Jeffrey Dahmer(20070120)

ジェフリー・ダーマー

  ミルウォーキーの食人鬼

 この出生図から、20人近い若者と情交、睡眠薬で昏倒させ殺害し死姦、解体して食べたという事件が想像できるでしょうか。出生図は人生の全てを表すと言われます。また、出生図に無いことは起こらないとも言われます。一見して厳しい座相を持ち、後の人生の荒波を予感させる例ではなく、1つ1つよく見て分析が必要となる生まれであることは確かです。漫然とホロスコープを見ていると見逃してしまいます。
 上昇星は海王星で蠍座宮、その支配星の冥王星とは60度のワイドな関係を持っています。良好な関係であると判断されても良い状態ですが、この海王星と冥王星に対して木星が座相を作り、セミ・グランドトラインを作っています。これは乞食か王子といわれるように、自分の状況を変えることが出来ない、したくない関係です。このセミ・グランドトラインを形成する60度の座相に注目すると、海王星に対して水星が、木星に対して太陽が150度の座相を作り、その太陽と水星は許容度6度の範囲で合となっています。つまりここでYODと呼ばれる特別な関係を作っています。YODは関係する感受点を宿命的に連結して、ほかの働きができないようにしてしまうと言う働きを持っています。次に海王星と冥王星の60度に対して対して火星が150度の座相を作りYODを構成しています。そして、この形から当然のことですが、上昇星でもありセミ・グランドトラインの要の海王星に対して火星と水星が150度の座相を持ちYODを作ります。10個の感受点の内、ここで出てきた6つの感受点についてきわめて特別な配置になっているのです。関わりのない残りの月、金星、土星、天王星はそれぞれこの中で座相を持ち別のグループを形成しています。
 このように見ていくと、きわめて特殊な構造を持っている出生図であることが判ってきます。


 最初の殺人です。仲良くなった同年代の少年が帰ると言った途端途端、帰したくなくて頭を殴り首を絞めて殺したというのですが、この経緯は後の殺人方法に2つの大きな影響を与えています。1つは帰ろうとする被害者を押しとどめる、そもそも帰ろうとしなくするためには睡眠薬を使い無抵抗状態にすると言う海王星的方法を採用することになります。第2の殺人でこの方法が取られたかどうかは定かではありませんが、その為の用意は行きつけのパブで周到に実験されていることが判ってます。2点目は殺害と死体の処理方法です。殺害は多くが絞殺であり、被害者の死因は窒息死です。そして、死体処理の方法は解体であり、初回については骨まで砕いて庭にばらまき、次からはゴミにして出すという方法が取られています。また、食料とする方法も取られています。
 しかし、本人のこの事件に対する供述を全て信用できるかどうかは疑わしい点があります。子供時代として記録されている、採集した昆虫をホルムアルデヒドによって保存するという趣味は、更に大型のほ乳類、鳥類の解体を行うまで達していた事は間違いなく、最初の殺人とされるこの事件が偶発的そして突発的であるという彼の主張は、誰にも邪魔されない数日間が確保されていることからも疑ってしかるべきものです。彼は自らの嗜好により犠牲者を求めていたのです。彼の望みは被害者が昏倒すること(口をきかなくなること)、窒息すること(息をしなくなること)、そして、自由に解体できること、捕食することなのです。
 大学生だったダーマーは、酒におぼれ大学をやめて陸軍に入隊します。1979年には衛生兵(海王星でしょうか)としてドイツに配属されますが、この時にもドイツ人少年殺害の疑いがかけられています。死体を完全に処理するダーマーの方法からすれば、立件こそされなかったもののほぼ間違いなかろうと考えられます。


 1986年9月に2人の少年へ性器を見せて自慰したことにより保護観察1年となって、その期間が明けて数日の事です。ゲイバーで相手を見つけたダーマーは、深酒の中で記憶が無いながら首を絞めて殺した死体と共に朝を迎え、犯行を隠すためにスーツケースを買って死体を運び、自分の部屋で解体処理、ゴミとして出したとのこと。あまりの手際の良さに物証が無く立件できなかったのですが、冥王星の経過がスパークしたのでしょうか。これ以後、止めなく殺人を繰り返すようになります。但し、その方法は段々と円滑さを欠き粗雑となっていったのです。1988年9月26日にラオス人少年に薬を飲ませて殺害しようとしたところ失敗して露見、性的暴行と誘拐の罪となったが執行猶予が付き、更に殺人が続きます。


 薬の効きようが悪く脱出した被害者は4人目となります。1人目は前出のラオス人少年です。2人目は15歳のヒスパニック系少年で、警察沙汰になったのですが、被害者の事情で警官はそれ以上追求せずに終わっています。3人目は1人目と兄弟でした。この時はダーマーの奸知により、警察も騙され痴話喧嘩として扱われて結局、殺害されています。
 運良く脱出できた被害者はパトカーに助けを求め、巡査2人がダーマーの部屋に入ります。被害者の手錠を外すことを拒否して暴れ出したダーマーが拘束され、妙な臭いのこもる部屋も捜索を受けます。出てくる切り刻まれた死体。進行する太陽と金星が合座相許容度1度に入ろうとする頃の第2とされる犯行から、更に接近し蟹座宮に入ったところ。経過木星が出生天王星をパスする。事件の突然の露見と終了です。経過冥王星が上昇星をパスして始まった連続殺人が進行アセンダントと重なるように出生時間を調整しています。


 ウイスコンシン州は死刑が廃止されているためにこのような重罪には、きわめて長期の禁固刑となります。1992年2月15日、15回以上の終身刑として、計936年の禁固刑を受け、ダーマーはコロンビア刑務所に服役していました。朝、浴室で頭を殴られて倒れているところを発見され病院に運ばれたが、途中で息を引き取ったということです。相手は25歳の精神異常者で神の命令に従ったと供述しています。座相としてはトラインが多く、ダーマーとしてはこれ以上の生存の意志もなくなっていて、これで人生を終わることができたのです。