sdwd's Ast. 星座宮

星座宮

 春分点より30度毎に12セクターの領域を星座宮として感受点の位置を表すために使います。各々の星座宮に入った感受点は、それぞれの星座宮の意味による色付けがされると考えます。


星座の分類

星座宮 区分割 支配星 高尚 減退 損傷
牡羊 活動 火星 太陽19゜ 土星 金星
牡牛 不動 金星 月3゜ 天王 冥王
双子 柔軟 水星 木星
活動 木星15゜ 火星 土星
獅子 不動 太陽 冥王 海王 天王
乙女 柔軟 水星 水星15゜ 金星 海王
天秤 活動 金星 土星21゜ 太陽 火星
不動 冥王(火星) 天王 金星
射手 柔軟 木星 水星
山羊 活動 土星 火星28゜ 木星
水瓶 不動 天王(土星) 海王 冥王 太陽
柔軟 海王(木星) 金星27゜ 水星 水星
星座宮名 英名 読み 別名 春分点からの度数
牡羊 aries おひつじ 白羊   0- 30
牡牛 taurus おうし 金牛 30- 60
双子 gemini ふたご 双児 60- 90
cancer かに 巨蟹 90-120
獅子 leo しし 獅子 120-150
乙女 virgo おとめ 処女 150-180
天秤 libra てんびん 天秤 180-210
scorpio さそり 天蝎 210-240
射手 sagitarius いて 人馬 240-270
山羊 capricorn やぎ 磨羯 270-300
水瓶 aquarius みずがめ 宝瓶 300-330
pisces うお 双魚 330-360

星座宮各論


牡羊座宮

 牡羊座宮の基本的な意味付けは、天地創造の時であり、この世に始めて現れた生物の強い生命力でもあります。受精したばかり、発芽したばかり、生まれたばかりの状態で、躍動する生命力の象徴として勇ましく、力強い男性を表し、労働や忍耐、そして富と冒険への積極性、攻撃性をも示しています。しかし性的な意味合いを多く含んでいるために、太陽の明るさとは少し違い何かしら暗い影を伴っています。星座宮の表す職業は支配星の火星の表すものと同じです。
 牡羊座に関してギリシャ神話ではいくつかの逸話があります。ゼウスが巨神族との戦いで破れた時に牡羊に変身して逃れたことから作られたという説と共に、アルゴー号遠征隊の目標であった金毛の羊だと説が主流です。多くの神話の中には、勇士が金毛の羊皮(宝物)を求めて航海し多くの冒険の後これを手に入れるというテーマが多くあり、この説話自体も異説が非常に多く伝えられています。金毛の羊皮は希望や栄誉、富の象徴でもあり、欲望の対象でもあります。
牡羊座宮神話
 テッサリアの王、アイオロスの子アタマスは、最初の妻、妖精ネフェレーとの間にプリクソスとヘレーの兄妹をもうけました。しかし、ネフェレーは事情があって去ってしまったので、カドモスの娘イーノを次の妻としてめとりました。イーノは実子レアルコスとメリテルコスができると、先妻の子に優先継承権があることから憎くてたまらなくなり、自分の手を汚さずに殺してしまおうと考えました。そこで、まずイーノはテッサリアの国中の麦の種を火であぶって麦が取れない大凶作の状態にしました。そして、凶作の原因を問うデルファイ神殿への使者を抱き込んで、プリクソスとヘレーの兄妹をゼウスの生け贄にすれば凶作が止まるという神託があったと報告させました。アタマス王はさすがに実行できずにいたので、イーノはこの情報を農民に流しました。飢えた農民は王宮に押し寄せ、生け贄の儀式を要求しました。
 ネフェレーはこのことを知り、ゼウスに子供達を守らせたまえと祈りました。ゼウスは敬虔篤実な信者であったネフェレーと兄妹を哀れに思い、伝令神ヘルメスに命じて金色の毛を持ち空を飛ぶ牡羊を送りました。そして、ゼウス神殿の前で、まさに犠牲を捧げようとするとき、ネフェレーは我が子を雲霞に包んで羊に乗せました。
 二人を乗せた牡羊は、コルキスを目指して矢のように飛びました。しかし、あまりの早さにヘレーは目が眩んで手を離してしまい海に落ちて死んでしまいました。この海はヘレスポントス(今のマルマラ海)と名付けられました。コルキスに着いたプリクソスは、コルキス王アイエーテスから歓待され王女カルキオペを妻に迎えました。そして牡羊をゼウスの生け贄として捧げ、金色に輝く毛皮をコルキス王に送りました。王はこの毛皮をアレースを祭る森の樫の木に架けて、不眠の火龍に守らせ国の宝としました。
 後に行われたギリシャ神話屈指の冒険談、アルゴー船の遠征は、王位奪還と実力の証明のために行われた、富の象徴である金羊毛を取り戻す旅でした。



牡牛座宮
 牡牛座宮は牡羊座宮に引き続いて生まれ出た生命の成長した姿を表しています。妊娠や孵化、あるいは乳児の状態、そして、あらゆる富と豊かさを象徴するこのサインは、牛のイメージから、暖かな母性、豊かな大地とその生産力、ねばり強い努力をも表しています。
 基本的なには、わがままでガッチリしていますが、無骨ではなく感受性が豊かで親切、内気で引っ込み思案の反面、頑固なくらい一度決めた方針を守る性格です。不正や虚偽を嫌っているが故に、逆に偽善的なものに引っかかってしまいやすい傾向もあります。
 金星は牡牛座宮と天秤座宮の支配星になっていますが、金星の力は2つの星座宮にそれぞれ違った働きをしています。星座宮の表す職業は金星的な職業の中でも声楽家、画家、園芸家、調理人、装飾装身具製作販売、家具インテリア等デザインなどが牡牛座宮の示す職業です。
 牡牛座には、ギリシャ神話では、河の神イーナコスの娘イオの変わり果てた姿という話、フェニキア王の娘エウローパをさらった時のゼウスの姿であるという話があります。

牡牛座宮神話
 レルネの川岸でイーナコスの娘イーオーとゼウスが戯れていたことから始まります。ゼウスの妻ヘーラはオリュンポスの頂きからめざとくこれをみつけて降りてきました。ゼウスは浮気の現場を隠すために、大あわてで雲を出し、イーオーを牛に変えてしまいました。ヘーラは現場を押さえられなかったのですが、牛が怪しいと感づき、無理矢理貰い受けて、百の目が交互に眠るために監視人としては最高のアルゴスを、見張りに付けました。
 夜も昼も苦しめられているイーオーの為にゼウスはヘルメスを羊飼いに変装させてアルゴスを殺させたのですが、執念深いヘーラは、今度は大虻を放ってイオを追いかけ回させました。イーオーは世界中を逃げ回り、エジプトに渡ってようやくゼウスにもとの姿に戻して貰いました。そこでエパフォスを産んだのですが、ヘーラは暴漢を差し向けて赤ん坊をさらいました。さすがのゼウスも堪忍袋の緒が切れて暴漢に雷を投げ、その子をビュブロス王の妻に育てさせてイーオーに返しました。イーオーは後にエジプト王テレゴノスと結婚し、エパフォスは後を次いでエジプト王になったとのことです。
 もう一つの話は、イーオーの子孫エウローペーが海辺の牧場で次女達と草摘みをしている時、何処からともなく雪のように白くおとなしそうな牛が現れ、エウローぺーの側にうずくまりました。エウローぺーは気を許して戯れに背に乗ってみると、牛はあっという間に走り出し、海の上を地面のように駆け抜けて行きました。彼女が助けを呼ぼうにも、たちまち陸は遠ざかり霞んでしまいました。ようやく我にかえったエウローペーが事の次第を牛に尋ねると、牛は自分がゼウスであり彼女を花嫁としてさらったことを明かしました。ちょうどこの時、ゼウスはフェニキアから地中海を渡りクレタ島に着きました。ゼウスはそこでエウローパを守るための青銅の巨人タロス、必ず獲物をしとめる猟犬、投げれば必ず当たる槍を彼女に与えました。エウローパはここで ミーノース、ラダマンチュス、サルペードーンら3人の子供を育てました。ミーノースはクレタの王、ラダマンチェスは正義の立法家、サルペードーンはリキュアの王となりました。



双子座宮
 二元性を象徴する双子座宮は、2つのものの間を取り持つ言語や情報伝達・知識を表します。二つに裂かれる不安から口数も多く行動も早くなりがちな部分に、この星座の性格が出ています。愛しながら憎むような二つの面を持ち、口八丁手八丁、文筆や外交の才能もあります。概して肉体労働より精神的な仕事が合っています。星座宮の表す職業としては 水星の示す職業の中でも特に語学関係、数学、法律、商業等への適性があります。

 ギリシャ神話の中でも双子座については異説が多くありますが、通説ではゼウスとスパルタ王妃レ−ダの間に、卵で生まれた、双子の神だとされています。一説では双子でありながら父親が違い、カストルはレーダと夫のテュンダーレホオスの子で人間として生まれ拳闘の名手、ポルックス(ポリュデウケース)はゼウスの子で神として生まれ馬術の達人とされています。
 彼らはいつも仲良く連れ立ち、白馬にまたがる青年として考えられています。数々の冒険をし、二人は互いに協力して難関を越えていきました。アルゴー船の冒険に参加した50人の選りすぐりの英雄豪傑智者の中にカストルとポルックスの二人とも入っていました。

双子座宮神話
 アルゴー船の航海中に大嵐に遭い沈没の危険が出たとき、アポロンの子オルフェウスがサモトラケー島の神に琴を奏でて助けを祈ると、双子の頭上に大きな星が一つずつ輝き海が静かになってしまいました。これは、海の支配者ポセイドンが二人の日頃の友情に感じていて嵐を鎮めたためとされています。嵐の夜にセントエルモの火と呼ばれるマストからの放電がみえることがありますが、これを古代ではカストルとポルックスの双子の火と呼んで、これが見えれば、どんな嵐も静まると信じられていました。後に暗い夜や暴風雨のおりに船のへさきに立ち船人を導く神霊として祭られるようになりました。
 また、アルゴーの一行はポスホロス海峡に入る直前にビテュニア国に入ってしまいました。この国には、旅人が国王と拳闘の試合をし、破れると奴隷になるか死ぬかという掟がありました。ポセイドンの子にして力自慢、負けたことのない拳闘の名手、国王アミュコスの挑戦を前にして、ポルックスは固い拳に牛の生皮を巻いて対戦し倒してしまいました。王の仇と飛び出してきた臣下はアルゴーの仲間が片づけ、旅の障害となるやっかいな国を討ち滅ぼしてしまいました。
 双子の冒険は、カストルが人間であり、死す運命であることから終わりになりました。最後の冒険はアルカディアに牛を捕まえに行ったことです。従兄弟のイーダス、千里眼リュンケウスと同行したのですが、この二人の企みにかかって捕まえた牛をだまし取られてしまいました。それを奪い返すために先回りして二人を待ち伏せしたのですが、リュンケウスに運悪く見つかり、カストルが射殺されてしまいました。これを見たゼウスはイーダスの所行に腹を立てて雷電で撃ち殺しました。ポルックスは、カストルと一緒に死ぬことを願ったのですが、不死身の身では叶いません。ポルックスは、ゼウスに願って、自己の不死の齢をカストルとわかちあうようにしまた。ゼウスは、兄弟が一日おきにオリュンポスと冥界で暮らせるように計らい、二人の友愛を記念して星座にしたとされています。



蟹座宮
 蟹座宮は、形ある世界と形のない世界の架け橋として、豊かな創造力、母性を象徴します。最初の水の星座宮で、内的精神生活、直感、記憶を支配します。感受性が強く気分はすぐ変わってしまいがちです。同情心があり争いは好みませんが、頑固で案外怒りっぽい性格で、なにかとためこみやすい傾向もあります。星座宮の表す職業は支配星の月のしめすものになります。
 蟹座は五千年の昔、バビロンで知られていましたから最も古い星座の 1 つです。しかし、神話に伝わる意味付けでは、あまり目立たない存在です。小さな蟹を想像させるこの星座は、ギリシャ神話では巨大な化け蟹カルキノスです。
 暗い水底に潜み、外見は異様で、堅い殻に包まれています。しかし、意外に臆病で、その奥には傷つき易い優しさを秘めています。また、順応性もあり想像力も豊かで、特に模倣の才があります。また、なにごとによらず守ろうとする意志は強く、支配星が月であることからも母性の象徴となるサインです。
 中国ではこの星座を鬼宿と呼びました。この星座に積尸気(ししき)英名プレセペと呼ばれる、肉眼では白い雲のようにみえる星団があります。鬼とは[たましい]のことで、積尸気とは死骸から立ちのぼる気のことです。不気味な名前が付いていますが、ここを出入口として、死者の魂が天に上がると考えられていました。

蟹座宮神話
 ヘラクレスはペルセウスの曾孫にあたり、牡牛のイーのー末裔にあたります。ゼウスの妾腹であることから女神ヘーラに疎まれて、自分の妻子を殺してしまい、贖罪の旅に出ます。そして神託により、12の功業をすることになります。その中の2番目、アミモーネの沼レルネーに住む水蛇の化け物ヒドラと戦ったときに、ヘラクレスの足を鋏んでヒドラに味方をしたのが、大蟹カルキノスです。ヒドラは蛇でありながら複頭で、そのうち中央の1つが不死身であり、首を切り落としても次々に新しい首が生えて来るという化け物です。ヒドラはヘラクレスに巻き付いて押さえつけ、さらにカルキノスがヘラクレスの足を挟み込んで動けなくしようとしました。ところが、いかに大きな化け蟹といえども、怪力無双を誇るヘラクレスによってたちまち踏みつぶされてしまい、ヒドラも切り落とした首の切り口を焼くことによって再生できず、不死の頭を大石で押さえられてしまい退治されてしまいました。しかし、ヘラクレスを憎むヘーラが、功績を認めてヒドラと共に天に上げて星座にしたといわれています。一説によれば、カルキノスはヒドラを助けるためにヘーラが送り込んだとされています。
 他の説では酒の神バッカスと火の神ヘーファイトスの2匹の馬とそのまぐさ桶だとされています。ゼウスに率いられたオリンポスの神々が巨神族ティターンと戦かった時に、大いにいななき敵を驚かせ、戦いに功績があったことから、まぐさ桶と共に天に上げられたことになっています。また、バッカスがオリュンポスへ行こうとしたときに広い沼があって通れなかったのを、そばにいたろばが親切に渡してくれたことを感謝して星座にしたという噺も伝わっています。



獅子座宮
 獅子座宮は、牡羊座宮でともった火が燃え上がり、輝きわたる状態を表します。名前の元の獅子は百獣の王として、王権の象徴、男性原理を表します。中国では伝説の支配者、黄帝が晩年に乗って昇天したとされる龍がこの星座です。龍も獅子も高貴な存在であり、権威の象徴となっています。明るく、勇気をもち、野生的で、不屈の意志がみせる堂々とした自信は獅子座特有のものです。拍手と賞賛を望み、人の上に立とうとします。自分の考えをもち、他人の意志では動かない強情さがあります。しかし、意外にセンチメンタルな点もありロマンチストでもあります。
 ギリシャには昔から獅子(ライオン)はいませんが、ギリシャ神話では、ヘラクレスの12偉業の1つに化け獅子退治が出てきます。また、オディプスの謎で登場するスフィンクスも化け獅子です。スフィンクスと言っても幾つかの形があり、オディプスに出てくるものは、人間の女の頭と乳房を持ち胴がライオンで翼を持っています。エジプトの遺跡で知られているスフィンクスは、頭と手が人間の男で。胴体がライオンのアンドロスフィンクスです。この他に頭が雄羊や鷹のものもあります。

獅子座宮神話
 ギリシャ神話によれば、ネメアの谷に棲み人畜を殺傷していた不死身の化け獅子が獅子座です。最悪の怪物ティフォーンと上半身女、下半身蛇の怪物エキドナの間に生まれたという、とんでもない素性を持つ魔性の化け獅子退治が英雄ヘラクレスの最初の仕事でした。彼は棍棒を使い、獅子を追いつめ、怪力にまかせて締め上げ、窒息死させてしまいました。そして、皮を剥ぎミケナイへ持って帰りました。ヘラクレスの偉業を讃えてゼウスは化け獅子を天に上げました。
 テーバイの王ラーイオスは、過去の所業により、子供に殺されるとアポローンから予言されていたので、男の子が産まれると殺そうとしたのですが、王妃イオカステーは忍びず嬰児を山中に捨てます。そして子供は、拾われコリントス王妃メロペーに引き取られます。
 成長したオディプスは自分の素性に疑問を持ち、デルファイの神殿で神託を求めました。巫女から、故郷に帰れば父を殺し、母と結婚するだろうと告げられ、仰天しコリントスへ戻ることを諦めます。彼は山中をさまよい、テーバイに向かってしまいます。その途中の分かれ道で、馬車に乗った老人ラーイオス王の一行と出会い、互いに道を譲らず、馬車を谷底に突き落としてしまいました。
 郊外に怪物スフィンクスが現れて困っていたテーバイは、王を失って、王妃の兄弟のクレオーンが摂政となります。クレオーンは、スフィンクスの出す謎を解いて、これを退治した者に王位を継がせ、王妃を娶らせると布告します。そして、何も知らないオディプスは謎を解き、テーバイの王となり、予言のすべては成就します。
 エキドナとテューポーンの子スフィンクスの謎は、朝は四つ足、昼は二本の足、晩は三本の足で歩く者は何かという問いです。答えられない者は食われてしまったのです。オディプスは人間であると答え、スフィンクスは解かれたことを恥じて身投げして死にます。
 そして、時が経ちコリントスからの帰国を促す使者が、オディプスがメロペーの実子ではないことを告げ、同時にラーイオス王殺しの犯人が自分だと言うことが明らかになります。イオカステーは一切を悟って自決し、オディプスは両眼を潰して盲目となりました。



乙女座宮
 乙女座宮は力の発動をコントロールする機能を持ちます。性格は、知的で秩序に重んじ、行動は丁寧です。判断は正確ですが批判的な面が強く、物質的な観点から物事を捉えます。誠実で神経質なほど緻密な面を持ち、繊細な感受性があります。愛情面では自分本位なところが出て冷たく思われることもあります。支配星は水星ですが、その働きは双子座宮と違う面を持ち、職業では緻密で正確、鋭い識別能力に重点がおかれて調査研究、評論、編集、医療関係等に適しています。
 星座絵に描かれた乙女座は女神なのですが、それが誰なのか?は諸説色々です。ギリシャ神話の中でも正義の女神アストレーア、農耕の女神デーメーテール(ローマ名ケレース)または、その娘のコレー(別名ペルセポネー)、アテナイ王イカリオスの娘エリゴーネ等と伝えられています。エジプトの神話ではオリシスの后イシスとされています。バビロニアではイシュタル、或いは地の神ベルとされ、いずれも農作を司ります。
 非常に古い歴史を持つバビロンに残されている星座絵では、女神の絵ではなく麦の穂だけが描かれています。エジプトでも同様です。女神が星座絵として出現したのはギリシャ神話のデーメーテールか、その娘コレーが祭られてからと考えられます。また、デーメーテールとコレーは同一視されることも多く、一身両体と考えられている場合もあります。

乙女座宮神話
 ギリシャ神話によれば、乙女座はゼウスの妹、農耕の女神デーメーテールまたは、その娘ペルセポネー(別名コレー)とされています。
 彼女に想いを寄せていた死者の王ハーデス(プルートーン)は、ペルセポネーが野原で花積みに夢中になって友達とはぐれた隙に、強引に冥界へつれ去ってしまいました。デーメーテールは娘を捜しまわりましたが、太陽神ヘリオスからハーデスがさらって后にしてしまったと聞かされ、エンナ谷の洞穴に閉じ込もってしまいました。この為、地上は草花1つ育たなくなってしまいました。人間も獣も食べ物が無くなりどんどん死んで、三分の一になってしまいました。困った神々はハーデスにペルセポネーを返すように命令しましたが、ハーデスはペルセポネーにざくろの実を4粒食べさせてしまいます。冥界の食べ物を食べてしまっては、地上に帰れません。デーメテールはゼウスに懇願し、ゼウスの裁定でペルセポネーは地上に8カ月、冥界に4カ月生活するようになりました。ペルセポネーが冥界に行っている間、デーメテールは洞穴にこもってしまうので、その期間が冬になり、世界に四季が始まったとされています。この粗筋は古事記によるイザナギの黄泉の国訪問と似かよった点があります。別の神話では、ゼウスとテーミス間に生まれた正義の女神アストレーアとするものもあります(→天秤 座宮)。
 エジプトの神話では神代第四王朝オリシス王の后イシスとされています。オリシスは徳高い王として知られ、政治を后に任せて国中に農耕を広めました。残念なことにオリシスの弟にセトという闇の悪神がいて、オリシスを付け狙い、殺害します。イシスは殺されたオリシスの体を見つけだし、再生させますが、セトの一味は体を切り刻み各地にばらまいてしまいます。しかし、イシスは遺体の断片を集め、神通力により再びオリシスを復活させます。オリシスは死に打ち勝ち、冥界の王として君臨するようになりました。イシスは政治を引継ぎエジプトをますます立派にもり立て、子ホルスはセトを討ったそうです。



天秤座宮
 天秤座宮は全ての二元論的対称のものの間の均衡を表します。性格は、明朗快活で公平さや秩序のある環境を好み、芸術に理解を示します。比較すること、認識することに適性があって、穏やかな雰囲気で人を説得することが非常に上手です。上品で身ぎれいでもあります。天秤そのものの意味に[釣合]があり、バランス感覚は研ぎすまされていますが、それ故に決断力が弱くお人好しで移り気でもあります。異性の魅力に敏感に反応するのですが、結構気まぐれで心変わりしやすいので浮気者とも思われかねません。三角関係も平気なタイプです。天秤座宮にある感受点は、絶妙なバランス感覚を持ちます。職業は金星的な芸術方面、デザイン関係、美容師等の他に、バランス感覚を生かす外交関係、法律関係、医者も適しています。

天秤座宮神話
 アストレーアは大神ゼウスと伝統の神テーミスの間に生まれた正義の女神で、その手に持つ天秤は、人間の罪を計るために使うと伝えられています。世界が黄金時代の頃、神々は下界の人間の中に混じって生活していました。一年中、春の陽気で食べ物に困る者は無く、平和な世でした。アストレーアは率先して人間と交わり正義を教えていました。やがて、銀の時代がやってきて、四季が巡るようになると、人間達は家を建て、畑を耕すようになりました。貧富の差、強者と弱者の差が段々と多くなり、争いが起こるようになりました。神々のほとんどは人間に愛想をつかして天界へ引き揚げてしまいましたが、アストレーアは望みを捨てずに、踏みとどまって人間に正義を説いてまわっていました。銅の時代になると、人間は嘘と暴力に染まり、剣を取って親子兄弟や国同士で戦争をするようになりました。ここに至って、とうとうアストレーアは人間を見限り、天秤を持って天に帰り乙女座と天秤座になったとされています。

 天秤座は正義の女神アストレーア(→乙女座宮)の持っていた公平さと調和を保つ天秤とされています。ギリシャ時代の始めでは[はかり](ズゴス)と呼ばれていました。この名前の由来ですが、三千年前にはここに秋分点があって、太陽がここにあるとき昼夜を等しく分けることを天秤で表したのではないかと思われます。バビロニアではジバニーツ(死の天秤)という名で、秋分以降の太陽が冬の冥府に落ちていくことを表していたようです。とても小さな目立たない星座なので、時代と地方により色々な見方があったようです。ギリシャ時代の末頃までは乙女座と蠍座の入り交じった場所でした。後に隣の蠍座の 2 つの爪とみなして[蠍の爪](ケラエ・スコルピオニス)と呼ばれました。独立の星座としての成立は遅く、紀元前 46 年のユリウス歴制定からです。制定直後の星座の図は天秤を持った女神かシーザーが書かれていましたが、後に天秤だけになりました。12星座はローマで完成したと思われていますが、バビロニアの伝統の復活と見るのが正しいでしょう。



蠍座宮
 蠍座宮は現世的な死とその対極の生を支配します。蠍座宮の性格は理解しにくいとされています。それは、矛盾に満ちているからです。相反する生と死、物質と霊を結び付け、生命や自我に対するあくことのない探求を続けることができます。追求は哲学的、あるいは宗教的なかたちではなく神秘的な考えに導かれています。感情はあまり表に出しませんが深刻で激烈なものがあります。
 蠍は、隠れているのがうまく、予想外の動きをして、逃げるのも早いというイメージがあり、暗い無意識の世界を象徴しています。内に隠れている対立と矛盾がこのサインの主調音です。職業は持続力と探求力から心理学、医学、神秘学研究、科学関連産業等が適しています。

 冬のオリオンとともに形の見事さゆえに星座の代表とされています。この星座は歴史が古く、各地に多くの伝説があります。それも当然で、古いものではメソポタニアの遺跡から天球を描いた壺などに蠍が書かれているものが数多く発見されています。バビロニアではこの星座は最も不吉なものとされていました。中心となる赤い1等星(アンタレス)を闇の力の星とみて、太陽が秋分以降次第に低くなって光と熱を弱くしていくのを、この星の仕業と考えていたのです。また、不吉なだけでなく宗教的な崇拝の対象であった生命の女神イシュハラはこの蠍座に住んでいるとされています。
 錬金術で鉄を金に変えるには、太陽が蠍座にある期間を使わなければならないとされています。

蠍座宮神話
 ギリシャ神話では、オリオンを殺した蠍です。オリオンはポセイドンとミノス王の娘エウリュアレーの間に生まれました。一説ではガイアから生まれたとされ、何れにしても巨大な体格とたぐいまれな美しさを持っていました。彼は自分に大変な自信があったので月の女神アルテミスと狩をして歩いたときに、地上のあらゆる野獣を射止めてみせると大口を叩きました。これに腹を立ててガイヤあるいはヘーラが怒って大蠍を送りつけました。狙い違わず大蠍は一刺しで怪力無双のオリオンを殺してしまいました。その功績で蠍は天に上げられました。オリオンもアルテミスの願いによって天に上げられましたが、蠍の反対側で蠍が天に昇るとオリオンは西の空から隠れてしまい、蠍が沈むまで出てこないのだと伝えられています。
 また、別の伝承では、この蠍は太陽神ヘリオスの通り道に横たわり、たまたま父ヘリオスの代わりに日輪車の手綱を持ったフェートン(パエトーン)を脅かしたとされています。蠍に驚いて手綱を放してしまったフェートンは、為すすべもなく、軌道を乱してしまった日輪車は、かって気ままに走り回り、ある時は地上に近づきすぎ、大地を焼き払い人間を黒くしてしまったり、遠ざかり過ぎて極寒の地にしてしまったりしました。このまま放っておいたら人間が皆滅びてしまうので、ゼウスはしかたなく日輪車をフェートンもろとも雷電で打ち落としてしまいました。フェートンはエリダヌス河に真っ逆様に落ち、水のニンフ達は屍を河畔に葬りました。



射手座宮
 射手座宮は半人半馬の複体に象徴される二重性とその統合による新しい力を示します。性格は思弁的な理性と野性的な本能の二面性のぶつかり合いますが、表裏はありません。哲学的な知恵や直感的なカンの良さがあり、正直で行動的、楽天的、努力家です。理解も早く、時として軽率でもあります。決めた目標には矢のようにまっしぐらです。束縛を嫌う自由で独立な気性ですが革新的というよりは保守的です。職業は文学、哲学、宗教、法律関係、外交官、公務員等多岐にわたり恵まれています。

 人馬宮とも呼ばれ、ギリシャ神話では弓を引き絞ったのケンタウロスです。バビロニア神話ではネルガルと呼ばれ火星を表していましたが後にケンタウルス族のケイローンを表すようになります。下半身は獣性、上半身は霊性、つがえた矢は神性を表し、完全な人間を象徴しています。

射手座宮神話
 この星座はティターンの末裔クロノスとニンフのピリュラーの間に生まれたケイローンです。ケンタウルス族は上半身が人間、下半身は馬という姿です。このような姿は、クロノスが妻の目をごまかすために馬となってピリュラーに会いに行っていたためにという説とピュリラーが海の神々のならいに従って牝馬となって受胎したためという説があります。
 ケンタウルス族は乱暴で野蛮な種族とされていますが、ケイローンは善良で正義感が強く、音楽の神アポローンと月の女神アルテミスから音楽、医術、予言、狩り,馬術、弓等を授けられました。ペーリオンの山中に住み、百芸の師としてギリシャの若い英雄達を多数導きました。
 ギリシャ神話に出てくる大半の勇者はケイローンの弟子となり武芸百般を伝授されたのです。最も代表的な話は、後にアルゴー船を建造し遠征隊を率いて金羊毛を取り返しに行ったヤーソンを育てたことです。ヤーソンはイオルコス王の息子として生まれましたが、いわゆる[お家騒動]で乗っ取りグループに殺されかけたところを乳母に助けられてケンタウルスに預けられたのでした。その日から彼はケンタウルスの息子として育てられ、武芸百般をたたき込まれました。そして、たくましく成長し二十歳になった時に自分の出自を知ってイオルコスの王位を取り戻すために山を降りて行きました。
 他に 12 星座絡みだけでも怪力ヘラクレス(獅子座参照)に天文を、カストル(双子座参照)には馬術を教えています。もちろん、ケイローンは単なる技術コーチではなく、ヘラクレスが馬人族と戦ったときも一緒に戦いました。しかし、乱戦の時に誤ってヘラクレスの放った毒矢がひざに刺さってしまい、不死の身ゆえ死ぬことができずにひどく苦しみ、傷の傷みに堪えかねて不死の身を英雄プロメテウスに譲り、やっと死ぬことができました。ゼウスはケイローンの死を悼み天に上げ星座にしたとされています。



山羊座宮
 山羊座宮は山羊が魚の尾を付けている姿であり、現実の世界での機能性を重視し豊饒の時を表します。また、冬至点から太陽が回帰し、新たな旅立ちをも象徴しています。
 山羊座宮の性格はどちらかというとおとなしいのですが、頑固で一度首を横に振るといくら命令しても動かないところがあります。冷静で勤勉、慎重ですが内心には野心があります。地位に執着し保守的で孤独な面があります。このサインが感じる最大の恐怖は自分のものが失われるという考えです。嫉妬深い面も蠍座宮のような感情的な面からではなく、自分の所有物に対する観念から発しているのです。職業は地位のあるものが適していて医学研究、法律関係、政治家、思想家、教育関係、牧師、楽器演奏家等があります。

山羊座宮神話
 ギリシャ神話では、森の神パーンの姿とされています。パーンはヘルメス(水星参照)とドリュオプス王の娘ドリュオペの間に生まれたのですが、上半身は毛深い人間で頭には山羊の角と毛の生えた尖った耳があり、下半身は山羊で蹄のある姿をしていました。生まれたときから笑い好きで、しかも髭だらけの顔をしていたので、乳母は怖がって逃げてしまいました。しかしヘルメスは大喜びでオリュンポスへ連れていってお披露目をしました。
 パーンは元祖プレイボーイと呼ばれるほど女好きです。彼が追いかけて逃げられた話はいくつもありますが、その初めのほうとして、水の妖精シュリンクスとの話があります。狩りの帰りに、ばったり出会い、いつもの例の如く追いかけ回したとき、もう少しで捕まえそうになったところで、シュリンクスは葦に姿を変えてしまいました。パーンは葦を1本取ってシュリンクス(葦笛)を造り、その思い出こめて愛用しました。
 その笛を吹きながらナイルの川岸で宴会をやっていると、酒の匂いに釣られて大怪物ティフォーンが乱入してきました。あまりに突然に出現したので、神々は大慌てで逃げましたが、パーンも仰天したのでしょう。魚になって逃げようとしたのですが、ナイルに入った部分が魚で、水の上に出ていた上半身は山羊になってしまいました。神々はパーンのこの姿をみて大笑いし、ゼウスはこのできごとを記念して星座にしてしまいました。それがこの星座の姿です。

 何やら、ユーモラスなイメージがありますが、気難しく怒りっぽい点もあり、寝起きは特に悪いと伝えられています。パニックの語源は、パニックの起こし手であるパーンのもたらす恐怖だそうです。神々がパニックの起こし手がパニックしたのを喜んで星座にしたのです。
 また、ここは神々の門で、人の魂はここをくぐって天国へ行くと信じられていました。



水瓶座宮
 水瓶座宮は留めなく水を流し出す瓶です。その水は世界を洪水にして新しい土地をもたらします。水瓶座宮の性格は寂しがりやで、親切、同情心があり友情に厚く、内気です。神経質でストレスをためやすい傾向もあります。自由を愛し、束縛するものに対しては外見からは信じられないほど反抗的になります。創造性もあり美術や文芸の作り手としても優秀です。ただし無から有を生むような創造性ではなく、存在しているものから新しく再編するタイプです。職業としては科学技術関係、電気、写真、飛行機、批評家、ジャーナリスト、文芸関係、舞台関係、演出関係が適しています。

 若い男が水の流れ出している水瓶を担いでいる姿がこの星座です。エジプトではナイルの増水は水源にこの瓶が投げ込まれるためと信じられていました。古代バビロニアの彫刻にも肩に担いだ水瓶を傾けている人物が描かれています。地中海から中近東にかけての地域は、太陽が水瓶から魚にあたる冬が雨期であったことから星座が造られたとする見方もあります。

水瓶座宮神話
 ギリシャ神話では、ガニメーデスと彼が担いだ瓶とされています。ガニメーデスはトロイア王家の祖トロースの孫ラーオメドーンの子とされています。金色に輝く美少年としてその名は近隣を越え神々の世界までも聞こえていました。興味を持ったゼウスは、牧童をしていたガニメーデスを、鷲の姿に化して(またはゼウスの使い鷲が)にわかに舞い降りオリュンポスにさらってきました。ゼウスはガニメーデスの代償として父親に鍛冶の神ヘーパイトスの作った黄金の葡萄と風のように足の速いトロースの馬を与えたといわれています。ガニメーデスは人間のうちで最も姿麗しき少年とされ、永遠の若さと美に輝いて、果てること無く続く神々の天上の供宴の給仕役を勤めています。
 他の神話ではゼウス自身が水を大地に注いでいるともいわれています。

 エジプトではナイル川の神アビスそのものと豊かさをもたらす毎年の洪水を表しているとされます。流れる水は、河畔を浸食し堆積しどんどん状況を変えて行きます。変化してやまない、この瓶から流れる水が象徴しているのは、物質としての水だけではなく、知識を象徴し、この世を浄化して行く聖なる水でもあります。



魚座宮
 魚座宮は、古い周期の終わりと新しい周期の始まりを象徴します。左右に別れる変わりやすさと共に、内部に相反する2つのものをもち、統合調和させることができずに大きな矛盾を抱えてしまう状態を暗示します。
 魚座宮の性格は表向きは簡単そうですが、実は大変むずかしいものです。2匹の魚が違う方向へ行こうとするこの星座は、物質的充足をまず求めますが、それが目的にはなりません。魚座宮は心身共にのめり込むことがあれば幸せに満たされます。自己の充足をはかりながら、自分を捨て去り、その様な自分に救いを感じています。この自己犠牲は他人のためであると共に自己救済でもあるのです。職業は芸術芸能一般、美容師、占い師、社会福祉関係、幼稚園経営、液体関係扱い一切が適しています。

魚座宮神話
 この星座が魚となったのはギリシャ神話の成立よりも前で、バビロニアでも魚(ニューネ)という名前が付けられていました。シリアでは美の女神イシュタルとその子とされていす。ギリシャ神話でも美の神アフロディーテーとその子供エロースとされています。2人がユーフラテス川の畔を歩いていたときに、悪名高き半人半蛇の大怪物ティフォーンが現れたので、二人は川に飛び込み、魚に姿を変えて逃れたことを表した星座とされています。
 パーンを驚かして山羊座を作らせるもとにもなったティフォーンは、ゼウスによって巨神族ティターンが滅ぼされてしまったことを悲しんだ大地の女神ガイアがゼウスを恨んで作った怪物で、首が百もあり、目と口からは火を吹き、口真似がうまかったとされています。突然あらわれる事が多く、神々を脅かしたので、結局、ゼウスはティフォーンの上にエトナ山を乗せてしまいました。そのためエトナ山は火を噴いているのだと伝えられています。
 バビロニアのイシュタルを示すシンボルに魚のいる家があります。生命や豊かさ、多産で性欲を象徴し、再生と不滅を表します。始原の海に生息する2匹の魚は、神ヤハウェの永遠に戦う2人の息子でもあります。その戦いは真理を招来します。
 魚は蛇より高い権威を持ち、始原の海に生まれた意識と無意識の世界と、その中の自己、魂をも表します。星座宮の並びの最後として、完成を意味し、次の周期の入り口ともなります。そして、ここから不滅と再生の意味が出てきます。