007年10月 別ページ

赤道儀設置      2007年11月 別ページ

40p反射鏡筒製作  2007年11月

滑り止めと補助階段  2007年12月


10p反射鏡筒 1983年04月

 小型で軽量、性能もそこそこあるという移動型に徹した製品です。それ故にまともに撮るためにはテクニックが要求される鏡筒ですが、レデューサーでF4.7を実現する当時としては先進的なスペックを持っています。


16p反射鏡筒 1984年04月

 20pと兄弟製品として作られた手抜きのない製品です。特に接眼部の作りは当時の普及品の域を超えています。また、鏡面も充分な精度を持っています。この為、2010年代に至っても10万円程度で取り引きされています。


40p反射鏡筒計画 2007年04月

 望遠鏡の大きさを表すのは口径の直径です。これが光学的能力の計算の元になります。どれだけの大きさの光の束を集めることが出来るかという量になります。勿論大きいほど能力が高くなります。大きいことは良いことなのですが、この口径に対して重量は、全く同じ造りにすると3乗に比例することになります。分解能と呼ばれる細かいものを見分ける能力や使える倍率も口径に比例します。そしてこの部分の検討が全ての始まりとなります。
 いろいろな条件を考えて40cmの口径が欲しいというのが計画の前提です。もしこれが難しければ一段落として35cmというのが選択肢のはずですが、価格の関係で逆転現象が起きています。つまり手に入る製品や部品では35cmの方が高いのです。その下は30cmになります。ここまで落とすと、予算的には楽ですが、落としても安くならないものもあり、結局コスト対効果は大変に悪くなります。
 自分で鏡を磨くという選択肢もあります。確かにこれが一番安く済むはずですが、それはうまくできての話です。自信がない訳ではありませんが、15cmの経験しかないところを、いきなり手持ちでは先ず不可能だろうという40cmガラス材、それだけで間違いなく12キロ以上はあります。米袋より重たいガラスを砂摺から鏡面修正までをやるというのには一年を見込まないといけないでしょう。その作業に腰が耐えてくれるかどうか、こちらには自信がありません。Kトレーディングの40cmF4.5\148000に白羽の矢です。これは径が406mm厚さ42mmとなっていて焦点距離は1827mmです。
 焦点距離は1827mmということで、筒の長さが焦点距離くらいあるのがニュートン式では普通です。すると180cmということになります。その長さの鏡筒を作る材料が必要になります。アルミパイプを使ってトラス構造にするというのも軽くするための手です。しかし、やはり強度の点で見劣りがします。強度を重視すれば重くなります。
 試しにトタン板を丸めて補強した筒がどれだけの強さを持つのか、作ってみました。コンパネからドーナッツ型を切り出して補強リングにします。それを4枚付けてみると、そこそこの強さになります。しかし、必要な強度でも重さでもありません。反射鏡側ではセルが付きますから強度が出ますが、トップリングがどうしても欲しくなります。補強用リングの幅を広げて強度を出すことで対応もできますが、間違いなく重くなっていきます。どう考えても、このことからすると某英国メーカーの軽量反射鏡筒は補強無しには使えません。まあ、ゴミを作ってしまったのですが、なかなか立派な筒です。枯葉入れなんかにして庭へ出すのも良いかなと考えていますが、判断は嫁様に任せて逃げることにしましょう。試してみただけですので、失敗というわけではありません。

補強用リング15mm厚コンパネ製



強度が明らかに足りませんでした。

 次の手は紙管です。こちらが実は本命です。コンクリートの建築で円柱を作るためのアイテムですが、これが強度、軽量さに優れ、馬鹿にできません。それは当たり前で、流体状態のコンクリートを固まるまで押さえておく代物なのですから、家やモニュメントをこれを使って造ろうと思えば出来るのです。この強さ故にドブソニアン形式の反射鏡筒を作る際の定番となっているくらいのものです。金属と紙を比べた場合、同じ重さであれば紙の方がはるかに強いといわれます。じゃあみんな紙にしないのはなぜかといえば、紙は浸水したり湿気れば、たちまち伸縮したり弱くなるからです。そこで、ガッチリと塗装をします。屋根の下にあれば雨に降られたり、雪に埋もれたりはしないはずですから、湿気ないレベルの塗装をすることで強度も保証になります。また、トタン板鏡筒で補強が予想以上に有効であることが判ったので、改めて補強板を作成して入れることにします。

 筒の太さは50cm欲しいところですが、出来る限り重量を抑えることと筒外結像位置を出来るだけ短くしたいために、本当にギリギリの45cmを選択しました。これを赤道儀に載せるには取り付け位置を重心にするのが基本です。つまり、鏡筒の重心位置が判っていないといけないのです。ドブソニアンでは、重量のほとんどが主鏡と主鏡セルに偏っていて、かなり下の方に耳軸を付けています。




 ここで、重心位置を割り出すために、部材の大きさと質量を調べます。反射鏡では径が406mm厚さ42mmとなっていて密度は2.51、従って13キロぐらいです。セルが5キロこれに対して鏡筒に使用する予定の紙管は45cm内径のものが4mで34キロ、ですから1m80として15キロ、これだけで合計33キロ、接眼体とカメラを載せて3キロ、ファインダーが1キロという重量を配分すると、180cmの中心から主鏡側に35cmのところに重心が来ます。37キロが搭載重量です。続いて必要となる回転半径は、不動点から搭載面まで25cm、鏡筒の太さ45cm(正確には外径は467mm)、重心から筒頂まで、125cmとなります。ここから、最小回転半径は143cmとなります。
 ここで、ドームの大きさです。最小回転半径からすると、これを入れることが出来るのは3.25mのドームです。当初の予定は2.5mドームですので、全くの論外です。しかし、車庫上の幅は3.15mです。張り出すことになります。張り出した基礎が作れるかと言えば、出来ない訳ではないと思いますが、色々な意味で無理をすることになります。それに、位置を考えると、なるべく奥にしたいのです。前にすると隣家が真西に来ます。2階屋ですから、こちらからは死角になります。それを出来るだけ南によると、寄った分だけ一番暗くて使える方向である南西が開いてきます。ところが、最も車庫の南側にドームを設置すると、上り階段がふさがれてしまうのです。車庫上に出るのにドームが通せんぼをするわけです。それをすり抜けられるようにするには、径を小さくしないといけません。3mでもダメです。別に階段を作らないと上れなくなります。これには参りました。
 最終的に想定している赤道儀と自作予定の鏡筒の組み合わせが決まったのは、業者に打診や見積もりを取りだしてからでした。その結果、口径40pは変わらず、鏡筒長を若干削ることにして、2.8メートルのドームを選定しました。


 計画に従い注文して届いた紙管の内張のビニールを剥がして、補強リングを5本取り付け、内側にもシーラーをたっぷりと染みこませました。仕上げ塗りは出来上がってからの予定です。色も考えてあります。筒を出来上がった基礎の上に乗せてみると(画像後出)、嫁様が本当に入るのと素直な感想を述べました。無理もありません。

鏡筒部品


40p反射鏡筒の製作 2007年11月

  第1節 待ち
 鏡筒については、更なる作業がここから頓挫してしまいました。Kトレーディングに注文した品物が全く入荷してきません。暖炉の脇に紙管を立てておいたのですが、何ヶ月もおいてあったために。邪魔にすら思わなくなっていました。この状況では、赤道儀の納品をせかす理由はほとんどありません。モータードライブの変更で1ヶ月遅くなったのですが、へとも思いませんでした。EM100には、常に16cmと10cmの2本を載せているのではなく、必要な方を載せていたのです。そして天体観測ドームが設置、赤道儀も納入され、雪を待つ季節が到来しました。

 なにしろ鏡筒の製作だけが滞っているのです。わたくしはかなりじれていました。3度目の納期問い合わせのメールを11月に入って出したところ、何の返事も無かったのです。これはもう入ってこないの だろう。GS社はミードの部品調達に力を注いでいて、安売りのところを相手にしないのではないか。そんな風に思って、英国オライオン社の商品を見ながら 35センチに計画変更かと悩んでいたのです。
 こちらを注文したら、カメラの予算なんか飛んでしまいます。価格表に載っているセット品を買えば済むのでなく、使えるようにするにはオプションを付けて いかないといけない販売体制です。鏡の精度を上げ、表面にシリコンコートのオプションを付けると5割り増し価格となります。それに強化された別売りの鏡筒 バンドが必要です。接眼体だって良いモノに交換です。結局は倍価格です。国内メーカーのものを買うよりは安いという選択でしかありません。
 オライオン社にも40cmのラインナップはあります。しかし、鏡筒までを含めて出来上がりで用意しているのは35cmまでなのです。40cmのミラーだけでも4年はお小遣い無しです。その上に、明らかに薄さで勝負のシンミラーです。温度の変化には敏感でしょう。5メートルも6メートルもある反射鏡で動態光学するのであれば、それで良いでしょうが、この厚さでは、たとえ溶解石英で作成したとしても温度変化と姿勢変化の影響を受けます。セルも問い合わせない といけませんし、高いことを言われるのが見えています。しかし、選択肢は狭まっていて、それよりもっと高い苗村鏡を注文できるほどの予算があろうはずあり ません。そちらは宝くじでも当たったらねの世界です。基礎とドームに250万、赤道儀に100万、そして鏡筒に全てのしわ寄せが来て予算25万です。まあ、金さえ出せば済むというものでもありません。予算25万円、でも足が出ていますから30万で作る鏡筒が、メーカーの言い値で300万は下らないモノの能力を示すのを期待しましょう。
 あと何日かで、Kトレーディングをキャンセルして乗り換える腹づもりが出来たところで、商品が揃ったというメールが飛び込みました。実に危ないところでした。ちなみに、その3度目の問い合わせのメールを出してから12日目でした。現金書留で代金を送り、部材が届いたのが11月17日のことでした。この時も送ったという連絡もなく送付されたので、買い物に出ていて留守であったために22時ちょっと前に再配達という事になりました。荷物が何処にあるかが簡単に判る時代になったというのに、不便なことです。

  第2節 鏡筒製作
 さて、これが今年の重要イベントの最後の花です。これが一番、気力体力根性を使うしろものです。
 先ず、鏡のチェックです。昔取った杵柄、フーコーテストです。まあ、鏡面としては良い方でしょう。しかし、焦点距離が違います。1827mmと証明書に ありますが、何度測っても精度0.2mmレベルの1810mmです。まあ、証明書なんてこんなものでしょう。実際に測っていないのは明らかです。干渉縞の 写真の真贋はよく判りません。この程度です。それよりも星の焦点像、内外像を見るのが一番です。結構良い感じでした。

到着荷姿


反射鏡容器と40センチ反射鏡


40センチ反射鏡用セル


フーコーテストによる焦点距離測定


接眼筒取り付け用の穴を開け塗装しました。

もう既に気温は低く、車庫の中では乾燥しません。玄関に入れました。


斜鏡金具、貼り付け用でしたが、取り付け金具を工作してセル式にしました。

塗装が乾いたところで、主鏡セル、斜鏡金具、接眼筒、搭載用アリガタの取り付けを行いました。




早速、赤道儀に搭載です。


乗せてみると、ベースリングと接触したり、取り付けが甘かったりと、いろいろな点で不具合が出ましたので、外して調整です。


やっと実戦配備です。気温はどんどん下がります。階段の塗装の仕上がりが素晴らしく、水や氷があると摩擦力ゼロになります。滑り止めの分厚いゴムを階段に取り付けて転倒防止の策としました。更に、階段脇に補助の階段を用意しました。

天文台長も寒そうです。


この当時は、40センチの鏡筒を取り付けるのに、ドームの上に滑車を付けて鏡筒を持ち上げて搭載しました。昼間にやらないと出来ない作業でした。


滑り止めと補助階段     2007年12月

 気温はどんどん下がります。階段の塗装の仕上がりは素晴らしく、水や氷があると摩擦力ゼロになります。屋上に置いた望遠鏡が触っただけで動くくらいでしたから、推して知るべしです。滑り止めの分厚いゴムを階段に取り付けて転倒防止の策としました。更に、階段脇に補助の階段を用意しました。


内部の床にカーペットを敷くことで、機器の破損と足からの寒さを防ぐ対策としました