SGS's Astro 相性
相性(序)
相性は占いを頼まれる場合にも要求の多い部門です。しかし、相性を見てくれと言う場合は、相性そのものよりこれからうまく行くかどうかを見て欲しい場合が普通です。そこまで踏み込んでみるのは、煩雑になりますが、今までの応用ですから、やってみましょう。
その為には、出生図の感受点を比較しただけでは、情報として心許ないと思います。少なくとも片方のNPTの状態、つまり出生、進行、経過を勘案して、その恋がどうなるかを見ます。つまり、前述のように、出生図の解読として進行座相の状態やソーラ・レボリューションをみて判断するのです。欲を言えば、双方の、或いは「事件」によってはそれ以上の人数の進行感受点、レボリューションの状態を比較します。比較の際に最も強力で、特徴と見なせるものは比較されたチャートの感受点間の座相のタイトな合です。「合があれば何かある」、わたくしはそう思っています。
ちょっと、例に何か無いか、探してきます。それから、東京始源図に対する関東大震災と東京大空襲についても、もう少し詳しい「解説」が出来るかもしれません。
相性
基礎データ
1956年06月11日15時42分東京 A男
1960年12月10日23時58分東京 B子
さて、このデータは名前を匿名にしていますので、何らかの幸運で本人の名前や本人そのものが判っても、知らぬ振りをお願いします。この2人はわたくしの大切な友人ですので、特にお願いしたいと思います。また、この2人の解読がデータ・ライブラリに入っていたのですが、冷凍方式が何かと問題になったので、削除していただきました。今回はそれを更にまとめあげてみようと思います。
作業として、先ずは、別々に基本的な「出生図」の解釈をレポートにしてみて下さい。その後で、それぞれの進行感受点の座相表とソーラ・レボリューションの準備が必要です。また、「相性」と言うことですから、ハーフサムや調波図、分割調波等もチェックしたいと思います。
A男の出生チャートの解読はどの様な具合でしょうか。
SG本では第3章に一応まとめましたが、解読の準備として、
1 第1ハウスのカスプのサインの支配星(本人の象徴星)の状態。
2 感受点集団のあるハウスとサインの意味。
3 二区分、三要素、四素子に入る感受点の数。
4 太陽と月のあるハウス、サインとアスペクト。
5 特徴的なアスペクト。
6 それぞれのハウスの主星の状態。
7 支配星配列(ディスポジスター)。
8 感受点配置パターン。
を、最低限の情報として押さえておかなければならないでしょう。
これらを押さえた上で、「本来備わったものの判断」を行います。すなわち、
1 性格の核は太陽の状態。
2 習慣、気質は月の状態。
3 個性は上昇サインとその支配星(象徴星)、象徴星のアスペクト、第1ハウスにある感受点(上昇星)とそのアスペクト。
4 知力は水星の状態。
5 愛情は金星の状態。
6 情熱や意志は火星の状態。
7 幸運の方向は木星の状態。
8 身体の弱点は、太陽や月、象徴星(上昇点のサインの支配星)、火星、土星のサイン、ハウスで表される部位。
を判断しましょう。
次に、展開する運命がどうなっているかを把握します。
9 財運は第2ハウスの状態。
10 家庭は第4ハウス、兄弟姉妹、隣人親戚は第3ハウス、友人は第11ハウス、愛人と子供は第5ハウス、夫、妻、協力者は第7ハウス、天体では土星が父、妻と母は月、夫は太陽。
11 天職、成功は第10ハウス、収入源は第2ハウス、勤労職場は第6ハウス、協力者や共同者は第7ハウス。
12.健康は第6ハウス、病院などの入院加療は第12ハウス。
13.趣味、娯楽は第5ハウスで太陽と月がその傾向を表す。
14.宗教哲学、精神思想は第9ハウスと海王星、水星。
15.旅行は第3ハウス、第9ハウスと水星、木星。
以上がおおかたの押さえです。
関係方面だけ判断してみましょう。しかし、恋愛問題と言っても、「金星で愛情運」を見るだけではいけません。全般的に押さえなければ、必ずと言って良いほど判断を誤るでしょう。
A男の太陽は双子座宮ですから鋭敏できびきびしている動きが目立ち、異なる環境への適応力に優れる反面、落ち着きが足りなかったり軽薄さや、むら気な点が、性格としてあると判断されます。座相はワイドですが木星の60度がありますから、これらの個性的な面で不利益を被りどうしようもなくなることはないでしょう。またこの太陽は8室です。物質的なものとは限りませんが、遺産継承が重要なテーマになる可能性があります。月は蟹座宮ですから、日頃から受動的で気むずかしいところがあり、内心は繊細にして気弱です。
上昇宮は蠍座宮で、骨張った鋭い顔をし、荒い眉で執念深いところがあります。象徴星は冥王星です。この冥王星は第10室で木星と合、ややワイドながら水星、火星、土星と活動宮のグランドクロスを作っています。また土星は上昇星です。いろいろ障害の多い生まれです。それで駄目になるような弱い人間ではないので(グランドクロスに他のアスペクトがきている+それらの天体と座相の関係)、味のある人生を作って行くであろう事が、想像できます。
前述のセオリーには入っていませんが、最近特にMCをより重視する傾向があります。上昇宮が環境であれば、MCは本人の意思とも考えられます。A男のMCは獅子座宮で、野性的な勇気と権力への欲求を示しています。
財運がかなり有ると判断出来ます(第10室の木星は職業生活の成功でその結果としてカスプ射手第2室の財政的繁栄)。従って、生活に困ると言うような事はそうそう無いでしょう。しかし、棚ボタで金が入ってくるのではなく、自分で稼ぐタイプです。女性から見て、結婚相手として財運があると言うことで一応の合格点は上げられます。金星に火星の120度があるため金の使い方も知っているし、恋愛運も良い。ただ、やはりそこはグランドクロスで悲恋は幾つもあるでしょう。結婚に関しては障害となるグランドクロス関連の問題があります。これは乗り越えるべき問題ですから、結婚できないとみることはできません。
グランドクロス関連では火星と天王星が鍵となります。火星と天王星の使い方で人生は変わります。天王星そのものの意味から友人の援助や斬新なアイデアをフルに使い、また、火星が表わす強力な意志の力を持ってすれば、これらの障害を乗り越えられるでしょう。逆に言えば障害を乗り越えるのに火星という助けがいることになります。
ディポデスターから見ると根が水星と月の二つあり、2つの幹の中の天体から見ると、彼にとって愛情問題と法律問題は所轄の違う問題である事を示しています。また、本音と建前の使い分けが上手いとみる事が出来ます。
B子は、太陽が射手座宮で自由型人間、衝動的に行動することも多いのですが、思弁的な面もあります。この太陽、火星との150度が3度の許容度であるだけで、準シングルトンとも言える配置です。シングルトンの効果ははっきりと判るか、本人が全く意識しないかの両極端になります。月は乙女座でノードや冥王星と合です。乙女座宮は結構神経質な星座宮ですし、ASCも乙女座宮、水星(乙女座宮の支配星)と90度ですから、かなり神経質なのは間違いないでしょう。つけ加えれば、ASCと金星にアスペクトがあると美人であることが多いようです。
夫は太陽か第7室カスプで見ますが、太陽が準シングルトンで、うまく使えない可能性がありますから、ここでは7室のカスプで見ましょう。7室カスプは魚座宮で主星は海王星第2室、稼いで来る夫の象徴、亭主元気で留守がいい。つけ加えれば海王星の表わす不安定でよく判らないような財政的問題の結果が対人関係や結婚に影響します。つまり、財政的な問題から対人関係や結婚に影響が出るとも考えられます。自分で稼ぐことは出来ますが、仕事を辞めて家庭に入るタイプだと思えますので、配偶者の財運の問題が結婚とその維持に関係しています。また、7室の半分をしめる牡羊の主星は火星で、情人としての相手が火星で示されています。ディポジスターの根は土星で全てを統括、アスペクトからも神経質でありながら、こうと決めたら梃子でも動かない強情さを秘めています。また、表裏が無いでしょう。ホロスコープの中に離婚が心配されるような強力な要素はありません。
では、二人の感受点を比較してみましょう。以下の表は、オーブ6度で作った、第1種座相の関係です。相性を見る場合は、座相もサインの関係も両方とも参考にします。
A\B
太月金火木土天海冥AM A B 太月金火木土天海冥AM
太衝 * □合 太 双子20.31 射手18.57 太衝□△ * □□合
月 * 月 蟹 23.75 乙女 9.87 月 * 合衝衝 △**
金 * 衝 △* 金 蟹 6.83 水瓶 0.32 金 * 合衝衝 △**
火 衝 △衝 火 魚 4.32 蟹 15.86 火□衝 △** △衝衝□
木 合 * 木 獅子25.68 山羊 9.19 木△ 衝 合□ *
土 * □ * 土 蠍 27.96 山羊17.15 土 *□△**□合**
天 衝 天 獅子 0.06 獅子25.76 天△ 衝 合□ *
海 □ * △ 海 天秤27.84 蠍 10.26 海* △□□□* △
冥 合 * 冥 獅子26.38 乙女 8.13 冥△ 衝 合□ *
A * △* 合* A 蠍 11.00 乙女24.63 A *□△**□合**
M△ M 獅子17.33 双子24.07 M△ 衝 合□ *
もっとも単純に太陽のサインを見ると双子座宮と射手座宮ですから、正反対の性質があります。表と裏の関係で相補的な部分に重点を置けば非常によい関係となるでしょう。例えば、双子座宮の欠点に口ばかりと言うところがありますが、射手座宮は頓着無く実行するでしょう。逆に射手座宮は周囲に気を使わず考えなしの部分がありますが、双子座宮は情報力に優れていますから良い方向を示すことが出来るでしょう。それらの性質を自分たちで互いに認め合えばうまく行くのが当たり前です。それぞれの太陽の持つアスペクトと相互の感受点とのアスペクトに、その種の努力を決定的に阻害する部分は無いようですから、良い形で本人達の状況と意志が進行してもおかしくありません。
サン・サインの比較で終わっては、星座占いになってしまいます。他の部分もよく見ましょう。出生図を使って相性を見る場合に、太陽と月に対する互いのアスペクトが性格的な相性の指標になります。同じように、環境や個性的な部分はASCとMC、惹かれるタイプや自分の恋愛の形を金星と火星の関係でみます。
この例では、太陽と太陽が衝の座相を持っていますが、サインの比較で述べたように、互いに補いあう良い関係になる可能性があります。また、B子の月とA男の火星は180度です。これは注目しなければいけません。月と火星の衝は、始めは強力な引きつけ合う力が働き、次に深刻な感情的な対立が生まれます。ですから、この座相を持っている依頼者には、より慎重に答えなければならないでしょう。聞きに来たときは、たいてい逆上せているか、後悔しているかです。どちらの態度も結果として悪いことが多いですから、こちらも地に足を付けて「相談」を受ける覚悟が必要です。
(余談ながら、占者と相談者の「相性」も実は重要です。わたくしは天秤座宮に太陽があり、二人に対して60度と120度の関係から、性格的な親和性を感じて、「相性の悪い」場合よりも判断に好意と幅が出ています。中には、特定の星座生まれを決して弟子にしないと言う徹底した方もいらっしゃいます。この方の場合はちゃんと理屈が付くのですが、勿論一般論の場合、太陽だけの判断でいけないことは、皆さんおわかりだと思います)
一般的に、片方の月または太陽に対して、もう一方の火星と土星が二つとも90度を作っている場合は、「考え直す方向」で助言した方がよろしいと思います。相性の場合、衝より90度の方が悪いことをよく経験します。これは、衝のサインは互いに補う面があるのに対して、90度の星座は3要素が同じという条件が悪い形で作用すると考えられます。太陽と月のどちらかと火星と土星どちらかが90度を持つというのは相性として最も悪いと言われています。特にそれらの座相が重なってある場合、不幸な結果になることが多いようです。この180度の例の場合はそれほど悪く考える必要はないでしょう。太陽と太陽の相補関係が、月と火星の座相の良い面を引き出す可能性があります。
A男の金星とB子の火星は蟹座宮で合です。男性の金星は「彼女」、女性の火星は「彼氏」を示すとされていますから、合でなくても、同じものを求めていることが判ります。蟹座宮ですから、互いに保護的な愛情関係でしょう。先ほどの2つの衝座相とこの合は意味的なつながりがあります。互いに補いながら、求めるものが同じというパターンです。 その他にも合や衝の関係があります。太陽から火星までとASC、MCの個人的なチャンネルに対する合や衝は、何らかの意味が必ずありますから、ご自分でレポートを作成してみて下さい。書いたものを読んでいるだけでは、内容の把握にはなりません。必ず自分の手で、ノートに書いてみましょう。この例では、太陽とMCの合も重要な要素です。
出生図の比較から見た相性は、まずまずです。SGSの相性座相では、他に進行感受点の関係も見ることが出来ます。最初の判断は1982年の年頭と記憶しています。この点もチェックしてみると、進行する太陽はオーブ5度程度の衝、進行する月同士でタイトな合になっていることが判ります。これらは、結構持続的な関係で、特殊な例とも思えますが、結構見いだされる関係のようで、その解釈もいろいろと出来るでしょう。
ここまで、単に相性と言わず、「出生図の相性」とわざわざ断っていることに、注意して下さい。しつこいようですが、相性は少なくとも時期的なものまでも勘案しなければ、見たとは言えないと思います。時期まで見ても不十分なことも多々あります。わたくしは、これに関しては苦い実体験がありますので、時が来たら、それも書きたいと思っています。ところで、出生図の相性がよさそうだと出ると、安心する人が多いですから、この段階で判断を伝えると、後で困ることになりかねません。相性がいいと言ったやんか! 何でうまくいけへん! と、詰め寄られても、わたくしはいっさい関知しません。
相性が良かろうと悪かろうと、困った事態や解決すべき問題は大なり小なり出てきます。それらを処理する過程が楽かどうか、それで転けるかどうかは、相性の問題とは別なことがほとんどです。まして、この例はA男がグランド・クロスで困難を背負って歩いているようなものです。上昇宮は蠍ですから、どちらかというと、外に出して発散するより、内にため込むタイプです。クロスの鍵となる天体の1つに火星がありますが、この火星は自分の金星とトラインで、B子の火星と水の星座宮で同じ位相を持っています。この火星には存分に頑張って欲しいものです。
出生図を見て、これは絶対に離婚する、結婚できない等と言い切れる場合はそう多くありません。多くの人がその段階の判断で灰色な訳です。相手が居ない人には使えない手ですが、出生図そのものの判断から、愛情関係や結婚の離合についてある程度の様子を判断して、相手のチャートを重ね合わせて相性を判断することが大きく外さない秘訣です。
さて、A男が悲恋となるかどうかを、しっかりと見なければなりません。単独のものから見て、その後で比較するというる方針で、話を進めていますから、単独に見てみましょう。
A男の何を見るかというと、早速、ソーラ・レボリューションです。判断時は、1981年の年頭ですから、1980年のソーラ・レボリューションを出し、必要そうであれば、何年か後までのものを出します。1980年の回帰図の様子は、ASC乙女座宮で火星と土星が合です。彼の環境(ASC)は出生で蠍座宮ですが、この回帰年中は乙女座宮の色合い、意味付け、雰囲気があります。そこに火(火星)と水(土星)でジュウジュウもうもう、あるいはアクセルとブレーキ、障害と突進・・・。更に土星は海王星と90度、出生と経過の太陽と90度でT字スクエアを作ります。出生図のハウス分割では火星と土星は11室のカスプの直前で、友人部屋に当たります。友人関係に波乱有り。まして、交際範囲の広い双子座宮生まれのA男ですから、友人関係の変動は大きな事件となるでしょう。この経過の火星+ASCに対して進行の火星がタイトな180度の座相、つまり回帰図のDSC上に進行の火星がほぼぴったりと乗っているのです。この進行の火星は5室のカスプ直前、5室の所轄物と言っても良いでしょう。軸(アキシス)に乗った天体は強い意味を持つと考えます。
1981年の回帰も見てみましょう。1980年の、かなりの障害とそれを切り抜ける意志の訓練の次の年は、変化の年です。回帰図では、ASCに、ほぼ、ぴったり天王星が居ます。この天王星は出生進行の土星の上です。また、特徴的なことに回帰図の金星と出生の金星はタイトな合です。1つ1つ慎重に星を見て行けば、もっともっと色々なことが言えるでしょう。
しかし、ここでは如何に不幸かより、何処にチャンスがあるかを見ましょう。チャンスの神様は木星です。1980年の回帰時の木星は、10室乙女座宮です。1981年は11室天秤座宮です。10室は仕事であり、社会生活であり、本人自身の座です。ここに木星がある時だけではありませんが、ここに木星のあるとき、10室の意味にこだわらずに、チャンスのある時期ですから、逃さないようにアンテナを張っていなければいけません。事実、A男はベター・ハーフとなる女性と知り合ったのですから。さて、1981年回帰の木星は出生の11室です。やはり、室の意味はこだわる必要はありませんが、使いやすいですから、友人関係を中心にヒューマン・リレーションを活用する時期です。ただ、A男の場合、’80’81年とも土星が同座ですから、一般的には幾らか割り引いて考えます。ただ、A男は、さんざん出生の土星と付き合っていますから、土星が来た時に、失敗や悲運が決定とはなりません。
わたくしはA男を知っていますから、彼がどの程度、土星をコントロールするかをある程度予想できますが、もし、全く知らない人物で、会ったことすらなければ、土星で人生パーと判断するかもしれません。その辺は、本人を目の前にしてやらなければ、判断出来ないのが、わたくしの限界です。
さて、次にB子のソーラ・レボリューションですが、誕生が12月です。見たのは1981年の年頭ですから、1980年の誕生日の直後です。A男は、出会ったとたん聞きに来たわけではなく、「お付き合い」している期間がありますから、ここでは1979年のソーラ・レボリューションから見ましょう。
1979年のソーラ・レボリューションのチャートはDSCに天王星が乗った状態です。単純に見れば対人関係での精神的な緊張状態と受け取れます。また、月、火星、木星は一団となって第5室、土星も5室です。趣味や恋愛の室です。ASCは牡牛座宮で支配星は金星、その金星は山羊座宮で出生の土星の合、そして一団となった中の月と特にタイトなトラインを作っています。他人との交渉も多く、その中で本人の恋愛方面の活動があるわけです。
1980年のソーラ・レボリューションでも、ASCは獅子座宮(5室の定位)で支配星は太陽で5室です。
簡単に言えば、良い状態の恋愛になりやすいパターンになっています。そうするとA男に取っても幸運なことかもしれません。
出生図に対して、回帰の木星は1979年から3年分で12、1、2室と順に進んでいます。土星は1室から2室に行く直前まで動いています。つまり、木星と土星のASC通過と言う占星術的に良いとされているものと、悪いとされているものがいっぺんに来ているのです。このような場合、相殺されて出来事が無くなるのではなく、両方ちゃんと起こる方が普通です。
さて、この時期の出生図に対する進行をチェックしますと、進行する太陽が出生の木星の上を通過しようとしています。これは一般に人生の中で指折りの幸運な時期と言われます。進行する太陽が出生の木星とイージィな角度(合*△)を作るときも同様です。同時に月の進行は出生の金星とトラインです。これも愛情に限るわけではありませんが、良い時期と言われています。
良い進行の上に良い経過があれば、これはよいわけです。良い進行の上に、悪い経過があっても、悪さはさほどでもないようです。進行の方が上位優先的な意味があるのかもしれません。
総じてA子は恋愛に関しては期待できる状態と思われます。
さて、ここまで書いたところで、過去の書き付けが出てきました。「相談」に来たのは1982年の年頭であったことが、判りました。A男B子の個別の判断を多少修正しなければならないようです。A男はMCを通過する木星ではなく、11室の友人等のヒューマン・リレーションを活用したわけです。A男とB子はどちらもそれぞれの友人達と旅行中に知り合い、意気投合したのです。
さて、その修正をして考えると、A男の1981年ソーラ・レボリューションでは、出生の金星と回帰金星が合です。もって生まれた特徴が強調されています。これに対し、B子の1980年ソーラ・レボリューション時の進行の火星が合です。 このように、A男B子それぞれを見ただけでは、相性になりませんから、ソーラ・レボリューション時のNPT3重円同士の比較をしましょう。ソーラ・レボリューションは1年間という効果期間がありますから時期的なことに注意してチャートを比較して下さい。例えばA男の場合1981年の6月から1982年6月までが1981年の回帰で、B子は1980年12月から1981年12月までが1980年の回帰です。ですから2つの回帰図の共通期間は1981年6月から1981年12月と言うことになります。この例で見てみますと、A男の回帰月に対してB子の進行ASCがタイトな合になっています。A男の月ですから、妻や母を表す月とB子の環境が合です。比較して行けば、色々と印象深い特徴が見受けられます。さらに、小惑星まで見ると面白い特徴が出てきますが、それらは割愛するとして、存分にチャートを見て下さい。見抜いて下さい。
A男の「恋愛運」はチャンスを掴めばうまい形になりますし、B子はまずまずの良い状態です。但し、B子は他の方面でかなり問題が起こりやすい時期であることは間違いありません。A男のほうにB子の問題が起きたときに助力できる背景、経験があれば、より一層の関係を作れるでしょう。
ソーラ・レボリューションを比較すると言うことは、ソーラ・レボリューション自体が一般向け書籍ではほとんど扱いませんので、市民権を得てはいないようですが、これも「使える手」であることは間違いありません。
さて、ソーラ・レボリューションの比較をレポートにまとめ、日本語に翻訳する作業を続ければ、アストロの勉強は長足の進歩をすると思います。ここで、わたくしが偉そうな書き込みを続けるために、幾つかの、それ以上のことを示唆出来るかどうか試してみましょう。
このA男とB子の例を出したのは、色々な点でネタに出来る、つまりアストロ的に面白い為です。出生図の関係でも太陽がタイトな衝ですし、進行とソーラ・レボリューションを見ていっても、何かと論評が出来ます。
さて、この2人、「うまく行った」のは何時でしょう? さあ、下世話なネタですが、興味津々の人が多いでしょう。
ヒント
A男は「結婚式までしなかった」と言った。
彼は見え透いた虚偽を申告する事が多々あったが、これは本当らしい。
はっきり言って、ソーラ・レボリューションを使っても何時かを特定するのは難しいですね。では、結婚式は特定できるでしょうか。この例に使用する方法が一般化できるとは思いませんが、当時、半信半疑ながらやった結果を次回以降に出します。
ところで、A男と男性諸君には申し訳ないけれど、A男の友人たるわたくしは、B子の味方をしてしまいました。A男攻略の秘法を教えてしまったのです。
別に攻略と言っても、B子が惚れあげて、嫌がるA男に迫ったわけではありません。情熱を燃やしたのはA男で、B子もまんざらでは無かったわけです。そのA男と結婚まで行く妥当な方法があったのです。それは、婚姻届を出すまで「♂♀しないほうがいいよ」と言う指示です・・・。(前記♂♀に適当な語句を回答欄に記入せよ!)
判断は単純で、こうです。二人の太陽は衝で、相性とするとパッとくっ付いてパッと離れやすい傾向があります。まして、飽きっぽい双子座宮(双子座宮の人ごめんなさい)ですから、ここは上昇宮蠍の粘着性と、刺激されて活発になっている火星の動きを持続させるためにおいしい餌(?)は目の前にぶら下げておくだけにしておこうという戦略です。
ここで、40ポイントの太字で強調しておきたいことがあります。2人が結婚したのは、わたくしの助言の結果でも、星に示された運命の通りでもありません。彼らの結婚は彼らが自分自身で障害となる問題を1つ1つ解決し、乗り越え、自らの力を鍛え蓄え努力した結果であると言うことです。それは、チャートに表われています。そして、それは、星に支配されたのではなく、星を支配した結果だと胸を張って言えるのです。
結婚に際して特に障害となったのはB子の父親です。チャートをその観点から見直して下さい。B子の出生図で4室にある天体がそれを示しています。その為に、わたくしが二人と共にB子の実家に乗り込む(?)と言う一幕など・・・。わたくしに取っても、印象深い出来事でした。彼らの結婚は、わたくし自身の1つの門出とシンクロニシティして、思い出として強く残っています。
さて結婚の日取りを特定すると言う作業&方法は、今まで多くの例を見てきましたが、定型に出来ないような気がいたします。結婚という1つの言葉に含まれる意味内容は、人それぞれ違う多様なモノですから、当然とも言えます。今回の例は、そうやって出したところ、たまたま当たったというだけなのかもしれません。
注目すべき星に当たりを付けて、各種の関連を見て行くのは、そう外さない方法の一つです。ここでは、結婚式と入籍を法律問題、契約として考えるならば、それを統括するのは基本的に木星になるでしょう。2人の各々のホロスコープで木星を見て、木星がその働きをすることが出来る、それらの事項を統轄出来ると判断します。それぞれのホロスコープの木星に対する分析をするために、石川源晃氏の提唱した分割調波を使ってみましょう。2人のそれぞれの木星分割調波と、その関係を検討するのです。
調波図のディポジスターと共に二つの調波図をじっくりと見て下さい。先ず目に付くのは、ASC同士がタイトな合であることでしょう。重要な関係座相はASC−ASCと共に金星−木星が合で非常に強力です。この4ポイントに関して各々のディポジスターを検討すると、目につくのが女性側のASC−天王星−木星と言う序列が太陽と月、土星のループに落ち込んでいることです。注目すべきは問題の入口を示すこのASCです。
各々の木星分割調波図の詳しい解読は出生図の解読を延長するものなので割愛しますが、比較的読みやすいものであると思います。わたくしは、鍵がASCにあると直感しました。出生図の関係でA男の月(妻?)、金星(彼女?)とB子の火星(彼氏?)が蟹座宮でした。これに対して、二人の木星分割調波の太陽は同じ蟹座宮です。これだけではありませんが、ここら辺からも、ピンとくるものです。
時期の選定には、進行で大まかな見当を付け、経過で絞り込むのが普通です。結婚と言う相手が必要なモノですから、どちらかが主導となるか、対等かも判断の材料です。この場合はA男の火星の主導とみました。ですから進行はA男の進行座相を中心に見ましょう。木星分割調波では、おおまかな検討をつけた時期に、木星分割調波の中の重要なポイントに対する経過の木星の第1種座相を作る時が、目的の日取りとなります。
進行経過時期表の出番です。先ず、A男の1980年くらいから1990年くらいまでの計算します。第一種座相のみです。1984年の9月あたりに進行太陽と進行火星のトラインがあるでしょう。火星については、度々言及していますから、重要であることはよろしいですね。すると、それの前後2〜3年間の間に木星分割調波図の天体に経過の木星が第一種座相を作る時を計算してみましょう。
A男 出生 1956年 6月11日15時42分 東京
1981年 8月25日23時57分 木DHAn △木t
1982年 9月25日13時33分 木DHAn □木t
1983年 3月10日16時 8分 木DHAn *木t
1983年 4月15日 2時 7分 木DHAn *木t
1983年10月22日10時49分 木DHAn *木t
1985年 3月29日 9時46分 木DHAn 合木t
1985年 8月17日 7時34分 木DHAn 合木t
1985年11月18日18時 0分 木DHAn 合木t
1987年 4月15日12時26分 木DHAn *木t
1988年 4月23日22時16分 木DHAn □木t
1989年 5月 5日 9時23分 木DHAn △木t
太陽と火星のトラインに一番近いのは1985/3で、座相も合という最も強いモノです。許容度1度として木星の動きから見て、プラスマイナス4日程度の範囲で結婚式と見ました。
当時のプログラムはStargazerの名が未だ付いてなく、「占」とフロッピーラベルに書いてありました。当時のプログラムから出された結果は、今とそう大して違いませんが、比べてみましょう。
1983年 3月11日 5時30分 木dh An 60木t
1983年 4月14日21時 3分 木dh An 60木t
1983年10月22日 9時19分 木dh An 60木t
1985年 3月29日11時33分 木dh An 合木t
1985年 8月17日11時54分 木dh An 合木t
1985年11月18日13時29分 木dh An 合木t
1987年 4月15日11時59分 木dh An 60木t
さて、わたくしは友人代表による結婚式実行委員を出来ませんでした。何しろ北海道へ行けるようになるために努力をするのと、行けるようになったために準備するので、おわれていたのでした。A男は友達の多い奴ですから、わたくしは残念でしたが安心して辞退したのです。しかし、わたくしは結婚式が何時になるか興味津々でした。そして、実行委員から届いた招待状を見て、わたくしは喜ぶと共に驚きました。めでたいことですから、大喜びなのですが、その日取りは・・・。へえ、アストロは使えるなぁ、と感心した次第。ますますのめり込み、結婚式の翌々日、青函連絡船に乗り、今住んでいる地へとやってきて、今もこんな事を書いています。(注 今、ボイド中)
A男B子の補足データ
1981年11月15日 出会った時
1985年03月30日 都内の教会で挙式
1986年02月08日 長男出生
1986年05月05日 嫁さんの実家との関係修復、第1子が和解の鍵
ハーフサムの相性を見てみましょう。ハーフサムの最も簡単な使い方は、出生感受点から各種の「軸」を導いて、そこに経過の天体がどの様に「接触」するかで良い悪いを判断することです。相性として、ここでは接触する感受点を経過ではなく、相手の感受点を使います。
1956年 6月11日15時42分A男 東京
1960年12月10日23時58分B子 東京
TRNSIT 1982年 1月 1日 0時 0分
13.24 活気軸 水/木=土nMt 木p
15.29 愛情軸 月/金=水n木pEt 火n
16.95 協調軸 木/ノ=セp天t 土nセp
17.33 失恋軸 金/海=セp天t 土nセp
18.45 恋愛軸 金/天=火n天t 水nセp
27.08 得恋軸 金/M=海n海p冥t VnVp
29.27 家庭軸 太/ノ=天nPn リnパnリp
31.60 欲情軸 金/冥=火p天p Pn
35.58 愛欲軸 金/火=木t
42.87 転機軸 木/天=VnVp
43.57 愛情軸 太/金=
4.22 欲情軸 金/冥=
5.09 愛情軸 月/金=
9.44 愛情軸 太/金=木n金p天p セN
12.19 得恋軸 金/M=ジnAt 土N冥N土P冥P
23.09 愛欲軸 金/火=冥n冥pノp月tノt 月NノNノP
29.35 家庭軸 太/ノ=金nリnパnリp 天NPN
32.48 転機軸 木/天= 天P
35.29 失恋軸 金/海=木t
36.76 活気軸 水/木=木tVt
39.66 協調軸 木/ノ=海nAnMnApMp金t海tセt 月P
43.04 恋愛軸 金/天= VNVP
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A男、B子それぞれの軸に対して、自分自身の感受点の接触状況と、B子の感受点の接触状況は出生進行共に直ぐ判りますし、経過の状況も直ぐ見て取れるのがハーフサム相性です。
基本的には木星の接触が最も良く
良← →難
木 金 太月 水 天冥 火 海 土
王王 王
星 星 陽 星 星星 星 星 星
と言うような序列があると言われています。わたくしの意見としては、海王星は、物事を不明瞭にするだけでそう悪い星とは思っていません。
また、自分の出生感受点の接触のある軸(空いていない軸)に対する接触は、他に接触のない場合に比べて働きが弱くなります。A男の協調軸と失恋軸には、自分自身の感受点の接触がありませんが、B子の出生の土星が接触しています。この軸の示す方面ではマイナスと思われますが、土星ですから、時間がかかったり苦労したりということだと判断出来ます。間違えやすい事ですが、「悪い相性」かどうかは、別の問題ですから、良く考えて下さい。
互いの接触状況を調べたら、次は、それぞれの軸の度数を比較して下さい。空いた軸を比較するのが基本ですが、とにかく全部見て、接触状況も判断し、同じ位置の軸をピックアップしましょう。同じ位置の軸は、経過の接触天体が同時に来る(当たり前ですね)のですから、重要な意味を持ちます。その軸が空いていなくても、判断材料になります。空いていたら、注目して経過の追跡が必要です。火星や木星、土星の接触を先ず見ます。
この為には、ピックアップした軸を憶えておいて、ハーフサム経過図の期間1年で天体の動きを追いかけるのが簡便です。
何時がチャンスか、何時が危機か!
さあ、ご自分の例を使って、いっぱい遊んでみましょう。
相互の相性として、分割調波についてはちょっと見てみましたが、ハーモニックの手法を主に使うとどうでしょうか。考えてみましょう。
Stargazerで採用しているハーモニック(調波)の計算方法は2つあります。アディ氏の取りまとめたものと、石川源晃氏による分割調波で、もう一つのグレイグ氏によるものはSGSでも含まれていません(将来的には追加するつもりです)。調波の計算方法は各種考えられますが、言い出しっぺが強いという原則に従って、幾つかの方法がそれぞれ主張されています。
ハーモニックの方法は、原則的にどの様な方法かというと、感受点間の関係をより的確に表そうとする手法で、感受点の位置に対して何らかの根拠で演算を行った結果による判断するものです。ですから、その演算方法と解釈方法は多岐に渡ります。
例えば、アディ、グレイグは自然数を掛け、石川は(牡羊原点からの各感受点の度数+360)÷360で結局1から2未満の数を使っています。発展させれば、0から1の間の数、1からeの間、平方根、立方根等が直ぐ思いつくでしょう。またグレイグの方法と石川の方法を組み合わせて使うことによって、新しい分割調波の方法も導けるでしょう。
また、解釈の方法も、度数に意義を認めたり、座相の取り方に特徴があったりで、とにかく実例に当たって、事例を蓄えないと如何ともしがたいモノがあります。
アディ流の方法では、座相としてではなく、0、90、180度のタイトな関係を特徴と捉え、天体の組み合わせで善し悪しを判断します。つまり、調波図の関係で、土星と関わる感受点が太陽や月、金星、ASC等の場合は要努力と言うことで余り良い判断がなされません。使う調波は、5を重視し、7、8、6等、他も使用します。また、出生図(の中の感受点位置)と調波図(の中の感受点位置)の関係、調波図と調子図の関係も調べますから、これも作業としてはかなりのモノです。コンピューターを使いながら手作業の部分がかなりあるというのは、分析の手順が決まり手になっていない為に、致し方ないところです。
占星術を研究するに、コンピューターを使うことによって、決まった手順の労力が減るのは当たり前ですが、決まった手順になり得ないカンや判断、そして新しい分野に挑戦するためには、地味な「手作業」の世界が必要です。