大気の分散とフィルター効果(20150504)


Part 1

 天体の高度が低いと、大気の分散により微妙な色ズレを起こします。これを解決する方法は、デジタル以前の技術としては、専用プリズムを使う方法があります。頂角が1度あるいは2度というような光学プリズムを入れて、色ズレを元に戻す方法です。この方法はデジタルの時代でも有効ですが、調整量を変えなければならないので、プリズムの入れ場所を変える機構が必要となります。
 デジタルの時代では、方法が増えています。デジタルでは色を出すために光の三原色を使いますので、厳密な分散調整では無いにしろ、3色に寄る調整が可能です。
 また、三原色合成ではなく単色による映像も手に入ります。特にシンチレーションの影響が減る赤色は有効に働くはずです。そして、奥の手として赤外域を使うという方法も控えています。RGB合成から単色を出す為には、それを可能にするソフトウェアを必要としますし、加工作業も必要となります。これに対して、カラーフィルターを使って撮像すると、通常の画像処理で済むことになります。
 具体的には赤フィルターを付けて撮れば良いのですが、フィルターに投資をする前にそれを確認してみよう思い立ちました。

元画像

 
大気分散による色ズレ モノクロ処理   R映像モノクロ化

 元画像をモノクロ処理したものが中央の画像です。そして、右端の画像がR画像のみをモノクロ化したものです。明らかに、赤のみの映像が精細度、コントラストも勝っています。単に画像処理でシャープさを出したものよりも優れています。従って、フィルターを注文する理由が確認できましたので、発注しました。