BLANCA-130EDTと同じく分離式3枚玉EDアポクロマートという頂点に近い性能が期待できる製品です。そのうたい文句が正しいかどうかを調べるのが、調査の目的です。
輸入元から公開されている収差曲線は、上記のようなものです。130EDTでは3波長でしたが、こちらは5つの波長での収差曲線であり、微妙な波長の違いもあります。収差状況は、グラフの横方向の値について4.8、約5をかけると実際の値になります。グラフが上になるほど光量が増えますので、トータルで軸上の収差を減らすように設計されているのが判ります。130EDTに比べて、収差状況が悪いように見えますが、F数が明るい点を考えれば、この収差状況になっているのは、返って優秀な印でもあります。
輝線スペクトル | |||||||||
記号 | A’ | C | D | d | e | F | g | G’ | h |
色 | 濃赤 | 橙 | 黄 | 黄 | 緑 | 濃青 | 青 | 青 | 紫 |
元素 | K | H | Na | He | Hg | H | Hg | H | Hg |
波長nm | 768.5 | 656.3 | 589.3 | 587.6 | 546.1 | 486.1 | 435.9 | 434.1 | 404.7 |
撮像機 Nikon D800 FXフォーマット 35.9×24.0mm
作例対象 かに座散開星団 メシエM44 通称名プレセペ 光度3.7等級 大きさ 95′×95′(直径が月の3倍)
画像加工 背景の明るさを同じになるようにLCHエディターで調整しました。
直焦点 f.l.=480mm F=6.0
直焦点では、周辺での球面収差とともに光量落ちが目立つようになります。その出方は、素直と言って良い位に教科書通りに出ています。NikonDXフォーマットの範囲では充分な像ですが、FXフォーマットではDXに切り替えないと不満足な結果となります。
フィールドフラットナー f.l.=480mm F=6.0
フィールドフラットナーを使用すると、一般的には星像が肥大するのですが、その影響は少なく、周辺の補正状況もFXフォーマットの範囲では充分なレベル、等倍レベルで、補正されています。この組み合わせは、手持ちの中では130EDTとフィールドフラットナーの組み合わせと共に最高のものです。
レデューサー0.8× f.l.=384mm F=4.8
レデューサー・フラットナー0.8倍では、周辺で収差が若干残っていますが、直焦よりも遙かに収差は補正されています。等倍レベルで気付く程度の補正ですから、無収差ではありませんが、実用上充分と言える状態です。レデューサーを付けると落胆させられることが多いのですが、この組み合わせは推奨できるものです。
レデューサー0.6× f.l.=288mm F=3.6
レデューサー・フラットナー0.6倍では、周辺での収差状況が直焦点の加修正となっていて、直焦と同じレベルの補正になっています。しかし、レデューサーとしてこの焦点距離を実現しているのですから、まずまずの結果です。DXフォーマットでは実用域の範疇に入ります。
以上の結果からすると、この性能と価格は充分に見合うものであることが判ります。