BLANCA-80EDT(BLANCA-80EDT)

 口径     80mm
 焦点距離  480mm  (測定した値480mm)
 口径比   F6.0   (測定した値6.0)

 BLANCA-130EDTと同じく分離式3枚玉EDアポクロマートという頂点に近い性能が期待できる製品です。そのうたい文句が正しいかどうかを調べるのが、調査の目的です。


 輸入元から公開されている収差曲線は、上記のようなものです。130EDTでは3波長でしたが、こちらは5つの波長での収差曲線であり、微妙な波長の違いもあります。収差状況は、グラフの横方向の値について4.8、約5をかけると実際の値になります。グラフが上になるほど光量が増えますので、トータルで軸上の収差を減らすように設計されているのが判ります。130EDTに比べて、収差状況が悪いように見えますが、F数が明るい点を考えれば、この収差状況になっているのは、返って優秀な印でもあります。

輝線スペクトル 
記号  A’  C  D  d  e  F  g  G’  h
 色  濃赤  橙  黄  黄  緑  濃青  青  青  紫
 元素  K  H  Na  He  Hg  H  Hg  H  Hg
 波長nm  768.5  656.3  589.3  587.6  546.1  486.1  435.9  434.1  404.7

撮像機  Nikon D800 FXフォーマット 35.9×24.0mm
作例対象 かに座散開星団 メシエM44 通称名プレセペ 光度3.7等級 大きさ 95′×95′(直径が月の3倍)
画像加工 背景の明るさを同じになるようにLCHエディターで調整しました。

直焦点 f.l.=480mm F=6.0



 直焦点では、周辺での球面収差とともに光量落ちが目立つようになります。その出方は、素直と言って良い位に教科書通りに出ています。NikonDXフォーマットの範囲では充分な像ですが、FXフォーマットではDXに切り替えないと不満足な結果となります。

フィールドフラットナー f.l.=480mm F=6.0



 フィールドフラットナーを使用すると、一般的には星像が肥大するのですが、その影響は少なく、周辺の補正状況もFXフォーマットの範囲では充分なレベル、等倍レベルで、補正されています。この組み合わせは、手持ちの中では130EDTとフィールドフラットナーの組み合わせと共に最高のものです。

レデューサー0.8× f.l.=384mm F=4.8


 レデューサー・フラットナー0.8倍では、周辺で収差が若干残っていますが、直焦よりも遙かに収差は補正されています。等倍レベルで気付く程度の補正ですから、無収差ではありませんが、実用上充分と言える状態です。レデューサーを付けると落胆させられることが多いのですが、この組み合わせは推奨できるものです。

レデューサー0.6× f.l.=288mm F=3.6


 レデューサー・フラットナー0.6倍では、周辺での収差状況が直焦点の加修正となっていて、直焦と同じレベルの補正になっています。しかし、レデューサーとしてこの焦点距離を実現しているのですから、まずまずの結果です。DXフォーマットでは実用域の範疇に入ります。

 以上の結果からすると、この性能と価格は充分に見合うものであることが判ります。