sdwd's Ast. 座相
感受点と感受点との関係を角度で表しているのが座相、アスペクト(aspect)です。2つ以上の感受点が、その位置によって関係を生じ、それぞれの意味合いを強調されたり変化することを、アスペクトを作ると表現します。ホロスコープの中の感受点は、それぞれ大なり小なり他の感受点の影響を受けていますが、それを角度という物差しで計るわけです。普通、アスペクトは感受点の黄経差から考えます。
重要なのは第1種座相で、これをメジャー・アスペクトと呼びます。それ以外のアスペクトはマイナー・アスペクトと呼びますが、マイナー・アスペクトの影響力が弱いと思っていると間違いです。正確な角度を作ったときのマイナー・アスペクトは、正確な角度から離れたメジャー・アスペクトよりも強力ですから、馬鹿にできません。
先ずは、黄径による2つの感受点の度数差から見る座相を理解します。次に、複数の座相、つまり3星以上の複合した座相について理解することで、座相を扱えることになるでしょう。黄経差による座相で充分なのですが、より深く座相を追求しようとすると、黄経差以外の赤経及びハウス座標系等の方法論があります。こちらに付いては、立体幾何学の基本を押さえていないと苦しいことになります。
第1種座相(メジャー・アスペクト)
0度 60度 90度 120度 180度
第2種座相(マイナー・アスペクト)
30度 36度 45度 150度
第3種座相(マイナー・アスペクト)
51.43度 72度 135度 144度
パラレル カウンター・パラレル
第1種座相(メジャー・アスペクト)
角度 呼び 基本的意味 座相種別
0゜ 合 強調
60゜ 六今 調和、チャンス イージィ(YOD注意)
90゜ 矩 障害、困難 ディフィカルト
120゜ 三分 成功、安定 イージィ
180゜ 衝 緊張、切迫 ディフィカルト
第2種座相(マイナー・アスペクト)
角度 基本的意味 座相種別
30゜ 調和 イージィ
36゜ 補助 イージィ
45゜ 困難 ディフィカルト
150゜ 圧迫 ディフィカルト
第3種座相(マイナー・アスペクト) 、
角度 基本的意味 座相種別
51.43゜ 宿命
72゜ 援助 イージィ
135゜ 困難 ディフィカルト
144゜ 調和 イージィ
アスペクトの種類によって影響、効果が違うことは確かです。アスペクトには吉座相、凶座相という分類がありますが、単純に吉凶を決定するのではなく、もたらす影響をよく考慮する必要があります。例えば、グランド・トラインと呼ばれる3つの感受点がそれぞれ120度を作るアスペクトがあります。普通は大吉と考えられていますが、その影響力で感受点の働きが固定されてしまいます。幸運の波に乗っているのなら良いのですが、不運の波に乗っていたら、それを変えることができないという意味になってきます。そこで、吉凶という言葉ではなく相互関係が好ましいアスペクトをイージィ(easy)、好ましくないものをディフィカルト(difficult)と呼び、特にディフィカルトを持つ状態をアフリクト(afflict、傷ついた状態)とも表現します。イージイは安易に流れ易い点があり、ディフィカルトは努力を必要としています。
正確な角度を作っているアスペクトの強さの序列は合(0度)、衝(180度)、三分(120度)、矩(90度)、六今(60度)とされています。これに続いて第2種座相以下のマイナーアスペクトが続きます。ただし、正確な座相を作る場合の強さは同じ、という考え方もあり、許容度も狭く取る方向にだんだんと動いています。
アスペクトの効果は双方向的です。土星と金星にアスペクトがあれば、土星は金星にアスペクトの種類によって制御を受け、金星は土星に同じくアスペクトの種類によって制御を受けると考えます。アスペクトの相手が象徴星(上昇サインの支配星)や太陽、太陽のサインの支配星等の重要な感受点の場合は、ホロスコープの中で特に意味が強くなります。
どの様なアスペクトでもそのアスペクトだけの単独で判断することは決してありません。必ずホロスコープの他の部分を考えに入れて判断します。ホロスコープ上で、1つのアスペクトしかないということは稀です。たいてい複数のアスペクトがある筈です。この様な場合、アスペクトの間での意味の調整が行われます。それらの複合的なアスペクトで、調停のアスペクトとなったり、或いはグランド・クロス等の特殊なアスペクトとなったりすることがあります。
接近と離反
感受点の移動にともなって、正確な度数に近づいているのか(接近、apply)、遠ざかって行くのか(離反、separate)の問題ですが、その影響がどう出るかという点は諸説があります。一般に離反の方が強力と考えられていますが、事件占星術であるホラリーでは離反のアスペクトは取り上げません。
デクスターとシニスター
感受点の移動の速さはそれぞれ違いますから、2つの感受点の内、速い方が遅い方に追いついて合(0度)を作った後で形成するアスペクトをデクスター(dexter)、衝(180度)の後で形成するアスペクトをシニスター(sinister)と呼びます。シニスターよりもデクスターの方が強力な影響をもたらすとされています。デクスターが外向的、シニスターが内向的な働きをするという考え方もあります。
感受点間の角度がアスペクトとなるかどうか、どれほどの強さになるかという点を許容度(オーブ)で表します。判断の際には複数のアスペクトがあることが普通です。それらの優先順位を明らかにするために、感受点間の角度が「あるアスペクトの正確な度数」からどれだけ離れているのかをみます。アスペクトの強弱(タイト、ワイド)という二つのかたちに分けて判断することが普通です。ワイドの1種座相よりタイトの2種座相の方が強い影響を持つことがあります。
アスペクトの効果が正確な度数からどれだけ離れていてもあるのか、つまり許容度をどの程度とるのかという問題は、最終的には自分で決定しなければならないことの1つです。目安として出生図では、第1種6〜8度(ワイド)、特に強力に作用する(タイト)のが1〜3度位まで、第2種以降はワイドで3度程度、強力に作用するタイトが1度程度とみて下さい。感受点やアスペクト、位置、接近分離等で細かく許容度を決める方もいらっしゃいますが、それほど気を使う必要はないでしょう。
座相解説
1つの感受点のみ
1 ノーアスペクト(座相無し)
感受点が座相を作らず単独で存在しています。このようなとき、その感受点は影響力を他の感受点へ与えることが出来ませんが、他からの影響を受けることもありません。感受点本来の機能と属性を、ホロスコープの中で発揮します。
2つの感受点によるもの
2 コンジャンクション
2星による最も強力なアスペクトは合です。2つの感受点の意味を密接に連結し強調します。吉星同士の合は非常に良い(つまりイージィな)影響をもたらしますし、凶星同士の合は悪い(つまりディフィカルトな)判断が出来ます。吉星と凶星の合は感受点の吉凶の意味の混ざった影響を与えます。従って合は組み合わさる感受点によってイージィな効果とディフィカルトな効果が変わってくるのです。
3 オポジション
アフリクトの代表は衝(180度)ですが、衝を単にアフリクトと考えるだけではいけません。衝となっているからには、ホロスコープ上で反対のハウスにいることが多いでしょう。12分割のハウスの配置は、反対側のものが相互に補完しあう構造になっています。そこで衝には緊張や切迫した状況だけではなく、対立関係とそれに関係した相互の補完関係もあると考えます。対立が常に破壊を生じるわけでは無く、ライバルがいるからこそ頑張る事が出来て、存外の到達点まで行けることもあるのです。
4 トライン
安定を作る座相と考えられています。相互に補完的な要素が交流し、持続的な関係を作り出します。
5 スクエア
緊張状態を作り出します。ものごとによってはオポジションよりも深刻な対立を生み出すことがあります。補完的な関係が無い為です。
6 セクスタイル
トラインの半分の角度で、トラインよりは弱いながら安定関係を作ります。この座相を独立に出生で持つ場合に注意したいのは、後出のヨードです。進行・経過の感受点によって安定関係が不運な関係の固定に動くことがあるからです。
複合座相
座相は単独で存在することもありますし、複数の感受点に対して同時に座相を作ることもあります。同時に作用するものが現れると、単なる足し算では無く、相乗効果によって、特に大きな影響・効果を生じることがしばしばあります。それらの中の一応の分類を見ましょう。
7 トリプルコンジャンクション
3つの感受点の最も強力な複合座相が、トリプルコンジャンクションです。合の座相が3つあって、2感受点の合に対して、単純計算でも3倍の能力、効果、影響が考えられます。2感受点の合の意味付けをイメージしながら、3つの感受点を意味づけることになります。
8 グランド・トライン(大三角)
3感受点が相互に120度の座相を形作り、天球上に正3角形を作ります。相互に安定な関係を作る為に大幸運とされることも多いのですが、発展性に乏しく、状況を変えられないものとなりますので喜んでばかりも居られません。
9 Tスクエア
2つの感受点によるオポジション(衝、180度)を、3つ目の感受点が双方に対してスクエア(90度)を作り、緊張関係を増強します。乾坤一擲の争いを続けている最中に、別の方面からライバルがもう一人登場、雌雄を決そうとしている戦場に乗り込んできて、最悪の場合、戦果を総ざらえされてしまう場合さえあります。要は二人が喧嘩している最中に、双方を煽って、ますます炎上させる者が出てきているというものですので、関係する感受点をよく勘案して効果を見計る必要があります。
10 レクトアングル
2つの感受点によるオポジション(衝、180度)に対して、双方にイージィな座相を投げかけることによって、対立を和らげたり、好ましい対立構造を作る効果が期待出来ます。つまり、大げんか中の二人に、なだめ役が入るという状況です。
11 ミニトライン(小三角)
グランド・トラインのような強力な固定作用は期待出来ませんが、これも通常よりは強い安定状態を形成します。それが良しと出るか悪しとでるかは、感受点と持ち主の問題となります。
12 ヨード
こちらも安定化の関係ですが、あまりよろしくない状態が固定される場合が多く、セクステルがイージィな座相なのに、ディフィカルトなものとして働き、宿命的に固定されると考えられて、凶悪な複合座相として取り上げられています。
13 グランド・クロス(大十字)
前世紀末、この配置が天に現れ人類滅亡と煽られました。座相を吉凶だけで考えれば、凶でしょう。特にキリスト教圏の方々は、形から天の怒りなどと騒ぐ方がいらっしゃいますが、要はディフィカルトの座相で、四竦みの関係で固定されるので、一生懸命に頑張ることを求められます。頑張らなければ、どんどん悪い状況に踏み込んでいきますが、たたき上げの勇者の勲章とでも言えるものですから、一概に大凶などと恐れる必要はありません。
14 ミスティック・レクタングル
オポジションが2つあって緊張関係を作りますが、その当の感受点が、もう一方のオポジションの調停役として働きます。各オポジションにはレクトアングルが2つずつある状態です。適度な緊張と協力者により、困難な仕事でも、どんどんクリアしていける不思議な長方形なのです。
15 クレイドル
オポジションを調停する感受点が作るレクトアングルが2つあります。位置が変わるとミスティック・レクタングルやカイトになりますが、この形は困難に出会っても、助力者が登場する幸運とされます。
16 カイト
グランドトラインにオポジションが1つ付け加わったと見ることも出来ますし、オポジションに調停の星が2つ、つまりレクトアングルが2つ作られたと見ることも出来ます。ミスティック・レクタングルの仲間ですが、オポジションが1つになって、対立するものが一本化することにより、問題構造が単純となって、グランドトラインの座して動かずから、行動力と集中性をもたらすと考えることが出来ます。
17 ホームベース
ミスティック・レクタングルに、もう1つ感受点が入って、グランド・トラインが1つ作られた形です。完成形まであと1つという状態ですので、日頃からチャンスをものにする努力をしている人であれば、見逃すことは無いでしょう。これが、何かあっても、合いの手が入って、自分では何も出来ないという人であれば、欠けた部分は手に入らないことになります。命名の理由は形だけかも知れませんが、一周してホームに戻ってこなければ点が入らないというゲームの出発点であり到着点なのです。バットをふるって塁に出ないといけません。
18 クリスタル
1つのオポジションに対して、強化するTスクエアと、レクトアングル2つのクレイドルがあります。本人に努力と根性を要求し、チャンスを与える配置と言えます。大成功者か野垂れ死ぬかというくらいの差が出て来る配置です。オポジションとなる感受点を良く見極める必要がありますし、Tスクエアの感受点にも要注意です。
19 グランド・セクスタイル
感受点配置の完成形です。が、しかし、だからといって玉座に座っていれば良いのではなく、ものごとを解決する必要があり、その為に人を動かし、自分も動かなければならないので、何を指示し、自分は何をするのかを学んでいないと国を滅ぼすことになります。王様でさえ食っちゃ寝ではダメなのですから、言わんや平民では・・・。頑張ればできる子ではダメで、頑張っちゃう子でないといけないのです。