太陽系天体の軌道

 太陽が太陽系の質量のほとんどを占める存在です。太陽以外で最も質量のある木星は太陽の千分の一の質量を持っています。2番目の土星でも木星の3割しかありませんので、太陽が太陽系の質量の中心であることに間違いはありません。太陽と木星の共通重心は太陽中心から78万qになりますが、太陽の半径は70万qですから表面から8万qのところに共通重心が存在することになります。
 2つの天体があって、互いの引力によって長続きする関係を作っている場合、その二つの星が同じ位の大きさの場合は二重星と呼びます。質量の差がある場合は重い方を主星、軽い方を伴星とするのですが、どこからその区別をするのかというと曖昧です。その解決策の1つに、共通重心が主星外にあれば二重星であるという判断基準があります。これからすると太陽と木星の関係は二重星と言う事になります。しかし、木星は恒星として光を出している星ではないので、輝く太陽に対して、自ら光らず球形で公転軌道を占有する存在であることから、伴星というより惑星と呼ばれるのがふさわしいのです。
 また、太陽という存在は、中心から70万qのところでスパッと途切れている訳ではありません。我々が使う可視光ではそれ以上不透明で、中が見えないというところが太陽表面と言われているだけなのです。地球でも地面や水面が判りやすい境界となっていますが、大気圏は1000qも上空に広がっています。そして太陽は全て気体の塊で、膨大なエネルギーと物質の放射を行っています。中心から78万qのところは太陽のコロナと呼ばれる活動の範囲内でもあります。
 ここで、太陽系の太陽以外の天体は太陽をめぐる軌道を持つと言って良いでしょう。厳密に言えば、太陽系の全ての天体は、太陽系全ての天体の共通重心を中心にして回転し、中心は太陽のすぐ側にあります。
 惑星はほとんど同じ平面内で同じ方向に公転しています。公転面を地球の北極方向側、太陽の北の方向から見ると、惑星はすべて時計の針と逆の方向に運動しています。また、軌道はかなり円に近い楕円軌道となっています。多くの小惑星や衛星も同じ方向に回転しています。太陽系ができた時の回転方向であると考えて良いでしょう。また、例外はありますが惑星の自転方向も大方この向きになっています。
 この動きを地球から観察するとかなり複雑な運動となります。地球自身、一日で一回転の自転をしていますので、惑星の見かけの位置はどんどん移動していますが、背景となる恒星、星座を基準として自転による動きを相殺しても、その動きは太陽と同じように西から東へと動く(順行)だけでなく、時としては止まり(留)或いは反対向きに動く(逆行)ことがあります。