占星術講座SAT オウム真理教事件(20180731)

オウム真理教事件(20180731)

オウム真理教事件

 オウム真理教事件とは麻原彰晃こと松本智津夫が自分の欲望の為に国家転覆を企み、オウム真理教団幹部を使って起こした数々の凶悪事件の総称のことです。その中でも地下鉄サリン事件と松本サリン事件では、無差別殺傷を目的とし、この2つの事件だけでも19名の死者と数千人規模の負傷者を出す甚大な被害を出しました。起こした数々の事件の犠牲となった方々の無念を思い、深く哀悼の気持ちを表す為にも、この事件の首謀者を解読したいと考えます。

 この章では、首謀者である松本智津夫と引き起こした事件のチャートを比較、占星術的考察を行います。資料として『麻原彰晃の誕生』 (文春新書)に多くを依り、また、『オウム真理教大辞典』 (三一書房)等も参考としました。著者の方々やその協力者の方々に感謝をいたします。

1 出生図 1955/03 0才

資料の問題
 ネット上で出生時刻が判明していると称して記載されている3:34の根拠が何処にも見当たりません。御存知の方がいらっしゃれば、お話を伺いたいと思います。母子手帳が渡されて久しく、そこからの記載であればと期待しますが、赤貧の家で子だくさん、寄宿制の盲学校に入れ、一度も親は会いに来ないという状況のようですので、生時については誰が何処から持ち込んだ情報なのかの確認が必要です。このような場合、この数字が24時制で書かれているという保証もありません。午前か午後かも本当は判っていないということです。本来であれば、生時不明扱いとして、生時推定を行うことも考える必要があります。

座相配置
 当初に存在する生時の問題からすると、感受点とハウスの関係はさておき、感受点と座相の関係を見ることになります。大変に特徴のある配置で、かなり厳しい状況を持っています。
 金星・火星・木星・天王星・海王星の5星による準グランドクロスが作られています。火星の位置が少し外れていて、形が崩れていますので、準と表現しました。
 残りの感受点で、水星・土星・冥王星についてはこちらも準Tスクエアで水星と冥王星がオポジションから少々離れています。更に太陽と月はスクエアです。この3群に別れた座相群をつないでいるのが、月と水星のトライン、木天に対する土星のトライン。そして火冥のトラインの3つです。
 これを吉凶相半ばと捉えることも出来ますが、相殺されるようなものではありませんので、どの部分をどれだけうまく扱えるようになるか、あるいは、呑まれてしまうのかを判断することが難しい点であり、解読のポイントとなります。

天体配列

 ディスポジスターですが、こちらは2群構造です。木天→月→水→天  と 太→海→金→土→冥→太 の2つのループに別れています。ループしていると原因と結果でフィードバックの連鎖が起こり、その時々で現れ方が変わる、つまり、外からは何を考えているのか判らないとか、同じ条件でもその時によって反応が違うということになります。それが2系統あるのですから、大変に複雑で、捉えることの難しい独特の運を持つ場合もあるでしょう。

 感受点の働きは、座相を基にすると、太月群を他につなぐのが水星で、Tとクロスをつなぐのが木天に対する土星トラインと、火冥トラインということからして、木天土については座相の意味する「宗教的哲学的造けい」や「重責ある地位」、火冥からは「支配」という方法が、2つの座相群がもたらす出来事に対する対処方法を示しています。この座相群や天体配列の部分だけからチャートとしての方向性が見えてきます。どの星を基点にするかによりますが、火星を基本とした使い方をすると、地位と名誉による支配を求める方向に行く見るのが順当でしょう。ただし、その実行方法については座相がスクエアやオポジションであることから、障害要因に対しての対応は実力行使の形態になりやすいことが推測できます。また、これらを制御下におけるのであれば、逆にそれらの行動を起こす者達を取り締まる役目を担う資格が出て来ます。
 火星と土星の様子があまり良くない場合は、それを念頭に置いて、我慢強くしたり、理性的な行動を選択するように育てることで、少なくとも人生の地雷を不発にしないと大変なことになる場合があります。更に良い方法としては、最終的に自分を滅ぼす方向へと導く思考・感情を、昇華・転換し、他人の為になる方向へ持ち込む、悪人の気持ちが判ることをうまく使うことができれば理想的でしょう。しかしながら、結果的にですが、どうもその方面の育成は全く為されておらず、返って助長される方向へ働き、好き放題、やり放題であったとみて良いでしょう。盲学校時代には他の子供達から、たかり、ゆすり、現金を巻き上げるなどの行為が常習化していたとの話もあり、隠れた支配者として君臨していたと考えることができますから、既に火星の暗黒面全開の生活だったのでしょう。

2 盲学校に転校 1976/07 6才

 転校時期は秋としか判りませんでしたので、取りあえず10月の最初の月曜日にしました。この転校は家庭が経済的に苦しかったことが原因であり、片目は見えるのに親と離れて盲学校に入ることに抵抗したようですが、どうしようもありません。親に捨てられたというトラウマを生んだのは間違いないでしょう。しかし、親元に置いておいたからと言って、「ジャイアン」のような状態にならなかったとは言い切れません。原因が状況にあるのでは無く素因は持っているのです。そして、幼い頃から自分より弱いものから金品を巻き上げるという行動原理が確立するのです。

3 暴力行為で罰金刑 1976/07 21才

 盲学校を二十歳で卒業し、一時、実家に戻っていたとき、長兄の店の元従業員が長兄を侮ったことから頭を殴り怪我をさせる事件を起こしています。この沸点の低さと、選択する行動様式は最後まで変わっていないのではと思います。そして、成人となれば法律による制裁を受けることになります。ここから、法律を遵守しようという方向に行くか、誤魔化せば良いとするかの行動選択がありますが、この時点では反省の方が大きかったのか、そうでは無かったのかは不明です。少なくとも、一般人では他人を殴り倒してけがをさせ警察のお世話になるという経験を持つことは稀なことであって、きわめて特定の者が、問題人物として他人に手間をかけさせるものです。
 経過天王星が出生火星(暴力)を、経過木星が出生冥王星(破壊)に強い影響(つまりアスペクトを作っている)を与えています。もともと暴力に忌避のない、かつ我慢できない点を刺激しています。

4 結婚 1978/01 1978/1 22才

 東大を目指して入った予備校で知り合った石井知子と同棲、結婚式を挙げます。蛇足ながら、模試の点数は誤魔化せなかった、誤魔化しても何の意味も無い・・・ので、何度も東大受験を狙ったようですが、最終的には諦めたようです。
 このチャートで結婚?というのが印象で、出生時についてか、結婚そのものへの問題が存在するように思われるチャートです。このような場合は、相手のチャート見るのが常道ですが、広げるといくらでも広がりますので、今回は割愛します。

5 新興宗教入信 1980/8 25才

 この直前、7月に保険料の不正請求が発覚し六百五十万円の返還を求められています。気弱になった為か、新興宗教の門を叩き、入信します。しかしながら修行内容、千日かかる勤行が、当初考えていたものと違うように思うようになり、1983年の夏頃に脱会します。多分ですが、宗教と宗教組織について始めて学んだのでは無いでしょうか。何を学ぶかは、本人の準備状況次第となりますが・・・。
 出生図上の困難として出生火星と出生海王星のオポジションがあります。そして火星が進行して作る最初の困難座相が、出生土星とのオポジションです。星の組み合わせとしては最悪レベルで、動こう(火星)とすると止め(土星)られる。止め(土星)ようと思っても動か(火星)される。どちらをとっても居ても立ってもいられないという状況にはまり込むのです。
 経過火星が宗教心海王星を、経過天王星が安定の土星を刺激して入信に動いたかもしれません。進行火星が出生に対して作る初めての厳しい座相です。言い換えれば、人生最初の試練とも考えられますので、慎重かつ細心の注意で乗り切るべき時期です。しかし、麻原はこの経験から堅気の仕事より宗教が儲かる、信者は騙し放題と学んだのでは無いかと考えます。

6 無許可医薬品販売逮捕罰金刑 1982/6 27才

 ミカンの皮をアルコール漬けにするなどしたものを漢方薬と称して販売し大もうけをしますが、当然その「薬」は、薬効も無く未認可でもあり、結局、逮捕されてしまいます。良い時期でも心がけが悪いと、トータルでマイナスとなる例でしょう。
 木星の吉角トランジットは普通であれば幸運の泉です。しかし、拡大するという作用は幸運や不運を選びません。絶対というわけではありませんが、日頃から心がけの良い人が幸運期に幸運を手にすることができます。易経に「積善の家に余慶有り、績不善の家に余殃あり」というのも似たようなことでしょう。ここでは、無認可医薬品を売ってはならないと知らなかった、なんてことはあり得ませんので、チャートに示された困難を自ら招いたと判断できます。

7 オウムの会に改称 1984/2 29才

 オウム真理教事件の礎石ともなる行動が始まります。チャートに存在する犯罪性は既に顕現していました。そして、ここでは経営していた学習塾「鳳凰慶林館」を、ヨガ道場に変更し名称を「オウムの会」としました。オウムの名が出る最初です。当初は宗教色も無かったようですが、新興宗教に入信するなどして、宗教が儲かるものだという認識を持つようになっていたのですから、流れは定まっていたとみて良いでしょう。
 経過の冥王星が出生の火星とオポジションとなり、また、経過天王星が出生月とオポジション、経過火土がコンジャンクションで出生水星とスクエアになっています。かなり煮詰まっての行動で、自分の先行きを案じ、模索している様子です。ここで、違う道を選べば、また違った未来があったかもしれません。
 当初は、真面目、真摯にヨガをやっていたようですが、どうしても「騙して取る」方向へシフトしてしまうのが、この出生のカルマと言うことでしょうか。1985年には結跏趺坐のジャンプを空中浮遊と称して売り込んだ写真が雑誌に載り、飛べると信じ、集まった人々をだまし始めます。ヨガ道場から宗教組織へと変更したところで、真っ当な人は離れ、だまされる人と騙すひとが残り、そして集まることになります。

  蛇足ながら、この手の写真はうまく撮れると結構面白くて、知らない方々は、アッサリと騙されます。8ミリ等でも遊んだ方々がいっぱいいらっしゃるのでは無いかと思います。子供向け特撮番組、○○ライダー等で、塀の上でジャンプの上昇、道の上でジャンプの降下をつなぐと塀から飛び降りたように見えますので、子供が塀から飛び降りて怪我をする・・・そんな事件もありました。下章13番の滝本弁護士は、こんな写真なら自分も撮れると、奥さんをカメラマンにして同様の写真を撮り、騙された信者や、騙されそうな候補者にみせて入信を思い留めさせていたので、サリンによる殺害指令を出しますが、未遂に終わります。

8 オウム真理教在家信者死亡事件 1988/9 33才

 教団が大きくなり、新しく山梨県に作った富士山総本部道場で、修行中の男性信者が死亡してしまいます。当局に知られると、修行の内容まで調べられることになり、宗教法人の認可を受けようとしているときであることから、麻原は証拠隠滅を指示し、遺体を焼いて精進湖に廃棄しました。
 進行火星は冥王星とスクエア、進行火星が作る人生2度目の大規模な試練の時となる座相です。「残忍・過酷・野獣性・危機的な状況」。ここでの対応が真っ当でなければ、当然、後にすべて影響を与えます。非難程度でも人気商売の宗教としては問題であり、幾らでも状況は悪化します。修行内容と死亡の関係などを調べられたりすると、中身としては嘘偽りだらけのモノがバレてしまうと思ったのでしょう。当然ですが修行という名称を付けてはいても、やっている内容は大方ロクなモノで無く、体系をもって指導しているようなものでは無いのです。何しろ空中浮遊ですから・・・。いかにも専門家のような顔をしていながら、実はトップからして宗教そのものにはシロウトであり、要は騙しのプロです。騙されたヤツから巻き上げるということでもあります。そして、事態への対応は、出生図通りの隠蔽を行います。教団としても境界線、あるいは分水嶺を越えたと見て良いでしょう。

9 男性信者殺害事件 1989/2 33才

 被害者田口修二さんはオウム出版の営業をやらされていたそうです。1988/9/22の死亡在家男性信者の取扱いに対して、教団に疑義を抱き、脱会の意志を明らかにしました。被害者は自分の上司に文句を付けたことから、麻原の知るところとなり、麻原は事件の露見を恐れて殺害を指示します。オウム真理教の最初の殺人であり、一連の事件の終末まで至る道を踏み出してしまったのです。在家男性信者の死亡の責任が教団にあるかどうかは、はっきりしていませんが、こちらの男性信者の殺害は、申し開きできることではありません。非難されるレベルから、論外の殺人事件に変わったのです。
 このとき、経過木星は進行火星の上にあり、冥王星とスクエアになります。前出ですが木星は幸運をまき散らす星なのでは無く、拡大という機能を持つ星です。つまり、ものごとを大きく誘導していく機能を持っています。遂に、麻原を頂点とするオウム真理教幹部たちの暴走が始まったのです。

10 坂本堤弁護士一家殺害事件 1989/11 34才

 教団の活動に対して、脱会への支援や脱会者への支援を押し進める坂本弁護士の活動は、大きな障害として麻原は認識し、殺害を幹部に指示しました。遂に身内を殺すだけで無く、敵対者を取り除く為に殺害するという方向に動き出します。坂本弁護士と、それから一般の方々をふくめ当局、外部の人間が知らなかったことは、オウム真理教が宗教教団の形を偽装した支配組織であって、殺人をためらわずに行う幹部を育てていたということだったのです。
 経過月木土海、月合土合海オポジション木の配置を受けて、殺害計画は実行されてしまいます。身内を殺すだけだった犯罪形態が、殺人をためらわない集団を作り上げ、「敵」を駆逐するというステージに入ったといえます。

11 衆議院議員選挙 1990/2 34才

 本当に議席が欲しかったのでしょうか。いや、やはり国会議員になりたかったのでしょう。トップに立ちたいのは昔からの夢だったはずです。マスコミが報道してはくれましたが、得票にはもちろんつながらず、都民は冷静な対応をしました。そして、世に入れられていないという実態にやっと気づき、身の不徳を反省するより、世にバチを当てようという方向、つまり教団の武装化への活動を始めるのです。
 惑星直列の名で知られるようになった外惑星が狭い範囲に集まる現象の結果、金火土天海が山羊座に集中しています。進行火星は出生金星とトラインとなり、教団外部への強引な実力行使より、そのほかの活動、内部を引き締め、資金を調達し、テロのできる攻撃兵器を用意する準備が行われます。毒ガスや薬剤等の化学兵器と小銃に絞られたのは、幹部となった者達の能力と言う事になるのでしょう。

12 薬剤師リンチ殺人事件 1994/1 38才

 教団に拉致監禁された人間を救出しようとする計画が失敗します。相手を見誤っていたのです。殺人をいとわない集団が存在しているということに考えが至らないのは、致し方ありません。助けに侵入した者を使って仲間を殺させるという悪逆な手を考えつくところまで行っていたのです。そして、落田耕太郎さんの死体をマイクロ波装置を仕掛けたドラム缶で焼却し、証拠隠滅を謀ったのです。それでも、教団にとって周囲の状況はますます厳しいものになってきて活動を制限されてきています。対応するようにテロの準備は進み、毒ガスを手に入れるところまで来ています。自分たちの都合の良いチャンスを狙う状況になってきています。
 進行火星が作る強力な座相は、経過冥とのオポジションです。動きの遅い冥王星は、巡行逆行を繰り返し、正確な度数のアスペクトを何度も作ります。また、このとき、進行の火星は経過土とスクエアとなり、Tスクエア状態を作ります。
 経過天海の影響も大きく、一連の事件を次々と起こしながらも足を取られること無く、地下鉄サリン事件までまっしぐらに進んでいく様子です。

13 滝本太郎弁護士サリン襲撃事件 1994/5 39才

 再び、オウム真理教対策の弁護士を狙います。今度は製造に成功したサリンを使って殺害を狙います。弁護士ご本人と教団にとって幸いだったのは未遂に終わったことです。もし、殺害に成功していたらサリンの存在が明るみに出て、即刻、強制捜査が入ったことでしょう。しかし、そうはならず、サリンを使ったテロが計画されていきます。
 進行火星と経過冥のオポジションは一端、解座していて、経過天海が出生金星、出生太陽に経過土星が乗っています。チョッとした隙間程度のことで、殺人集団はますます連携がうまくなっていきます。

14 松本サリン事件 1994/6 39才

 新しい道場を作る上で障害となった土地登記の問題を毒ガスによって何とかしようとする浅はかな計画ですが、事件を起こすことには成功します。
当初、犯人と目されたのが河野義行さんで、証拠も無いまま警察もマスコミも犯人扱いをする事態でした。教団からするとうまくやった形ですが、明確にサリンという物質名が出てきます。結果的に、サリンを使った無差別テロが教団に可能であることを当局がやっとつかんだ事件と考えることができます。
 占星術的には、経過冥王星と天王星のコンビネーションでしょうか。出生金−木天のオポジションに対して状況設定を極限まで整え、経過火星が一撃を与えて巻き起こしているいるように見受けます。

15 男性信者リンチ殺人事件 1994/7 39才

 教団幹部によって製造されていた毒ガスが漏れ出し、被害が出たことに対し、責任を押しつける爲に選んだ男性信者を拷問して意識を失わせ、絞殺した事件です。全て麻原の指示があってのことであった。
 チャート的には、特に強力な関係は見当たりません。進行太陽が出生木星とスクエアになり、クロス座相に関与しています。この時期は事件全体の終盤を迎え、先行きの無い目先の事件に次々と手を付けていくいく、暴走状態となった幹部の動きを追認し、煽っているているというように見ることもできますし、出生時の問題が関係しているかもしれません。また、すでに一人の命くらい、軽いものになっていると捉えることもできるかもしれません。

16 駐車場経営者VX襲撃事件 1994/12 39才

 逃げ出した信者の知人を匿っていたことから、VXガスで殺害を指示しました。ガスを浴びた後に伏せっていた経営者は、容態が急変し運ばれた先で一命を取り留めましたが、VXガスが原因であったことは、地下鉄サリン事件後の強制捜査の後になりました。
 この1994年末から1995年3月の地下鉄サリン、そして5月の強制捜査に至るまで、それぞれの感受点を個別に追っていくのも興味深い展開となります。特に火星関係は見物です。この期間、経過火星は逆行に転じ、出生冥王星をパスしていきます。この出生冥王星に対してスクエアの角度を作っていた進行火星は、双子座宮に入ってやっと逮捕拘束となります。

17 会社員VX殺害事件 1994/12 39才

 VXガスによる殺人を成功させたのがこの会社員襲撃です。教団内の分派活動をあおった公安の潜入者と考え、麻原からVXガスによる殺人指令が出され殺害されました。しかし、こちらの件が明るみに出たのは、駐車場経営者襲撃事件と同じように、地下鉄サリン事件後の強制捜査の後となりした。一連のVXガス襲撃で殺害に成功した唯一の例だったので、無差別テロには使えないのでは無いかと考えてもおかしくありません。

18 被害者の会会長VX襲撃事件 1995/01 39才

 敵対勢力を潰そうという考えで襲撃、VXガスの溶液をジャケットにかけたが、殺害までは至らず、一命を取り止めました。こちらの事件も当初は農薬のスミチオンによる自殺未遂として処理され、オウム真理教による犯行であるのが判ったのは実行犯による供述が出てからでした。
 3つの事件は、ベースとなる経過天海冥の影響と経過火星のアスペクトが特徴となっています。海王星の隠蔽は強力だったのです。

19 公証人役場事務長逮捕監禁致死事件 1995/01 39才

 被害者の妹が持つ3億円弱(当時)の土地建物を布施させようとして逃げられてしまい、妹の居場所を吐かせようとして拉致監禁しましたが、自白薬の過剰投与で殺害してしまいました。拉致されるところを目撃されていた為に大々的に報道され、当局は強制捜査を3月22日に予定したが、それを察知した教団は自暴自棄で地下鉄サリン事件を決行します。
 進行月に対して経過土星、大して経過木星はスクエアです。経過海は出生天とオポ、絡んで進行太陽は出生木とスクエア、もう、自分たちに未来はないと判っていたはずです。破れかぶれの最後の抵抗が始まります。

20 地下鉄サリン事件 1995/3 40才

 サリンを使った大規模な無差別殺害を狙い決行されました。甚大な被害を出したからと言って、教団から目が離れるわけがありません。
 進行火星に対する経過冥のオポジションに対して、経過海が応援をします。事件を起こすことは出来ました。しかしそれで、何とかなると考えていたのでしょうか。進行太陽は出生木とスクエアです。「自惚れ・贅沢・高慢・自信過剰・金銭的損失」。自分を騙すことも出来るでしょう。しかし、既に標的を定めた強制捜査は既定方針です。より調べてからに変わったとは言え、もう逃げるところも無ければ、誤魔化すことも出来ないのです。そして、多分、もうムリ、と自分で判っていたでしょう。

21 松本智津夫 逮捕 1995/05 40才

 当局による総本部強制捜査により、隠れ場所から発見され逮捕されました。現金の束を抱えて隠れ場所で「瞑想」していたと言うことですが、現金の束を持っていると安心出来たのでしょうか。盲学校時代から変わっていない行動様式のように見えます。隠れる(隠す)・現金を持つ、そして、見つかってしまっても「瞑想していた」と言ってみる・・・。
 チャートには、多数の経過感受点によるコンジャンクションやオポジションが意味ありげに出て来ています。意味はあります。それぞれが松本膣津尾が拘束され咎めを受けるであろうことを予告しています。また、多数の事件、殺人のキーになって来た出生と進行の火星についは、進行火星がこの逮捕時には双子座宮へ入っています。それまでは牡牛座宮であって支配星は金星、進行金星は魚座宮にあり支配星は海王星、進行海王星は天秤座宮で支配星は金星、つまり、逮捕前は火星が、金星と海王星のミューチャル・リセプションに落ち込むループ型構造、もしくは火星の問題を金星と海王星で引き受ける形になっていたのです。それが進行火星が双子座宮に入ると支配星は水星、進行水星は牡羊座宮にあり支配星は火星、つまり、進行の火星と水星がミューチャル・リセプションとなって、進行火星の意味する本人の情動原因が直接ミューチャル・リセプションの意味につながります。少なくとも、今までとは違い生活、情動処理状況の変化が示されています。逮捕という事態は凶悪集団の教祖様から、凶悪犯罪者としての収監状態へという、星の配置どおりの変化と考えることも出来ます。もう、自分の中に湧き上がる欲望を満たすことは出来ません。それこそ、自分を欺いて、望み通りの生活をしていると観想、妄想するしか無いことに。

22 松本智津夫 一審死刑判決 2004/2 48才

 裁判自体は遅れ気味とは言え、こんなモノでしょうか。死刑以外はあり得ない判決です。シバ神あたりが助けに来るなんて思っていたのかも知れませんが、そんな事はムリっと、断られていたでしょう。
 進行太陽に対し、出生海のオポジション。今までの分の精算です。

23 松本智津夫 死刑判決確定 2006/9 51才

 不確かな経過海王星はノーアスペクト、疑義の余地はありません。経過天王星もこれまた、来るべくして来る位置です。進行ASCは・・・ちょっばかり位置が当たりすぎ? 出生時への疑念は晴れませんが、判決が確定します。
 日本の裁判制度は三審制と呼ばれているもので地方・高等・最高の三段構えになっています。地方裁判所の判決、そして持ち上がった高等裁判所の判決に対して、民事や刑事の分けによる条件がありますが、上告が出来ます。そこが最高裁判所で、高裁に差し戻す場合もあるようですが、ここで出た判決が確定判決です。しかし裁判はそれで終わりというわけでは無く、再審請求というのがあります。もう一回やってねと言うことなのですが、本来的には条件が決まっていて、そんなにポンポン認められるモノではありません。しかし、請求には判決後の期間の限定は無く、請求に対する決定には時間がかかります。それに、制度では無いのですが手続きをしている間は死刑を避けるというようなことになっているのを悪用して、提出書類をわざと足りなくして事務手続きを遅延させ、執行を先延ばしするという手口がまかり通っていているそうです。でも、法律に明記されているものでもありませんので、執行することに問題はありません。従って、確定したら執行書類に法務大臣が署名をすれば行われます。ただし、当然のことですが、複数の容疑者が関わっている場合は、他の裁判が残っていれば、執行は待ったになります。未だに逃げていたりすると、掴まるまでお預け、待ちに入ることもあるのです。それで、余計に時間稼ぎが出来ます。そして、いずれ、逃げていた容疑者も捕まり、その確定判決も出ることになります。

24 松本智津夫死刑執行 2018/7 63才

 執行されました。8時というのは推定です。本人の遺志により、骨は4女が受け取り、お参り出来ないようなところへ散骨をするという話と聞いています。他の子女や関係者は色々と求めたいことががあるようですが、順当な結論でしょう。遺骨が、どこかに祭られていたら、何が何でも爆破してやるという御方が出て来ても不思議は無いですから。少なくとも複数存在し、せめぎ合っている後継団体が今抱えている信者さんの数より遙かに多くの厳しい思いを持つ方々が、いらっしゃるのだというのも忘れてはならないことです。どの面下げてやっているんだって。
 進行太陽は経過木星(つまり司法)に対してオポジション(緊張・対立)、あれほど事件の鍵になった出生火星は天王星とコンジャンクション(興奮と緊張・激情…)、等々参考になるようなことが沢山あります。また、ここから出生時の修正というのも出来そうです。
 占星術的に興味深い点が沢山あって、色々と検証したいこともあるのですが、以降の分析・拡張・発展・別切り口はその手の内容が得意な方にお譲りして、この項を閉じることにします。しかしながら、言いっぱなしになりそうですので、これでも穏便に書いているのだという証明に、確定まで行った松本智津夫の一審判決、量刑の理由を入れておきます。


【量刑の理由】
1(1)被告人は、自分が解脱したとして多数の弟子を得てオウム真理教(教団)を設立し、その勢力の拡大を図ろうとして国政選挙に打って出たものの惨敗したことから、今度は教団の武装化により教団の勢力の拡大を図ろうとし、ついには救済の名の下に日本国を支配して自らその王となることを空想し、多数の出家信者を獲得するとともに布施の名目でその資産を根こそぎ吸い上げて資金を確保する一方で、多額の資金を投下して教団の武装化を進め、無差別大量殺りくを目的とする化学兵器サリンを大量に製造してこれを首都東京に散布するとともに自動小銃等の火器で武装した多数の出家信者により首都を制圧することを考え、サリンの大掛かりな製造プラントをほぼ完成し作動させて殺人の予備をし(サリンプラント事件)、約1000丁の自動小銃を製造しようとしてその部品を製作するなどしたがその目的を遂げず、また、小銃1丁を製造した(小銃製造等事件)。
(2)そして、被告人は、このような自分の思い描いた空想の妨げになるとみなした者は教団の内外を問わずこれを敵対視し、その悪業をこれ以上積ませないようにポアするすなわち殺害するという身勝手な教義の解釈の下に、その命を奪ってまでも排斥しようと考え、しかも、その一部の者に対しては、教団で製造した無差別大量殺りく目的の化学兵器であるサリンあるいは暗殺目的の最強の化学兵器であるX]を用いることとしてその殺傷力の効果を測るための実験台とみなし、弟子たちに指示し、以下のとおり、一連の殺人、殺人未遂等の犯行を敢行した。
 すなわち、被告人は、教団からの脱会を表明しこれを阻止しようとする被告人を殺すとまで言うようになった信者や教団から脱走した上教団信者を連れ出すために教団施設に侵入した信者を、被告人に離反したり背いたりしたとの理由で殺害し(男性信者殺害事件1989/2、薬剤師リンチ殺人事件1994/1。この事件では更に死体をマイクロ波焼却装置で焼却損壊した。)、自己に敵対する者であるとの理由で、オウム真理教被害者の会を支援する弁護士業務に従事していた弁護士をその妻及び幼子ともども殺害し(坂本堤弁護士一家殺害事件1989/11)、オウム真理教被害対策弁護団の一員として教団信者の出家阻止、脱会活動に精力的に取り組んでいた弁護士をサリンを吸入させて殺害しようとしたがサリン中毒症を負わせたにとどまりその目的を遂げず(滝本太郎弁護士サリン襲撃事件)、同弁護士らと協力して教団信者に対する出家阻止、脱会に向けたカウンセリングをしていた、オウム真理教被害者の会の代表者に対し、あるいは、教団から脱会しようとした信者を支援していた男性に対し、それぞれX]を掛けて殺害しようとしたがいずれもX]中毒症を負わせたにとどまりその目的を遂げなかった(駐車場経営者VX襲撃事件 1994/12、被害者の会会長VX襲撃事件 1995/01)。
 のみならず、被告人は、ある男性が警察のスパイではないのに一方的にそのように疑った上、X]を掛けてその男性を殺害し(会社員VX殺害事件 1994/12)、さらには、ある信者がスパイでないことを知りながら教団が敵対組織から毒ガス攻撃を受けているという話を真実味のあるものとし教団の武装化に向けて信者らの危機意識や国家権力等に対する敵がい心をあおるためにその信者をスパイに仕立て上げようと拷問を加えた上、その信者を殺害した(男性信者リンチ殺人事件 1994/7。更に死体をマイクロ波焼却装置で焼却損壊した。)。
 また、被告人は、多額の布施を引き出す目的で資産家である信者の所在を聞き出そうとしてその兄をらち監禁し自白を強要するため全身麻酔薬を注射するなどして死亡するに至らせた(公証人役場事務長逮捕監禁致死事件 1995/01。更に死体をマイクロ波焼却装置で焼却損壊した。)。
(3)被告人の犯罪は、以上のような特定の者に対する殺害等にとどまらず、化学兵器であるサリンを使用した不特定多数の者に対する無差別テロにまで及ぶ。すなわち、被告人は、弟子たちに指示し、教団で新たに造った加熱式噴霧装置の性能ないしこれにより噴霧するサリンの殺傷力を実験的に確かめておこうと考え、その実験台として仮処分事件で教団松本支部の建物を当初の予定より縮小させる原因を作ったなどとして敵対視してきた長野地裁松本支部の裁判官を選び、裁判所宿舎を標的として同宿舎及びその周辺にサリンを発散させ、住民ら不特定多数の人々を殺害し、かつ、殺害しようとしたがサリン中毒症を負わせたにとどまりその目的を遂げず(7人を殺害し、4人に重傷を負わせた。松本サリン事件 1994/6)、また、阪神大震災に匹敵する大惨事を引き起こせば、間近に迫った教団に対する強制捜査を阻止できると考え、東京都心部を大混乱に陥れようと企て、地下鉄3路線5方面の電車内等にサリンを発散させて乗客、駅員ら不特定多数の人々を殺害し、かつ、殺害しようとしたがサリン中毒症を負わせたにとどまりその目的を遂げなかった(12人を殺害し、14人に重傷を負わせた。地下鉄サリン事件 1995/3)。
(4)松本サリン事件及び地下鉄サリン事件で多数の訴因が撤回された後においても死亡被害者27人、負傷被害者21人に上るこの13件の誠に凶悪かつ重大な一連の犯罪は、自分が解脱したものと空想してその旨周囲にも虚言を弄し、被告人に傾倒する多数の取り巻きの者らを得ると、更に自分が神仏にも等しい絶対的な存在である旨その空想を膨らませていき、自ら率いる宗教団体を名乗る集団の勢力の拡大を図り、ついには救済の名の下に日本国を支配しようと考えた、被告人の悪質極まりない空想虚言のもたらしたもの、換言すれば、被告人の自己を顕示し人を支配しようとする欲望の極度の発現の結果であり、多数の生命を奪い、奪おうとした犯行の動機・目的はあまりにもあさましく愚かしい限りというほかなく、極限ともいうべき非難に値する。
 2 そして、本件は、これまでみてきたとおり、その被害が誠に膨大で悲惨極まりないこと、犯行の態様が人命の重さや人間の尊厳を一顧だにしない無慈悲かつ冷酷非情で残酷極まりないこと、長期間にわたって多数の犯罪を繰り返しついには無差別大量殺人に至るまで止めどなく暴走を続けたこと、多数の配下の者を統制して組織的・計画的に敢行し更に一層大掛かりなものへとその規模を拡大させたこと、宗教団体の装いを隠れ蓑として被告人に都合のいいようにねじ曲げあるいは短絡化させた宗教の解釈によって犯行を正当化しつつ更に凶悪化させていったこと、犯行により被害者、その家族近親者ら及び被害を生じさせた地域の人々はもとより広く我が国や諸外国の人々を極度の恐怖に陥れたもので人間社会に与えた影響が甚大かつ深刻で広範に及ぶことにおいて、これまで我々が知ることのなかった誠に凶悪かつ重大な一連の犯罪である。
 3 被告人の犯行によって命を奪われ、また、奪われようとした多数の人々は、誰一人としてそのような被害に遭わなければならないような落ち度等は一切なかった。そうであるのに、3人の信者は、いずれも教団の密室内等に身体を拘束され取り囲まれて助けを求めることが不可能な状況に追い込まれた上、あるいは首をロープで絞められた挙げ句両手でひねられて殺害され、あるいは爪の間に待ち針を差し込まれるなど手ひどい拷問を受けた挙げ句ロープで首を絞められて殺害され、証拠隠滅の意図でその身体を跡形もなく焼却損壊され、また頭からビニール袋をかぶせられ催涙ガスを吹き込まれた挙げ句ロープで首を絞められて殺害され、証拠隠滅の意図でその身体を跡形もなく焼却損壊された。オウム真理教被害者の会を支援していた弁護士の一家は、深夜自宅で休息の床にあるところを突如襲われ、必死の抵抗も適わず、「子供だけはお願い。」との妻の悲痛な叫びもむなしく、幼子もろとも首を絞められるなどして殺害され、証拠隠滅の意図で一家はばらばらに遠く人里離れた山中に埋められた。オウム真理教被害対策弁護団の一員である弁護士は、裁判所構内に駐車した乗用車にサリンを仕掛けられ、帰途車を運転中にサリン中毒症に襲われ、交通事故死等の危険に見舞われた。X]に襲われた3人は、あるいは朝の通勤途上、路上で突然後方から注射器でX]を身体に掛けられ、犯人を追跡しようとしたもののごく短時間のうちに路上に転倒、絶命させられ、あるいは朝自宅近くに家庭ゴミを出しに行った際、また、あるいは朝食を済ませた後自宅近くのポストに年賀状を投函Lに行った帰り途、いずれも自宅と目と鼻の先の路上で突然後方から注射器でX]を身体に掛けられ、帰宅後重度のX]中毒症に襲われて生死の淵をさまよい、かろうじて一命を取り留めた。松本サリン事件では、一目の終わりにそれぞれの自宅で憩いや休息などの時を迎えていた多数の人々が、加熱式噴霧装置で気化発散させられたサリンの突然の侵襲を受け、まさに悶絶のうちに命を奪われ、また奪われようとし、地下鉄サリン事件では、朝の通勤時間帯に密閉空間ともいえる地下鉄内で、多数の人々が、発散させられたサリンの急襲を受け、同様悶絶のうちに命を奪われ、また奪われようとした。一時に多数の人々がサリンに襲われ極度の苦しみにあえぐその被害の有様は想像を絶するすさまじさであり目を覆うばかりである。資産家の信者の兄は、夕刻路上で手荒くらちされ麻酔薬を注射されながら教団の密室内に連れ込まれ自白強要のため更に麻酔薬を注射されるなどして命を奪われるに至り、証拠隠滅の意図でその身体を跡形もなく焼却損壊された。残虐非道極まる犯行の数々というほかはない。
 4 被告人の犯行によって命を奪われた多数の人々は、あるいは死の恐怖を味あわされつつ絶命させられ、あるいは死への途にあることすら知ることもできずに絶命させられ、またサリン中毒症との長期にわたる闘いの果てに絶命させられたのである。将来においてさまざまな出来事や人々と巡り会いさまざまな感動に出会いながら家族、近親者、友人、仲間らとともに精一杯に充実させて生きていくはずであったその人生をことごとく無惨にも奪われたその無念さは、余りにも大きく言葉では表現できようはずもない。そして、命を奪われた被害者の遺族らの悲嘆は誠に深くその衝撃は甚大である。その心奥からの精神的苦痛はこれをわずかでも和らげようとすることすらできようもない。
 かろうじて一命を取り留めた多数の人々も、今なお死にも等しい状態に置かれ苦しみ続ける人があり、重い後遺症によりその人生の実質をほとんど奪われて苦しみ続ける人があり、また心身の重い不調に苦しむ人も少なくない。その精神的肉体的苦痛は癒されようもなく大きい。そして、その家族及び近親者らの精神的苦痛やのしかかるさまざまな負担も誠に大きく耐え難いものである。
 命を奪われた被害者の遺族ら、命を奪われようとした被害者及びその家族、近親者らはこれまで長期間にわたって日夜苦しみ続け、今後もその苦しみは果てることがなく、まさにその心身を切りさいなまれる日々である。これらの人々の被告人に対する怒りはこのような苦しみや悲しみから発するもので、その処罰感情がこれ以上はないほど厳しいのは誠に当然である。
 5 そうであるのに、被告人は、かつて弟子として自分に傾倒していた配下の者らにことごとくその責任を転嫁し、自分の刑事責任を免れようとする態度に終始しているのであり、今ではその現実からも目を背け、閉じこもって隠れているのである。被告人からは、被害者及び遺族らに対する一片の謝罪の言葉も聞くことができない。しかも、被告人は、自分を信じて付き従ったかつての弟子たちを犯罪に巻き込みながら、その責任を語ることもなく、今なおその悪しき影響を残している
 6 他方、被告人は幼いころから視力に障害があり恵まれない生い立ちであった。将来の希望と目的を持ち、妻子と共にその人生を生き抜こうとしてきた時期もあったであろう。
被告人の身を案じる者もいることであろう。
 しかし、これまで述べてきた本件罪質、犯行の回数・規模、その動機・目的、経緯、態様、結果の重大性、社会に与えた影響、被害感情等からすると、本件一連の犯行の淵源であり主謀者である被告人の刑事責任は極めて重大であり、被告人のために酌むべき上記の事情その他一切の事情をできる限り考慮し、かつ、極刑の選択に当たっては最大限慎重な態度で臨むべきであることを考慮しても、被告人に対しては死刑をもって臨む以外に途はない。