デジタルカメラ
天体用改造の状況
D800を手にしてから、D300の出番は減るどころか、無くなってしまいました。DXフォーマット専用レンズもあるのですが、D800での使用は可能とはいえ、同じ焦点であれば、単焦点レンズ、そしてFXフォーマット用レンズと順列ができてしまいます。2台の同時使用というのもあり得るはずですが、何といってもハイアマチュア用の重い機材です。それを2台ぶら下げて使うというのは体力の問題となります。
そこで、売り飛ばすか、D70のような余生の道を活かすかという選択肢が登場します。売り飛ばすとなると、それほどの価値にはなりませんが、何といっても、中級機にです。D70に比べれば格段の操作性と機能、性能を持っています。改造に決定です。
天体用改造としてD70では、カラーバランス調整用もかねているローパスフィルターをHα透過型赤外カットフィルターに交換しました。これで、通常使用もできるようになっています。今回のD300の改造では、手数料が安いことから単にカラーバランス調整フィルターを外すという選択しました。デメリットはオート・フォーカスが効かなくなることですが、腹づもりの中に妙案がありましたので、それで一般撮影が可能になるし、天体撮影の場合は、ライブビューでマニュアルフォーカスですから全く問題にはなりません。赤外域での写真も面白いと思ったのです。
このタイプの改造では、天体用でも通常使用でも赤外カットフィルターが必要とされています。この為に、IDASの光害カットフィルターと赤外線カットフィルターを用意しています。
改造後の能力を調べて見ましょう。
D300をf=900mm、D800をf=1200mmの光学系で使用すると、両者の画角がほとんど同じとなります。これを使って、非改造と改造カメラの写りを比較してみます。画像調整はNikonのキャプチャーNX2を使用しています。
Hα
画像処理ソフトを単なる輝度調整レベルの使い方をしただけですが、明確にHα領域の赤の写り方に格段の違いがあることが判ります。光学系は口径比が約7の屈折と4という反射で、3倍も明るい光学系を使っても、結果は逆転どころか、あえない結果となりました。スペックの感度の違いがそのまま出ています。
M8
機種 NIKON D300 改
露出時間 240秒
ISO感度設定 400
光学系 BLANCA-130EDT(Kasai) D=130mm f= 900mm F6.9
補正光学系 フィールドフラットナー使用
画像調整 カラーバランス・露出調整のみ、輝度調整
機種 NIKON D800
露出時間 240秒
ISO感度設定 200
光学系 GINJI-300FN(Kasai) D=305mm f=1220mm F4.0
補正光学系 コマコレクター使用
画像調整 カラーバランス・露出調整のみ、輝度調整
Hα、OV
星雲はHα領域だけで無くOVなどの波長もあります。改造で感度はHα領域でのアドバンテージができましたが、その他の領域では条件は変わらないはずです。つまり、カメラの本来の性能が問題になる分野のはずです。両方が存在するM27での写りを比べると、新しい映像素子の性能と映像処理により、明らかにD800の表現力が上回っていることが判ります。
M27
機種 NIKON D300 改
露出時間 180秒
ISO感度設定 400
光学系 BLANCA-130EDT(Kasai) D=130mm f= 900mm F6.9
補正光学系 フィールドフラットナー使用
画像調整 カラーバランス・露出調整のみ、輝度調整
機種 NIKON D800
露出時間 180秒
ISO感度設定 200
光学系 GINJI-300FN(Kasai) D=305mm f=1220mm F4.0
補正光学系 コマコレクター使用
画像調整 カラーバランス・露出調整のみ、輝度調整