sdwd占星術講座 感受点の種類 200502228更新
占星術の文献では伝統的に惑星(プラネット)として惑星だけでなく太陽や、軌道上の昇降点のような仮想的な点をも総称していました。これに対して「太陽や月は惑星ではない」と言うのは、揚げ足取りではありますが、正論です。こんな間抜けな突っ込みをされる方が悪いと思いますので、感受点と言う名称で以降、統一します。
太陽から冥王星までの感受点が現在、普通に使われています。主たる感受点です。
これらの感受点は、地球上の位置に関わっていますので、地球系の感受点です。
ノードとリリスは月系の感受点です。以降は小惑星・彗星です。
Stargazer for Windows by Delphi では、月系感受点について、真位置の他に、真位置が計算上、月の1公転によって位置が震動することを嫌い、真位置の平滑位置である真平均位置も採用しています。また、等速運動をする平均位置も選択できますので、3つの内のどれかを選ぶことになります。この点については、月系感受点の説明を参照してください。
これらの感受点について、それぞれの意味付けがなされています。この意味付けが豊かであればあるほど占星術の判断が広くおこなえることになります。
この他に、多くの仮想の天体や計算点を使う方々もいらっしゃいますが、Stargazerでは仮想の天体については最小限にとどめています。
主たる感受点
太陽はギリシャ神話ではヘーリオス、ローマ神話ではソル、古代エジプトではラー、その他の地域でもミトラス、シャマシュとして神格化され、昼を支配し、男性原理を司ります。
ギリシャ神話では巨神族ティーターンのヒューペリーオーン(高きを行くもの)とテイアー(神々しい女)の子でヘーリオスと呼ばれています。単にティーターンというとヘーリオスのことになります。ヘーリオスはヒューペリーオーンと混同されることもあるようです。絵などでは,壮年の美男子で,4頭の駿馬に引かれた2輪の戦車に乗り、毎朝、曙の女神エーオースに先導されて東より昇り、西方の黄金の宮に入ります。そこから黄金の盃に乗ってオーケアノスの流れを渡り、東に戻って、翌朝、再び天に駆け上がります。良く知られている逸話として、息子パエートンの冒険とその悲惨な結果が伝えられています。月の女神セレーネーと共にギリシャでは、特別の神格を持たずに、崇拝の対象とはならなかったようです。
その他に、ゼウスとレートーの子の一人、アポローンが太陽神とよく同一視されています。予言、音楽弓、家畜そして光明の神として知性と文化の保護者の役目があります。優しいだけでなく、贖罪ときよめの神として疫病を持って人間を罰する恐ろしい神でもあります。
太陽は大方の神話・伝説では男性ですが、太平洋の周辺地域では天照大神のように女性として扱われる例もあります。
占星術では生きようとする力、生命力そのものを支配し、人間の意志の方向、自己表現の力、全人生のかたちを表します。出生図の太陽はその人の精神と霊を表し、能力を発揮させ、希望や目的に向かう最善の努力の方向とそれに至る道を教えています。
ギリシャ・ローマ神話ではセレーネー、アルテミス、ヘカテー、ディアナ(英名ダイアナ)、ルナ等、多くの名で呼ばれ、夜とその関連を支配し、女性原理を司ります。
【月関連神話】
月関連神話
月の女神セレーネーはヘリオースの姉で、動植物の繁殖と性生活に大きな影響があるとされ、魔法とも深い関係がありました。彼女は、ヘリオースと同様に手綱を握って車駕を御します。それは、大抵、馬の2頭立てで、時として鹿や牛のこともあるようです。セレーネーは牛飼いの美少年エンデュミオーンに恋しました。エンデュミオーンはセレーネーの愛に応えるためゼウスに不老不死の永遠の眠りを願い、そして授けられました。セレーネーは夜毎に天より舞い降りて眠っているエンデュミオーンと寝所を共にしたと伝えられています。
月の女神とされるのは、同じくティターン巨神族のヘカテーがいます。ほとんど万能の力を付与され、熱烈な賞賛の的になったこともありますが、いつのころからか冥界と関連して考えられるようになり、精霊や呪法の女神として炬火を持ち地獄の犬を引き連れて、十字路あるいは三つ又の道に恐ろしい姿で現れるとされています。また、姿を変え牝犬、牝馬、牝狼の姿で現れることもあると伝えられています。ヘカテーはまた女性の守り神、夜と魔法の神ともされています。
アポローンの姉アルテミスは、アポローンが太陽神と同一視されると同じように、月の女神セレーネー及び月と関係のあるヘカテーと同一視されています。
月は天体の中でも、満ち欠けという最も目につきやすい変化をしています。一般的には、満ち欠けによる29日程度の周期がよく知られています。また、サロスの周期と呼ばれる18年と11日という周期は遠くカルデアの頃に知られていたようです。サロスの周期とは、あるところで日食がみられたとすると、18年と11日後、再びその場所で日食がみられるというものです。他にも、月の近地点(月の軌道上で一番地球に近い点)が9年ほど、昇交点が18.6年で360度回転していることが知られています。
地球に近い天体として、地球上の位置によって見える位置(視位置)が違うこと(視差)がすぐ判る天体でもあります。占星術では、その昔は視位置を用いていたはずです。それが天体位置を計算できるようになると、地球の中心を基準(地心位置)として使うようになり、現在もそのようになっています。違いは、地球上の位置により、プラスマイナス最大1度の違いが出ます。
太陽の光を反射し、夜毎に形を変えて行く月は太陽のペアで反応、変化、虚像、神秘性を表します。出生図の月は人間の魂として、人生の色彩と変化をもたらすとされています。同時に興味の方向をも示しています。ただし、この変化は周期性のある変化で、天王星の表す異常性のある変化とは違っています。
ギリシャ神話のヘルメス、ローマ神話ではメルクリオス(英名マーキュリー)と同一視されるのがこの星です。起源はバビロニアの伝令神ネボとみられます。
ヘルメスはアトラスの長女マイアを母としゼウスの末子として生まれました。生まれたその日に長兄アポロンの牛を 50 頭ほど盗みました。彼は、足跡をごまかして逃げる途中で老人にみつかってしまったのですが、その老人を買収してしまいました。彼は牛を隠した後、生まれた洞窟に戻り、そこでをみつけた亀の甲羅に盗んだ牛から作ったガットを張って竪琴を作りました。アポロンはゼウスに訴え、牛を返す命令を出してもらいましたが、結局、竪琴が欲しくなり竪琴と牛を交換しました。
ヘルメスは牛を飼いながら今度はシュリンクスという笛を発明しました。アポロンはこれも欲しがり、かわりにヘルメスに蛇の巻き付いた黄金の杖ケーリューケイオンを与えましたが、占術も強請られたため小石の占いを教えました。ゼウスはヘルメスに地下の神々(冥府)との使者を命じ、色々な仕事をしました。
彼の出で立ちはペタソスと呼ばれるつば広の帽子をかぶり、足には翼の生えたサンダルをはいています。手には人を眠らせたり魔法をかけることのできる杖ケーリューケイオンを持っています。
神々の使者として飛び回ることから通信と伝達の星とされます。また、死者の魂を冥府に送る役目もしていました。富と幸運、商売、盗み、賭博、競技の神で、竪琴、笛の他に文字、数、度量衝の発明者とされています。道と旅人の神でもあります。
出生図では知的能力、精神活動全般を示します。強力な星ではなく、他の感受点の影響を大きく受けるのですが、その意味内容は非常に重要です。人間が人間たる点は
E(水星)が表す知性が鍵となっています。その意味で水星は重要視すべき感受点です。
バビロンやアッシリアでは天の女王イシュタルまたは愛の女神としてあがめられました。ギリシャでは美と愛の女神アフロディーテー、ローマではウェーヌス、英名ヴィーナスです。
金星関連神話
バビロニアに伝わるイシュタルの最も知られている逸話は愛した羊飼いのタンムズの死を悲しみ冥府まで出向いた噺です。イシュタルは不慮の大怪我で死んでしまったタンムズを求めて冥府へ向かいます。冥府への関門となっている
7 つの門を通過する度に冠、イヤリング、ネックレス、胸飾り、帯、手足の飾り、そして最後には着ているもの全てを取られて丸裸になりながら、冥府の女王アラトゥの前に堂々と立ちました。アラトゥはその威厳と美しさに嫉妬し疫病の悪魔ナムタルにイシュタルの全身を蝕まさせたために、イシュタルは死ぬばかりになりました。そのため地上の草花はしおれ、枯れてはじめました。神々は驚き慌てて相談し、代表となった海の神エアを使者として獅子と人間の怪物ナドゥシュ・ナミルに
7 つの門を破る力を与えてアラトゥのもとへ向かわせました。アラトゥはしかたなくナムタルに命じて、タンムズを生きかえらし、イシュタルには命の水を飲ませてもとの体に治しました。更にイシュタルに
7 つの門を出る毎に取り上げたものを返しました。イシュタルはタンムズの傷を癒すかわりにナムタルに珠飾りを与えたと伝えられています。
ギリシャ神話では、クロノスによるウラノス殺害の際にウラヌスの陽物が海に落ち、その周りの白い泡から生まれた美と愛の女神アフロディーテーとする伝承と、ディオーネーとゼウスの間の娘アフロディーテーとする伝承があります。ギリシャ神話の中で誰知らぬものの無いトロイア戦争は、このアフロディーテーとヘーラ、アテーナーの
3 神の器量比べが発端となっています。
金星は、愛情から恋人、愛人、妻の関係。所有から金銭や財産、芸術一般の主星として、人生の問題に大きく関わっている星です。
ギリシャではアレース、ローマではマルス(マーズ)として戦いと軍隊を司ります。
軍神アレース(あるいはマルス、マーズ)の星です。女神アテナの正義の戦いと違って、善悪の区別なく、血生臭い野蛮な戦いを司りました。ギリシャ神話では、実に不名誉な扱いをされています。争いと不和を好む神で、神々の間だけでなく人間にまでも、闘争心と争いの種をまき散らして、禍害をもたらす忌まわしい神ですから当然ともいえましょう。しかし、戦争好きのローマではいたく崇拝されたようです。
火星関連神話
ギリシャ神話の伝承ではアプロディーテーの夫として扱われていますが、叙事詩ホメーロスではアプロディーテーの夫は鍛冶の神ヘーパイトスで、アレースは不義密通の間男の役です。ヘーパイトスは鍛冶場で特別製の網を作って寝所に仕掛け、2人を捕まえてしまいます。そして、オリュンポスの神々を呼び寄せ、笑いものにした上で、親のゼウスに不埒な娘を押しつけたことを責めました。結局、捕まった2人はポセイドーンの仲裁でそれぞれ別に逃げて行きました。アレースはギリシャ北方のトラーキラで暮らしたとされています。
火星と金星はペアとしての機能を持ち、金星の愛情を獲得する行動としての火星があります。行動の極致は戦争ですが、闘争や活動、熱、乾燥等も表します。勿論、火の星ですから火と火に関係したもの一切を表しています。
バビロニアでは最高神マルドゥク、ギリシャではオリンポスの主神ゼウス、ローマでは天空神ユピテル(英名ジュピター)として、神々の頂点に立ち、世界を支配する星です。
ゼウスは時の神クロノスとレアの間に生まれました。彼は成長してから神々を率いて、ティターンの巨神族をタルタロスの底なし穴に封じ込み、オリンポスの最高神になったのです。ゼウスの宮殿はオリンポスの頂にあり、雲の門を四季の女神ホーライ達が守っています。宮殿の大広間に神々はゼウスの召しによって集まり、たいてい、宴会を開いています。ゼウスは正義の神であり、雨、嵐、雷の神で、鷲を使者として下界の隅々まで情報を集めていました。正義を貫く者には名誉と栄光を授け、不正を働く者には雷をもって応じます。
占星術での意味もゼウスが神々の王となったような幸運や援助を表します。また、主神となった後のゼウスの采配から公正さ寛大さ、そして権威を表します。これは、人間の精神が太陽系の外側から太陽に近づき、意識の段階を高めてついに天界を認識する段階に立ったことを示します。出生図では基本的に最も力のある星であり、特に本人の幸運の方向を示しているとされます。経過で入っている室にも幸運をもたらします。
ギリシャ神話では時の神クロノスであり、同じ読みであることからティターン神族クロノスと同一視されています。ローマ神話では農業神サトゥルヌスとされています。
時の神クロノスは、すべてを食い尽くす自己破壊的で止めようのない時の流れを示しています。また、巨神族ティターンのクロノスはウラヌス(→天王星)と地の女神ガイアの末子です。クロノスはガイアの求めに応じて父ウラヌスを襲い、クロノスがティターン族の王となりました。その後クロノスはウラヌスのようにガイアとウラヌスの間に産まれた怪物達を疎ましく思うようになり、再び彼らをタルタロスに閉じこめてしまいました。ガイアとウラヌスはクロノスもまた自分の子供に殺されることを予言していて、クロノスはそれを恐れて、妻レアとの間に生まれる子供を全て丸飲みにしていました。唯一助かったのは、レアが出産を判らないようにして産んだゼウスです。レアは石を布にくるんだものを産まれた子(ゼウス)だと偽り、クロノスに飲み込ませて安心させていました。ゼウスは後にオリュンポスの神々を率いて、ティターンと戦いクロノスを底なし穴タルタロスに封じ込めてしまいました。一説ではバビロニアでは、わが子に殺されたニニブとされて、この話の原型とされています。
占星術上、土星と木星はペアを組んでいる星です。土星の基本的な意味は「時」です。時は無情に過ぎますし、ものを古くして行きます。このことから制限し束縛する意味が出ています。意識の段階としては実存的時間の認識に至った精神であり、意識化された認識に対応しています。最大の凶星とされていますが、単に凶の星というだけでなくその機能は良く考えてみる必要があります。土星をしっかり読めれば一流の占星術師であるといわれています。
キリシャ・ローマ神話では天空神ウラヌス、大母地神ガイアの息子で母親と結婚しティターン12神などを生む神々の祖です。
天王星関連神話
ギリシャ神話の[創生記]によれば世界はカオスが最初に出来たことになっています。混沌と訳されていますが、何やら霧や煙の立ちこめた無限に広がる空間という意味があります。次にできたのがガイア(大地)です。ガイアと共に地底にあっておぼろにかすむタルタロスが出来ました。ガイアはまず、星をちりばめたウラヌス(天空、空間)を産み大地を被いつくしました。ガイアとウラヌスは次々と子を成したのですが、多くがヘカトンケイレスと呼ばれる百腕の怪物で、ウラヌスはこれらを忌み嫌いタルタロスに捨ててしまいました。ガイアはこれが不満でもあり、タルタロスに彼らが詰まって苦しくなってきたので、子ども達に利鎌を渡して父ウラヌスの殺害を命じました。しかし、子ども達は父が恐く、末子のクロノス(時、→土星)だけが、ガイアの求めに応じてウラヌスの陽物を切って殺害しました。クロノスの血潮は大地に吸い込まれ、やがて復讐の三女神エリニュースを始めとしてアフロディーテー(→金星)などの神々も生まれたとされています。
ハーシェルによって新しく太陽系の仲間として加わったのがこの星です。発見当初は新惑星ではなく、彗星と思われていたのですが、約 1 年後にレクセールが太陽を巡る円軌道を持っていることを突き止め新惑星であることが確定しました。発見の頃のヨーロッパは産業革命と市民革命が始まる時代でした。
占星術で天王星は天と地をつなぐ、目にみえないエネルギーを支配し、予期しない一種独特の異常さを帯びたもの全てを表します。常に標準から外れ自己主張する星で、改革と分離をもたらします。意味的には、水星の表す初歩的な知性を組織化した大脳新皮質の知恵として考えることができます。意識された意識に近いところにある無意識の領域に対応しています。
ギリシャ神話ではポセイドン、ローマ神話ではネプトゥーヌスと呼ばれ、ともに海を支配します。
海王星関連神話
ゼウスは父クロノスが飲み込んでいた兄や姉を吐薬を飲ませてはきださせ、クロノス兄弟(ティターン)と十年にわたる戦端を開きました。ガイアはタルタロスに閉じこめられている怪物どもを味方につければゼウスが勝つと予言しました。彼はその勧めに従い、単眼の巨人キュクローペスや百腕の怪物ヘカトンケイレス達を解放しました。彼らは喜んでゼウスに協力し、ゼウスには雷電、プルートーンには姿隠しのかぶと、ポセイドンには三つ又の矛送りました。それぞれの武器をふるってティターンをタルタロスに閉じこめた後。ゼウスら3兄弟が世界を分割統治することになったのです。くじ引きの結果ポセイドンは海が当たりました。彼は海の支配者であり、その他にあらゆる泉、大地と地震、馬の守護神も努めています。海で彼の機嫌を損ねるとたちまち嵐に巻き込まれてしまうといわれています。
ルヴリエとアダムスが海王星を発見したことになっていますが、彼らは天体力学に基づいて新惑星の予想位置を計算しただけです。ルベリエが送った予想位置に基づいてベルリン天文台は1846年9月23日に予報位置から0.9度ほどずれた点に新惑星を発見しました。この時代はガス灯が作られ、産業革命が進み社会の中で色々な勢力が複雑に動いていた時代です。1859年に石油の採掘が始まり、世の中が石炭から石油の使用へ移りはじめた時代でもあります。同じように化学も進み写真が実用になってきた時代でもあります。
海王星は不透明で神秘的で直感的なものを支配する星です。夢や想像力の星ですが、否定的な面が出ると嘘や欺瞞、詐欺の意味も出てきます。酒等の液体一般も表します。テロやインフレも海王星の守備範囲です。意識の段階としては深いところにある深層意識、時代精神を示します。
ギリシャ神話ではプルートーン、ローマ神話ではディースとして冥界を支配します。
プルートーは、ゼウスの権威が高まるにつれ彼の末の弟扱いされていますがゼウスとポセイドンの 3 兄弟の長兄です。
ギリシャ神話ではプルートーの名よりハーデスの名が知られています。冥界の支配者、地下の神として地中より植物を芽生えさせる者、地下に眠る富の所有者、そして一度入れば帰ることを許されない死者に富める国の王としてプルートーンとも呼ばれます。決して現世への帰還を許さない恐ろしい神なのですが、正義を重んじる行い正しい神でもあります。容貌はゼウスと同じく中年以上の荘重で厳粛な威厳を持ち、かなり気むずかしい神です。彼の館は
3 つ頭の猛犬ケルベロスによって守られています。ケルベロスは入ってくるものには吠えないが、出て行こうとするものは許さないとされています。妻のペルセポネーは元来明るく優しい穀類の生と死をつなぐ恵みの女神なのですが、後代になると不機嫌な暗い死の国の女王としての性格が強調されるようになりました。
1930年(昭和5年)1月21日、ローウェル天文台のトンボーが双子座δ(デルタ星)近くに新天体を発見、確認観測の後、3月13日ローウェル天文台から新惑星の発見が公表され、プルートーの名が提案されました。この日が選ばれたのは、この惑星の位置推算を行ったローウェルの誕生日という理由でしたが、奇しくもハーシェルの天王星、発見の日と同じになりました。また、この名称は、イギリス、オックスフォードに住む当時11才のベネチア・バーニーが提案し、太陽系の外縁を回る星としての名にふさわしく、略号PLもパーシバル・ローウェルの頭文字であることから文句なく採用されたということです。
冥王星以遠に続々と新惑星の候補が発見されて、更に候補の発見が続くであろう事と共に、太陽系を巡る天体の名称に関する論議が活発となりました。太陽系のできかたの研究も進み、大望遠鏡による捜索も行われて、第10番惑星の候補が乱立するような状況になり、今後、ますます増えるであろう事が予想されたのです。そして2006年、国際天文連合総会は、惑星を定義し、冥王星は惑星から外れることになりました。惑星から外れることになったとはいえ、冥王星が無くなった訳ではなく、また、学校で教える際には、冥王星を除外しなければならないというわけでもありません。占星術においても重要な意味を持つ星です。
冥王星は、死の世界の王として生と死に関わることを表します。物事を根底から変えたり消滅させ、全く新しいことを始める星です。冥王星の影響は通常はほとんどありませんが、いったん発揮すると事態を決定的に左右します。地下に眠る富、資源も支配します。
アセンダント
若年の運勢、行動を起こす前の状態
東の地平線を上昇している黄道上の点です。ホロスコープの起点として、生まれたときの環境、物事の始まりを意味する重要なポイントです。季節、時間、位置により移動速度は変わりますが、ほぼ
1 日で 1 回転、平均で 4 分 1 度の割で動いています。これは以下の ](南中点),`(バーテックス),M(イーストポイント)も同様です。
MC
環境と意識の接点
南中点はホロスコープの持ち主の努力によって到達する限界を示しています。
バーテックス
宿命的要素
宿命的なものを バーテックスと AV (アンチ・バーテックス)として限定的に判断する為の感受点です。AV は常にバーテックスと180度の関係です。
イーストポイント
世俗的名声
バーテックスと共に個人の自由意志によって左右できない事項を表しているとされています。
パート・オブ・フォーチュン
幸運
アラビック・パートの代表の 1 つで、現実的な富とその増大する方向を示し、特に富の贈与の在処を出生図の中に示すとされています。[(上昇点)+W(月)−Q(太陽)で計算される感受点です。これらのアラビア時代に遡る感受点の設定を現代占星術が導入しているのも、古い時代の占星術への回帰現象の
1 つといえます。この他にも沢山のパートがあります。例えば POS (パート・オブ・スピリット)は精神的な富と増加の方向を示しているとされています。Stargazer
で計算できるものは、上記2つだけではありませんが、ホロスコープに表示できるのは PoF だけです。
月系感受点には、昇交点、降交点、近地点、遠地点の4つがあります。この4つは計算上で想定される月の軌道と地球黄道面の関係を示す数値です。
月は地球に近いことで視差が問題になります。月と同じように月系感受点は地球上の位置によりプラスマイナス最大1度の違いが出ます。
また、真位置では細かい動きが大きく、月の公転状況でノードについては毎月最大約1.5度程度の揺らぎが出ます。リリスでは毎月一星座程度揺らぎがあります。これは、計算上の問題で起こります。そこで、動きを一定にしたのが平均位置です。しかし、この平均化により、当然のことですが、実際の月が昇交点、降交点、近地点、遠地点を通過するときが、そのイベントではない、ということが起こります。
良く考えてみれば、月が1公転する間に昇交点、降交点がそれぞれ1.5度、近地点、遠地点が一星座も動くのがおかしなことだと考えます。1公転でそれぞれ1回しかそのポイントを通過しないのですから、遠地点という位置は、本来、一回の公転で1カ所しかないはずの位置なのです。これは、旧来の2体問題による軌道計算による位置決定の方法論の問題が、ここに出ているのです。このことから、あくまでも計算上に出てくる揺らぎを平均化し、且つそれぞれの位置に月が到達したときにそのイベントになるように、それぞれのポイントを滑らかに結ぶ感受点の移動を割り出したのが真平均位置です。
どれがよいかは調査中です。これらの違いによって、どのような動きをしているのかは、ハーフサムを使って、ノードとリリスを表示し、ノードの指定を切り替えてみるとグラフ状に明らかになります。
ノード
月の昇交点(ノース・ノード、ドラゴンス・ヘッド)です。月の軌道(白道)と太陽の通り道(=黄道、地球の軌道)の交点です。定説では、人間関係の結合やつながりを表すとされています。金星や木星と似た影響をアスペクトによって与えると考えられています。これの
180 度反対側にある降交点(サウス・ノード、ドラゴンス・ティル)はアスペクトによって火星や土星に似た影響を与えるとされています。サウスノードは常にノースノードと180
度、オポジションの関係にあります。
最近の考え方では、ノースノードはサウスノードと共に前世の業(カルマ)を示すポイントとされています。ノースノードは過去世での善行の結果、現世で受け取る福を表し、サウスノードは過去世での悪業の結果受け取る現世での課題とみるのです。ノースノードやサウスノードのサインとハウス、アスペクトにも注意する必要があります。
リリス
ダーク・ムーンとも呼ばれる月の軌道の遠地点です。人間の潜在意識にある種の刺激を与えるポイントとされ、特に性的な面で観測されることが多く性的な魅力のポイントとされています。ホロスコープの中の敏感な点の
1 つと考えて間違いないでしょう。
セレス
献身、植物的生育
1801年1月1日、つまり 19 世紀の初日にイタリアのシシリー島の天文台で発見されたのがセレスです。命名は島の守護女神のコレー(セレス)から名付けられました。ギリシャ名はペルセポネーまたはデーメテールで、穀物の女神です。この発見を境に次々と小惑星が発見されて行きました。
名前から判るように、農業や穀物に関係した星と考えられます。以下パラス、ジュノー、ベスタ、キローンは小惑星と呼ばれ弱い感受点に分類されていますが、水星と同じように重要度が低い訳ではなく、その位置やアスペクト次第では決定的な影響を与える場合があります。
パラス
調和
知恵と正義の女神アテーナーの別称で、ゼウスの頭部から母なしで、甲冑を着け槍と楯を持った武装済みの姿で生まれたとされています。
戦いを治め、心を平安に導く星とされています。しかし、戦わない星ではなく、戦えば勝つような戦いをする星でもあります。
ジュノー
婦人
ローマ名ユーノー、ギリシャ神話での一般名はヘーラーです。ギリシャ神話ではゼウスの后という存在です。肥った年増で異常なほどの嫉妬深さがあり、逐一夫の行動を監視し口出しする権高い神として描かれていますが、実際の信仰では、家庭に入った女性を守る最も強力な女神として、ゼウスに拮抗する権威を有する存在です。結婚、出産、主婦の働きを司り、相応の年令の女性の守り神なのです。
権利の主張に関して、特に男女間の法的関係についての争いごとを表しているとされています。
ベスタ
義務
聖火を守る女神の名を持つこの星は、かまどを支配しています。古来、かまどは人間の生活に不可欠な煮炊きを行い、暖房源となり、更に金属の冶金も行うプロメテウスの火を扱うものです。安定した生活、文化を創造する根源の力、あらゆるものを清める働きの象徴です。ギリシャ名はヘスティアー。クロノスとレアの最初の子であり、あらゆる犠牲の祭典の分け前が最初に与えられる女神です。彼女は、アポロンとポセイドーンの求婚をあっさりと断り、ゼウスの額に触れ永遠の処女を誓いました。ゼウスは結婚の喜びのかわりに、高い誉れと、この権利を与えたとされています。また、アフロディテーに冷たい態度を取るのがアテーナー、アルテミスとヘスティアーの
3 神とされています。
かまどを守る意味から義務、犠牲、制限と共に女神の処女性から性生活の犠牲、制限等の意味が出てきます。
キローン
予言
半人半馬のケンタウルス族としては異例の優しさと能力を持ち、人々を助けること数知らずというケイローンがギリシャ名です。
発見されて小惑星に分類されましたが、その後彗星に特有なコマが観測されたことから彗星としても登録されています。軌道は土星より遠く周期 50 年と長く、土星に近づくと軌道を大きく変化させます。芸術、医術、予言、教師の星とされていますが、彗星であることから意味合いは薄くなったといえるでしょう。。
ペルセポネ
再生
トランス・プルートー(冥王星以遠の惑星)として1992QB1が発見され、その軌道が、ある程度、判明しています。冥王星より遠いことからはっきりした最初の例で、これが伝説のペルセポネでは無いかと言うことで採用しました。ペルセポネの神話のごとく、この星が力を発揮するときは人類が三分の一になると言われています。冥王星の絶滅の後を引き受ける星でもあります。
X
1992QB1の発見直後に1993FWが発見されました。この後、冥王星より遠い小惑星の発見が続きましたが、その2番目と言うことで、この星もペルセポネの候補に入れることが出来ます。StargazerではStargazer
for Windows by Delphi 2006の書籍版からXに2003UB313に変更しています。