占星術講座SA2 三浦弘行(20161016)

三浦弘行(20161015)

 将棋棋士として知られる三浦弘行(みうら ひろゆき)が日本将棋連盟より公式戦出場停止処分を受けたと2016年10月12日に発表されました。「あの」羽生を破ったことで有名となった人物ですが、報道に寄れば対局中に座を外すことが多く、その間に情報端末で将棋ソフトを使っていたとの疑惑を持たれたというのが処分の原因となっているようです。この一連の問題が星に出ているかどうかを確かめてみましょう。
 誕生日は公開資料として1974年2月13日となっていますが、自伝その他の記録を調べたわけではありませんので、出生時刻までは判りません。取りあえずですが12:00:00でやってみましょう。

 生時不明ですから、アセンダントは勿論、月の位置が6〜7度ほど前後する可能性があります。しかし、さそり座宮であることに間違いはありません。チャートの感受点配置は概ねばらけていて、マジョリティを作っているわけでも、オポジションの緊張状態があるわけでもありません。座相はオポジションが無くトラインとスクエアが目立つ形で、ものごとを変革していくというパターンでは無く、前例を踏襲して行くという基本的な人生の方向、個性が考えられます。
 太陽を見ると木星とのコンジャンクション。そして、更に土星と天王星とのグランド・トラインが、幸運度を高めています。そして惜しむらくは火星のスクエアということになります。幸運なんだけれど敵も強力と言えます。ただし、オポジションでは無いのでライバルとして切磋琢磨にはならず、損耗するだけの関係が想像されます。この火星と金星はトラインですが、その金星は天王星のスクエアで、これがどう関わるかは幸運ばかりでは無い微妙な関係があることでしょう。、


 次に棋士としての資格であlり、目標・結果でもある段位を取得した日付をチャートで追ってみましょう。

 星の配置として見ると、プロとして船出するに、なかなか良い配ものがあると思います。これらの感受点の動きのなかで、特に進行の水星に注目してみましょう。意味的には、将棋という頭を使い虚々実々の戦いをする分野で水星が重要なコントローラーとなっていると見ることが出来ます。

    進行水星の作る座相
  1979年07月 水星n 合 水星p
  1982年02月 海王p □ 水星p
  1982年03月 海王n □ 水星p
  1990年06月 火星p □ 水星p
  1993年02月 木星p 合 水星p
  1994年12月 土星n △ 水星p
  1995年05月 土星p △ 水星p
  1995年09月 天王n △ 水星p
  1997年08月 天王p △ 水星p
  1999年08月 天王p △ 水星p
  2002年04月 天王n △ 水星p
  2003年01月 土星p △ 水星p
  2003年01月 土星n △ 水星p
  2010年09月 木星p 合 水星p
  2016年11月 海王n □ 水星p
  2016年12月 海王p □ 水星p
  2018年05月 水星n 合 水星p
  2026年02月 火星p □ 水星p
  2030年05月 土星n □ 水星p
  2031年04月 土星p □ 水星p
  2034年08月 冥王p 衝 水星p
  2035年07月 冥王n 衝 水星p
  2037年03月 海王p △ 水星p
  2037年04月 海王n △ 水星p
  2045年10月 天王p 衝 水星p
  2046年01月 金星n □ 水星p
  2046年12月 天王n 衝 水星p

 四段となってプロになった頃に、進行水星は逆行していて、進行木星とコンジャンクションになろうとしています。この状況は3年後の五段昇格でも一緒です。そして、出生土星天王星とのタイトなグランドトラインを作っています。将棋を示す星は何かと言えば、知力を使って勝負する水星が割り当てられることでしょう。そして、進行水星は1998年10月末まで逆行し、その後、順行を開始します。戻ってきた水星が出生土星天王星とのタイトなグランドトラインを再び作る頃に、八段へ昇格します。ある意味、順調に昇段してきたと言えますが、ここからが問題です。進行水星がこの後、出生感受点に対しての「順調」なアスペクトを作りがたい時期がやって来ます。元々の位置では水星と海王星とスクエアであり、散漫な精神、虚言、乱雑、気まぐれ、というような文言が並ぶ状態がオーブ2度にあるのがネイタルなのです。勝負の世界は実力だけでも、運だけでも通らず、どちらも揃って始めて勝てる厳しい世界なのだろうと思います。出生で示された自力は水星そのもの以外のところについては凄いものがあります。水星のパワーを引き出す「運」である進行や経過感受点のサポートは桁外れのものと言えるでしょう。しかし、出生水星そのものについては、魚座宮でデトリメント、支配星の海王星のタイトな凶角を持つという、ある意味、最弱と言っても良いものでしかありません。つまり、運気をもたらした強力なバックアップは既に無くなっているのです。
 進行の水星を追うと、既に出生の位置に近づいていますが、元々持っている海王星とのスクエアは、今が強く出ている時期です。事件としては海王星の示す疑惑や曖昧さと言うような、負の内容が出て来ているのです。先行きのアスペクトで言えば、2030年頃にある土星とのスクエア、3034年頃にある冥王星とのオポジションが問題点となります。この後2037年には海王星とのトラインがありますが、意味的には出生で海王星との凶角を持つ水星が良い方向へ働くかというとあまり期待は出来ません。2045年になると金星と天王星のスクエアに掛かってTスクエアを作ってしまいます。この先にあるのは2058年の火星とのコンジャンクションです。つまり、残りの人生では進行水星の示す運としては、これまでのようなバックアップはあり得ず、足を引っ張るばかりの状況が考えられます。

 八段昇段までは、100パーセント順風満帆とは行かないまでも、なかなか良い配置が次々にやって来ていると思います。ところで、進行の水星について見ることは既に指摘しましたが、進行法の基本は進行太陽の動きです。進行太陽は出生及び進行の冥王星とのオポジションを形成しています。座相の意味からすれば、信念を失い、自信も失うということで、自分のアイデンディティを喪失する時期になっています。こちらは状況が2〜3年は続くことになります。
 とすると、この事件(疑惑?)は、これらの星の関連から推測すれば、主たる要素として元々持っていた水星の機能が招いた結果であり、自信を喪失するような何かしらの問題が、事態を更に難しい方向へ導いていると考えられます。この事件がどのように動いて行くかは、海王星が強く絡んでいることから、不透明な霧の中になってしまうでしょう。今回の処分は、内容からすれば処罰と言うことでは無く、怪しい行動はダメよという理屈で、休場の届けが出なかったことに対しての措置であろうと考えられます。本人が別室で差し手に七転八倒していたのか、スマホをいじっていたのかなんて、調べる方法は無いわけでは無いとは思いますが、そんなことより真摯かつ紳士的に対局に臨んでいるかということ、ファンの方々への誠意というのが問われる点であると考えます。処分に対して法的対抗策をなんて言い出すようでは、別の道を考えるのが利口では無いかとも思う次第。閑話休題。

    進行太陽の作る座相
  1977年05月 太陽n □ 火星p
  1977年09月 天王p △ 太陽p
  1977年10月 天王n △ 太陽p
  1977年12月 土星p △ 太陽p
  1978年01月 土星n △ 太陽p
  1985年11月 水星p 合 太陽p
  1989年05月 海王n □ 太陽p
  1989年07月 海王p □ 太陽p
  1991年03月 水星n 合 太陽p
  2007年12月 土星n □ 太陽p
  2008年02月 土星p □ 太陽p
  2015年07月 冥王p 衝 太陽p
  2016年07月 冥王n 衝 太陽p
  2019年07月 海王n △ 太陽p
  2019年08月 海王p △ 太陽p
  2036年02月 天王p 衝 太陽p
  2036年03月 金星n □ 太陽p
  2038年02月 天王n 衝 太陽p

 改めて進行太陽の動きを見ましょう。出生水星の上をパス(合)したところで四段を獲得プロ棋士としてデビューしたのは、星の動きとしては当然です。次のアスペクトは土星とのスクエアです。2007〜2008年頃のことです。一般的に言えば苦しい時期であったろうと想像出来ます。この時期に忍耐力を育て、身につけるというのがセオリーであり、病気などへの対策も滞りなく行うというのが時期でもあります。しかし、出生の土星はグランドトラインの一角を担う星であり、得てして土星にイージィアスペクトのみを持つ人は、土星の試練に晒されて苦労するという経験が無い為に、困難に弱い傾向があるように思います。更に、この後に来るアスペクトが冥王星とのオポジションです。これが最近の事件(不祥事?)に対応しています。
 2019年には進行太陽は海王星とトラインとなります。アスペクトだけ見れば、海王星と良好な関係であると判断しますが、この海王星は出生の水星とはスクエアで困難の関係があります。イマジネーションが湧いて戦略に有用な影響があれば良いのですが、海王星を刺激すれば水星に問題が出そうです。2018年には進行水星が、順行で出生水星の位置に戻ってきているのですから、もともとそれほど強力で無い水星の立場は、良いわけではありません。つまりは、今後とも以前のような破竹の勢いで勝ち進むと言うことは、少なくとも星の巡りから言えば、難しくなっていると言えるでしょう。
 勝負の世界は、それはそれは厳しいもので、負けても命を取られるような分野では無いにしろ、勝つことだけが問われる修羅の道です。若くして芽を出さないといけませんし、歳を取ってからも運を出さないといけない分野ゆえに、初年運や中年運のみが頼りの人生では完走が難しいのです。従ってソフトランディングする方法も用意されているのですから、人生設計を賢くやっていくことをお勧めしたいと思います。、