SGSmS's A. 054 －－－チャップリン１

SGSmS's A. －－－チャップリン　知らない人が居ないと言う有名人の一人にチャップリンを挙げても、そう異論は出ないと思います。ちょっと見てみましょう。　チャールズ・スペンサー・チャップリンは１８８９年４月１６日夜８時にロンドンで生まれたと彼の自伝にはあります。Ｓtargazerの使用時間がＧＭＴになっている方は少なく、ほとんどがＪＳＴに設定されているでしょう。使用時間を切り替えないで使う場合は、上記ロンドン時間をＪＳＴに変換して入力することが必要です。日本時間はロンドンより９時間進んでいますので、１７日５時で入力します。　ホロスコープを表示しましょう。設定は１重円（勿論、多重円設定にして後で選択しても良い）、プラシーダスです。　いきなり太陽は６室でアスペクトは・・・等と始めては情報が混乱して「解読」にならなくなりますから大枠から押さえるようにします。　先ず、感受点の位置はどの様な具合でしょうか。上昇点（ＡＳＣ）に月、上昇星としては他に天王星があります。天頂（ＭＣ）には土星。木星は２室山羊座宮。その他の主要な感受点は下降点（ＤＳＣ）付近にあります。太陽から冥王星までの主要感受点での４素子（火地風水）配分は３３３１で水が少ないようですが、水の宮の感受点は月で、意味は強いですから、配分が特に悪いわけではありません。３要素も２区分もバランスは悪くありません。バランスが良いというのは、足りないところを他人の感受点で補う必要がないわけで、他人からの影響を受けにくいとも言えます。　特に重要な感受点として太陽、月、ＡＳＣ、ＭＣの４つがありますが、彼の特徴はここに出ています。太陽とＭＣは火、月とＡＳＣは水です。彼の内面でも、そして彼をとりまく全てが火と水の葛藤の中にあります。葛藤等というと心理学用語になってきますが、近年特に４素子の性格付けを心理学の方法と結びつけて学問にしようとしているようですが、余り上手く行っていないのが実状のようです。この方面に興味のある方は、この分野の原点とも言える「リレイティング」リズ・グリーン、邦訳で「占星学」鏡リュウジ訳が青土社から出ていますので、ご一読の上、ご意見等を訳者である鏡氏にファンレターにして出版社経由で送ると、彼は大変喜ぶと思います。　さて、占星術的に大きな意味があるとみなされるのは、その感受点の本来支配するサインやハウスにいる場合です。例えば太陽は獅子座宮又は第５室でその働きが強力になると考えるわけです。チャップリンの場合では金星が第７室で牡牛座宮ですから二重に大きな意味があると考えられます。　次に感受点の進行位置の変化です。［Ｆ］で天文暦を使ってみましょう。これを１日１年法のプログレスの位置と考えて、最初を188904170500、間隔は000000050000＝５日、つまり５年間隔で太陽から表示させてみましょう。５年間隔ですから概略と言うことになりますが、水星が５５才くらいから逆行します。金星は３５才くらい。木星は１０才位から逆行。天王星とノードは７０才位で逆行から留。リリスは４５才位から７０才位迄逆行。ジュノーは２５才位から巡行します。このデータからだけでも、彼のファンであれば私生活と作品のパターンに一脈通じるものがあることに気付くのではないでしょうか。この方法では特に留になっているときに感受点の接触があれば、非常に重要であると考えます。この感受点の接触を見る時にリターン図やイングレス図を使います。感受点の接触は、基本的にはアスペクトで合（０度）の事を言いますが、順次、１８０度、９０度、１２０度をも考慮することがあります。何れにしてもタイトな座相、許容度１度で見て行きます。　ところで、夜８時という出生時間の精度がわかりませんからＡＳＣやＭＣを初めとしてハウスの度数が問題です。しかし、取りあえずはジャスト８時として判断して行くしかありません。この時間ですと、月はＡＳＣより１度ほど下に表示されているはずです。つまり、プラシーダスでは月が地平線下にあるように見えます。実はこの時、月は地平線より上にあります。月が黄道から５度傾いた白道を動いていることと、黄道と地平線が斜めに交わっている関係ですので、この様な場合、月が黄道上を動いていくのでしたら、表示通りなのですが、ほとんどの感受点は黄道を離れますから、違ってくる場合があるのです。本当に地平線上なのかどうかはこの画面は難しいでしょう。ハウス方式をＣ・Ｇに変更すれば地平線上がどうかの判断は正確になります。マップで判明した、ある感受点のＡＳＣ－ＤＳＣライン上の地点に、チャートの計算地を変更してやっても、目的の感受点がＡＳＣやＤＳＣにピッタリと乗らない場合があります。これも、チャップリンの月と同じ現象です。

SGSmS's A. 055 －－－チャップリン２　前回でチャップリンの感受点の状態を大枠で捕まえたと思います。　今一度、整理してみましょう。　キーとなる天体は金星、月、土星です。金星は星座宮と室、月は上昇星、土星はチャート内で最も高い位置にいる（エレベイト）ことに意味があります。この３星は何れも不動宮で、忍耐強く頑固、意志強固で反抗的と言う性格が強調されています。　太陽、月、ＡＳＣ、ＭＣにおける火と水の関係は、一概に対立関係としてとらえるよりは、相補的な面のある２つの要素としてとらえた方が良いようです。火は自分と神の上下関係、水は他者との平行関係を主な対象としますし、競争原理として火は時間的、水は空間的なものと考えることが出来ます。結果論になりますが、演技という空間的なものと、映画という時間的なものを同時に展開した、監督であり主演でもある彼の立場は、火と水の結合であり、一つの理想的な自己確立へつながる昇華の方法だったと言えましょう。　各論をざっと見ましょう。　ＡＳＣは蠍座宮ですから、底知れない精力と集中力があり、自分がトップでなければ気が済まないでしょう。しかし、それを口に出しはしません。得体の知れない深さを持っている事をほとんどの人は知らないのです。在室星として月があります。第１室に月があることは変化に富んだ人生を示しています。不安定で移動は多いでしょう。また、公衆相手の仕事は木星の６０度の座相があり、非常に有望であると判断出来ます。　太陽は第６室、牡羊座宮で第３旬（第３デーカン）、強力な座相がありません。許容度を広く取ると天王星が１８０度です。６室は勤務の部屋ですからここに太陽があることは、実務的な才能を示しています。部下を育てて行く能力もあります。天王星との凶座相はワイドですから、そう重要に取ることもないのですが、同じく牡羊座宮にある水星は、天王星とタイトな座相になり、自身の頑固さや強引な手法から、目上（もし存在するならばですが・・・）、目下ともに嫉妬や反対、非協力の関係になり困った事態になることがあると考えられます。ちなみに、天王星は第１２室ですから反対者は顔を表さず隠れた状態で動くと考えられます。何れにしても天王星は突然の変化という意味がありますから注意しなければなりません。　月はＡＳＣとタイトな合で、火星、土星とＴ字スクエアの緊迫した関係があります。妻や母を示す月と父親の土星が絡みチャートの軸に関わっているのは、尋常でない場合を示すことがあります。まして、このチャートでは家庭を示すＩＣが水瓶座宮で天王星の支配下にあり、天王星は秘密の部屋、第１２室に居るのです。　事態が星に出ているかどうかはプログレスやトランジットを良く検討する必要がありますが、５才の時に両親が離婚、直後に父は病死、７才で母が発狂、１１才で再発するという状況です。　金星は先に述べたように、チャートを代表する星の一つです。７室にある金星は自己の選び取って行く環境に幸運があることを示しています。良い結婚という表現をする人もいます。実際、美貌の配偶者を持つ場合が多いようです。しかし座相は問題です。火星とワイドな合はともかく土星とはスクエアです。つまり、月、火星、土星のＴ字スクエアと関わった感受点なのです。自分自身の支配する星座宮、室に居ることで、チャートの全ての感受点がもたらす結果が、全て、金星へ流れ込んでくるのですから、ここでＴ字スクエアと関係していることは、いろいろとうまく行かない事態がたくさん出てくるものと思って間違いありません。　凶座相のある金星と火星を７室に持つことは、単純に考えれば、美しい妻或いは美男子の夫を持つが故の災いが巻き起こると見てよいでしょう。チャップリンは４度結婚していますが、結婚したときの相手の年齢は１６、１６、１９、１８でした。　この事に関して、面白い解釈の方法があると思いますが、あまりにも心理学趣味に走るようなので、ＲＯＭＲＡＭ諸氏の考察にまかせたいかと思います。　凶座相を持つ火星は競争者や反対者、利害の対立する人間をも象徴していますから、結婚問題で言えば、離婚は法廷で争うような事態が考えられます。木星は第２室で、座相も良く、巨額の財運を示しますから、訴訟関係の金額もかなりの高額になることでしょう。もっといろいろと言えるはずですが、この辺にしておきましょう。

SGSmS's A. 056 －－－チャップリン３　次に、時期的な問題を捉えるために、感受点位置の変化をもっと細かく見ていきましょう。この為に進行経過時期表を使います。　解読と同じように、とにかく大枠から攻め、次第に細かいところへ目を移すのが原則です。　　１　太陽の進行による星座宮移動　　２　ＡＳＣの進行（伝統法）による星座宮移動　　３　太陽の進行による座相　　４　土星回帰の時期とチャート　を見ることにしましょう。　太陽が進行していって星座宮が変わるときは　　1892年 5月11日20時牡牛座宮in　　３才　　1923年 5月12日14時双子座宮in　３４才　　1954年 9月17日11時蟹座宮　in　６５才　同じように進行するＡＳＣの星座宮移動は　　1920年 2月 4日 0時射手座宮in　３１才　　1958年 4月11日 4時山羊座宮in　６９才　更に座相も見ます。　　1900年10月 5日 3時木n 三太p 　　1901年 1月31日22時Ａn 衝太p 　　1902年 1月 6日 0時月n 衝太p 　　1906年 3月 7日 5時土n 矩太p 　　1906年 5月 3日12時火n 合太p 　　1911年 1月11日 2時金n 合太p 　　1915年 7月19日 1時Ｍn 矩太p 　　1924年 2月10日 0時海n 合太p 　　1925年 6月15日 6時海p 合太p 　　1928年 2月25日 1時冥n 合太p 　　1937年 5月11日23時土n 60太p 　　1943年11月13日 7時天n 三太p 　　1946年10月30日 7時Ｍn 60太p 　　1951年 7月29日 7時太n 60太p 　　1963年 4月13日 1時木n 衝太p 　　1963年 8月12日 0時Ａn 三太p 　　1964年 7月22日 5時月n 三太p 　　1968年12月13日11時火n 60太p 　　1973年 9月17日 8時金n 60太p 　　1975年 4月26日21時天n 矩太p 　土星の回帰は　　1917年10月22日14時16分土n 合土t 　　1917年12月31日18時53分土n 合土t 　　1918年 7月 5日11時20分土n 合土t 　　1947年 8月13日19時13分土n 合土t 　　1976年 9月25日14時 7分土n 合土t 　　1977年 2月 2日20時 1分土n 合土t 　　1977年 6月15日12時26分土n 合土t 　以上のようなデータが作成できます。更に、月等の進行や大惑星の経過を見ることになりますが、時期表がかなり大きな量になります。ここでは割愛して次のデータを作りましょう。次のデータというのはソーラリターンです。これもかなりの量になりますから、一部のみにしましょう。例えばこの様な形でまとめてみます。　　1890太合太n太p 　　1890冥合冥n冥p 　　1890Ｍ合月p 　　1890パ衝火n火p 　　1890ペ衝海n海p 　　1891太合太n 　　1891水合ベn金p 　　1891天衝太p 　　1891海合冥n冥p 　　1891Ｖ合Ａn 　　1891ペ衝海n海p 　　1892太合太n 　　1892Ｍ合金nベp 　　1892Ep 合土n土p 　　1892ノ合金nベn金p 　　1892リ合天n天p 　　1892キ合土n土p 　　1893太合太n 　　1893天合月nＡn 　　1893Ａ衝太p 　　1893Ｖ合冥n冥p 　　1893Ep 衝ベn金p火p 　　1893リ衝冥n冥p 　　1894太合太n水p 　　1894火衝土n土p 　　1894天衝火n 　　1894Ａ合木n木p 衝キnキp 　　1894Ｍ衝火n 　　1894Pf 合海n海p 　　1894ジ衝ベn金p火p 　　1894ペ衝冥n冥p 　　1895太合太n 　　1895天衝金n火p 　　1895Ｖ衝太p 　　1895Ep 合火n 衝Ａp 　　1895ペ衝冥n冥p 　　1896太合太n 　　1896月合冥n冥p 衝Epp 　　1896土衝金nベn 　　1896ベ合水p 　　1897太合太n 　　1897月合天n天p 　　1897金合金p 　　1897木合Ｍp 　　1897Ｖ合Pfn火pベp 　　1897Ep 衝太p水p 　　1897キ衝火n 　　1898太合太n 　　1898水合金p 衝Ａp 　　1898Ｖ合土n土p 　　1898パ合冥n冥p 衝Epp 　　1898ジ合天n天p 衝水n 　　1898ベ衝Pfn火pベp 　　1899太合太n 　　1899水合水n 衝天n天p 　　1899木衝太p 　　1899Ｖ合天n 　　1899Ep 合太n 　　1899セ衝太p 　　1899Ｘ合Ｘn月pＸp 　　1900太合太n 　　1900Ａ合土n土p 　　1901太合太n 　　1901金合月p 　　1901ノ衝火pベp 　　1901リ衝太n 　　1901ジ合冥n冥p 　　1902太合太n 　　1902木衝土n土p 　　1902Ｍ合天p 衝水n 　　1903太合太n 　　1903月合木n木p 衝キnキp 　　1903金合海n 衝ペn 　　1903Ep 合水n 　　1904太合太n 　　1904火衝Ａn 　　1904Pf 合Ｍn 　　1905太合太n 　　1905金合太p 　　1905木合金p 衝月nＡn 　　1905Ｖ合水n 　　1905ノ合Ｍp 　　1906太合太n 　　1906月衝Ｍn 　　1906金合火n太p 　　1906火合水p 　　1906天合木n木p 衝キnパp 　　1906海合キn 衝木n木p 　　1906Ep 合木n木p 衝キnパp 　　1906リ合水pベp 　　1906キ衝土n 　　1907太合太n 　　1907火合木n木p 衝月p 　　1907ベ合金p 衝月nＡn 　　1908太合太n 　　1908ノ合キn 衝木n木p 　　1908パ合Ｍp 　　1908ジ衝月p 　　1908キ衝Ｍn 　　1909太合太n 　　1910太合太n 　　1910月合土n月p土p 　　1910水衝月n 　　1910土合太n 　　1910Ａ衝海n 　　1910ノ合火p 衝ペnペp 　　1911太合太n 　　1911金合海n 　　1911土衝Ａn 　　1911ノ衝月n 　　1911セ合金nベn 　　1911ベ合海n海p 　と言う具合です。つまり、最後の行で言えば、１９１１年の太陽回帰図のベスタに対して出生の海王星と進行の海王星が１度以内の許容度で接触していることを表しています。太陽回帰図は主に生活している場所で作成することになっていますから、１９１１年まではロンドンでよいと思いますが、１９１２年の１０月にアメリカはハリウッドに居場所を移しています。しかし、１９５２年の１０月に事実上アメリカを追放され、イギリスに行き、翌年、スイスに居を持ちました。　チャップリンの名を知っていても、彼がアメリカを追放になり１９７２年までアメリカに行けなかったことを知らない人は多いことでしょう。次回はその辺りから続けてみたいと思います。

SGSmS's A. 057 －－－チャップリン４　ひとたび、チャップリンについて知ろうとしたら、チャップリン伝や研究書はたちまち山のようになります。一冊或いは数冊、読めばチャップリンがわかるかと言えば、そうは問屋がおろさず、結局は文献学の研究者になってしまいそうになります。　占星術の勉強と言う事ではありませんが、先ずは、彼の作品を見ましょう。１９１４年に最初の「成功争い」（メイキング・ア・リビング）を皮切りにその年はキーストン社で３５本を出していますが、いわゆる「チャーリー」は次の１９１５年にほぼスタイルが完成して、エッサネー社から１２本、１９１６年には２社から１０本、１９１７年は５本、　　１９１８年は４本と次第に寡作になっていきます。　　１９１８年　「三重のもめ事」「犬の生活」「公債」「担え銃」　　１９１９年　「サンニー・サイド」「一日の行楽」　　１９２１年　「キッド」「のらくら」　　１９３６年　「モダン・タイムズ」　　１９２２年　「給料日」　　　　　　　　１９４０年　「独裁者」　　１９２３年　「偽牧師」「巴里の女性」　　１９４７年　「殺人狂時代」　　１９２５年　「黄金狂時代」　　　　　　１９５２年　「ライムライト」　　１９２８年　「サーカス」　　　　　　　１９５７年　「ニューヨークの王様」　　１９３１年　「街の灯」　　　　　　　　１９６７年　「伯爵夫人」　最後の８１作目「伯爵夫人」はマーロン・ブランドやソフィア・ローレンが主演ですから、チャップリンの出演は「ニューヨークの王様」が最後になるわけです。　余談ながら、コンピューターの横のＴＶでビデオのチャップリンを端から片っ端に出して、それを横目で見ながら書いているのですが、つい、見入ってしまいます。ちなみに今は、「黄金狂時代」です。　さて、「独裁者」でファシストを笑いものにした彼は、冷戦が始まり平和が訪れないことから「殺人狂時代」で、矛先を変えました。そしてこの作品が幾つかの州で上映禁止となり、非米活動委員会から度重なる出頭命令を受けることになります。いわゆる「赤狩り」の標的となっていったのです。「ライムライト」を公開して彼はアメリカを出て行きました。彼がアメリカの地を再び訪れたのは１９７２年、２０年もの間、アメリカはチャップリンを拒否し、「映画を２０世紀の芸術たらしめた功績」に対して特別賞を映画アカデミーが出すことによってやっとアメリカは面目を回復したのだと言えるでしょう。　ところで、これらの作品群の発表と感受点の進行経過を直ちに対応させようとしても無駄に終わることがほとんどです。特に彼の場合は、長い間温めたテーマを作品に作り上げる過程が重要なので、出来上がってからの評価は二の次と受け取れますから、既に出生円で持っているものを表現していると考えても良さそうです。チャップリンの作品発表時の新聞等の評価と、現在の評価とは違う事が多く、当然、当時は「大衆娯楽を芸術まで高めたと」いう評価をしていない紙面が多くありました。　従って、彼の占星術的分析の中心は具体的な事件ではなく、彼の内面の精神生活の分析と言うことになります。進行から見ることにしましょう。基本的には牡羊座宮の太陽と蠍座宮のＡＳＣと言う生まれですが、前回計算した様に　　太陽　　1892年 5月牡牛座宮　1923年 5月双子座宮　1954年 9月蟹座宮　　ＡＳＣ　1920年 2月射手座宮　1958年 4月山羊座宮と言う５つのターニング・ポイントがあります。それぞれ３、３４、６５、３１、６９才になります。　牡羊座宮の特徴は落ち着きが無く、外向的だが自分の道を頑固なまでに追求する冒険家であることです。太陽は２７度ですからたちまち進行太陽は牡牛座宮へ移ってしまいます。牡牛座宮では動きは遅いのですが着実な歩みの登山家になります。物質的な欲望も強調されます。人を笑わせる技術を一流の演芸団で徹底的に修得し、娯楽映画へ進出し成功を納めた時期に当たります。次の双子座宮は知的、陽気で友好的と言われます。彼の出す映画の本数はイングレス付近で数をずっと減らしていますが、好意的に見れば、活動が低調になったためでなく、質的な完成度が高くより知的、双子座的になったと考えられます。次の蟹座宮は守りの星座宮です。家庭や家族指向の生活を示しています。　ＡＳＣは、自分自身で選択したことであれば徹底的にやり抜くという強烈な集中力を持つ蠍座宮です。寡黙で人付き合いの下手なタイプでもあります。先の進行太陽の牡牛座宮通過とほとんど時期を同じくしていて、同じ様な意味付けがなされます。次の射手座宮に入り、正直で口出し手出しが多くなり、外向的な面が強調されます。やることに哲学的な背景が出てきたりすることも良くあります。華々しいこの星座宮を過ぎると、次の山羊座宮は保守的で、蟹座宮と同じ様な守りに入ります。　どうでしょうか。皆さん。太陽とＡＳＣの進行の星座宮だけでも、チャップリンの生き様と合い通じるものがありませんか。皆さん自身の進行はどの様に動いて行くでしょうか。　巷の星座占いのように出生図の太陽位置だけで固定的な見方をしていてはいけないし、してはならないことがお解りいただけるでしょうか。

SGSmS's A. 058 －－－チャップリン５　チャップリンの作品への興味は尽きないのですが、チャップリン本人への関心も放っておくわけに行きません。下世話な事が一番興味関心の対象になるものですが、今も昔も変わらないことに、やはり彼の愛情問題は、有名になってからですが、大したことでなくてもスキャンダルに仕立てられて大騒ぎされました。まして、真面目一本という事ではなかったようですので新聞記者はネタに事欠かなかったことでしょう。　最初の愛情問題を見るのに、占星術の方法では、進行する月と出生の金星とのアスペクトをよく使います。金星の年齢域は１５から２４才の１０年間に進行の月は１３０度ほど動きますから、期間内にＨＮ＝６のアスペクト、つまり０、６０、１２０、１８０のアスペクトが幾つかあるはずです。これらの時期を考えに入れて、進行経過と共にチャートを参照するのが基本的なテクニックです。月の進行を使う方法ですから、太陽の進行を常に念頭に置いて使う事を忘れないで下さい。進行太陽の表している状況が悪いのに月の進行が良いからと言って相殺はしません。その逆も同じです。チャップリンの場合の検証は皆さんにおまかせしましょう。　進行太陽の方が上位だというお話をしたところで、チャップリンの結婚を見てみましょう。結婚における問題点は既に指摘済みですから、一時的な情熱に駆られて結婚という事態が最も考えられます。最初の結婚では前年からチャップリンが熱を上げて求婚していたことは（本人がどう言おうと）事実です。ロンドンで作った１９１８年の太陽回帰図のＡＳＣは出生の火星とオポジションです。ハリウッドで作った太陽回帰のＡＳＣは出生の土星とコンジャンクションです。何れも良くありません。この結婚は最初から失敗であったことは自他共に認めるもので、次の年に離婚が成立しました。１９１９年の太陽回帰図の木星は出生の木星（第２室）とオポジションで慰謝料１０万ドル（！）でした。　次の結婚は、４人の中で最悪の相手であったと思います。太陽回帰図に出るというレベルの問題ではなく、進行する太陽が双子座にイングレスした直後であり、出生の海王星とコンジャンクションと言う、芸術家の活動には良いかもしれませんが、結婚という現実的なことには最悪のものです。離婚が成立したのは１９２７年の８月になってで、慰謝料６０万ドル（！！！）に加え養育費４０万ドル＋２人の子供を奪われてしまったのです。リタ・グレイとその母はそれだけではなく更に４０年後に本を出してチャップリンの性的問題を暴露し大金をつかんでいます。相手選びの「目」と言うことで、チャップリンを非難する声も正当だと思いますが、チャートを見れば、さもありなんだと思います。　３回目の結婚は出生の太陽の上にトランジットの天王星がやってきたときです。太陽回帰図の金星ともコンジャンクションです。前２回の結婚で学んだことから３年間も結婚の事実を隠していました。隠すのは海王星の統括事項です。チャップリンは２回目の結婚で海王星の暗い面を充分に学習したものと思います。結婚は９年間続き、前の２回のように争いや憎しみの応酬に終わることにはならなかったのです。　最後の結婚は１９４３年６月です。ざっと見ただけでも、太陽回帰図は金星と天王星がコンジャンクションです。進行では金星が出生の木星と、太陽が出生の天王星とそれぞれトラインの関係を作っています。勿論、この他にも多くの特徴があります。　ところで、チャートだけで見てもアスペクトが頭に入ってこないときがあります。また、アスペクト・ラインを引いたり、座相表を出したりするのは、４重円を使っているときは、特に煩雑で面倒です。全部いっぺんに出しては画面が埋め尽くされる・・・・。こんな時にＳtargazerＳｍＳの機能を使ってみましょう。武器は［Ｊ］です。　チャートの設定は出生（ネイタル）、進行（プログレス）、経過（トランジット）、経過（トランジット）の４重円、出生データはチャップリン、一日一年伝統法、３円のT.TYPEはノーマル、４円はソーラリターン、経過は１９４３年６月１日０時として見て下さい。チャートが表示された後［Ｊ］で画面は一覧表に切り替わります。これは単なる一覧表ではありません。←→↑↓キーでカーソルが移動します。　取りあえず第４円の金星まで点滅するカーソルを合わせて下さい。そしてキーボードの１を押して下さい。１はＨＮ＝１に対応して、１度以内のコンジャンクションとなる感受点を赤色で表示します。３度以内は赤枠のみです。一発でコンジャンクションになる天体がどれか分かります。４円の天王星、２円の海王星が赤ベタ表示になっているはずです。２を押すとＨＮ＝２でコンジャンクションとオポジションの天体が表示されます。　キーボード上に1234567890-^が使用できるハーモ数順に並んでいます。これを使って、３つ以上の感受点の形成する特別なアスペクトの発見をする事も考えられます。４重円は独立して計算していますから、今回のように出生進行経過＋太陽回帰の形でも良いですし、複数の時期の進行を並べて比較することも、事件の起こった時を併置して共通性を探ることも出来るわけです。　この辺でチャップリンにさようならをして次回はまた別のお話をいたしましょう。