デジタルカメラ
改造の経緯
D300の改造で、赤外線領域の感度は決しておまけ程度のものでは無く、実用ともなり得るものである事が判りました。ただし、改造費を少々惜しんだ為に、オートフォーカスが効かない改造をしていました。カメラのオートフォーカスは、ガラスのフィルターが挟まっている分を考慮してピント合わせをするように作られている為に、その分ピントがちゃんと合わないので、マニュアルフォーカスで合わせる必要があったのです。再改造の手もあったのですが、カメラ自体が経年変化で修理調整が必要な程度の老朽化が出ていましたので、更に大枚の修理改造費を用意する気になれなかったのです。そんなことをしている内に、主力機だったD800がメーカーメンテナンスを終えたところで引退となりました。このまま、倉庫の肥やしとなるか中古での売払いかと悩んだところで、改造D300の後継として適当であるとの判断に至りました。
今回の改造は、現役を完全に引退するのでは無く、サブ機として待機を命ずるものですから、機能を削ることには成りません。D300の取り回して、改造の結果、通常の写真で使えなくなるようなことは無いと判りましたので、機能制限のかかる改造では無く、センサーの前に入ったカラーバランス調整フィルターをクリアーフィルターへ入れ替えるという手を使い、通常撮影には赤外カットフィルターを用意すれば使えるのです。
改造の効果
天体用として改造されたD800は、実用赤外線カメラとなりました。つまり、ライブビューで手持ち赤外線カメラをやることも可能であり、赤外線カットフィルターで通常撮影も行う事が出来ます。そして、D300との違いは、DXサイズでは無くFXサイズであり、発売当初はファンを驚愕させた超高画素が使えるというものです。そして、最も気がかりなのは、センサーの赤外感度です。天体用であれば、精々、赤のちょっと先程度のHαが写れば良いのですが、それを含めてD300並の感度を有しているかどうかと言うことです。
無し フィルター無し
DR655 赤外線カットフィルター
R72 赤外線透過フィルター(可視光カット)
ISO800 35mmF16 モノクロモードにて撮影
無し 1/500
DR655 1/500
R72 1/1250
上記の日中、薄曇り、昼少し前の状態です。ただしR72フィルター装着の場合5段分(32倍)のマイナス方向の露出補正をして適正露出になっています。つまり、カメラ側は可視光の量が足らないと判断して露出をかけようとしているのですが、センサーに入る赤外光が多い為に露出オーバーとなっているのです。この傾向はD300にもありました。実際のところは実際のシャッタースピードに出ている、通常の倍程度の感度があると見て良いでしょう。
DR655、カラー
無し、モノクロ カーソル載せでR72赤外
DR655、モノクロ
R74、モノクロ
特に、赤外域に感度のアドバンテージがあると、DR655フィルターの効果がよく判るようになります。本来このフィルターは、深い赤色の部分がフィルムやセンサーに写り込んで、色バランスを崩し、青紫を赤紫や茶色に変えてしまうことを防ぐものとして売り出されています。つまり、赤外まで感度のあるセンサーを可視光用として使うには、うってつけの機能であるわけです。勿論、この1枚だけで、センサーの前から外してしまったカラーバランス調整フィルターの替わりにはなり得ません。外された調整フィルターは、肉眼では薄い青色のフィルターと見えます。ここで、更にうす青のC4やC8を付ければ完璧と言う事になるでしょう。しかしながら、そんなことをするのであれば、無改造のカメラを使えば良いことです。
DR655、カラー 試しにカラー映像として撮影してみました。この場合でもDR655の赤色から赤外域へのカラーバランス調整能力の一端を知ることが出来ます。また、R72フィルターは、3色のうち赤色のセンサーだけを使うようになるという結果になることが判ります。つまり、青と緑用のセンサーを使わないことになるのです。
無し、カラー
DR655、カラー
R72、カラー
無し、モノクロ カーソル載せでR72赤外
DR655、モノクロ
R72、モノクロ