占星術講座SA2 (20141002)

御岳噴火


 先ずは何はともあれ、該当の日時のチャートを出してみます。チャートまたはポロスコープ、天宮図と呼ばれるのが、ある時点での日月惑星などの星の位置を図にしたもののことです。一番使われるのが太陽の通り道である黄道を基準として作られた図です。右端が東の地平線にある黄道のAsc(上昇点)であり、一番上が黄道上の真南の位置で、正確ではありませんがMc(天頂)と呼びます。右端は西の地平線上にある黄道上のDsc(下降点)です。そして、一番下が、真北の位置で、これも正確ではありませんがIc(天底)と呼びます。昼時ですから太陽が天頂付近にあります。そして、天底付近には天王星があります。ただし、これらのアキシス(Mc−Ic、Asc−Dscの2つのラインをアキシス(軸)と呼び、重要な位置と考えます)関連の感受点に強力なアスペクトがありません。そして、噴火は海王星と火星の出来事であって、この2つの星は許容度は大きいとはいえスクエアとなっています。しかし、これだけを持って噴火と断ずることはできません。もしこれで噴火するのであれば、火山国日本は、いつでも何処かで大噴火していなければならないことになります。
 このチャートから、死者を多数出す噴火災害を示すと言い切れるのは、想像力豊かで、あらためて予知しろといわれるとできなくなってしまう人だろうなと思います。多くの方が読めないと断念したであろうことが想像できます。また、大被害ということですから、国や地方の始原図チャートに対比させた方もいらっしゃると思いますが、こちらもなかなかうまく行かないのでは無いかと思います。というのは、国を揺るがすような被害であったかということが問題となるのですから。

 この御岳山はある意味、特殊な山で、噴火の記録が歴史時代に無いにも関わらず、1979年に噴火して、死火山・休火山・活火山に分類していた火山の分類をやめるきっかけとなったこともあります。今では噴火の前に火山性微動が起こり、震源が上昇することまで判りますから、マグマ噴火の直前予知は、何とかできそうになっています。この御岳山も火山性微動が観測されていましたので、噴火の可能性が指摘されていました。しかし、マグマが上昇している気配がないということから、警戒レベルの引き上げをしないでいる内に、水蒸気噴火という形で噴いてしまいました。予知の失敗として責められても仕方の無い状況があります。

 さて、問題はその1979年の噴火です。本当に万年単位の久しぶりの噴火という現象で、これをイベント図、出生図として今回の噴火を重ねてみると、3重円構造のチャートが書けます。一番内側が「出生」円と呼ばれ、要は原因であり、人間であれば生まれた時の星の位置を使います。今回は火山で、一挙に火山が作られたわけではないので、前回の噴火を当てました。中間の円はどのように状況が変化しているかを示す「進行」という未来予知法による星の位置で、出生円の星が変化、移動していったそのときの状況を推察する手がかりとなります。一番外側が、事件のときや現時点等の経過と呼ばれる星の位置となります。
 記号は感受点、つまり日・月・惑星・準惑星・その他の象徴点を示すもので、右側一覧の上から日、月、水金火木土、天王、海王、冥王、上昇点、南中点、バーテックス、イーストポイント、パート・オブ・フォーチュン、ノード、リリス、セレス、パラス、ジュノー、ベスタ、カイロン、ペルセポネ、エックスと並んでいます。Stargazerではペルセポネやエックスについて太陽系外縁天体を当てています。
 一番内側の円には、1979年の噴火のときの感受点の位置が黄道上の位置と共に表示しています。中間の円は1979年の噴火からどのように状況が変化しているかを示す進行円です。一番外側の円は今回の噴火のときの感受点位置です。
 3つの図を見ると同じ位置、または一度鹿離れていないような星が目立ちます。この状態を合と呼びますが、今回使用している感受点は13個あります。これが360度の中にまかれたときに、1つの星が、他の3つの円にある38個の星と同じ位置に来る可能性は38/360です。そして、これが39個の星それぞれについて同じ可能性を持っていますので、乗ずれば、同じ度数ということだけで約4つの合が期待できます。
 ところが、この3つのチャートの中には10個の同じ度数を持つ星の組み合わせがあります。経過円と呼ばれる現実の動いていっている星が、出生円や進行円の星に対して影響力を行使する際の最大の力が合と呼ばれる状態です。つまり、大変に強力な影響を受けていることを示しているのです。その中で、占星術上噴火を示す星としては火星や海王星が関係していますが、それらの星が絡んだ特別な関係としては進行の太陽と経過の火星の合があります。また、合ではないのですが、進行の火星と経過の海王星は、天の反対側にいます。これを衝と呼び、合の次に強い影響力を持つと考えます。
 占星術は、これらの星の意味や占めている場所、他の星との角度の関係から、天の時と地の時の相応を使って意味と影響、事件を知ろうとする分野なのです。当然のことですが、事件の原因が星にあるわけではありません。星が悪い角度を作ったからそれが原因で事件が起こったのではありません。天の星の配置と地上の出来事に相関関係があることから事件を見ようとするものです。

 次のテーマは、噴火がどうなっていくのか、おさまるのかどうか、再び噴火するかというようなことです。星を進めて状況を見るということは、バソコンで可能となっています。やってみるのは興味深いことです。ここで注意です。このようなことについて予言するのはそれぞれ自己責任の範疇ですが、それを公表することは、各種法令に抵触する場合があります。資格を持たないものが天気予報をすると最高罰金50万円だったと思いますが、この点は十分注意していただきたいと思います。