Y(20100509)

第一段階

 Yの出生図

 出生時間を考える最初として、発表されていた年月日の昼で作図しました。この図から、母親を殺害して少年院へ入り、その5年後に何の咎もない2人の若い女性を強姦殺人して死刑となった事が想像できるでしょうか。
 占星術に対する考え方として、星が変える事の出来ない運命を示すという立場と、そこに自由意志を認める立場、そして全く星が運命と関係することを拒否する立場があります。これらの立場の間の論争は、占星術が成立した古代ギリシャの時代に既に始まり、現代につながっています。今もそれらの立場には反目があり、争いが見られます。私見ながらこれらの論争は、時間の無駄であったように思います。と言うのは、問題の程度により、その効果が変わるのは理の当然です。まして、星の位置が原因で結果が人間に出るというものではなく、共時性が出ているだけのことなのです。従って、同日同時間に生まれた人が、似たような傾向を持つのは当然として、どれだけ持っているものを発現するか、そして、自由意志をどれだけ動かすのかということによって違いが出ることは、これも又当然のことなのです。
 1983年生まれが話題になる事がかなりありますが、それだけ大きな出来事をなす力を持っている生まれであって、星の示す困難に負けてしまった不幸な例のみを取り上げて悪い生まれであると判断するのは早計です。
 さて、この日生まれの特徴として顕著なのは月と火星のオポジションにTスクエアで土星と冥王星が関係します。出生時間によっては月が外れることもあるでしょう。そして、木星と天王星がオポジションに対してトラインとセクステルをつくります。そして木星と天王星に対して金星はスクエアです。また、太陽と海王星はトラインですが、水星と海王星はスクエアとなっています。これらの感受点の関係は強力であり、星通りに行っても、それに対抗する努力をしても、何れにしても大きな仕事や事件が考えられます。
 一目で特殊な構造を持っている出生図であることが想像できます。


 最初の殺人です。殺意は、交際しようと考えていた女性の携帯電話に、母親が無言電話をかけたことがきっかけとされています。また、母親の借金についても当日夜に口論があったり、母親には再婚話が出ていて一人暮らしをする計画を立てていたようです。
表面に出ている話からは判然としないのですが、この母子は不可解な状況と関係を持っているように思えます。殺害方法は金属バットで滅多打ちにする撲殺という方法です。後の殺害事件の折に、母親殺害後に返り血をシャワーで流そうとした時に射精していたと供述したそうです。犯行当時の報道では、母親の借金が取り上げられていて、他に凶悪で大きな少年犯罪があったこともあり、扱いはそれほど大きくなかったようです。
 よりによって月と火星のコンジャンクションの時が選ばれています。あまりにはまりすぎている感じです。


 母親殺しの時は広汎性発達障害(アスベルガー症候群)が疑われましたが矯正可能であると判断され少年院に入り、おつとめして出てきますが、満足な職もなくゴト師の仲間に入るも稼ぎが悪く、仕事仲間と別れてフラフラしている時に母親殺害の時の快感を求めて犯罪に走ります。現場のマンション6階に知人がいて11月11日から14日まで身を寄せて居たことが判っています。その後、半キロほど離れた神社の倉庫に侵入し寝泊まりし、殺人の機会を狙っていました。犯行の前日未明に被害者宅を停電させたり、犯行の数時間前に隣の食品会社の壁に張り付いていたのが目撃されています。供述では誰でも良かったと行きずりの犯行を装っていますが、綿密に被害者の行動を観察し付け狙っています。犯行の前日未明の目撃者は被害者の姉の方であり、推定ですが前日に犯行に及ぶつもりであったのではないでしょうか。と言うのは、月と火星の合は前日だったのです。まだこの時点では捕まりたくなかったのでしょうか。
 奪った金は五千円程度であり、高飛びもできずに結局12月5日に神社倉庫の建造物侵入で逮捕、12月19日に強盗殺人容疑で再逮捕となります。凶器は神社倉庫から発見されました。


 初公判で起訴事実を認め、弁護側は精神鑑定を求めます。精神病(広汎性発達障害)であれば、罪に問えないことになるからです。この時の土星の位置は出生の火星の位置にあります。出生位置から270度廻ってきています。
そして、出生の木星とトラインであるというのも重要なエポックであることを示しています。


 判決では人格障害の部分について認定しましたが、責任能力があることも認定し、求刑通り死刑
を言い渡しました。この時の木星は火星とコンジャンクションであって進行の木星ともコンジャンクションになっています。木星の進行回帰となっているのです。


 この日、太陽は出生の火星の上にありました。10時というのは単なる推定です。この時期、大臣がどんどん署名をしましたので、執行が幾つも行われました。大阪拘置所でも同日にインターネットで自殺を募集し殺害を繰り返していた犯人が執行されています。


第二段階

 前出の関係エポック5枚のチャートを使い、出生レクチファイを行います。多くの場合、容貌と上昇点を使う事で推定を行いますが、これが何時も有効ではありません。この件では薄ら笑いをする被告の映像が流出していますからこの手も使えますが、未成年の場合は入手は大変に難しいことになるでしょう。
 日付まで判明している場合は、その日の内で出生時間を動かし、イベントチャートと比べて一番インパクトのある時刻を選定することになります。ただし、言うは易く行いがたいのがこの方法です。3重円を使い、出生時刻を動かしながら経過にイベントチャートを入れて判断するのは、イベントチャートが多くなると手作業では不可能な業です。
 ここで、レクチファイ時期表の登場です。この時期表は今までの時期表プログラムと反対に、イベントチャートに対して出生時刻を動かして座相を作る時刻を見いだす特殊時期表です。ただし、むやみに作っても座相が数多くあるだけで重要な座相が埋没してしまいます。特徴のある感受点を選定し、座相種も限るのが手です。

レクチファイ表元データ

レクチファイ表解釈

 これらの出生時刻の中で、特に座相の入り方が重なっているところを選び、逐一選定していくことになります。

 他にも候補がありますが今回、特に注目したのは21:15です。


 母親殺しですが、月t火tのコンジャンクションをMCpとオポジションとした出生時刻です。月nに海tが乗るという形もあります。


 二人の姉妹を強姦殺人するベースとしてMCpを月n火n土nのスクエアに載せました。


 こちらもMCpに土tが戻ってきます。2005年8月から2006年3月、そしてこの5月と土星が3回やって来ます。初公判で起訴事実を認めたと言うことは、事実については争わず責任能力と情状の部分だけを争うことになり、検察の求刑が厳しい事は既に判っていることです。死刑への道が開いていきます。


 木星回帰にして、木tと火tコンジャンクションが月n火nのオポジションを刺激していきます。木tは8室です。


 執行は太t、天tにありそうな気もしますが、いまいちインパクトが足りないように思えます。こう思うのは死刑判決のチャートが揃いすぎていて、実際のところ既に死んだも同じような状態だったのかも知れません。死人は2度死にません。