占星術講座SAT 京アニ放火炎上事件 出生時推定(20190722)(20190723、20191004追記)

京アニ放火炎上事件(20190722)(20190723、20191004追記)


 大惨事となってしまったこの事件で犠牲になった36名の方々に深い哀悼の意を表します。また、負傷なさった方々の速やかなる回復と復帰をお祈り申し上げます。そして、心に傷を受けた方々が、再び立ち上がることを期待申し上げます。


事件
 アニメーション制作を中心とする株式会社京都アニメーションに何らかの恨みを募らせた関東在住の青葉真司が、同社第一スタジオにガソリンを持ち込み点火、爆発的に炎上し同社社員ら74名中、34名が死亡、34名が負傷、無事だったのは6名だけとなった。(7/22時点) (追記7/23 重篤だった男性が病院で死亡、35名死亡、33名負傷となった)(追記10/04 重篤で入院中だった20代女性が病院で死亡、36名死亡、負傷33名内5名入院中となった、負傷者数に変化がある点については不詳)
 犯人は、当日、何らかの手段を用いて入口のセキュリテイを突破、機材に見せかけた台車に載せた容器からガソリン撒き点火したとのこと。(2019年7月18日午前10時半頃、10:35近隣住民から119番通報、翌19日午前6:20鎮火)

犯人
 京都府警捜査1課が、2019年7月19日、現場付近で身柄を確保した男を容疑者として発表、住所・職業不詳青葉真司(41歳)。
 1978年5月16日出生、自分の小説をパクられたという主張が逮捕時にあった。
 当初、匿名であったが、ネットではかなり早い段階で氏名生年月日が晒されていた。
 容疑者には関東でコンビニ強盗を行い自首2016年6月20日00:20(34歳)逮捕の前歴あり。
 2018年8月、2019年3月、2019年7月14日、近所と騒音トラブルあり
 
上記情報から出生時刻を占星術的に推定することが、今回のミッションである。

 出生日時が不明の場合は、かなり難しいが、今回は報道機関で報道されているので、誕生日を推定する必要は無い。しかし、不明の場合は、今回のように前歴があると1年間の中から絞り込める場合もある。つまり、2016年6月20日00:20(34歳)逮捕であれば、出生日は1977年6月21日から1978年6月20日となり、2019年7月19日発表の41歳であれば、出生日は1977年7月20日から1978年7月19日となる。共通期間は1977年7月20日から1978年6月20日だから、ほんの少し、絞り込める。

 誕生日が判っていることから、出生時を推測することになる。時刻の推定は、事件を起こしたときの感受点配置から、在室状況、座相状況を勘案して絞り込むことになる。今回は、上昇星から見よう。
 アセンダントは、概略1日で一回転しているわけだから、その星座宮は12星座のどれかとなる。基本論としては、星座宮の示す身体的特徴や容貌がここに出ると言われていることから、それを当てはめる方法も間違いとは言い切れない。しかし、絶対でも無いというのが経験としてある。また、上昇星はチャートの中の重要なキーポイントになる位置であり、持ち主の人生を大きく左右すると言われる。これについても絶対では無いが、星座宮よりも通ずるものがあると考える。

 今回の事件の容疑者は、外界との接続を断つ引き籠もりでは無く、かなり暴力的に周囲に関わる傾向が見られるのであるから、アセンダントと上昇星について、重要なポイントがあるはずだという予断の上で推定を始める。
 放火魔と言うことで言えば、単純に火星(牡羊座宮)、突然のプッツンや奇矯性と言うことであれば天王星(水瓶座宮)と言う押さえか。凶星の1番は土星だが、土星は重石を付けて沈めるような方向とか、周到に構築された犯行計画通りに進む、途中で止められない犯行である。ただし、土星が凶角を持つと、我慢が出来ないとか、計画に穴がという様な事になりやすい。そして、これらの凶角を受けている感受点も候補となる。まあ、冥王星でも運命のままに流されるものもあるかもしれない。ここの押さえでは、火星と天王星がピックアップというところか。12時出生でチャートを作れば、火星と天王星が90度、スクエアと判る。土星と太陽もスクエアである。スクエアとオポジションは凶角の代表で、チャート内で留意すべき点としてピックアップ出来る。

 順に0時から24時間分を見ても良いが、どの星座宮がこのような事件を引き起こすかという点は、演繹すればあり得るが、ほとんど思い込みの結果にすきないであろう。犯人は普通からやや大きい程度の身長175㎝程度とされているので、きわめて大柄でも小柄でも無い。つまりどの星座宮でも良い。そこで、上昇星に注目すると、このような事件は、前述のように火星と天王星絡みである。そして、この者の生まれでは火星と天王星には凶角と呼ばれる座相が揃っている。
 火星も土星も獅子座宮にあり、特に土星は獅子座の支配星である太陽とスクエアとなっている。重みが増しているのだ。座相の意味は我が儘、怠惰、計略等のかなり問題のある配置である。火星の方は、海王星とのトラインで理想主義という文言が出てくる。しかし、天王星とのスクエアであって、過激で衝動性のある行動をする。少なくともその傾向がある。

 注目すべき感受点として火星と天王星に注目する。次の方法は、これらを出生のアキシス(軸)、つまりASC-DSC、MC-ICラインに乗せてみる、少なくとも近付けるのである。この方法は、この出生では特殊な効果を出す。と言うのは火星と天王星がスクエア、つまり90度であるから、火星と天王星が同時、またはそれほど時間的に離れずにアキシスへ接触するのである。この場合に限らず、習熟してくれば、進行経過の情報、3重円全体を見ながらいきなり出生時の修正作業に飛び込むことも可能であろうが、ここでは、一応、手順の説明という部分があるので、単円の出生図だけを見て、接触状況を確認する。

 円の中に十字を入れて(つまりアキシス)、それに合わせるように90度の角度を置く方法は、4通りある。ハウスで言えば1-4、4-7、7-10、10-1と言う組み合わせである。ただし、ブラシーダス法では、ハウスは等間隔ではなく、アキシスが90度になっていないこともある。多少の誤差に目をつぶって、4通りを見てみよう。

 プラシーダス法のアキシスの90度からのブレがあるので、天王星について注目、各時00分で作図、アキシスに近そうなものを選んでみた。






 10時と17時のものが、良さそうである、当然ASC-DSCラインとMC-ICラインが90度に近いものになる。更に、火星と天王星の90度の座相に合わせて時刻を調整してみよう。

 方法論として90度の座相という限定条件を使ったが、いわゆる凶座相というのはもう1つ、衝、180度というものがある。この座相に注目した場合でも、この座相をアキシスに寄せるという手順は一緒であり、ASC-DSCラインとMC-ICラインのどちらにするか、そして、どちらの側に感受点を入れるかという組み合わせは、結局、スクエアの手順と同じ4通りになることが、すぐ判るであろう。


 初めてであれば、出生図解読として、「このチャートでは、これこれのような行動方針と行動内容がありがちであって、この点に利点があり、この方面では失敗しやすい傾向があろう」というようなことを文章として残した上で、「これこれの事件・状況の際は、○○の星を××の星が刺激し、これこれの状況ではこのような動きを誘発ししやすいだろう」というような更なる出生図の解読を行い、こちらもチャートに記録しておくというのが一番ためになるものと考える。

 出生時を決めていく手順としては、それぞれの出生図の解読を、現実の事件と対比させて見るということになる。しかし、それを割愛し、ここでは、手っ取り早く、10時台と17時見込みのありそうな2枚のチャートについて、3重円に戻って、事件を見よう。事件そのものは、計画性が高く、関東在住の容疑者が、当日の朝までに京都の該当地域にてガソリンを調達、数本の包丁と共に、何らかの方法で入口を突破、侵入してガソリンをぶちまけ、放火、殺意のある叫びを上げ逃げたというものである。これらの危険物を持って公共交通機関に乗ることは難しいと思われるので、何日か前に現地へ行き、周到に用意を進めているとみて良いだろう。また、ガソリン缶を抱えて宿泊施設に入ることも難しいはずであるし、金も必要であって、潤沢な資金があるとは思えない。人目に付かない場所での野宿も視野に入れるべきだろう。かなりの恨みを持っているので、何でもするし、確信的な犯行である。勿論、色々と疑問の点がでてきてしまう。しかし、その疑問は疑問として、チャートとその読みとして、先ほど取り上げた10時台と17時台の2つのチャートを、3重円として比べてみるのが、ここでの作業である。それぞれの出生時刻を移動させて、該当感受点(火星)をアキシスに合わせて見る。

  この部分での作業は、そのチャートが犯人となり得る構造を持つかどうか、35名に上る殺人を実行することがあり得るのかどうかを判断する。

火星ASC


火星MC

 凶行を行う為に凶座相が必要と考えるのは単純すぎる。全てが凶星凶座相であるのならば、身動きも出来ないような状況で自死することになるはずである。凶行すら不可能であろう。凶行を遂行するには、犯行を行う側に運が無ければならない。例えば、木星等の加護により悪辣な計画が遂行されてしまうような感受点配置である。生まれ持ったものや、進行や経過の加護があって、事の善悪にかかわらず行動が可能となるので、ここで探すのは、凶角だけでなく、吉星の吉角も対象となり、吉凶あい混ざっていることになる。

 つまり、ここで見るべきは、吉とか凶という判断では無い。「経過の感受点の中で、吉星とされる木星が出生の火星と120度を作っている。火星の実行力を最大限にブーストしている。同時に出生進行の海王星に乗っていて、夢や希望をブースト、暴走と言っても良い。また、夢の星である海王星の経過は、進行の水星=知性、知力、判断力に夢をかぶせた上に、経過土星は同じく進行の水星とオポジション、知性をトンカチで叩いていて麻痺させている状態で、遂に思いを実現する為に動いてしまうだろう」、というように見ていく。

 つまり、2つのチャートが、どちらも凶行に及ぶ条件を満たしている。ここで、動くかどうか、やってしまうかどうかは、そこに至るまでに、どれだけため込んできたか、そして、それを防ぐ防波堤の高さを上げてきたのか、下げてきたのかの勝負で決まるのだろう。それも運だと言えばそうなのである。
 出生時の違いで、星の配置が少し変わっている。この例では、一番の違いが出生月と進行火星の具合である。17時13分のチャートの方が。堤防が低い、又は波が大きいと見える。候補はこちらである。そして、この違いが、他の問題、他の方面にも関わる。多くの場合、問題を抱えているが故に、最初の一歩が出ると、雪崩現象が始まってしまい、止めることは出来ない。しかし、「普通の人」であれば、そこで理性のブレーキが、数十秒の我慢をさせると、何とか収まることが多いといわれる。何処までで止まるかが運命の分かれ道である。


 ある程度の候補が出たところで、他の事実からチャートの検証が出来れば、信頼性が高まると考えられる。最後が検証ミッションである。ここでは過去にコンビニ強盗で逮捕されたことが判っているので、それを使って見ることにする。事件としては、現金を強奪後、自首して逮捕されたと伝わっている。
 コンビニで1億とか1千万が奪えると考え押し入る強盗は、色々と他に足りないものがあると思われる。大抵は、精々、何万かぐらいの小金を求めている状況であろうと考えられる。目の前のコンビニでちょこっと買い物をする程度の金額目当てである。顔を隠しても、防犯カメラの映像から、判ってしまうことも結構あるようだ。従って、道を踏み外してしまったかどうかを見るのは、大変に難しい。しかし、検証用に用意したデータであれば、やってしまっているのであるから、判断はある程度はしやすいはずである。





 ここでは2つのチャートがある。どちらがより確かそうかと言う点がこの場合の問題で、本当はどちらなのかは、競っているとか勝負している際の解答ということであり、行ってみればそれも運次第である。真剣勝負で鍛えるというのもありだろう。答えが分からない場合もあるので、自分の中で、これこれの理由で判断するという理屈が付くところまで解読を行うというのが、次の手順と言うことになる。ステップとしては、アキシスに固執せずに、占星術的判断として、チャート解読、修正を繰り返してみるという、かなり高度なミッションとなる。ここまで行けば、楽しさも半端ないレベルであるが。なかなか難しいものだろう、

 そもそも、この作戦のポイントは、絞り込んだ出生時刻が正しいものに近いことが評価としてあるはずだが、これはあくまでも推定という占星術的技術の研鑽であって、何処まで出来るかということが、本来の課題である。ここで、2つのチャートを出したが、この生まれの方が、全て同じ事件を起こし、かけがえのない方々を殺傷したと言うことにはならないことは自明である。この事件を起こした者は、唯一ただ一人であって、同時刻に生まれながらも、他の方は異なる道を歩んでいるのである。同じ出生図を持ちながら、全く違う人生を歩いているということがあるのだと言うことを、チャートを読む者が、忘れてはならないことだ。

 各位のミッション・コンプリートを期待する。