占星術講座SAT オウム真理教事件2(20180731)

オウム真理教事件(20180731)

オウム真理教事件2

 オウム真理教事件において、全ての死刑が執行されたことを受けて、関係者の逮捕と死刑執行について、暫定的に作成したチャートを見てみましょう。逮捕はそれまでの生活が変わるものであろうという考え、執行は生存の終わりなので、これもエポックとして考えられることからの選定です。


松本智津夫


 サティアンの隠れ場所から発見され逮捕されます。今までの好き放題の生活は出来ないでしょう。準グランドクロスの構成要素である出生金星に経過海王星が乗っています。そして、壊滅の星、出生冥王星に経過火星に乗るタイミングでの逮捕です。海王星の凶座相は、座相の意味を読むと、大体ロクな事が書いていないのですが、身柄拘束されていますし、それまでのしたい放題の生活からのギャップは厳しいものがあるでしょう。そして、もう解放される望みが無いことは自分で判っているはずです。幸いにして信者が信じているような超常的な力は持っていないので、逃げ出すことも出来ず、取り立てて能力と言えば他人の弱みに取り入る才能でしょうか。しかる故に自閉的対応で内側に閉じこもるしか無くなるのです。


 右にある表は、表に示されている感受点と出生進行経過の感受点に対する、パラレル以外の座相について許容度1度以内のものの数を示したものです。例えば出生太陽のところは9となっています。チャートの中では出生太陽に入っている座相線は2本ですが、この他にリリスと小惑星を含め、第2種や3種の座相を合算すると9つの座相を持っていることを示しています。内訳はこの表にある度数から計算出来るのですが、結構面倒です。数字を出した元表を確認すると出生感受点から3つ、進行感受点から2つ、経過感受点から4つあり、その中でASC絡みが2個ですので、執行時刻次第で、7つになることもあり得るでしょう。判断する上で星そのものの性質の他に、他の星との関係(座相)によって変化が出るわけですから、それを把握する為に数値化が出来ないかと思ったのです。吉座相、凶座相という分け方もありますが、とにかく座相があることが重要であるはずです。そこで、取りあえず座相に数という一手を出して見たわけです。本来的には、相手感受点の意味内容と自分の意味内容、そして、座相の種別による意味付けの変化を見るのが基本ですが、それがサクサクと出来る方は、言ってみれば天才とか英才・秀才…です。で、才付きにはなれなくても、地道に行く方法があるよと言うことでもあります。勿論、制限が多々あります。
 例えば、出生の月、一応、出生時がありますが、時刻確定の証拠はありませんので、1時間違えば0.5度くらいは変わります。表の中の10個というのは多めの部類ですが、信用していては困ることがあり得るでしょう。そして、当然ながらASCとMCはもっと動きますので、それらの信頼性を勘案する必要があります。
 出生冥王星が持つ12個の座相の中身は経過ASCが1個、元々動きの遅い進行冥王星が合で、これを引いても10個です。多めと言って良いでしょう。そして、このチャートは死刑執行です。冥王星の職掌の事柄です。ここでは、経過冥王星は出生木星とタイトなオポジションとなり、冥府からのお招きと考えても良いでしょう。そして、経過天王星、出生火星に乗り、もう何も言う事は無いくらいですが、その時、どうしたかは刑務官しか知らないことです。


早川紀代秀


 ニュース番組の取材を受けた後に逮捕されています。しかし、この逮捕は2度目、オウム真理教国土利用計画法違反事件で1990年10月22日に指名手配、1990年10月30日に出頭し一度目の逮捕があります。その後、保釈されていますが条件付きで1992年まで教団関係者との接触を禁じられていました。守っていなかったのは勿論?のことです。この1度目の逮捕は進行太陽と出生土星の合で示されるとみて良いでしょう。2度目の逮捕からの保釈はあり得ません。彼の自由は損なわれたのですが、それを示すのが進行太陽と進行土星の合と見るのが、最も素直な見方でしょう。そして、彼の太陽に対して繰り返しオポジションとなっていた経過天海も解座していく目処が付いていきます。


 執行時の進行と経過の火星がオポジション、出生太陽と経過冥王星がオポジション、どちらも意味として、原因と結果を示す重要な星となっています。訴状と判決には幾つかの事件への関与が認められています。その中でも、坂本弁護士一家殺害事件が死刑の最も主たる理由となっています。この事件は1989年11月に一家3人を教祖松本智津夫に指令された教団幹部の5人(村井秀夫・早川紀代秀・岡ア一明・新実智光・中川智正)が殺害する事件です。その頃、早川の進行火星は出生太陽を通過している最中で、このような荒事の犯人の一人となってしまったのです。
 そして、運命の時、出生火星には1本の点線、つまりワイドな座相1つの表示だけですが、表から、1度の許容度で10個の座相があるはずということが判ります。中身は出生感受点に3つ、金星と冥王星に対してセプタイル、ジュノーに対して30度です。進行感受点に対しては、火星に45度、ノースノードにキンタイルの2つ。経過感受点に対して、水星・火星・天王星・リリス・ジュノーへの5つの座相を持ちます。この片寄りは経過の感受点が特別な配置を持っているからです。


井上嘉浩


 この人物の出生図の特徴は木星と土星のオポジションに金星と火星が別々に調停の座相を持っていることでしょう。オポジションの働きは唯物的・困難・金銭的損失・計画の挫折で。これを火星と金星がそれぞれ調停するのですから、金火の象徴するものから助けが入るということがあるのでしょう。この台形がクレイドルで、座相の力を強めるものとされています。高校在学中からオウム教団と関わりを持ち脱法・違法行為に関わっていくのは、もうこの流れに乗っているのでしょう。
 そして、太陽の進行が、出生海王星をパスした後に、木星と土星のオポジションに関わるのは1995年頃と事前に見えてしまいます。出生時12時の仮定の図で、進行の月を入れるとクロスが出来ていますが、出生時刻によって位置が変わります。しかし、±6度程度の範囲ですので、何かしらの影響は考えられます。さもありなんという印象です。


 進行太陽が木土オポジションにTスクエア(1995年3〜4月ピーク)となった後で、そのポイントを金星(1995年9月ピーク)が通過しました。星の示すとおりにシンクロして動いていたようです。続いて水星(2018年12月末ピーク)が通過します。その水星がやって来た時点で、経過土星が出生太陽に乗り、経過天王星も木土オポジションに関わります。正に来ましたというタイミングです。謀ったかのような配置がやって来ています。これが執行です。


新実智光


 出生図は太陽と冥王星のオポジションに対して、脇を固める水火土天のオポ群と調停役の海王星があります。水星と火星のコンジャンクションは鋭い知性を示すはずですが、単独でこの座相が存在しているわけでは無く、冥王星のオポジションがあって、残忍で過酷、野獣性が付け加わります。何処かで見たのですが日本語の判るドーベルマンという評がありましたが、これは適確かも知れないと思います。許容度は広くなってきますが太陽が合ですから、大胆で短気、頑固という内容が加わっていくことになります。荒事の担当になるのに適切な配置です。
 逮捕時は出生太陽に経過土星が乗っているという、定番の圧力がかかっています。インストール(イニシエィション?)されたカルト組織の呪縛を解くことは、この配置からすると、不可能と言っても良いでしょう。ましてや、今やっていることが、次の生に持ち込めると信じ切っているわけですから。


 この人物は、死刑のつり輪を喜んで首にかけたのではないでしょうか。一目でトラインの多さが判ります。もしかすると教祖より遙かに立派に死を受け入れたのかも知れません。イージィ座相が多いと状況変動に弱く、思考停止して行動することが多いとみられます。


土屋正実


 出生図の特徴はグランド・トライン、太陽・木星・天王星・冥王星です。特徴としては状況改善能力が乏しいという一言に尽きます。生まれは悪くなく、学業も出来たはずです。しかし、一旦はまり込んでしまったら、抜け出すのが難しいという特質があります。裁判中に洗脳が解けたと称されていますが、そもそも洗脳を受け入れる時点でアウトです。おとなしく静かだという評価は、水金と火星のスクエアによる好色で皮肉屋で癇癪持ち、闘争的な部分が、家庭の環境によって押さえられていたに過ぎません。この水金のコンジャンクションは、サウス・ノードと一体で、カルマ絡みとみて良いでしょう。そこを突かれたのかも知れません。
 逮捕は指名手配による逮捕では無く、指名手配犯の隠匿容疑で現行犯逮捕されています。表に出ずに監禁のような生活が多かった為か、逮捕されて生活がそう変わらなかったのでしょう。他のメンバーに比べて逮捕を示すような強力な座相が見あたりません。言ってみれば進行太陽が木星とスクエアになり、教団から法の保護下に入ったと言うことでしょう。


 彼のチャートを代表する感受点は何でしょうか。果たした役割は違法薬物の生成であり、その方法は、教団本部の中に置かれた物置、土屋棟と呼ばれたところに潤沢な資金による機材を揃え、そこに寝泊まりしての作業です。筑波大を出て院に進み、オウムにのめり込んで中退したのですが、望みの活動だったのでしょう。化学といえばメルクリウス、水星です。そして、関わったのが、先端技術や高度な装置の必要な天王星の職掌でもあります。彼の興味と生活は知的分野であり、高度な科学技術を必要とするものだったのです。そして、それを欲したのがオウム教団であり、親に取り戻されていた本人を、盗聴までして取り戻したのです。
 出生の水星については、逮捕のところで言及しました。進行の水星は土星、太陽を追い越し進行天王星とオポジションへと向かいます。そしてこのとき、経過太陽と経過木星によってタイトなグランド・トラインを形成します。
 実行犯では無いが、致死性あるいは違法な薬品を使用目的が判っていながら生成をしたことで死刑判決をうけています。裁判中に罪を認め、刑死を認めていたということですので、覚悟は出来ていたのでしょう。。


中川智正


 出生図はTスクエアが2つあります。火星と土星のオポジションに対して太陽のTスクエア、木星と天王星のオポジションに対してワイドながら金星がTスクエアになっています。
 前者からは横暴・不活発・我が儘・怠惰・冷酷・不運という言葉が出て来ます。後者からは派手好み・スキャンダル・好色・偽善というあまり誉められない内容です。しかし水星は火星の応援があり医学部へ進学、医師免許の取得まで行きます。研修中の手術室で意識を失うことがあり、経緯があってオウムに入信したようですが、見た目も内容も怪しい団体に引かれるものがあったのでしょう。
 オウムでは松本智津夫の専属医師のようなことから、坂本堤弁護士一家殺害事件にも関わり、土屋正実の手伝いから実行犯までやらされています。
 進行する太陽と水星は、出生木星と出生天王星のオポジションに対してタイトなTスクエアとなります。逆行する進行金星は出生進行海王星とコンジャンクションとなり出生火星・出生土星とタイトなTスクエアを作ります。更にこのとき、出生太陽と経過天王星・経過金星がTスクエアを形成しています。つまり、2つのTスクエアを補強強化し、更にもう1つのTスクエアを用意して運命の輪に閉じ込める働きをしています。これが逮捕です。


 逮捕のところで言及した経過天王星が天球を4分の1周して出生太陽とオポジションになっています。ワイドですがグランドクロスを形成しています。経過の水星や火星も関わってきています。この事態への対処は、死刑を受け入れ被害者に謝罪の言葉を残したと伝えられています。


遠藤誠一


 出生図の特徴的な座相は、水星木星のオポジション、火星土星のスクエア、火星天王星のトラインの3つがあります。座相的には火星土星のスクエアが最も厳しいものです。進行や経過の感受点が指定の点へ来れば、Tスクエアを形成します。オポジションでも同じですが、水星木星より厳しい意味を持つのが火星と土星です。凶星と呼ばれる所以です。それでも獣医師を目指して進学します。目標は達成したのですが、研究職の方が殺処分をしなくて済むと考え、研究職を目指したようです。その内、神秘体験を喧伝するオウムにコロリと引っかかって松本智津夫の主治医となっていたそうですが、はまり役です。獣医師ですから。まあ、それはともかく、神秘体験を否定する割りには耐性の無い理系がハマる例の1つでもあります。
 で、早速ですが進行太陽がやって来て、火星土星ラインでTスクエアとなります。出生太陽に対して経過木星もオポジションです。仲の悪い土屋正実らと共に逮捕です。


 今まで見てきた特徴のハッキリした今際の際のチャートとは一線を画していて、これぞという感受点とその関係を読み込めません。進行太陽と経過火星のオポジションがありますが、2年チョッとで繰り返しめぐるものですし、ここぞという時点のものにはなれません。それで言えば、進行の天王星を進行の金星が追い越しています。それほど悪い座相ということでは無いのですが、最後を飾るものでは無いように思えます。もしかすると、関係の感受点が月やASC、MCのような出生時間に関わるようなものである場合や、死への別の切り口があるのかもしれません。


岡ア一明


 出生図は特異な配置を持っています。太陽・火星・土星のTスクエア、そのオポジションに対する2つの調停の位置に水金海と冥があります。この台形をクレイドル(ゆりかご)と呼びますが、これから離れているのは木星と天王星です。この中の海王星と水星のコンジャンクションは彼に霊視的能力をもたらしたと思われます。火星土星のオポジションが示す、心の冷酷さと、不運な事故に遭う傾向は、クレイドルを作る感受点により、無傷か、あるいは死中に活を見いだすような幸運かによって軽傷で済むことになります。事故や不運に遭うことは前提にあるのは仕方ありません。それがオウム事件解明のキーマンとなった理由とみても良いでしょう。逮捕という事態で経過木星と出生冥王星のスクエアがあるだけで、彼にとっては特段のイベントでは無かったのかも知れません。
 林郁夫の裁判では自首したこと、遺族から許されたことによって無期懲役に軽減されましたが、岡ア一明の坂本堤弁護士に対する殺人では、遺族から岡ア一明が自首したから事件が判明したのでは無く、玄関が施錠されていないことを見つけた岡ア一明が居たから事件が起きたと指摘され遺族が極刑を望んでいること、自首は悔恨や贖罪からでは無く自己保身であるとされ、刑の軽減は認められませんでした。巻き起こる事件の原因は、土星と火星のオポジションだけでは無く、事態に対しどう対応したかが問題となるのです。グズグズと逃げ回り、逃げ切れないと思ったところで自首しても、捉まえられたと同じ扱いになるのは当然です。


 進行火星の動きは出生位置から進行し、2004年5月末に逆行に転じます。そして、進行土星とは2017年7月に1度の範囲内に入り2020年6月初めに正確なオポジションとなります。これに合わせるように経過海王星は、動きは遅いながら順行逆行を繰り返し2018年月から両星に対して60度と120度を作る魚座宮16〜17度へと近づき1度の許容度範囲に入ります。最初は正確な座相を作る前に逆行して2018年7月末に解座します。この後、次の順行で正確な座相を形成しますが2019年3月から4月のことになります。この期間で他の感受点が絡む1つが執行の時に当たります。経過金星が経過海王星とオポジションとなるのですが、出生では出生の火星土星の調停をしている星に金星と土星が含まれています。関係する感受点なのです。
 つまり、この範囲内の感受点配置で、チャート上で最もはたらく感受点の頂点が示されているとみても良いでしょう。


横山真人


 ワイドではありますがTスクエアが1つ、というよりグランドクロス崩れの配置があります。そもそも凶座相の代表は何だと言えば火星と土星のオポジションです。これに対してライツや他の凶星がTスクエアという事であれば、困難度が跳ね上がります。中身が判らなくても、大変ですねくらいは言えます。そして、それが更に重複するとなれば冗談事では済みません。つまり、松本智津夫の本を一度読んだだけで教団に駆け込むようなことが出来るようになるのです。結果は重大です。
 厳しい状況を招いたり、そんなところへ飛び込むことから、忍耐力や我慢強さ、そして幾多の経験を積むことが出来ます。最初から持っている人が居ないわけではありませんが、そうしなければならないからするという態度と、自分を育てようとするのでは、結果に格段の差が出てきます。しかし、育てることが出来たとしても、それだけでは世の中は通用しません。状況の判断は、自分の持つ性行だけで無く、知識と経験が鍵になります。
 オウム事件に関わった人物の中に、賢いという評価を得ている大学出身者が居て、何故と思った方々がかなりいらっしゃるということからも判ると思います。テスト問題による点数を基準とする難関を突破した能力と、本来の意味での「賢さ」は、相関していないとまでは言えませんが、直線的な対応では無いと言うことです。分析したデータは持っていませんが、高評価を持つ学校の方が、低評価の学校よりも賢い方の占める割合は高いのかも知れません。しかし、賢さの判定は困難であり、入学試験の方法は、今も試行錯誤の中にあります。幾ら弄っても、改善されたとは言えない状況が続いています。それだけ難しい問題ですから、彼が道を外したことと、彼の進むことの出来た学校の評価は別物であって、本来関係も責任も無いはずです。しかしながら、自分のことは自分でというのか基本ですから、責任を取るには、自分で感張るしかありません。運命にあらがうことは難しいといわれています。でも、チャートの中のグランドクロスを跳ね返し、糧にした方々だって沢山いらっしゃるのです。
 能書きが長くなりました。判断の間違いを積み重ねていった先は、逮捕拘留、行く末は死刑判決の確定です。この場合、逮捕は一里塚にしか過ぎません。チャートの様子からすると、ほとんどショックが無いように思えます。多分、最後まで「教え」を信じるのでしょう。そして、自分の都合の良いようにしか受け取らず、決して学ぼうとしない性癖を固定させてしまったのでしょう。


 特徴と見えるのは経過土星の位置です。経過金星&天王星と進行天王星とグランドトラインがカイトとなっています。金星絡みで出生金星はグランドクロスもどきに対して調停位置にいる感受点です。進行してカイトの軸となっている時に、出生進行海王星に経過木星が乗っています。これで最後を迎えて良かったのかどうかは、本人のみぞ知るといったところでしょう。


端本悟


 出生図はワイドながらグランドトラインにカイトがあるのが特徴と言えます。出生太陽と出生土星がコンジャンクションというのは、健康や運命やらでの不運を示すと言われています。そこに関わるグランドトラインを大幸運だというのは、ややオーバーな見方です。単純なグランドトラインならば、自分が努力しなくても調ってしまうことから努力しない傾向がありますし、自分の関わらない分野へおろそかになるでしょう。しかし、この土星が重しを付けてくれています。しかし、重しだけとは限らないのが土星です。その上、この特殊座相に少々外れているのが金星と火星のオポジションです。人間の行動原理として大きな割合を占める分野です。色々な意味で間違いを引き起こすことになりかねません。それに情報不足という点では、知っているようで実はほとんど知らないというのが、宗教絡みの関係です。
 オウムに取り込まれた友人を取り戻す為に集会に参加しているうちに取り込まれてしまうということになるのは、この配置故でしょう。しかし、そのまま終わらないのは持ち前の情報力の違いです。しかし、充分とは言えませんでした。関係した団体は、実は宗教あるいは体操の仮面をかぶった犯罪集団だったのです。さすがにカイトでもつけ込まれる隙があればコロリといってしまいます。そして、金火のオポもあり、いずれにしても必ず女絡みであることは間違いありません。勧誘に美人やイケ面を使うのは効率的な方法です。
 オウムから逃走、警察から隠れて住んでいたところで逮捕されます。ワイドなグランドトラインの太陽の近くに来た経過土星がタイトなグランドトラインをつくり、経過火星も出生天王星に乗る時の逮捕です。


 進行太陽が出生海王星(ワイドグランド・トラインの構成要素)とオポジション、経過天王星が出生金星とコンジャンクション(つまり、出生火星とオポジション)となるタイミングで執行となっています。死刑判決に再審請求することも無く、罪に服する覚悟が出来ていたようです。


林泰男


 出生図では太陽に土星がワイドな合です。陰気で持久力があり黙々とはたらくタイプ。また、金星と天王星のオポジションに対する海王星でTスクエアがあります。この海王星に木星がワイドな合となっています。こちらは、関係の感受点の意味する内容について困難があると見て良いでしょう。出て来る座相はワイドなものばかりです。
 地下鉄サリン事件の実行犯として最も凶悪な人物として手配され、掴まるのは一番遅くなりました。しかし、凶悪などの報道もありましたが、「師を誤ったことが不幸かつ不運」と一審裁判長に言わしめたように本来は真面目でひたむきな人物であったようです。
 それでも師を誤ったのは本人であって、騙した松本智津夫が最も悪質なことは明白ですが、師を判断出来なかった部分は本人の責となるところです。


 進行太陽は出生火星に対してスクエアとなります。そして、進行土星は出生太陽を通過中です。不幸と不運、凶事の結果としてやって来たものについては、覚悟が出来ていたでしょう。何か古い時代の武士の印象が抜けません。


広瀬健一


 出生図において天王星と冥王星のコンジャンクションに対して土星がオポジションによる緊張状態です。これに対して水星は双方に対して90度の座相を持ちTスクエアとなっていて、水星の象徴するものの方面が緊張状態を高めています。更に度数が問題となりますが、金星が調停の位置にいますので金星の象徴するものが緩和作用を持つ可能性があります。また、木星と海王星がオポジションによる緊張状態です。これに対して許容度が問題になりますが、天王星と冥王星のコンジャンクションが調停に入っています。こちらも緩和作用です。ただし、あくまでも緩和であって、基底状態は緊張関係です。このパターンで、度数が揃ってくるとミスティック・レクトアングルという自己完結型の複合座相となります。しかし、そこまではいっていないようです。
 成績は良かったのだろうと推測します。学歴が示しています。専門についての能力知識は評価されて然るべきでしょう。しかし、入信、出家となるとどうでしょうか。勧誘し騙して洗脳しようというヤツが一番悪いのは確かです。しかしながら、それに対するだけの、少なくとも宗教に関する知識も無く、コロリと引っかかってしまうのはカモでしかありません。少なくとも出家といえば「十戒」と「二百五十戒」位は知っているべきでしょうし、そもそもオウム教団では、未成年者のための「十戒」すら守っていない「聖者」がゴロゴロいたはずです。それを出家と称して都合の良い解釈で好き勝手していたはずです。
 さて、宗教関係や怪しげな方面の統括は海王星です。彼の海王星は木星のオポジションのみがあります(図では12時出生の場合で違う場合がありますので無視します)。調停が入っていないオポジションの感受点は海王星だけです。
 海王星と木星のオポジションがある。言い換えれば、彼の宗教心(海王星)は「不運な信頼、不摂生、自惚れ、騙される(座相の意味)」という影響を受けたのです。そして、座相というのは双方向にはたらきます。相手の木星も、その表すものについて、この影響を受けるわけです。
 ところで本題ですが、逮捕されてどうこうという配置が見あたりません。下手に事件について喋ると地獄に落ちる、あるいは転成すると信じ込まされていたので、供述はしないまでも、もうおかしなことを命令されることは無いとして、もしかするとホッとしていたのかも知れません。


 経過木星が出生海王星の上に乗り、進行太陽が2つのスクエアを伸ばしています。こちらは今生の別れ。また、進行火星が出生金星の上に乗り、経過土星とオポジションです。こちらの方は経過天王星と進行土星によってクレイドル(ゆりかご)の形になっています。次の生こそ満足のいく人生であらんことを。


豊田亨


 出生図では特徴のある座相があり、厳しい状況が見えます。太陽はTスクエアの一端でそれぞれの感受点に困難な状況をもたらします。太陽と9度離れている金星は、太陽とは合では無いと見て良いですが、天王星とオポジションは間違いありません。そして、残りの枷か土星ですが、きわめてタイトな合で、他に座相はありません。出生時が何時であったとしても、月が魚座宮であることは間違いないでしょう。
 生家の前に禅寺があったので死の恐怖に怯えていたという事情があったらしいのですが、禅寺?。禅寺ではどのようなことをやっているかとか、他宗派の寺はどの様な活動をしていたか、葬式仏教という揶揄した表現の理由については知っていたのかは、今となっては判りません。そして、博士課程に進んですぐ「出家」したのも広瀬健一と同じように、無知であることが大きく関わっていると考えられます。
 逮捕時、進行太陽は出生水星と60度になっています。研究職に適性を見せながらも、それがサリンの実行部隊で、使い捨ての兵隊扱いです。進行金星は逆行して出生太陽と合になっています。しかし、天王星とオポジションと見るには離れすぎているでしょう。これらの特徴しか見られないことから、彼の生活は逮捕、つまり身柄拘束されてからも変わりないと見て良いでしょう。変わっていくのはこれからです。経過天王星が太陽をパスするのです。捜査が終了すれば起訴、公判という方向へ変わっていくのですから。

 
 洗脳されて罪を犯したと言う言い訳がありますが、彼の場合は洗脳ではなく、判ってやっていたように思えます。取り込まれ役目を振られて実行する下位の兵卒のような行動にも思えます。
 経過火星は進行火星の上に乗っています。経過土星は進行太陽とスクエア、経過天王星は出生&経過太陽に対してスクエアです。厳しい座相に一層上塗りしたような座相が入っています。経過天王星はほぼ4分の1周しています。座相の数ですが、経過の木星の持つ座相が1本きりです。経過月との60度だけで、働きを抑えています。対して出生の木星土星は座相が多くなっています。図を見れば、一目で分かります。重層的に構成されたTスクエアです。これは、持って生まれたTスクエアを準グランドクロスまで高めるものと見ることが出来ます。不動宮の初めに形成されたクロスです。今生の罪を次で取り返す印と受け取っておきましょう。